ペアローン・連帯債務・単独ローンを35年比較|事務手数料110万円差と控除のしくみを試算
借入5,000万円のシミュレーション。ペアローンは控除を夫婦で受けられる一方、事務手数料は2本分で約110万円割高。連帯債務・単独ローンとの団信加入・離婚時リスクも含めて控除額・諸費用を数字で比較します。
夫婦で住宅ローンを組む3つの方法
共働き世帯が増え、夫婦で住宅ローンを組むケースが一般的になりました。選択肢は大きく3つあります。
| 方式 | ローン本数 | 控除 | 事務手数料 | 団信 |
|---|---|---|---|---|
| ペアローン | 2本 | 2人分 | 2本分 | 各自 |
| 連帯債務 | 1本 | 2人分(持分按分) | 1本分 | 主債務者のみ※ |
| 単独ローン(収入合算) | 1本 | 1人分 | 1本分 | 主債務者のみ |
※連帯債務はペア団信オプション(金利+0.18%程度)で夫婦両方をカバー可能
住宅ローン控除の差がポイント
住宅ローン控除は年末残高の0.7%を所得税・住民税から控除できる制度です。控除期間は新築で13年間、年間上限は35万円(一般住宅)。
借入5,000万円・夫600万円妻400万円の場合(シミュレーター実行値)
ペアローン比較シミュレーターの標準条件(借入5,000万円・金利0.5%・35年・持分は夫6:妻4・ペア団信+0.18%)で13年間の控除合計を計算すると、次のようになります。
| ペアローン | 連帯債務 | 単独ローン | |
|---|---|---|---|
| 夫の控除(13年) | 約222万円 | 約223万円 | 約345万円 |
| 妻の控除(13年) | 約147万円 | 約147万円 | なし |
| 控除合計 | 約368万円 | 約370万円 | 約345万円 |
単独ローンでは、5,000万円借りた1年目の控除枠は残高×0.7%=約34万円ありますが、夫(年収600万円)の所得税+住民税控除分の上限が年約27.8万円のため頭打ちになり、13年合計で夫婦分散より約23〜25万円少なくなります。ペアローン・連帯債務なら夫婦で分散することで控除枠を使い切りやすくなります。
年収別・控除を使い切れる残高の目安
住宅ローン控除は「所得税+住民税の一部(課税総所得の5%・上限97,500円)」の範囲内でしか受けられません。2025年改正後(令和7年分以降)の給与所得控除・基礎控除で概算すると、年収別の上限は次のとおりです。
| 年収 | 控除上限(年) | 使い切れる年末残高の目安 |
|---|---|---|
| 300万円 | 約6.9万円 | 約990万円 |
| 400万円 | 約12.8万円 | 約1,830万円 |
| 500万円 | 約21.3万円 | 約3,040万円 |
| 600万円 | 約27.8万円 | 約3,970万円 |
| 700万円 | 約37.4万円 | 約5,340万円 |
| 800万円 | 約52.4万円※ | 約7,490万円※ |
※年間上限35万円(新築一般住宅)・残高上限があるため実際はそこで頭打ちになります。夫婦それぞれの年収と借入シェアがこの目安に収まっていれば、控除を無駄なく使えます。
事務手数料の差
ネット銀行の事務手数料は一般的に借入額の2.2%(税込)です。
| ペアローン | 連帯債務・単独 | |
|---|---|---|
| 借入5,000万円 | 220万円(110万円×2本) | 110万円 |
| 差額 | 110万円安い |
ペアローンは2本分の手数料がかかるため、控除のメリットと手数料のデメリットを天秤にかける必要があります。
実質コストで比較すると(35年総額・シミュレーター実行値)
総返済額+事務手数料−住宅ローン控除の「実質コスト」で3方式を比較すると、標準ケース(借入5,000万円・金利0.5%・35年・夫600万円妻400万円)では次のようになります。
| ペアローン | 連帯債務(ペア団信込み) | 単独ローン | |
|---|---|---|---|
| 総返済額 | 約5,451万円 | 約5,620万円 | 約5,451万円 |
| 事務手数料 | 220万円 | 110万円 | 110万円 |
| 住宅ローン控除 | −約368万円 | −約370万円 | −約345万円 |
| 実質コスト | 約5,303万円 | 約5,360万円 | 約5,216万円 |
意外に思えますが、数字上の最安は単独ローンです。ペアローンは控除が約23万円多い一方で事務手数料が110万円多く、差し引き約87万円割高。連帯債務はペア団信の金利上乗せ(+0.18%)で総返済額が約169万円増えるため、単独より約144万円割高になります。
ただしこれは「夫1人で5,000万円を借りられる場合」の話です。年収600万円で5,000万円の単独借入は返済負担率が高く審査に通りにくいため、実際には借入可能額の面で夫婦分散が必要になるケースが多いこと、連帯債務の+144万円は夫婦双方の死亡・高度障害に備える保障のコストであることを踏まえて選びましょう。
