育児休業給付金はいくらもらえる?月給別の受給額と手取りの実態
育児休業給付金の計算方法を月給別に解説。最初の6ヶ月は67%、以降は50%。非課税・社会保険料免除のため67%期間は育休前の手取りの約85%(住民税を引くと約77%)。2026年8月改定の上限額(67%期間 月332,454円)、出生後休業支援給付金(+13%)、産後パパ育休のケースも実装値で計算。
育休中の収入、実はそこまで減らない
「育休を取ったら収入がゼロになる」と心配する方は多いですが、実際には育児休業給付金が出るうえ、給付金は非課税で社会保険料も免除されるため、最初の6ヶ月は育休前の手取りの8割台半ばを受け取れます(月給30万円・賞与年4ヶ月で約85%)。
育児休業給付金の仕組み
給付率は2段階
| 期間 | 給付率 | 月給30万円の場合 |
|---|---|---|
| 最初の180日(約6ヶ月) | 67% | 201,000円/月 |
| 181日目以降 | 50% | 150,000円/月 |
計算式は「休業開始時賃金日額 × 30日 × 給付率」。賃金日額は育休開始前6ヶ月の賃金総額÷180で、残業代や手当は含みますが賞与は含みません。月給30万円なら賃金日額は10,000円です。給付金は非課税で、所得税も住民税もかかりません。
上限額と下限額(2026年8月1日改定)
上限・下限は毎月勤労統計に連動して毎年8月1日に改定されます。2026年8月1日以後の支給単位期間は次のとおりです。
| 改定前(〜2026年7月) | 改定後(2026年8月〜) | |
|---|---|---|
| 休業開始時賃金月額の上限 | 483,300円 | 496,200円 |
| 休業開始時賃金月額の下限 | 90,420円 | 96,090円 |
| 給付金の上限(67%期間・月額) | 323,811円 | 332,454円 |
| 給付金の上限(50%期間・月額) | 241,650円 | 248,100円 |
| 出生時育児休業給付金の上限(28日) | 302,223円 | 310,290円 |
| 出生後休業支援給付金の上限(28日) | 58,640円 | 60,205円 |
月給(手当込み)が約49.6万円を超えると上限に達し、それ以上は給付額が増えないため、月給が高いほど実質の給付率は下がります。
社会保険料免除の効果
育休中は健康保険料(介護保険料・子ども・子育て支援金を含む)と厚生年金保険料が全額免除されます。免除期間も「保険料を納めたもの」として扱われるため、将来の年金額は減りません。
月給30万円の場合の免除額(本人負担分・令和8年度)
| 項目 | 計算 | 月額 |
|---|---|---|
| 健康保険料 | 30万円 × 4.95%(協会けんぽ全国平均9.90%の折半) | 14,850円 |
| 子ども・子育て支援金 | 30万円 × 0.115%(0.23%の折半・2026年4月分〜) | 345円 |
| 厚生年金保険料 | 30万円 × 9.15% | 27,450円 |
| 免除額合計 | 42,645円/月 |
40〜64歳なら介護保険料(30万円×0.81%=2,430円)も免除されます。雇用保険料は賃金が出ないので発生しませんが、これは「免除」ではなく賃金にかかる保険料がなくなるだけです。
注意したいのは、免除額は給付金への上乗せ収入ではないこと。給付金にはもともと保険料も税金もかからないので、「給付金+免除額」を収入として足すと二重計上になります。比べるべきは「給付金」と「育休前の手取り(保険料と税金を引いた後)」です。
月給別の手取り比較
育児休業給付金シミュレーターの実装値(ママ・30歳・独身扶養なし扱い・賞与年4ヶ月)で一覧にしました。
| 月給(額面) | 育休前の月の手取り | 67%期間の給付 | 手取り比 | 住民税を引くと | 50%期間の給付 | 手取り比 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 20万円 | 160,476円 | 134,000円 | 約84% | 約77% | 100,000円 | 約62% |
| 25万円 | 198,569円 | 167,500円 | 約84% | 約77% | 125,000円 | 約63% |
| 30万円 | 236,286円 | 201,000円 | 約85% | 約77% | 150,000円 | 約63% |
| 40万円 | 309,315円 | 268,000円 | 約87% | 約78% | 200,000円 | 約65% |
| 50万円 | 371,994円 | 332,454円(上限) | 約89% | 約79% | 248,100円(上限) | 約67% |
住民税は前年の年収で決まり、育休中も支払いが続きます(月給30万円・賞与年4ヶ月で月約1.9万円)。そのため67%期間の実質は約77〜79%、7ヶ月目以降の50%期間は住民税を引くと約55〜57%まで下がります。ここからは生活費の見直しが重要です。
