72の法則とは?資産が2倍になる年数が一瞬でわかる計算式を解説
72の法則を使えば、資産が2倍になるまでの年数が暗算で分かります。利回り別の倍増年数一覧、預金・債券・株式の具体例、115の法則・144の法則も解説。
72の法則:資産倍増の年数が一瞬で分かる
72の法則とは、資産が2倍になるまでの年数を簡単に求められる計算式です。
72 ÷ 年利(%)= 資産が2倍になる年数
- 72 ÷ 6 = 12年で2倍
- 72 ÷ 3 = 24年で2倍
- 72 ÷ 0.1 = 720年で2倍
この法則を知っているだけで、投資商品の「本当の威力」を直感的に判断できるようになります。金融機関の営業トークに惑わされず、冷静に判断する武器になるのです。
なぜ「72」なのか
72の法則は複利の計算を簡略化した近似式です。
正確な計算式は「ln(2) ÷ ln(1 + r)」ですが、これを暗算するのは不可能です。ln(2)は約0.693で、低い利率では ln(1 + r) ≒ r と近似できるため、0.693 ÷ r ≒ 69.3 ÷ r% となります。
- 72は2, 3, 4, 6, 8, 9, 12で割り切れるため、暗算しやすい
- 低〜中程度の利率(1%〜10%)で誤差が非常に小さい
- 利率が高い場合の近似誤差を多少補正する効果もある
利回り別の資産倍増年数一覧
| 年利 | 72の法則(概算) | 正確な計算 | 誤差 | 該当する投資例 |
|---|---|---|---|---|
| 0.02% | 3,600年 | 3,497年 | +2.9% | 普通預金 |
| 0.1% | 720年 | 693年 | +3.9% | 定期預金(メガバンク) |
| 0.5% | 144年 | 139年 | +3.6% | 定期預金(ネット銀行) |
| 1% | 72年 | 69.7年 | +3.3% | 個人向け国債 |
| 2% | 36年 | 35.0年 | +2.9% | 社債・債券ファンド |
| 3% | 24年 | 23.4年 | +2.5% | バランスファンド |
| 4% | 18年 | 17.7年 | +1.7% | GPIF型ポートフォリオ |
| 5% | 14.4年 | 14.2年 | +1.4% | 全世界株式 |
| 6% | 12年 | 11.9年 | +0.8% | 米国株式(S&P500) |
| 7% | 10.3年 | 10.2年 | +0.5% | 米国株式(長期平均) |
| 8% | 9年 | 9.0年 | +0.0% | 高成長株式ファンド |
| 10% | 7.2年 | 7.3年 | −1.0% | レバレッジ型・個別株 |
| 12% | 6年 | 6.1年 | −1.7% | ハイリスク投資 |
利率1%〜10%の範囲では誤差が±3%以内に収まっており、実用上まったく問題ありません。
具体的なシナリオで考える
シナリオ1:銀行預金に預けっぱなし
メガバンクの定期預金金利は約0.1%です。
- 100万円が200万円になるまで:約720年
- 500万円が1,000万円になるまで:約720年
実質的に「お金は増えない」と同義です。さらにインフレ率(年2%目標)を考えると、預金の実質価値は毎年約2%ずつ目減りしています。
| 経過年 | 預金残高(名目) | 実質価値(インフレ2%) |
|---|---|---|
| 現在 | 1,000万円 | 1,000万円 |
| 10年後 | 1,010万円 | 約828万円 |
| 20年後 | 1,020万円 | 約686万円 |
| 30年後 | 1,030万円 | 約568万円 |
30年後には名目上は1,030万円でも、実質的な購買力は約568万円に減少します。
シナリオ2:全世界株式インデックスで運用
全世界株式の過去20年の平均利回りは約7%です。
- 72 ÷ 7 = 約10.3年で2倍
- 100万円 → 10年後に200万円 → 20年後に400万円 → 30年後に800万円
| 経過年 | 投資残高 | 倍率 |
|---|---|---|
| 0年 | 100万円 | 1倍 |
| 10年後 | 約200万円 | 2倍 |
| 20年後 | 約400万円 | 4倍 |
| 30年後 | 約800万円 | 8倍 |
| 40年後 | 約1,600万円 | 16倍 |
複利の力により、時間が経つほど加速度的に増えます。これが「複利は人類最大の発明」とアインシュタインが言った(とされる)理由です。
シナリオ3:新NISAで年利5%運用
新NISAのつみたて投資枠で毎月10万円を年利5%で運用する場合、元本が2倍になる目安は14.4年です。ただし、積立投資の場合は一括投資と異なり、後から積立てた分は運用期間が短いため、実際に「元本の2倍」に到達するのはもう少し先になります。
| 積立年数 | 元本 | 評価額 | 利益 |
|---|---|---|---|
| 5年 | 600万円 | 約680万円 | +80万円 |
| 10年 | 1,200万円 | 約1,553万円 | +353万円 |
| 15年 | 1,800万円 | 約2,672万円 | +872万円 |
| 20年 | 2,400万円(上限) | 約4,110万円 | +1,710万円 |
72の法則の応用:115の法則と144の法則
