エコカー減税は2026年5月から何が変わった?重量税・自動車税の軽減額を区分別に比較
環境性能割は2026年3月末で廃止、重量税のエコカー減税は基準を上げて2028年4月まで延長。1.5t・2.0Lの100%達成車で初回車検まで40,900円、EVなら80,000円安くなる計算を、国交省・経産省の資料で区分別に解説。
結論:2026年4月以降、エコカー減税で安くなるのは「重量税」と「EV等の自動車税」だけ
令和8年度税制改正で、クルマの税金は2026年4月と5月に続けて変わりました。新車を買う人に関係する変更は次の3つです。
| 時期 | 変更内容 | 影響 |
|---|---|---|
| 2026年3月31日 | 環境性能割を廃止 | 購入時の0〜3%の税がどの車でも0円に |
| 2026年4月1日 | 自動車税種別割を「自動車税」に名称変更、グリーン化特例を2年延長 | EV・PHEV等は登録翌年度の自動車税が概ね75%軽減(2028年3月31日登録分まで) |
| 2026年5月1日 | 重量税のエコカー減税の基準を引き上げて2年延長 | 2030年度燃費基準の達成率に応じて免税〜25%軽減(2028年4月30日登録分まで) |
出典は経済産業省「令和8年度税制改正(車体課税の抜本見直し)」、国土交通省「令和8年度税制改正に伴う自動車重量税の税額の基本的な考え方」、兵庫県・東京都主税局の案内です。
以前は「エコカー減税で十数万円お得」と言われることがありましたが、その大部分は購入時の環境性能割の差でした。環境性能割が廃止された今、エコカーかどうかで変わるのは新車時と車検時の重量税と、EV・PHEVの自動車税(翌年度分)です。車両重量1.5t・排気量2.0Lのクルマなら、差はおおむね3万〜9万円になります。
自分の車の金額はエコカー減税シミュレーターで、減税区分・車両重量・排気量を入れると計算できます。
環境性能割の廃止:2026年4月以降に買えば0円
環境性能割は、2019年10月に自動車取得税に代わって始まった「買うときの税金」でした。米国の関税措置による国内市場への影響を和らげ、取得時の負担を軽くするため、2026年3月31日で廃止されました。軽自動車の環境性能割も同じ日に廃止されています。
廃止直前(2025年4月〜2026年3月取得)の登録車の税率は次のとおりでした。
| 区分(2030年度燃費基準) | 廃止前の税率 | 車両本体300万円の場合(概算) |
|---|---|---|
| EV・PHEV・燃料電池車等 | 非課税 | 0円 |
| 95%以上達成 | 非課税 | 0円 |
| 85%以上達成 | 1% | 約27,000円 |
| 80%以上達成 | 2% | 約54,000円 |
| 上記以外 | 3% | 約81,000円 |
※取得価額を本体価格の9割(270万円)として計算した概算。実際の課税標準は本体価格に取り付けたオプション等を加えた「取得価額」でした。
つまり、減税対象外の300万円の車なら、2026年4月以降に買うだけで約8万円安くなったことになります。逆に言えば、「エコカーなら購入時の税金が数万円安い」という比較はもう成り立ちません。古い記事や販売店の資料で環境性能割の節税額が書かれていたら、2026年3月以前の制度です。
重量税のエコカー減税:2026年5月からの区分
自動車重量税は、新車登録時(3年分)と車検ごと(2年分)に、車両重量0.5tごとに課税されます。税率は2種類あります。
- 本則税率:0.5tごとに年2,500円(エコカー減税の軽減はここから計算)
- 当分の間税率:0.5tごとに年4,100円(減税対象外の車・13年未満)
2026年5月以降の新車登録では、2030年度燃費基準の達成率で次のように決まります(ガソリン車・ハイブリッド車・クリーンディーゼル車は令和2年度燃費基準の達成が前提)。
| 区分 | 2026年5月〜2027年4月登録 | 2027年5月〜2028年4月登録 | 初回車検(3年後) |
|---|---|---|---|
| EV・燃料電池車・PHEV・天然ガス車 | 免税 | 免税 | 免税 |
| 125%以上達成 | 免税 | 免税 | 免税 |
| 105%以上達成 | 免税 | 免税 | 本則税率 |
| 100%以上達成 | 75%軽減 | 75%軽減 | 本則税率 |
| 95%以上達成 | 50%軽減 | 50%軽減 | 本則税率 |
| 85%以上達成 | 25%軽減 | 25%軽減 | 本則税率 |
| 80%以上達成 | 25%軽減 | 本則税率(軽減なし) | 本則税率 |
| 80%未満 | 減税なし | 減税なし | 減税なし |
