国保と会社の健康保険の違い|年収450万円で国保35.6万円・健保23.0万円【令和8年度】
年収450万円・40歳未満なら、令和8年度の世田谷区(特別区)の国民健康保険は年約35.6万円、協会けんぽ東京支部の健康保険(本人負担)は年約23.0万円で差は約12.6万円。国民年金・厚生年金を含めた負担、年収300/450/600万円×40歳未満/40歳以上の比較表、4人家族の差、退職後の任意継続との損益分岐まで一次データで計算します。
結論: 年収450万円・40歳未満の単身なら、国民健康保険(国保)は年約35.6万円、会社の健康保険(本人負担)は年約23.0万円。差は年約12.6万円です。 40歳以上になると介護分が加わって差は約17.3万円に広がり、扶養家族がいる世帯では差がさらに大きくなります。
一方、年金まで含めて「毎年出ていくお金」で比べると、結果は逆になります。国民年金(年21.5万円)は厚生年金の本人負担(年41.7万円)より安いからです。ただしその分、将来の年金額も少なくなります。この記事では令和8年度(2026年4月〜2027年3月)の料率を使い、保険料・扶養・給付の違いを数字で整理します。
2つの制度の基本的な違い
| 項目 | 会社の健康保険(社保) | 国民健康保険(国保) |
|---|---|---|
| 加入する人 | 会社員・公務員とその扶養家族 | 自営業・フリーランス・退職者・無職 |
| 運営 | 協会けんぽ・健保組合・共済組合 | 市区町村(+都道府県) |
| 保険料の決め方 | 標準報酬月額 × 料率(その年の給与) | 前年所得 × 所得割率 + 均等割 × 人数 |
| 事業主負担 | あり(原則半額) | なし(全額自己負担) |
| 扶養 | あり(扶養家族は保険料0円) | なし(家族1人ごとに均等割) |
| 傷病手当金・出産手当金 | あり | 原則なし |
窓口の自己負担(原則3割)と高額療養費制度は共通です。
令和8年度の料率(計算に使った数字)
協会けんぽ東京支部(2026年3月分〜。支援金は4月分〜)
| 項目 | 料率 | 本人負担 |
|---|---|---|
| 健康保険料率 | 9.85% | 4.925% |
| 介護保険料率(40〜64歳) | 1.62% | 0.81% |
| 子ども・子育て支援金率 | 0.23% | 0.115% |
| 厚生年金保険料率 | 18.3% | 9.15% |
世田谷区の国保(特別区共通の基準)
| 区分 | 所得割率 | 均等割(1人) | 賦課限度額 |
|---|---|---|---|
| 基礎(医療)分 | 7.51% | 47,600円 | 67万円 |
| 後期高齢者支援金分 | 2.80% | 17,600円 | 26万円 |
| 介護分(40〜64歳) | 2.43% | 17,800円 | 17万円 |
| 子ども・子育て支援金分 | 0.27% | 1,873円 | 3万円 |
子ども・子育て支援金分の均等割は、18歳に達した後の最初の3月31日までの子は全額軽減されます。1,873円は「均等割1,800円+18歳以上均等割73円」で、子どもの軽減分を18歳以上の加入者が負担する仕組みです。国民年金保険料は2026年度は月17,920円(年215,040円)です。
年収450万円・40歳未満の計算例
会社の健康保険
月給37.5万円(賞与なし)とすると、標準報酬月額は38万円です。
```
健康保険: 38万円 × (9.85% + 0.23%) ÷ 2 = 19,152円/月
年額: 19,152円 × 12ヶ月 = 229,824円(約23.0万円)
```
国民健康保険
国保は「前年の所得−43万円」が所得割の計算のもとになります。令和7年分の給与所得は、年収450万円 − 給与所得控除134万円(450万円×20%+44万円)= 316万円。そこから43万円を引いた273万円が賦課基準額です。
| 区分 | 所得割 | 均等割 | 小計 |
|---|---|---|---|
| 医療分 | 273万 × 7.51% = 205,023円 | 47,600円 | 252,623円 |