72の法則と同様に、3倍・4倍になる年数を求める法則もあります。
| 法則 | 計算式 | 用途 |
|---|---|---|
| 72の法則 | 72 ÷ 利率 | 2倍になる年数 |
| 115の法則 | 115 ÷ 利率 | 3倍になる年数 |
| 144の法則 | 144 ÷ 利率 | 4倍になる年数 |
利回り別の比較表
| 年利 | 2倍(72の法則) | 3倍(115の法則) | 4倍(144の法則) |
|---|---|---|---|
| 3% | 24年 | 38.3年 | 48年 |
| 5% | 14.4年 | 23年 | 28.8年 |
| 7% | 10.3年 | 16.4年 | 20.6年 |
| 10% | 7.2年 | 11.5年 | 14.4年 |
年利7%で運用すれば、100万円は約10年で200万円、約16年で300万円、約21年で400万円になる計算です。
72の法則を「借金」に使う
72の法則は資産が2倍になる年数だけでなく、借金が2倍になる年数も計算できます。
| 借入種類 | 金利 | 借金が2倍になる年数 |
|---|---|---|
| 住宅ローン(変動) | 0.5% | 144年 |
| 住宅ローン(固定) | 1.8% | 40年 |
| 自動車ローン | 3% | 24年 |
| カードローン | 15% | 4.8年 |
| リボ払い | 15〜18% | 4〜4.8年 |
| 消費者金融 | 18% | 4年 |
リボ払いの恐ろしさ: 金利18%の場合、72 ÷ 18 = 4年で借金が2倍になります。50万円のリボ払い残高は、返済しなければ4年後に100万円になるのです。
インフレの影響も72の法則で計算
物価上昇(インフレ)により、お金の価値がどれだけ目減りするかも計算できます。
| インフレ率 | お金の価値が半分になる年数 |
|---|---|
| 1% | 72年 |
| 2%(日銀目標) | 36年 |
| 3% | 24年 |
| 5% | 14.4年 |
インフレ率2%が続くと、36年後に1,000万円の価値は実質500万円に目減りします。現在30歳の人が66歳になる頃、貯金の価値は半減しているのです。だからこそ、インフレ率を上回る利回りで運用することが重要になります。インフレによる資産の目減りはインフレ資産目減りシミュレーターで年数別に確認できます。
よくある質問(FAQ)
Q. この記事の前提データはどこから?
利回り別テーブルの投資例は、普通預金・定期預金がメガバンク/ネット銀行の2026年時点の店頭金利、全世界株式5%がMSCI ACWIの過去20年実質リターン、S&P500の7%が過去30年の平均リターン、インフレ率2%は日本銀行の物価安定目標を参照しています。カードローン・リボ払いの金利は貸金業法の上限金利と主要カード会社の標準金利です。
Q. 数字が実感と合わない場合は?
72の法則は「利回りが毎年一定」という前提の近似式です。実際の株式投資はリターンが年ごとに大きく変動し、税金(20.315%)や信託報酬も差し引かれるため、額面どおりに2倍になるとは限りません。また積立投資では後から入れた資金の運用期間が短いため、一括投資より倍増が遅れます。72の法則シミュレーターでは正確な複利計算との誤差も表示されます。結果に疑問がある場合は「計算結果について報告」からお知らせください。
Q. 72の法則はどんな利率でも使える?
実用的なのは年利1〜12%程度の範囲です。この範囲では誤差±3%以内に収まりますが、20%を超える高利率では誤差が大きくなります(正確には69.3の法則に近づく)。また月利には使えません。月利1%なら年利換算で約12.7%として計算してください。
Q. 新NISAで運用すると倍増は早くなる?
利回り自体は変わりませんが、運用益にかかる税金20.315%が非課税になるため、課税口座より実質的な手取りの増え方が早くなります。課税口座で年利5%の場合、税引後の実効利回りは約4%相当となり倍増年数は14.4年→18年に延びます。非課税の効果は新NISAシミュレーターで確認できます。
Q. 「アインシュタインが複利を人類最大の発明と言った」は本当?
確実な出典は確認されておらず、後世の創作の可能性が高いとされています。ただし複利の効果自体は数学的な事実で、運用期間が2倍になるとリターンは2倍ではなく指数関数的に増えます。エピソードの真偽はともかく、早く始めるほど有利なのは間違いありません。
関連シミュレーター
複利と長期投資の計画に役立つシミュレーターをまとめました。
- 72の法則シミュレーター — 利回り別の倍増年数と正確な複利計算との誤差を表示
- 複利計算シミュレーター — 毎月の積立額と利回りから将来資産を計算
- 資産倍増期間シミュレーター — 投資先別に資産が2倍になる期間を詳細比較
- 新NISAシミュレーター — 非課税枠を活用した積立投資を試算
- S&P500積立シミュレーター — 過去実績ベースの積立シミュレーション
- インフレ資産目減りシミュレーター — 預金の実質価値がどう目減りするかを計算
あなたの投資利回りで倍増年数を計算しよう
72の法則シミュレーターで利回りと初期投資額を入力すると、72の法則に基づいて資産が2倍・3倍・4倍になる年数を瞬時に計算できます。預金との比較グラフも表示されるので、複利の効果を実感してみてください。