改正前(2025年5月〜2026年4月)は「100%達成で免税、90%で50%軽減、80%で25%軽減、75%で本則税率」でした。同じ車でも、2026年5月以降は1〜2段階軽減が小さくなることがあります。
「初回車検」の列は、日本自動車工業会「エコカー減税(自動車重量税)の概要」の「継続検査では、現行のエコカー減税の要件を満たす車両について本則税率を適用」という扱いに基づきます。3年後の時点で要件を満たす前提の数字なので、基準がさらに上がれば当分の間税率になる可能性があります。
車両重量別の新車時の重量税(3年分)
国土交通省「2026年5月1日からの自動車重量税の税額表」から、乗用車の代表的な重量帯を抜き出しました。軽減後の額は100円未満切捨てです。
| 車両重量 | 免税 | 75%軽減 | 50%軽減 | 25%軽減 | 本則税率 | 減税なし |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1.0t以下 | 0円 | 3,700円 | 7,500円 | 11,200円 | 15,000円 | 24,600円 |
| 1.5t以下 | 0円 | 5,600円 | 11,200円 | 16,800円 | 22,500円 | 36,900円 |
| 2.0t以下 | 0円 | 7,500円 | 15,000円 | 22,500円 | 30,000円 | 49,200円 |
| 2.5t以下 | 0円 | 9,300円 | 18,700円 | 28,100円 | 37,500円 | 61,500円 |
1.5t以下のクルマなら、免税と減税なしの差は新車時だけで36,900円です。初回車検(2年分)は本則税率なら15,000円、減税なしなら24,600円で、ここでも9,600円の差がつきます。
自動車税とグリーン化特例:軽減されるのはEV・PHEV等だけ
毎年4月1日時点の持ち主にかかる自動車税(2026年3月までの名称は「自動車税種別割」)は、排気量で決まります。2019年10月1日以後に初回登録した自家用乗用車の税額と、グリーン化特例を受けた場合の翌年度の税額は次のとおりです(東京都主税局の税率表)。
| 総排気量 | 標準の年額 | グリーン化特例(翌年度) |
|---|---|---|
| EV・1L以下 | 25,000円 | 6,500円 |
| 1L超〜1.5L | 30,500円 | 8,000円 |
| 1.5L超〜2L | 36,000円 | 9,000円 |
| 2L超〜2.5L | 43,500円 | 11,000円 |
| 2.5L超〜3L | 50,000円 | 12,500円 |
グリーン化特例(軽課)の対象はEV・燃料電池車・PHEV・天然ガス車だけで、ハイブリッド車やクリーンディーゼル車は燃費が良くても対象外です。軽減されるのも登録の翌年度1回だけで、2年度目からは標準の税額に戻ります。EVは排気量がないため、1L以下と同じ25,000円です。
毎年の税額だけを詳しく見たいときは自動車税シミュレーターが便利です。
ケース別:初回車検までにいくら安くなるか
2026年5月〜2027年4月に新車登録し、「新車時の重量税+初回車検の重量税+自動車税3年度分(登録年度の月割分を除く)」を、エコカー減税・グリーン化特例がない場合と比べました。
ケース1:ミドルクラスのHV(1.5t・2.0L・100%達成)
| 項目 | 減税なし | この車 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 重量税(新車時3年分) | 36,900円 | 5,600円 | 31,300円 |
| 重量税(初回車検2年分) | 24,600円 | 15,000円 | 9,600円 |
| 自動車税(3年度分) | 108,000円 | 108,000円 | 0円 |
| 合計 | 169,500円 | 128,600円 | 40,900円 |
計算式は「本則22,500円 ×(1−75%)=5,625円 → 100円未満切捨てで5,600円」です。HVなので自動車税は軽減されません。
ケース2:同じ重量のEV(1.5t)
| 項目 | 減税なし | この車 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 重量税(新車時3年分) | 36,900円 | 0円 | 36,900円 |
| 重量税(初回車検2年分) | 24,600円 | 0円 | 24,600円 |
| 自動車税(3年度分) | 75,000円 | 56,500円 | 18,500円 |
| 合計 | 136,500円 | 56,500円 | 80,000円 |
自動車税は「6,500円(翌年度)+25,000円×2年度」です。EVはもともと排気量のある2.0L車より自動車税が年11,000円安いため、ケース1との3年間の税額の差は72,100円になります。
