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FIREに必要な資産が貯まった後、辞める前に計算すべき4つの数字|年齢・退職月・取り崩し方・退職金の税金

「年間支出×25倍」が貯まった日に、その足で退職届を出していいわけではない。何歳で辞めるか、何月に辞めるか、資産をどう取り崩すか、退職金にいくら税金がかかるか——FIREの「実行フェーズ」で必要な4つの意思決定を、早期退職年齢・退職タイミング・取り崩し・退職金の4つのシミュレーターで計算する完全ガイド。

「FIREに7,500万円貯まったら、その日に退職届を出せばいいのか?」

答えはノーだ。年間支出の25倍という必要資産額は「いつ辞めても理論上は暮らせる」ラインを示しているにすぎない。実際にいつ・どう辞めるかで、手取りは数十万〜百万円単位で変わる。必要資産の計算式そのものはFIREに必要な資産は年間支出の25倍で詳しく扱っているので、この記事では一歩先——資産ができた後に必要な「実行フェーズ」の4つの意思決定を扱う。

FIREの2つのフェーズと、この記事の位置づけ

フェーズ問い使うシミュレーター
① 蓄積フェーズいくら貯めれば辞められるかFIREシミュレーター
② 実行フェーズ・決断①年齢何歳で辞めるのが最適か早期退職 最適年齢シミュレーター
② 実行フェーズ・決断②月何月に辞めるのが得か退職タイミング最適化シミュレーター
② 実行フェーズ・決断③取り崩し資産をどう崩すか定年後の取り崩しシミュレーター
② 実行フェーズ・決断④税金退職金にいくら税金がかかるか退職金 手取り計算

①はすでに他記事で詳しいので、ここからは②の4つの決断を順に見ていく。

決断①:何歳で辞めるか——「貯まった年齢」が最適とは限らない

45歳で必要資産に到達したとしても、そのまま辞めるのが最適とは限らない。運用を1〜2年続けるだけで資産の複利効果が積み上がり、90歳時点の余裕額が大きく変わるケースがあるからだ。早期退職 最適年齢シミュレーターは、45〜65歳の各年齢で退職した場合に90歳まで資産が尽きないかを試算し、最も早く「生活費を賄える」年齢を提示する。

計算には次の前提が使われている。

  • 運用利回り: 初期値4%(全世界株式インデックスの長期平均から手数料・インフレを差し引いた実質目安)
  • インフレ率: 初期値1%(日銀の物価目標2%より保守的に設定)
  • 年金: 厚生労働省「令和5年度厚生年金・国民年金の財政状況」を参考

注意点が1つある。このシミュレーターは退職後の労働収入を含まない設計なので、セミリタイア(週2〜3日就労など)を想定する場合は、生活費から副業収入を差し引いた「純粋な取り崩し額」を入力する。たとえば生活費25万円・副業収入8万円なら「17万円」で計算すると実態に近くなる。

決断②:何月に辞めるか——同じ年内でも数十万円変わる

「辞める年齢」が決まったら、次は「辞める月」だ。退職タイミング最適化シミュレーターで考慮される要素は主に3つ。

  1. ボーナスの在籍条件——多くの会社は「支給日に在籍していること」が条件になる。支給日の前に退職すると、対象月まで勤務していてもボーナスを受け取れない
  2. 社会保険の切り替え損——月末退職なら在籍扱いのまま翌月から国保・任意継続に切り替わるが、月中退職だと退職月と翌月の両方で保険料が発生し、損になりやすい
  3. 失業給付の条件——自己都合退職は7日間の待機期間に加えて2ヶ月の給付制限がある。所定給付日数の目安は勤続10年未満で90日、10〜20年で120日、20年以上で150日(会社都合はより長い)

FIREは基本的に自己都合退職なので、給付制限2ヶ月を織り込んだ上で「冬のボーナス支給日の翌日以降・月末退職」が候補になりやすい。ただし有給消化を先に済ませて実質的な最終出勤日を早めれば、退職手続き上の月をずらしつつ収入は満額確保できる。自分の条件でどの月がいくら得かは、実際にシミュレーターへ数値を入れて比較するのが早い。

