定年後の取り崩しシミュレーター
退職後は「毎月いくら足りず、資産が何歳まで持つか」が老後設計の核心です。総務省「家計調査」2025年では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯は税・社会保険料込みで月296,829円を支出し、公的年金は月227,750円。差し引き月約7万円を貯蓄から取り崩している計算です。初期値(資産2,000万円のうち介護予備費500万円を別枠、年2%運用、物価1%・年金0.6%上昇)では、資産は82歳で尽き、95歳まで持たせるには退職時に約3,049万円が必要です。生活費・年金・退職年齢を自分の数字に変えると、生活費の不足分を毎月取り崩す方法と、残高の一定割合(年4%)を取り崩す定率方式の資産推移を比較できます。あわせて年金受給額シミュレーター・年金の繰上げ・繰下げ比較・老後資金の必要額・FIREナンバーで年金額や必要資産の見通しも確認すると、より精度の高い老後設計が可能です。
取り崩し条件を設定
初期値は総務省「家計調査」2025年の65歳以上の夫婦のみの無職世帯(支出合計296,829円・公的年金227,750円)。単身なら生活費16万円・年金15万円前後が平均です。年金を繰下げる場合は増額後の額(65歳時の額×1.42=70歳開始など)を入力してください。
計算結果
資産が尽きる年齢(生活費の不足分を毎月取り崩した場合)
82歳
退職から17年9ヶ月で取り崩し可能資産1500万円がゼロに(介護予備費500万円は別枠で残ります)
年金受給後の月次収支
-70,000円
年金23万円 − 生活費30万円
95歳まで持たせるのに必要な資産
3049万円
あと1049万円不足(介護予備費込み)
取り崩し額の計算
取り崩し可能資産: 2000万円 − 介護予備費500万円 = 1500万円
年金受給後の不足: 生活費300,000円 − 年金230,000円 = 月70,000円(年84万円)
生活費は毎年1%、年金は毎年0.6%ずつ増える前提のため、不足額は年を追うごとに少しずつ広がります。
各年齢時点の残資産(不足分取り崩し・年初時点)
| 年齢 | 残資産 | 状態 |
|---|---|---|
| 75歳 | 802.1万円 | 残あり |
| 80歳 | 312.0万円 | 残あり |
| 85歳 | 0円 | 枯渇(予備費のみ) |
| 90歳 | 0円 | 枯渇(予備費のみ) |
| 95歳 | 0円 | 枯渇(予備費のみ) |
| 100歳 | 0円 | 枯渇(予備費のみ) |
取り崩し戦略の比較
| 項目 | 不足分取り崩し | 定率取り崩し(年4%) |
|---|---|---|
| 65歳の月額取り崩し | 70,000円 | 50,000円 |
| 90歳の生活費に対する過不足 | 資産枯渇・月117,628円不足 | -87,785円/月 |
| 資産が尽きる年齢 | 82歳 | 尽きない(取り崩し額が減る) |
| 特徴 | 生活水準を保てて計画しやすい | 残高に比例するので資産はゼロにならない |
| リスク | 長生きや暴落で資産が尽きる | 晩年ほど使える額が減り生活費が足りなくなる |
定率取り崩しで使える月額(年金+取り崩し)
| 年齢 | 取り崩し | 使える額 | 生活費 | 過不足 |
|---|---|---|---|---|
| 65歳 | 50,000円 | 280,000円 | 300,000円 | -20,000円 |
| 75歳 | 40,674円 | 284,853円 | 331,387円 | -46,534円 |
| 85歳 | 33,087円 | 292,319円 | 366,057円 | -73,738円 |
| 90歳 | 29,842円 | 296,945円 | 384,730円 | -87,785円 |
金額は物価上昇を織り込んだ名目額です。
資産推移チャート(年初残高・介護予備費を除く)
年次推移(5年刻み・年初残高)
| 年齢 | 不足分取り崩し残高 | 定率残高 | 年間生活費 | 年間年金 |
|---|---|---|---|---|
| 65歳 | 1500万円 | 1500万円 | 360万円 | 276万円 |
| 70歳 | 1193.9万円 | 1352.9万円 | 378.4万円 | 284.4万円 |
| 75歳 | 802.1万円 | 1220.2万円 | 397.7万円 | 293.0万円 |
| 80歳 | 312.0万円 | 1100.6万円 | 417.9万円 | 301.9万円 |
| 85歳 | 0円 | 992.6万円 | 439.3万円 | 311.1万円 |
| 90歳 | 0円 | 895.3万円 | 461.7万円 | 320.5万円 |
| 95歳 | 0円 | 807.5万円 | 485.2万円 | 330.3万円 |
| 100歳 | 0円 | 728.3万円 | 510.0万円 | 340.3万円 |
| 105歳 | 0円 | 656.9万円 | 536.0万円 | 350.6万円 |
計算の前提条件・出典
| 退職時の金融資産 | 2000万円 |
| 介護費用予備費(別枠) | 500万円(生命保険文化センター2024年度調査の平均≒542万円) |
| 取り崩し可能資産 | 1500万円 |
| 毎月の生活費 | 300,000円(初期値30万円=家計調査2025年 夫婦高齢者無職世帯の消費支出263,979円+税・社会保険料32,850円) |
| 年金月額 | 230,000円(65歳から。初期値23万円=同世帯の公的年金給付227,750円) |
| 運用利回り | 2%/年(月利=(1+年率)^(1/12)−1 で毎月複利) |
| 生活費のインフレ率 / 年金の改定率 | 1%/年 ・ 0.6%/年(退職時点から毎年改定) |
| 不足分取り崩し | 毎月初に(生活費−年金)を取り崩し、残りを1ヶ月運用。年金が上回る月の差額は資産に加算 |
| 定率取り崩し | 毎年、年初残高×4%を12等分して毎月取り崩し。生活費は年金+取り崩し額の範囲に合わせる想定 |
税金は生活費に含めて扱い、運用益への課税(NISA外の20.315%)・医療費の増加・住宅修繕などの一時支出・市場の変動は織り込んでいません。
👴 老後資金の全体像を通して設計
取り崩し計画は「必要額」「年金」「準備方法」とセットで考えると精度が上がります。あわせて確認しましょう。
よくある質問
この計算の前提データはどこから?