ケース3:SUVのPHEV(2.0t・2.4L)
重量税は新車時49,200円・初回車検32,800円がどちらも0円、自動車税は「11,000円+43,500円×2」で98,000円(減税なしなら130,500円)です。合計で114,500円安くなり、3つの中で軽減額は最大です。重くて排気量の大きい車ほど、免税になったときの差が大きくなります。
| ケース | 3年間の税額 | 減税なしとの差 |
|---|---|---|
| HV 1.5t・2.0L・100%達成 | 128,600円 | 40,900円 |
| EV 1.5t | 56,500円 | 80,000円 |
| PHEV 2.0t・2.4L | 98,000円 | 114,500円 |
| 減税対象外 1.5t・2.0L | 169,500円 | 0円 |
自分の区分を確かめる手順
- 動力源を確認 → EV・PHEV・燃料電池車なら区分は「免税」で確定
- エンジン車ならカタログの燃費欄を見る → 「2030年度燃費基準○%達成」の表記があるか
- 表記がないか80%未満 → 減税なし(重量税は当分の間税率)
- 登録時期を確認 → 2027年5月以降の登録なら、80%達成車は軽減なしに変わる
- 車検証の車両重量を確認 → 0.5t刻みで税額が変わるので、1,500kgと1,510kgでは1段階違う
同じ車種でもグレードや駆動方式で達成率が変わることがあります。日本自動車工業会・日本自動車輸入組合が公開している「エコカー減税対象車一覧」や、見積書の「自動車重量税」の欄で最終確認してください。
今後の変更:2027年5月と2028年に注意
- 2027年5月1日:重量税の25%軽減の基準が80%から85%に上がる(激変緩和措置として段階的に引き上げ)
- 2028年4月30日:今回延長されたエコカー減税の期限
- 2028年度以降に新車登録するEV・FCV:自動車税が重量に応じた課税方式に変わる。税率は令和9年度税制改正で決定
- 2028年5月1日以後の車検:EV・PHEVに車両重量に応じた負担を重量税の特例加算として求める。新車の新規検査(当初3年分)は免除、既販車も施行後最初の車検は免除。PHEVはEVの2分の1が目安
2026年5月〜2028年4月に登録したEVは、初回車検までなら特例加算の対象外なので、上のケースの数字は変わりません。2回目以降の車検の税額は、令和9年度税制改正の結果を見てから計算し直す必要があります。
よくある質問
Q. 2026年3月までに買った車の環境性能割は戻ってくる?
戻りません。廃止は2026年4月1日以降の取得に適用されるもので、それ以前に取得した車の環境性能割はそのままです。千葉県は、廃止後も3月31日までの取得分について修正申告・期限後申告を受け付けると案内しています。
Q. ハイブリッド車なら必ず減税される?
いいえ。区分は「2030年度燃費基準の達成率」で決まり、ハイブリッドかどうかでは決まりません。達成率が80%未満なら減税なしです。また、自動車税のグリーン化特例はハイブリッド車には使えません。
Q. 中古車にもエコカー減税は効く?
重量税の免税・軽減(特例措置)は新車新規登録時に1回だけです。中古車の登録や継続車検では、その時点のエコカー減税の要件を満たす車に本則税率が適用されます。環境性能割は中古車も廃止されたので、購入時にかかる取得の税はありません。
Q. 軽自動車はどうなる?
軽自動車も環境性能割は廃止され、「軽自動車税種別割」は「軽自動車税」に名称が変わりました。重量税の新車時3年分は、エコカー外9,900円・本則7,500円・免税0円(国交省の税額表)と、登録車より差は小さくなります。このシミュレーターは登録車向けです。
Q. 減税の手続きは必要?
不要です。新車登録や車検のときに、車検証の情報をもとに自動で適用されます。
税金より大きい差もあわせて比べる
エコカー減税の差は、初回車検までで数万円〜十数万円です。一方、燃料代は年間で数万円単位、車両価格の差は数十万円になることもあります。最終的には次のシミュレーターで総額を比べるのがおすすめです。
- エコカー減税シミュレーター — 減税区分・重量・排気量から初回車検までの税額を計算
- EV vs ガソリン車シミュレーター — 電気代・燃料代・税金を含めた維持費を比較
- ハイブリッド vs ガソリン車シミュレーター — 車両価格差を燃料代で何年で取り戻せるか
- 自動車税シミュレーター — 排気量から毎年の自動車税を確認
- 車検費用シミュレーター — 重量税・自賠責・整備費を含めた車検の総額
- 車の生涯コストシミュレーター — 購入から手放すまでの総額を試算