決断③:資産をどう取り崩すか——定額と定率で「枯渇年齢」が変わる

FIRE後の資産の減らし方には大きく2通りある。

  • 定額取り崩し: 毎年同じ金額を引き出す。生活費が安定する一方、暴落時にも同額を崩すため資産の減りが加速するリスクがある
  • 定率取り崩し: 残高の一定割合(例: 年4%)を引き出す。資産が減れば取り崩し額も減るため枯渇しにくいが、年によって受け取れる生活費が変動する

「4%ルール」自体、1998年の米トリニティ・スタディ(1926〜1995年の米国市場データ)に基づく定率取り崩しの考え方だ。ただし、FIRE直後に大きな暴落が来ると資産が大きく毀損する「シーケンス・リスク」がある。たとえば7,500万円でFIREした直後にリーマンショック級の40%下落が来れば資産は4,500万円まで落ち込み、回復に5〜10年かかることもある。定年後の取り崩しシミュレーターでは、定額・定率それぞれの戦略で資産が何歳まで持つかを試算できる。

決断④:退職金の税金——「早期退職の割増金」にも控除は効く

会社員がFIREする場合、退職金(早期退職優遇制度の割増金を含む)には退職所得控除という大きな優遇がある。計算式はこうだ。

```
退職所得控除額 = 勤続20年以下: 40万円×勤続年数(下限80万円)
勤続20年超 : 800万円 + 70万円×(勤続年数-20年)
退職所得 = (退職金 − 退職所得控除)× 1/2(分離課税)
```

たとえば勤続15年・退職金1,500万円のケースで計算してみる。

  • 退職所得控除: 40万円×15年 = 600万円
  • 退職所得: (1,500万円-600万円)×1/2 = 450万円
  • 所得税: 450万円×20%-42.75万円 = 47.25万円(復興特別所得税込みで約48.2万円)
  • 住民税: 450万円×10% = 45万円
  • 税負担合計: 約93.2万円、手取りは約1,406.8万円(実効税率約6.2%)

給与所得として同額を受け取った場合よりはるかに税負担が軽い。ただし2点、見落としがちな注意点がある。

  • iDeCoの一時金と受取順序を合わせる場合は控除額が調整される。退職金を先に受け取ると19年内のiDeCo一時金と重複調整、iDeCo一時金を先に受け取ると9年内の退職金と重複調整される(令和7年度税制改正で従来の「4年内」から延長され、2026年1月以後の受取から適用)
  • 早期退職優遇の割増部分も同じ退職所得として扱われるため、通常の退職金と合算して控除額を計算する

自分の勤続年数・退職金額での正確な手取りは退職金 手取り計算シミュレーターで試算できる。実際に52歳・割増込み3,100万円の希望退職オファーを検算した例は「割増2年分・3,100万円」の希望退職に52歳が手を挙げなかった理由で扱っている。

サイドFIREなら、実行フェーズの計算も軽くなる

完全リタイアではなく、月10万円程度の副業・パート収入を残す「サイドFIRE」を選ぶと、必要資産だけでなく実行フェーズの各決断も楽になる。取り崩し額が減るぶん枯渇リスクが下がり、退職月の失業給付の重要性も相対的に下がる。老後資金全体の積み立て方法としては新NISA運用シミュレーターiDeCoシミュレーターを蓄積フェーズで併用している人が多い。

よくある質問

Q. この記事の数字の根拠は?
A. 4%ルールは米トリニティ・スタディ、退職所得控除の計算式は国税庁「退職所得の源泉徴収票・退職所得控除額の計算式」(所得税法第30条)、失業給付の日数は雇用保険制度、年金の目安は厚生労働省「令和5年度厚生年金・国民年金の財政状況」に基づく。

Q. 定年後の「老後2,000万円問題」の記事と何が違う?
A. 老後のお金完全ガイドは65歳前後の定年退職を前提にした資金計画を扱っている。この記事は30〜50代で早期にリタイアする場合の「実行時の意思決定」に絞っている点が異なる。

Q. 数字が自分のケースと合わない場合は?
A. 運用利回り・インフレ率・退職金額・勤続年数は個人差が大きい。各シミュレーターで自分の条件に置き換えて再計算してほしい。それでも違和感が残る場合はお問い合わせページから連絡してほしい。

Q. 会社を辞める前に最低限やることは?
A. 上記4つの決断に加えて、健康保険の切り替え(任意継続か国民健康保険か)と、退職後しばらくの生活防衛資金(生活費6ヶ月〜1年分の現金)の確保を済ませておくと、資産の取り崩し開始を市場の悪いタイミングにぶつけずに済む。

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