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「家に3万円」は甘えか、合理か——実家暮らし28歳・年収380万円が年132万円貯めた家計簿と、一人暮らしとの差額69.6万円の検算【ケーススタディ】

実家暮らしの28歳会社員が、家に月3万円を入れながら年132万円を貯蓄した家計の全内訳を公開。同じ収入で一人暮らしをした場合との差額は年69.6万円。手取り301万円の検算から、貯蓄配分、5年で685万円に到達する計画、実家を出るタイミングの判定チェックリストまで、ケーススタディ形式で検証する。

「家に3万円しか入れてないのは、正直ちょっとうしろめたいんですよね。でも、いま出ていったら貯金のペースが半分になるのも計算で分かってるんです」

宮下さん(仮名・28歳)は、さいたま市内の実家から都内のメーカーに通う営業事務職。新卒から6年間実家暮らしを続け、貯蓄は約520万円に達した。直近1年の貯蓄額は132万円——手取りの4割超だ。

「実家暮らし=甘え」という声と「最強の節約」という声。どちらも聞き飽きたという宮下さんの家計簿を借りて、実家暮らしの経済効果を数字で検算してみた。

宮下さんのプロフィール

項目内容
年齢・職業28歳・メーカー営業事務(正社員6年目)
年収380万円(月給25万円 × 12ヶ月 + 賞与80万円)
住まいさいたま市の実家(両親と3人暮らし)・都内へ電車通勤
家に入れる額月3万円
貯蓄残高約520万円(うちNISA約110万円)

まず手取りを検算する

年収380万円の手取りを、令和8年分の税制で計算する。

```
給与所得控除: 380万 × 20% + 44万 = 120万円
社会保険料: 380万 × 15% = 約57万円
所得税: (260万 − 57万 − 基礎控除88万) × 5% × 1.021 ≒ 5.9万円
住民税: (260万 − 57万 − 基礎控除43万) × 10% − 調整控除 + 均等割 ≒ 16.4万円
手取り: 380万 − 57万 − 5.9万 − 16.4万 ≒ 301万円
```

手取りは年約301万円(手取り率79.2%)。月給分が約20万円 × 12ヶ月、賞与80万円の手取りが約61万円という配分だ。自分の条件での正確な金額は手取り計算シミュレーターで計算できる。

実家暮らしの月間支出:12.5万円

費目月額
家に入れる(食費・光熱費・住居費込み)30,000円
昼食・外食25,000円
交際費20,000円
被服・美容15,000円
趣味・娯楽15,000円
その他(医療・雑費)10,000円
交通(定期券外の移動)5,000円
通信(格安SIM)3,000円
サブスク2,000円
合計125,000円

月の手取り約20万円に対して支出12.5万円。残り7.5万円のうち7万円を貯蓄に回し、賞与手取り61万円からは48万円を貯蓄。年間の貯蓄額はこうなる。

```
月7万円 × 12ヶ月 + 賞与から48万円 = 年間132万円
```

総務省「家計調査」(2024年・単身世帯)では単身勤労者世帯の消費支出は月18万円前後であり、宮下さんの12.5万円という支出水準が実家暮らしの構造そのものに支えられていることが分かる。

同じ収入で一人暮らしをしたら:18.3万円

では宮下さんが実家を出たらどうなるか。勤務先へのアクセスを保ったまま、さいたま市内のワンルーム(家賃6.3万円)で試算した。

費目実家一人暮らし
住居費(家賃 / 家に入れる額)30,000円63,000円+33,000円
食費(自炊+外食)25,000円38,000円+13,000円
水道光熱費0円11,000円+11,000円
日用品0円6,000円+6,000円
通信・サブスク5,000円5,000円±0円
交際費・被服・趣味・その他65,000円65,000円±0円
合計125,000円183,000円+58,000円

差額は月5.8万円、年間69.6万円。一人暮らしに移ると、年間貯蓄は132万円から約62万円へとほぼ半減する。宮下さんの「貯金のペースが半分になる」という感覚は、計算とぴったり一致していた。

なお家賃6.3万円は手取り月収の約31%にあたり、一般に目安とされる「手取りの3割」の上限に近い。適正ラインは家賃いくらまで払えるかシミュレーターで確認できる。

さらに、引っ越しの瞬間には一時費用もかかる。敷金・礼金・仲介手数料・前家賃・保証会社・火災保険・鍵交換で約32万円、引っ越し代と家具家電で約24万円——合計約56万円が初月に消える。内訳は賃貸の初期費用シミュレーター引っ越し費用シミュレーターで試算したものだ。

