フリーランス手取り早見表|売上400万=305万・700万=493万【2026年・令和8年分】
フリーランスの手取りは売上400万円で約305万円(会社員より-14万円)、700万円で約493万円(-39万円)。令和8年分の基礎控除104万円・国保・国民年金17,920円・個人事業税で計算した売上400万〜1,000万の内訳一覧と、青色申告65万控除・iDeCo・小規模企業共済など手取りを増やす節税5選。
同じ「年収」でもフリーランスの手取りは少なくなる
フリーランス(個人事業主)と会社員では、税金・社会保険料の計算方法がまったく違います。結論からいうと、売上(会社員なら額面年収)が同じなら、経費ゼロでもフリーランスの手取りは会社員より少なくなります。この記事では、令和8年度税制改正(基礎控除の引上げ)を反映した令和8年分(2026年1〜12月の所得)のルールで、売上別の手取りと、その差を埋める節税策を整理します。
数字はすべて正社員vsフリーランス手取り比較シミュレーターの計算値です(30歳独身・東京23区の国保・青色申告65万円控除・個人事業税5%、会社員はボーナス2ヶ月)。
売上別の手取り早見表(令和8年分)
| 売上(会社員の額面) | 会社員の手取り | フリーランス(経費0%) | フリーランス(経費率20%) |
|---|---|---|---|
| 400万円 | 約318.6万円 | 約304.6万円 | 約246.8万円 |
| 500万円 | 約392.7万円 | 約374.0万円 | 約304.6万円 |
| 600万円 | 約464.5万円 | 約433.6万円 | 約360.4万円 |
| 700万円 | 約531.6万円 | 約492.9万円 | 約414.8万円 |
| 800万円 | 約595.3万円 | 約551.1万円 | 約457.3万円 |
| 1,000万円 | 約718.2万円 | 約670.3万円 | 約551.1万円 |
経費率20%の列は「経費が売上の2割、すべて純粋な事業コスト(生活費とは別に出ていくお金)」の場合です。経費は手元から出ていくお金なので、経費を増やせば手取りが増えるわけではありません。経費ゼロ列との差は「経費として出ていった額−それで減った税金・保険料」です。
売上400万円の内訳
| 会社員 | フリーランス(経費0%) | |
|---|---|---|
| 社会保険料 | 約57.9万円 | 約58.5万円(国保37.0万+国民年金21.5万) |
| 所得税(復興税込み) | 約5.8万円 | 約8.5万円 |
| 住民税 | 約17.8万円 | 約23.1万円 |
| 個人事業税 | — | 約5.2万円 |
| 手取り | 約318.6万円 | 約304.6万円 |
| 差額 | 約-14万円 |
売上700万円の内訳
| 会社員 | フリーランス(経費0%) | |
|---|---|---|
| 社会保険料 | 約103.0万円 | 約88.8万円(国保67.3万+国民年金21.5万) |
| 所得税(復興税込み) | 約27.8万円 | 約50.2万円 |
| 住民税 | 約37.6万円 | 約48.6万円 |
| 個人事業税 | — | 約19.5万円 |
| 手取り | 約531.6万円 | 約492.9万円 |
| 差額 | 約-39万円 |
売上700万円では社会保険料そのものはフリーランスの方が安くなります。国民年金が定額(月17,920円)だからです。それでも手取りが少ないのは、所得税・住民税・個人事業税が大きく上回るためです。
なぜフリーランスの方が手取りが少ないのか
- 給与所得控除がない: 会社員は年収に応じた給与所得控除(年収400万円で124万円、700万円で180万円、上限195万円)が自動で引かれます。フリーランスが引けるのは実際の経費と青色申告特別控除65万円だけです。