| 支援金分 | 273万 × 2.80% = 76,440円 | 17,600円 | 94,040円 |
| 子ども・子育て支援金分 | 273万 × 0.27% = 7,371円 | 1,873円 | 9,244円 |
| 合計 | 355,907円(月約29,700円) |
健康保険だけで比べると、国保のほうが年126,083円高いことになります。ほとんどは事業主負担がないことによる差です。自分の所得で国保を試算するなら国民健康保険料シミュレーター、会社員側は社会保険料シミュレーターで確認できます。
年収・年齢別の比較表(単身・年額)
| 年収 | 年齢 | 健保(本人) | 国保 | 差(国保−健保) | 厚生年金(本人) | 国民年金 | 年金込みの差 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 40歳未満 | 15.7万円 | 23.5万円 | +7.8万円 | 28.5万円 | 21.5万円 | +0.8万円 |
| 300万円 | 40歳以上 | 18.3万円 | 29.2万円 | +10.9万円 | 28.5万円 | 21.5万円 | +3.9万円 |
| 450万円 | 40歳未満 | 23.0万円 | 35.6万円 | +12.6万円 | 41.7万円 | 21.5万円 | −7.6万円 |
| 450万円 | 40歳以上 | 26.7万円 | 44.0万円 | +17.3万円 | 41.7万円 | 21.5万円 | −2.9万円 |
| 600万円 | 40歳未満 | 30.2万円 | 48.3万円 | +18.0万円 | 54.9万円 | 21.5万円 | −15.3万円 |
| 600万円 | 40歳以上 | 35.1万円 | 59.6万円 | +24.5万円 | 54.9万円 | 21.5万円 | −8.9万円 |
※標準報酬月額は300万円=26万円、450万円=38万円、600万円=50万円(月給=年収÷12)。国保は前年の給与所得(202万/316万/436万円)から計算。
この表から分かることは3つです。
- 健康保険だけなら、どの年収でも国保が高い。 年収が上がるほど、40歳以上になるほど差は広がります。
- 年金込みでは年収450万円あたりから国保側が安くなる。 国民年金は定額なので、収入が多いほど厚生年金との差が大きくなるためです。
- ただし「安い=得」ではない。 厚生年金は会社も同額を払い、老後の年金に上乗せされます。国民年金だけでは老齢基礎年金しか受け取れません。
家族がいると差が一気に広がる
国保には扶養がありません。年収450万円・40歳未満、配偶者(収入なし)と小学生の子2人の4人世帯で比べます。
| 項目 | 会社員 | 国保+国民年金 |
|---|---|---|
| 健康保険 | 229,824円(家族の追加0円) | 553,380円 |
| 年金 | 厚生年金 417,240円(配偶者は第3号で0円) | 国民年金 2人分 430,080円 |
| 合計 | 647,064円 | 983,460円 |
国保の場合は家族の人数分だけ医療分・支援金分の均等割がかかり、配偶者の国民年金も必要です。差は年約33.6万円で、単身のときとは逆に年金込みでも国保側が大きく上回ります。なお子ども・子育て支援金分の均等割は子どもについて全額軽減され、未就学児は医療分などの均等割も5割軽減されます。
給付の違い: 国保にない2つの手当
| 給付 | 会社の健康保険 | 国保 |
|---|---|---|
| 傷病手当金 | 連続3日の待期後、4日目から標準報酬日額の約2/3を通算1年6ヶ月 | 原則なし |
| 出産手当金 | 産前42日〜産後56日、標準報酬日額の約2/3 | なし |
| 出産育児一時金(50万円) | あり | あり |
| 付加給付 | 健保組合によってはあり | なし |
標準報酬月額38万円の人が3ヶ月働けなくなった場合、傷病手当金は約76万円です(38万円÷30×2/3×90日)。フリーランスはこの保障がないので、会社員vsフリーランス比較シミュレーターで手取りと保障の差をまとめて確認しておくと安心です。