差額をどこに置くか:宮下さんの貯蓄配分

年132万円は、次の3つに分けて積んでいる。

  • 現金(定期・普通預金): 月4万円 × 12 + 賞与48万円 = 年96万円。生活防衛資金と、将来の引っ越し・結婚資金
  • NISA(つみたて投資枠): 月3万円 = 年36万円。全世界株インデックスに自動積立
  • 使い切る分: 賞与手取りの残り約13万円は旅行と買い物に充てる。「ここを削ると続かない」

このペースを5年続けた場合の到達点を計算する。

```
現金: 96万円 × 5年 = 480万円
NISA: 月3万円 × 60ヶ月を年率5%で運用 ≒ 205万円(元本180万円)
5年間の積み上げ合計: 約685万円
```

現在の残高520万円と合わせれば、33歳時点で1,200万円が視野に入る。運用条件を変えた試算は新NISAシミュレーターで、目標額から逆算した毎月の必要額は貯蓄目標シミュレーターでできる。

「甘え」批判にどう答えるか

宮下さんが3万円という金額を決めたのは、両親と食卓で話し合った結果だ。家計調査ベースで大人1人分の食費・水道光熱費の増分はおおむね月3〜4万円。つまり3万円は「実費相当」であり、両親に負担を付け替えているわけではない。

一方で、住居費(家賃相当分)は明確に親の持ち家に「タダ乗り」している。ここが実家暮らしの経済効果の正体で、宮下さんの場合は年間69.6万円。この金額を浪費に回すか、資産形成に回すかが、「甘え」と「合理」の分かれ目だと本人は整理している。

「同期で一人暮らしの子と飲むと、家賃の話になるたびに肩身が狭い。でも、その分を毎月ちゃんと積んでいる限りは、堂々としていようと決めました」

実家を出るタイミングの判定チェックリスト

宮下さんは「30歳まで」と期限を切っている。実家暮らしを続けるか迷っている人は、次の項目で判定してほしい。

  • [ ] 生活防衛資金(生活費6ヶ月分=一人暮らし換算で約110万円)を確保できているか
  • [ ] 引っ越しの一時費用 約56万円を貯蓄とは別に用意できるか
  • [ ] 家に入れる額が「実費相当(月3〜4万円)」を下回っていないか
  • [ ] 浮いた差額のうち半分以上を貯蓄・投資に回せているか
  • [ ] 家事(料理・洗濯・掃除)を自分で完結できるか
  • [ ] 通勤時間の短縮や独立の価値が、年70万円前後のコストに見合うか

4つ以上にチェックが付くなら、経済面の準備はほぼ整っている。あとは金額では測れない「独立の価値」の問題だ。

よくある質問

Q. この記事の数字の前提データはどこから?

税・社会保険の計算は令和8年分の所得税基礎控除・給与所得控除と社会保険料率15%による概算。単身世帯の支出水準は総務省「家計調査」(2024年)を参照した。家賃・初期費用・一人暮らしの費目は当サイトのシミュレーターの標準設定に基づく想定値で、個人の家計簿は本人の同意を得た仮名のモデルケースとして再構成している。

Q. 家に入れる金額はいくらが妥当?

食費と水道光熱費の実費増分にあたる月3〜4万円が一つの基準になる。それより少ないなら親が差額を負担している状態、多いなら住居費の一部も払っている状態と整理できる。金額そのものより「何の対価か」を家族で言語化しておくことが、後々のもめごとを防ぐ。

Q. 一人暮らしの経験がないまま30代になるのはまずい?

家事能力と金銭管理が身についているかが本質で、住まいの形態自体に優劣はない。ただし転勤・結婚などで強制的に独立するタイミングは選べないため、初期費用56万円と家計の変化額(このケースで月5.8万円)をいつでも払える状態を作っておくことが実質的な備えになる。

Q. 数字が実感と合わない場合は?

家に入れる額・家賃相場・食費は地域と家庭の方針で大きく変わる。特に都心部では家賃差だけで月3〜5万円広がるため、差額は年100万円を超えることもある。自分の条件で再計算して合わない点があれば、お問い合わせから条件を添えて質問してほしい。

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実家暮らしの経済効果は、このケースで年69.6万円だった。問題はその差額が毎年どこに消えているか——あなたの家計簿では、答えられるだろうか。

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