- 基礎控除が下がりやすい: 令和8年分の所得税の基礎控除は、合計所得489万円以下なら104万円ですが、489万円超655万円以下は67万円、655万円超は62万円です。給与所得控除がない分フリーランスは「所得」が大きく出るため、同じ売上でも先に489万円のラインを超えます。売上700万円の場合、会社員の所得520万円に対しフリーランスは青色控除後でも約616万円です。
- 社会保険料に会社負担がない: 会社員の健康保険(協会けんぽ令和8年度9.90%)・厚生年金(18.3%)は会社と折半。国民健康保険は全額自己負担で、東京23区の令和8年度は(所得−43万円)×10.58%(40〜64歳は+2.43%)+均等割です。
- 個人事業税がかかる: 事業所得(青色控除前)から事業主控除290万円を引いた額に、多くの業種で5%。文筆業など法定業種に当たらない仕事は0%です。
- 将来の年金も少ない: 国民年金(満額で月70,608円・令和8年度)だけで、厚生年金の報酬比例部分がありません。
フリーランスが手取りを増やす5つの節税策
1. 青色申告(必須)
開業届と青色申告承認申請書を出し、複式簿記で記帳してe-Taxで申告すると65万円の特別控除が受けられます。白色申告との手取り差はシミュレーター計算で次のとおりです(経費0%)。
| 売上 | 青色65万円控除 | 白色 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 400万円 | 約304.6万円 | 約287.4万円 | 約17万円 |
| 700万円 | 約492.9万円 | 約467.3万円 | 約26万円 |
| 1,000万円 | 約670.3万円 | 約648.3万円 | 約22万円 |
令和8年度税制改正により、令和9年分(2027年)からは優良な電子帳簿保存などを満たすと最大75万円に引き上げられ、簡易簿記の10万円控除は前々年の売上が1,000万円を超えると0円になります。詳しくは青色申告の節税効果シミュレーターで確認できます。
2. 経費を正しく計上する
自宅の家賃・光熱費・通信費は家事按分で事業に使った割合を経費にできます。
- 家賃: 仕事スペースの面積割合(作業部屋の床面積÷全体)
- 通信費: 仕事で使う時間や回線の割合
- パソコン・書籍・ソフトウェア: 仕事専用なら全額(10万円以上は減価償却、青色なら30万円未満は一括経費の特例あり)
按分の根拠(間取り図・利用時間のメモなど)を残しておくことが大切です。
3. iDeCoに加入する
掛金が全額所得控除になります。フリーランスの上限は月68,000円(国民年金基金・付加保険料と合算)で、2026年12月分の掛金から月75,000円に引き上げられます。所得税10%・住民税10%の人が月6.8万円を拠出すると、年約16万円の節税です。
4. 小規模企業共済に加入する
フリーランスの「退職金制度」。掛金は月1,000〜70,000円で全額所得控除、廃業時にまとまったお金を受け取れます。iDeCoと合わせると年160万円以上を控除できます。
5. ふるさと納税を活用する
控除上限は所得や家族構成で決まります。フリーランスは所得が確定する年末に上限を計算しやすいのが利点です。上限額はふるさと納税シミュレーターで確認しましょう。
「年収が上がればフリーランスが有利」は本当か
「高年収になると国保の上限があるのでフリーランスが逆転する」という説明を見かけますが、令和8年分の制度で計算すると、売上300万〜2,000万円のどの帯でも、同じ売上・経費0%なら会社員の手取りが上回ります。国保の賦課限度額(令和8年度は医療67万・後期26万・介護17万・子ども子育て支援3万の計113万円)に達するのは所得が1,000万円前後になってからで、その頃には所得税の税率33%帯と個人事業税が効いてきます。
フリーランスが会社員の手取りを上回る条件は、次のいずれかです。
- 単価を上げる: 会社員の年収600万円と同じ手取りには、経費0%でも売上約653万円が必要です。
- 会社の総人件費を売上にする: 会社は年収600万円の社員のために社会保険料など約96万円を別に払っています。この総人件費約696万円をそのまま請求できれば、手取りは約491万円と会社員を上回ります。
