31歳・年収420万円の被服費は年184,500円——単身女性平均7万円の2.6倍だった服代を「点数の予算」で見直した1年の記録【ケーススタディ】
東京都杉並区で一人暮らしをする31歳・広告代理店営業(年収420万円・手取り約330万円)の被服費は年184,500円、手取りの5.6%だった。総務省家計調査に基づく単身女性平均・年約7万円の2.6倍。金額ではなく「年間の購入点数」に上限を決める方式に変えたら計画値は年119,500円(▲65,000円)、実績は靴の買い足しを含め128,300円に収まり、フリマ売却16,890円を差し引いた実質負担は111,410円・手取り比3.4%まで下がった。カテゴリ別の仕分け表・失敗した服の共通点・点数予算の作り方まで、家計簿の実数で追うケーススタディ。
「服なんて、そんなに買ってないけど」——クレジットカードの年間利用レポートを開いた桜井さん(仮名・31歳・広告代理店の営業職・年収420万円)が最初に口にした感想だ。しかしアプリが集計した「ファッション」カテゴリの年間合計は184,500円。月に直すと15,375円で、手取り約330万円に対する割合は5.6%。一般に目安とされる「手取りの3〜5%」を上回り、総務省の家計調査に基づく単身女性の平均・年約70,000円と比べると約2.6倍だった。
東京都杉並区の賃貸ワンルームで一人暮らしをする桜井さんが、この184,500円をレシート単位で仕分けし、「金額」ではなく「点数」に予算を付ける方式で1年間やり直した記録である。
まず仕分け: 184,500円の中身はこうなっていた
家計簿アプリとカード明細から、1年分の購入をカテゴリ別に並べ直した。単価は各カテゴリの購入額の平均値だ。
| カテゴリ | 点数 | 平均単価 | 年間金額 |
|---|---|---|---|
| トップス | 8点 | 6,250円 | 50,000円 |
| ボトムス | 4点 | 10,000円 | 40,000円 |
| アウター | 2点 | 18,750円 | 37,500円 |
| 靴 | 3足 | 10,000円 | 30,000円 |
| バッグ・小物 | 2点 | 7,500円 | 15,000円 |
| 下着・靴下類 | 8点 | 1,500円 | 12,000円 |
| 合計 | 27点 | — | 184,500円 |
ZARAやユナイテッドアローズのセール品を中心にした、いわゆるカジュアルブランド中心の買い方で、1点あたりの単価は突出して高くない。被服費シミュレーターで「カジュアルブランド中心・女性」を選んだときのデフォルト値とほぼ同じ構成、つまりこのスタイルの標準的な買い方をすると自然にこの金額になる。問題は単価ではなく、年27点という点数だった。
クローゼットの服を全部出して数えたら118着。うち直近1年で袖を通したのは75着で、43着は1年間一度も着ていなかった。
平均との距離を数字で確認する
- 単身女性の平均被服費: 年約70,000円(総務省「家計調査」の男女別データに基づく。単身男性は約50,000円)
- 単身世帯全体の平均: 年約75,000円(総務省「家計調査年報2024」被服及び履物)
- 桜井さんの被服費: 年184,500円 → 平均との差は+114,500円
- 手取りに対する割合: 184,500円 ÷ 330万円 = 5.6%(目安は3〜5%)
「平均より多い=悪」ではない。営業職で人と会う日が多く、服が仕事道具の側面もある。ただし桜井さん自身の基準で見ても、着ていない43着と5.6%という割合は納得できる水準ではなかった。
買った27点を「当たり」と「外れ」に分けてわかったこと
削る前に、昨年買った27点を「よく着た(月2回以上)」「着なかった(5回未満)」に分類した。外れは27点中9点、金額にして約58,000円。共通点は3つあった。
- 「割引額」を理由に買っていた。9点中6点はセール品。「12,000円が6,000円」という差額6,000円に反応して買い、定価なら買わなかった服は結局着ない
- 手持ちと組み合わせられない単品。柄物のスカートなど、それ自体は良くても合わせるトップスがなく、着るために追加でもう1点買う「買い直しの連鎖」が起きていた
- 同じ役割の服の買い足し。黒のニットが既に3枚あるのに4枚目を買っていた。クローゼットの在庫を把握していないことが原因
つまり浪費の主犯は高い服ではなく、セール起点の衝動買いと在庫管理の欠如だった。ここから「金額の予算」ではなく「点数の予算」という結論が出てくる。金額で管理するとセールのたびに「安いからOK」と例外が生まれるが、点数は言い訳が利かない。
点数予算: 年27点 → 年20点の設計
カテゴリごとに「昨年の実績 → 今年の上限」を決めた。単価は変えない(安物に切り替えると買い直しが増えるため、むしろ1点あたりの質は維持する方針)。
| カテゴリ | 昨年実績 | 今年の上限 | 年間予算 | 削減額 |
|---|---|---|---|---|
| トップス | 8点 | 5点 | 31,250円 | ▲18,750円 |
| ボトムス | 4点 | 3点 | 30,000円 | ▲10,000円 |
| アウター | 2点 | 1点 | 18,750円 | ▲18,750円 |
| 靴 | 3足 | 2足 | 20,000円 | ▲10,000円 |
| バッグ・小物 | 2点 | 1点 | 7,500円 | ▲7,500円 |
| 下着・靴下類 | 8点 | 8点 | 12,000円 | ±0円 |
| 合計 | 27点 | 20点 | 119,500円 | ▲65,000円 |
計算式にすると、削減額はシンプルだ。
```