出生後休業支援給付金で最初の28日は80%に
2025年4月に始まった出生後休業支援給付金は、本人が対象期間(パパは出生後8週間、ママは16週間)に14日以上、配偶者も出生後8週間以内に14日以上の育休を取ると、最大28日間「賃金日額×13%」が上乗せされる制度です。給付率が67%→80%になり、月給30万円なら28日で36,400円。手取り比では約102%と、働いていた頃とほぼ同じになります。配偶者が無業者・自営業・フリーランスの場合やひとり親の場合、パパが申請して配偶者(ママ)が産後休業中の場合は、配偶者の育休は要件になりません。
出生時育休(産後パパ育休)
2022年10月に創設された制度で、父親が子の出生後8週間以内に最大4週間(28日)取得できます。
- 通常の育休とは別枠で取得可能
- 給付率は67%(28日の上限310,290円)
- 2回に分割して取得可能
- 労使協定があれば休業中に一部の就業も認められる
- 給付を受けた日数は、育児休業給付金の67%が適用される180日に通算される
保育所に入れない場合は1歳6ヶ月→2歳まで育休と給付を延長できるため、夫婦で交代しながら長く取るケースもあります。
育休を取る前に確認すべきこと
受給要件
- 雇用保険に加入していること
- 育休開始前2年間に、月11日以上働いた月が12ヶ月以上あること
- 育休中の就業が月80時間以内であること
申請の流れ
- 育休開始の1ヶ月前までに会社に申し出
- 会社がハローワークに申請(本人申請も可)
- 初回支給は育休開始から約2ヶ月後
- 以降、2ヶ月ごとに支給
住民税に注意
育休中も前年の所得に基づく住民税は支払う必要があります。育休に入る前に1年分の住民税を準備しておくと安心です。
あなたの給付金をシミュレーション
月給と育休期間を入力するだけで、月額給付金・社保免除額・実質手取りがすぐに分かります。産後パパ育休にも対応しています。
ケース別シミュレーション3例
ケース1: 30代会社員女性・月給28万円・1年育休(配偶者は育休なし)
| 期間 | 給付金月額 | 育休前の手取り(月221,198円)との比率 | 住民税(月17,325円)を引くと |
|---|---|---|---|
| 1〜6ヶ月 | 187,600円(67%) | 約85% | 約77% |
| 7〜12ヶ月 | 140,000円(50%) | 約63% | 約55% |
| 1年合計 | 1,965,600円 | — | — |
これとは別に社会保険料が月39,802円×12ヶ月=約47.8万円免除されます(支払いが消える負担減)。配偶者が出生後8週間以内に14日以上の育休を取れば、最初の28日に33,973円(賃金日額9,333.3円×28日×13%、円未満切捨て)が上乗せされます。
ケース2: 男性・月給45万円・産後パパ育休28日+通常育休6ヶ月
| 期間 | 給付 | 金額 |
|---|---|---|
| 産後パパ育休(出生後8週間以内の28日) | 出生時育児休業給付金 67% | 281,400円 |
| 同じ28日の上乗せ | 出生後休業支援給付金 13% | 54,600円 |
| 通常育休 1〜5ヶ月目 | 67% | 301,500円/月 |
| 通常育休 6ヶ月目 | 67%が2日+50%が28日 | 230,100円 |
産後パパ育休の28日が67%の180日に通算されるため、通常育休で67%が使えるのは残り152日。6ヶ月目の途中から50%に下がります。給付は合計約207万円(2,073,600円)、社会保険料の免除はパパ育休の月を含め約7ヶ月分で約44.8万円です。配偶者(ママ)は産後休業中なので、出生後休業支援給付金の「配偶者も14日以上」の要件はかかりません。
ケース3: 共働きで「パパ・ママ育休プラス」活用
両親がともに育休を取ると、子が1歳2ヶ月になるまでの間で各自最長1年まで育休を取れます(パパ・ママ育休プラス)。保育所に入れない場合は1歳6ヶ月→2歳まで延長も可能です。67%の180日は親ごとに別々にカウントされるため、ママが1年取ったあとパパが引き継ぐと、パパ自身の給付は最初の180日が67%から始まります。
育休前に必ず確認すべき5つの落とし穴
| 落とし穴 | 影響 | 対策 |
|---|---|---|
| 住民税の支払い継続 | 月15,000〜30,000円が育休中も発生 | 育休前に1年分の住民税(15〜30万円)を貯蓄 |
| 会社の独自手当(住宅・通勤等)の停止 | 月1〜3万円の収入減 | 就業規則で休業中の手当扱いを確認 |
| 賞与が出ない | 年50〜150万円の収入減 | 賞与込み年収から12ヶ月で按分した実質月収を把握 |
| 延長申請の不承諾通知書 | 1歳超の給付金が出ない | 認可保育園の落選通知が必要(故意の不誠実申込みは不可) |
| 育休中の就業が月80時間超 | 給付金カット | テレワーク・副業も育休中の就業に含まれる |
自営業・フリーランスの場合は?