生活費の初期値30万円は総務省「家計調査 家計収支編 2025年平均」第5表の65歳以上の夫婦のみの無職世帯の支出合計296,829円(消費支出263,979円+税・社会保険料32,850円)、年金の初期値23万円は同世帯の公的年金給付227,750円です(参考: 厚生労働省「令和8年度の年金額改定」の標準的な夫婦の年金額は月237,279円)。単身の場合は、65歳以上の単身無職世帯の支出合計が161,435円(消費支出148,445円+非消費支出12,990円)、厚生年金(第1号・基礎年金込み)の平均年金月額が150,289円(厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」)なので、生活費16万円・年金15万円が目安です。介護費用予備費500万円は生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」の平均(一時費用47.2万円+月9.0万円×55.0ヶ月≒542万円)を参考にしています。
初期値だと何歳で資産が尽きる?
資産2,000万円のうち介護予備費500万円を除いた1,500万円で、年金で足りない月7万円(年84万円)を取り崩すと、年2%で運用しても82歳(退職から17年9ヶ月)で尽きます。生活費は年1%、年金は年0.6%ずつ増える前提なので、不足額は年々広がるためです。95歳まで持たせるには退職時に約3,049万円(介護予備費込み。あと約1,049万円)が必要で、運用利回りを3%にすると84歳・約2,710万円、0%(預金のみ)だと80歳・約3,981万円になります。
「不足分取り崩し」と「定率取り崩し」の違いは?
不足分取り崩しは毎月「生活費−年金」を取り崩す方法で、生活水準を保てる反面、長生きすると資産が尽きます。定率取り崩しは毎年「年初の残高×一定率(初期値4%)」を取り崩す方法で、残高に比例するので資産はゼロになりませんが、使える額が年々減ります。初期値では65歳時点の取り崩しは月5万円(年金と合わせて28万円・生活費に対し月2万円不足)ですが、90歳では月約3.0万円に減り、物価上昇後の生活費に対して月約8.8万円足りなくなります。米国の「4%ルール」(トリニティ・スタディ)は、初年度に資産の4%を取り崩し以後は物価に合わせて増額する方法で、本シミュレーターの定率方式とは別物です。
年金の改定率をインフレ率より低くしているのはなぜ?
公的年金は物価や賃金に合わせて毎年改定されますが、マクロ経済スライドにより改定率が差し引かれます。令和8年度は物価変動率3.2%に対し、賃金変動率2.1%からスライド調整を引いた改定率は基礎年金1.9%・厚生年金2.0%でした(厚生労働省)。令和6・7年度のスライド調整は▲0.4%だったため、初期値はインフレ率1%から0.4%を引いた0.6%にしています。改定率をインフレ率と同じ1%にすると、枯渇年齢は84歳、95歳までの必要資産は約2,673万円と楽観的な結果になります。
退職が年金受給より早い場合はどうなる?
年金を受け取るまでの期間は生活費の全額を資産から取り崩すため、資産の減り方が一気に速くなります。初期値のまま退職年齢を60歳にすると、65歳までの5年間で生活費約1,840万円が必要になり、取り崩し可能資産1,500万円は64歳で尽きます。60〜64歳に再雇用やパートで収入がある場合は、その分を差し引いた額を「毎月の生活費」に入れると近い結果になります。
運用しながら取り崩すとはどういうこと?
退職後も資産を全額現金にせず、債券やバランス型の投資信託などで運用を続けながら必要な分だけ取り崩す方法です。利回りがあれば資産寿命は延びます(初期値で0%→80歳、2%→82歳、4%→86歳)が、元本割れのリスクがあり、特に取り崩し初期の暴落は資産寿命を大きく縮めます(収益の順序リスク)。本シミュレーターは毎年一定の利回りが続く前提なので、生活費の2〜3年分を現金で持つなど下落時の備えも別途考えてください。
数字が実感と合わない場合は?
家計調査の平均は持ち家率95%の世帯の値で、賃貸の方は住居費(平均月17,739円)に家賃分の月5万円前後が上乗せになります。また本シミュレーターは一定の利回り・インフレ率が続く理想的なモデルで、運用益への課税、医療費の増加、住宅修繕などの一時支出、相場変動は含みません。ご自身の年金額は「ねんきん定期便」やねんきんネットで確認し、生活費は家計簿の実額を入れてください。計算結果に疑問がある場合は、下のシェアボタン横の報告リンクからお知らせください。
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