退職後は「国保・任意継続・扶養」の3択
退職した翌年度までの国保は、会社員時代の給与所得で計算されます。会社の健康保険を最長2年続けられる任意継続は、保険料を全額自分で払う代わりに、令和8年度は標準報酬月額の上限が32万円で頭打ちになります。
| 前年の年収 | 年齢 | 国保 | 任意継続 | 安いほう |
|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 40歳未満 | 23.5万円 | 31.4万円 | 国保(−7.9万円) |
| 450万円 | 40歳未満 | 35.6万円 | 38.7万円 | 国保(−3.1万円) |
| 450万円 | 40歳以上 | 44.0万円 | 44.9万円 | ほぼ同じ |
| 600万円 | 40歳未満 | 48.3万円 | 38.7万円 | 任意継続(−9.6万円) |
| 600万円 | 40歳以上 | 59.6万円 | 44.9万円 | 任意継続(−14.7万円) |
| 450万円・4人家族 | 40歳未満 | 55.3万円 | 38.7万円 | 任意継続(−16.6万円) |
判断のポイントは次のとおりです。
- 年収130万円未満の見込みで家族の扶養に入れる → 保険料0円で最も安い
- 会社都合の退職(倒産・解雇・雇止めなど) → 国保の「非自発的失業者の軽減」で前年の給与所得が30/100として計算される。年収450万円なら国保は年約10.8万円まで下がる
- 扶養家族がいる・前年の年収がおおむね500万円以上 → 任意継続が有利になりやすい
- それ以外 → 国保のほうが安いことが多い
2年目は退職した年の所得で国保が再計算されるため、収入が減っていれば国保が大きく下がります。2年間の総額は任意継続vs国保シミュレーター、住民税や国民年金も含めた退職後の出費は退職後にかかるお金シミュレーターで計算できます。
フリーランスとして独立する場合は国保の負担が毎年続くので、税金も含めた手取りを個人事業主の税金シミュレーターで確認しておきましょう。
よくある質問
Q. この計算の前提データはどこから?
協会けんぽ「令和8年度都道府県単位保険料率」(東京支部の健康保険料率9.85%・介護保険料率1.62%・子ども・子育て支援金率0.23%)、同「令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限」(32万円)、世田谷区「国民健康保険料の計算方法」(令和8年度)、日本年金機構の国民年金保険料(2026年度月17,920円)、厚生年金保険料率18.3%を使っています。給与所得は令和7年分の給与所得控除で計算しました。
Q. 世田谷区以外に住んでいる場合は?
東京23区は特別区の共通基準で料率がほぼ同じです。それ以外の市町村は料率・均等割・平等割(世帯ごとの定額)が自治体ごとに違い、同じ所得でも年に数万円変わります。正確な金額はお住まいの自治体の試算ページで確認してください。
Q. 国保と社保で病院の窓口負担は変わる?
変わりません。どちらも原則3割で、高額療養費の自己負担上限も同じ計算式です。
Q. 国保の保険料は確定申告で控除できる?
全額が社会保険料控除の対象です。家族の分を世帯主が払った場合も、払った人の控除にできます。
Q. 数字が実感と合わない場合は?
主な理由は、(1)賞与があると標準報酬月額が下がり、賞与にも保険料がかかる、(2)健保組合は料率が協会けんぽと違う、(3)国保は前年の所得で決まるため収入が変わった年はずれる、(4)年度の途中で加入・脱退すると月割りになる、などです。それでも気になる点があれば、お問い合わせフォームからご連絡ください。
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出典: 全国健康保険協会「令和8年度都道府県単位保険料率」 / 全国健康保険協会「令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限」 / 世田谷区「国民健康保険料の計算方法」 / 日本年金機構「国民年金保険料」