雇用保険に加入していないため、育児休業給付金は対象外です。代替策として以下があります。
- 出産育児一時金: 1児あたり50万円(2023年4月引き上げ後)
- 国民健康保険料の免除制度: 2024年から自営業者も産前産後4ヶ月の保険料免除
- 小規模企業共済の貸付制度: 加入者は緊急貸付で生活費補填可能
- 配偶者の社会保険扶養に入る: 年収130万円未満なら可能、保険料負担なし
出産手当金シミュレーターで会社員時代の出産手当金を試算しておくと、フリーランス転身時の家計設計に役立ちます。
給付金の支給時期と申請の流れ
支給スケジュール
- 育休開始の1ヶ月前まで: 会社に育休取得を申し出
- 育休開始日: 給付金の対象期間スタート
- 育休開始から約2ヶ月後: 初回支給(2ヶ月分一括)
- 以降2ヶ月ごと: 支給継続
最初の2ヶ月は給付金が振り込まれないため、最低2ヶ月分の生活費(約60万円)を事前準備しておくことが鉄則です。
必要書類
| 書類 | 入手先 |
|---|---|
| 育児休業給付金支給申請書 | 会社・ハローワーク |
| 母子手帳の出生記録ページ | 自治体 |
| 出勤簿・賃金台帳のコピー | 会社 |
| 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書 | 会社・ハローワーク |
| 個人番号確認書類 | 本人 |
会社経由で申請するケースが多く、本人は書類記入のみで済みます。
よくある質問(FAQ)
Q1. パートタイマー・契約社員も育休は取れる?
A. 雇用保険に加入していれば原則OK。ただし「育休開始時に1歳6ヶ月までに労働契約が終了することが明らかでないこと」が条件。2022年の法改正で「過去1年以上の雇用」の要件は撤廃されており、入社1年未満でも会社が拒否できなくなりました。
Q2. 育休中に転職活動・副業はできる?
A. 育休中の就業は支給単位期間(1ヶ月)ごとに10日以下(超える場合は80時間以下)が条件で、これを超えるとその期間は給付が出ません。条件内でも、育休中に支払われた賃金と給付金の合計が休業開始時賃金の80%を超えると、超えた分だけ給付金が減額されます。転職活動そのものは制限されませんが、育休は職場復帰が前提の制度である点に注意してください。
Q3. この計算の前提データはどこから?
A. 給付率(67%/50%)と出生後休業支援給付金(+13%)は雇用保険法第61条の7〜第61条の10、上限・下限額は厚生労働省「令和8年8月1日から支給限度額が変更になります」、免除される社会保険料は協会けんぽ「令和8年度保険料率」の全国平均(健康保険9.90%・子ども・子育て支援金0.23%・介護保険1.62%)と厚生年金18.3%の本人負担分です。育休前の手取りと住民税は手取り計算シミュレーターと同じ計算(令和8年分の所得税・令和8年度分の住民税)で求めています。
Q4. 数字が実感と合わない場合は?
A. 賞与込みの年収ベースで考えていた、月給に各種手当が含まれていた、過去6ヶ月の月給が変動していた、などのケースでは実際の支給額と差が出ます。正確な金額は会社の人事担当・ハローワーク・社労士にご確認ください。計算結果について報告からもフィードバックを受け付けています。
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