184,500円(現状) − 119,500円(点数予算) = 年65,000円の削減
```
下着・靴下類を削らないのは意図的で、消耗品を我慢するとストレスだけが溜まり、リバウンドの引き金になる。あわせて運用ルールを3つだけ決めた。
- 買う前にクローゼットの「在庫表」を見る(スマホのメモに全アイテムを一覧化。同役割の服が2点以上あれば買わない)
- セールでは「定価でも買うか」を自問する。答えがNoなら割引率に関係なく見送る
- 2月と8月は「買わない月」にする。冬・夏セールの終盤で最も衝動買いが起きやすい月をあえて封鎖する。買わない期間の効果は買わないチャレンジシミュレーターで金額換算できる
着ない43着はフリマで現金化した
並行して、1年着ていない43着のうち状態の良い30点をメルカリに出品した。結果は3ヶ月で完売とはいかず、売れたものの合計で以下のとおり。
```
売上 24,600円(平均820円/点)
− 販売手数料10% 2,460円
− 送料(175円 × 30点) 5,250円
= 手取り 16,890円
```
1点あたりの手取りは約563円。「買ったときの値段」を思うと切ない数字だが、これが着ない服の市場価値である。桜井さんはこの16,890円より、出品作業で全アイテムの写真を撮ったことで在庫表が完成した副産物のほうが大きかったと振り返る。不要品の売却でいくら回収できるかの目安は断捨離節約シミュレーターでも試算できる。
1年後の実績: 計画119,500円に対して128,300円
で、実際どうだったか。1年間の実績は128,300円。計画を8,800円超過した。原因は通勤用パンプスの底が剥がれ、上限2足に対して3足目(8,800円)を買い足したことだ。靴の消耗は点数予算の弱点で、2年目からは「消耗による買い替えは点数外・ただし壊れた靴を処分すること」という条件を付けた。
それでも収支はこう変わった。
| 項目 | 見直し前 | 見直し後(実績) |
|---|---|---|
| 年間被服費 | 184,500円 | 128,300円(▲56,200円) |
| フリマ売却の回収 | — | ▲16,890円 |
| 実質負担 | 184,500円 | 111,410円 |
| 手取りに対する割合 | 5.6% | 約3.4% |
| 購入点数 | 27点 | 21点 |
削減の56,200円は、桜井さんの場合は月5,000円弱の積立投資の増額に回った。仮にこのペースを10年続ければ単純合計で約56万円の差になる。被服費は毎年発生する準固定費なので、1回の見直しが10年効く。この「浮いた分をどこに振るか」まで決めたい人は、固定費見直しシミュレーターで家計全体の削減余地とあわせて眺めると優先順位を付けやすい。
なお、桜井さんが手を付けなかった領域もある。美容室代(年約66,000円)と化粧品代は「仕事のコンディション維持費」として今回は対象外にした。ここまで含めて身だしなみ費全体を把握したい場合は美容室代シミュレーターと化粧品代シミュレーターで個別に積み上げられる。
この方法を自分の家計に移すための手順
- カード明細・家計簿アプリで直近1年の被服費を合計する(月平均×12の概算では衝動買いが漏れる。年間実績を使う)
- 手取り年収で割り、3〜5%の範囲に収まっているか確認する
- クローゼットの服を全部出し、1年着ていない服を数える。ここが多いほど「点数予算」の効果が出る
- カテゴリ別に「昨年の点数 → 今年の上限」を決める。消耗品(下着・靴下)は削らない
- 着ない服はまとめて出品し、撮影ついでに在庫表を作る
- セール月に「買わない月」をぶつける
被服費は食費や光熱費と違って「ゼロの月」が作れる、数少ない変動費だ。だからこそ金額のガードレールより、点数のガードレールのほうが機能する——というのが、184,500円を111,410円にした桜井さんの結論である。
FAQ
Q. この記事の平均データや単価はどこから?
単身世帯の被服費平均(年約75,000円、男女別で男性約50,000円・女性約70,000円)は総務省統計局「家計調査」の被服及び履物費(2023〜2024年)に基づく。カテゴリ別の単価(トップス6,250円等)は、当サイトの被服費シミュレーターがカジュアルブランド(ZARA・H&M等)の2025〜2026年実売価格から設定している前提値と同一で、桜井さんの実際の購入平均もほぼ一致していた。手取りの3〜5%という適正目安は家計相談で広く使われる経験則である。
Q. 家計調査の「被服費」には何が含まれる?
総務省家計調査の「被服及び履物」には、洋服・シャツ・下着類・履物に加えて、クリーニング代や洋服のレンタル料などの被服関連サービスも含まれる。自分の支出と平均を比べるときは、クリーニング代を入れ忘れると実態より少なく見えるので注意したい。
Q. 点数予算はファッションが好きな人には窮屈では?
桜井さんの場合、単価を下げずに点数だけ絞ったため「1点あたりにかけられる金額」はむしろ上がった(184,500円÷27点=約6,800円 → 119,500円÷20点=約6,000円だが、下着を除いた主要アイテムでは1点あたり約9,000円が使える計算になる)。好きな服を諦める方式ではなく、外れの服を買わない方式と考えるほうが実態に近い。
Q. 数字が実感と合わない場合は?
この記事は都内在住・31歳・カジュアルブランド中心という一つのケースであり、地域・職種・好みのスタイルで被服費は大きく変わる。被服費シミュレーターの詳細設定でカテゴリ別の点数を自分の実態に合わせると、より近い数字が出る。記事の計算に誤りがあると思われる場合は、お問い合わせフォームからご連絡いただければ検証する。