団信(団体信用生命保険)の違い
| 方式 | 団信の適用範囲 | 万が一の場合 |
|---|---|---|
| ペアローン | 夫婦それぞれ | 亡くなった側のローンのみ免除 |
| 連帯債務(標準) | 主債務者のみ | 主債務者が亡くなった場合のみ免除 |
| 連帯債務(ペア団信) | 夫婦両方 | どちらが亡くなっても全額または半額免除 |
| 単独ローン | 主債務者のみ | 主債務者が亡くなった場合のみ免除 |
ペアローンの注意点は、片方が亡くなっても、もう一方のローンは残ること。残された側が返済を続ける必要があります。
どの方式を選ぶべきか
ペアローンがおすすめな人
- 夫婦ともに年収400万円以上で安定収入
- 借入額が大きく、控除を最大限に活かしたい
- 夫婦ともに長期的に働く予定
連帯債務がおすすめな人
- 事務手数料を抑えたい
- フラット35の利用を検討している
- ペア団信オプションで安心感も確保したい
単独ローンがおすすめな人
- 配偶者が専業主婦(主夫)またはパート
- 手続きをシンプルにしたい
- 将来的に配偶者の収入が不安定になる可能性がある
離婚リスクも考慮を
見落としがちなのが離婚時のリスクです。
- ペアローン: 2本のローンがあるため、物件の売却や名義変更が複雑
- 連帯債務: 連帯債務者から外れるには借り換えが必要
- 単独ローン: 比較的シンプルに対応可能
住宅ローンは最長35年の長期契約。ライフプランの変化も視野に入れて選びましょう。
あなたのケースをシミュレーション
借入額・夫婦の年収・持分割合を入力するだけで、3つの方式の住宅ローン控除額・事務手数料・実質コストを比較できます。金利や返済期間も調整可能です。
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よくある質問(FAQ)
この記事の控除額・手数料の前提データはどこから?
住宅ローン控除は国税庁「住宅借入金等特別控除」に準拠し、控除率0.7%・控除期間13年(新築・2024年以降入居の一般住宅は借入限度額3,000万円)で計算しています。控除の上限となる各人の税額は、2025年改正後(令和7年分以降)の給与所得控除・基礎控除(所得に応じ95万〜58万円)・社会保険料控除(年収の15%概算)で所得税を概算し、住民税からの控除分(課税総所得の5%・上限97,500円)を加えて推定しています。事務手数料は主要ネット銀行の定率型(借入額×2.2%税込)を基準にしています。団信の上乗せ金利(ペア団信+0.18%前後)は各行の公表値の目安です。
計算結果が実感と合わない場合は?
住宅ローン控除は各人の所得税・住民税の範囲内でしか受けられないため、年収が低いと控除枠を使い切れず、試算より少なくなります。また借入限度額(省エネ基準適合で最大4,000〜5,000万円など住宅性能で変動)、事務手数料の料率(定率2.2%/定額3〜5万円)、繰上返済の有無で総コストは大きく変わります。正確な金額は必ず金融機関の見積もりでご確認ください。
ペアローンと連帯債務、結局どちらがお得?
標準ケース(借入5,000万円・夫600万円妻400万円)の実質コストは、単独ローン約5,216万円<ペアローン約5,303万円<連帯債務(ペア団信込み)約5,360万円で、控除の差(20〜25万円)より事務手数料の差(110万円)とペア団信の金利上乗せ(総返済+169万円)のほうが大きいという結果になります。ただし単独で大きな額を借りられるかは審査次第で、連帯債務の上乗せ分は夫婦双方への保障のコストです。「借入可能額」「保障の厚さ」「実質コスト」のどれを優先するかで最適解が変わるため、シミュレーターでご自身の年収・借入額に合わせて確認してください。
片方がパート・専業主婦(主夫)でもペアローンにすべき?
いいえ。控除は各自の所得税・住民税の範囲内でしか受けられないため、収入が少ない側は控除を使い切れません。この場合は事務手数料が2本分かかるペアローンより、単独ローンや収入合算のほうがトータルで有利になりやすいです。
離婚した場合、ペアローンはどうなる?
2本のローンが残るため、物件の売却・名義変更・借り換えのいずれも手続きが複雑になります。売却額がローン残高を下回る「オーバーローン」だと売るに売れないケースもあります。長期の返済に入る前に、ライフプランの変化も見据えて方式を選びましょう。
関連シミュレーター
住宅購入の資金計画は、借入方式だけでなく返済額・金利・頭金・維持費まで通して確認するのがおすすめです。
- ペアローン vs 連帯債務 比較シミュレーター — 夫婦の借入方式で控除額・コストを比較
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