- 法人化する: 所得が800万〜1,000万円を超えると、法人化で役員報酬と法人の利益に分けた方が有利になる場合があります。法人化シミュレーターで損益分岐を確認できます。
独立前に押さえる3つのお金の準備
- 開業届と青色申告承認申請書を出す: 青色申告の申請は、開業日から2ヶ月以内(1月15日までの開業ならその年の3月15日まで)が期限です。
- 1年目の国民健康保険料を試算する: 国保は前年の所得で決まるため、独立1年目は会社員時代の所得で計算され高く出ます。退職後の健康保険シミュレーターで任意継続と国保を比べましょう。
- 手取りから逆算した請求単価を決める: 欲しい手取りから必要な売上を逆算しないと、稼働しても手元にお金が残りません。フリーランス単価シミュレーターが役立ちます。
会社員のまま副業するという選択肢
独立のリスクを取りたくない場合は、会社員のまま副業する方法もあります。給与所得控除と会社負担の社会保険はそのまま使え、副業の所得が年20万円以下なら所得税の確定申告は不要です(住民税の申告は必要)。副業の税金は副業の税金シミュレーターで計算できます。
よくある質問
Q. この記事の手取り額の根拠(出典)はどこですか?
所得税は国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」の令和8年分の基礎控除(489万円以下104万円・655万円以下67万円・2,350万円以下62万円)と給与所得控除(最低保障74万円)、税率5〜45%に復興特別所得税2.1%。住民税は基礎控除43万円・税率10%・均等割5,000円。会社員の社会保険料は協会けんぽ令和8年度の全国平均(健康保険9.90%・子ども・子育て支援金0.23%)、厚生年金18.3%、雇用保険の労働者負担5/1000。国民健康保険は東京23区の令和8年度料率、国民年金は2026年度の月17,920円です。
Q. 早見表の数字が自分の実感と合いません。なぜ?
国民健康保険料は自治体で料率が違い、前年の所得で決まります。業種によって個人事業税は0〜5%です。扶養家族・iDeCo・小規模企業共済・生命保険料控除などを使うと手取りは増え、配偶者がいるとフリーランス側だけ配偶者の国民年金がかかって差が広がります。ご自身の条件はシミュレーターの詳細設定で変更でき、疑問点はお問い合わせからお寄せください。
Q. フリーランスは売上いくらから会社員より得になりますか?
同じ売上・経費0%で比べる限り、どの売上でも会社員が有利です。判断の目安は「会社員の今の手取りを、売上いくらで取り戻せるか」。経費0%なら年収の1.05〜1.1倍、経費率30%なら約1.5倍の売上が必要です。有給・雇用保険・傷病手当金・厚生年金といった数字に表れないメリットも考慮しましょう。
Q. 令和8年度の税制改正でフリーランスの税金は安くなりましたか?
所得税の基礎控除が合計所得489万円以下で104万円(令和7年分は所得に応じて95万〜58万円)に引き上げられたため、多くのフリーランスで所得税が下がります。ただし住民税の基礎控除は43万円のままで、国保の計算にも影響しません。所得が489万円を少し超えると基礎控除が67万円に下がるため、経費の計上漏れがないか確認する価値があります。
Q. 会社員の副業とフリーランス独立、どちらから始めるべき?
リスクを抑えたいなら副業からが定石です。副業収入が本業を上回り、安定した取引先が2〜3社できた段階で独立を検討すると、収入の空白期間を作らずに済みます。
関連シミュレーター
- 正社員vsフリーランス手取り比較シミュレーター — 年収別に手取りと必要売上を比較
- 個人事業主の税金シミュレーター — 売上・経費から税額を計算
- 青色申告の節税効果シミュレーター — 65万円控除でいくら減るか
- フリーランス単価シミュレーター — 希望手取りから請求単価を逆算
- 法人化シミュレーター — 個人事業と法人の税負担を比較
- 副業の税金シミュレーター — 副業収入にかかる税金を計算