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就業不能保険は必要?傷病手当金・障害年金で足りない金額を徹底計算

就業不能保険の必要性を傷病手当金・障害年金の公的保障から検証。会社員と自営業の保障格差、必要保障額の計算方法を解説します。

「働けなくなるリスク」は死亡リスクより身近

生命保険に加入している人は多いですが、就業不能保険に加入している人はまだ少数派です。しかし実は、死亡よりも「長期間働けなくなるリスク」の方がはるかに身近です。

厚生労働省「患者調査」によると、傷病で1ヶ月以上仕事を休んだ経験がある人は労働者の約5%。50代では約8%に上ります。一方、現役世代(20〜64歳)の死亡率は年間約0.1〜0.3%にすぎません。

つまり、働けなくなるリスクは死亡リスクの10倍以上あるにもかかわらず、多くの人が備えていないのが現状です。

働けなくなったときの公的保障

就業不能保険の必要性を判断するには、まず公的保障でいくらカバーされるかを知ることが重要です。

会社員の公的保障

会社員は傷病手当金障害年金の2つの公的保障があります。

制度支給額支給期間条件
傷病手当金標準報酬月額の2/3最長18ヶ月連続3日以上の休業後、4日目から
障害厚生年金(2級)報酬比例年金額+配偶者加給生涯障害等級2級以上
障害基礎年金(2級)約81万円/年+子の加算生涯障害等級2級以上

自営業・フリーランスの公的保障

制度支給額支給期間条件
傷病手当金なし国民健康保険には制度なし
障害基礎年金(2級)約81万円/年+子の加算生涯障害等級2級以上
障害厚生年金なし厚生年金未加入のため対象外

自営業者は傷病手当金がなく、障害年金も基礎年金のみ。会社員との保障格差は非常に大きいです。

会社員が働けなくなった場合の収入シミュレーション

年収500万円(月収約42万円)の会社員が、病気で長期間働けなくなった場合の収入推移を見てみましょう。

時期別の収入変化

期間収入源月額収入手取り後の目安
1〜3日目有給休暇約42万円約33万円
4日目〜1.5年傷病手当金約28万円(2/3)約25万円
1.5年〜障害年金(該当時)約12〜15万円約12〜15万円
1.5年〜(非該当時)なし0円0円

傷病手当金が切れる18ヶ月後が最大の危機です。障害年金の受給要件を満たさない場合(障害等級3級未満)、収入がゼロになる可能性があります。

生活費との差額

期間月額収入月額生活費月額の不足額
傷病手当金期間約25万円約30万円▲5万円
障害年金期間約13万円約30万円▲17万円
保障なし期間0円約30万円▲30万円

※単身者の平均的な生活費を30万円と仮定(家賃・住宅ローン含む)。

傷病手当金の期間でも毎月5万円の赤字が発生し、18ヶ月で約90万円の貯蓄を取り崩すことになります。障害年金に移行しても月17万円の不足。貯蓄が少ない家庭ではあっという間に家計が破綻します。

自営業者が働けなくなった場合の収入シミュレーション

年収500万円の自営業者の場合は、さらに深刻です。

期間収入源月額収入月額の不足額
休業直後なし0円▲30万円
障害年金(該当時)障害基礎年金2級約6.8万円▲23万円
障害年金(非該当時)なし0円▲30万円

自営業者は初日から収入がゼロになります。傷病手当金の制度がないため、貯蓄だけが頼りです。仮に月30万円の生活費なら、貯蓄300万円はわずか10ヶ月で底をつきます

就業不能保険の仕組みと選び方

就業不能保険の基本

就業不能保険は、病気やケガで長期間働けなくなったときに毎月定額の給付金を受け取れる保険です。

項目一般的な内容
給付金額月額10〜50万円(選択制)
支給開始就業不能状態が60日以上継続後
支給期間60歳または65歳まで
就業不能の定義入院中 or 医師の指示で在宅療養中
精神疾患商品により保障あり/なし

主要な就業不能保険の比較

保険会社・商品月額保険料(30歳男性・月額20万円保障)精神疾患特徴
ライフネット生命「働く人への保険3」約2,500円対象精神疾患もカバー
アクサダイレクト生命約2,000円対象外保険料が安い
SBI生命約1,800円対象外ネット型で割安
はなさく生命約2,800円対象ハーフタイプあり
チューリッヒ生命約2,200円対象短期と長期を分けて設計

※保険料は概算。プランにより変動。

精神疾患の保障は重要

近年、就業不能の原因として精神疾患(うつ病・適応障害等)が急増しています。

就業不能の原因割合
がん約25%
精神疾患約30%
脳血管疾患約12%
心疾患約8%
その他約25%

※各保険会社の支払い実績を基にした概算。

就業不能の原因の約3割が精神疾患です。精神疾患を保障対象外にしている商品は、最も多い原因をカバーしていないことになります。選ぶ際は精神疾患の保障有無を必ず確認しましょう。

必要保障額の計算方法

就業不能保険の月額給付金をいくらに設定すべきか、計算してみましょう。

会社員の場合

```
必要保障額 = 月額生活費 − 傷病手当金 − 障害年金 − その他収入
```

項目金額(月額)
月額生活費30万円
傷病手当金(18ヶ月間)▲25万円
傷病手当金期間中の不足額5万円
障害年金(18ヶ月以降)▲13万円
障害年金期間中の不足額17万円

会社員なら傷病手当金があるため、月額10〜15万円の保障で十分なケースが多いです。ただし、住宅ローン返済がある家庭は上乗せが必要です。

自営業者の場合

項目金額(月額)
月額生活費30万円
傷病手当金0円
障害基礎年金(該当時)▲6.8万円
不足額23〜30万円

自営業者は公的保障が薄いため、月額20〜30万円の保障が必要です。保険料は高くなりますが、収入がゼロになるリスクを考えれば必要な投資です。

就業不能保険 vs 他の保険との違い

混同されやすい保険との違いを整理します。

比較項目就業不能保険医療保険所得補償保険
保障のタイミング60日以上の長期就業不能入院・手術時就業不能時(短期〜)
給付形式毎月定額入院日額・手術一時金毎月定額
保障期間60〜65歳まで入院日数に応じて1〜2年(短期)
保険期間60〜65歳まで終身 or 定期1年更新
精神疾患商品による保障あり商品による

医療保険は入院・手術の費用をカバーしますが、長期の収入減少はカバーできません。就業不能保険は「収入の穴」を埋めるための保険であり、医療保険とは役割が異なります。

就業不能保険が必要な人・不要な人

必要な人

  • 自営業・フリーランス: 傷病手当金がなく、初日から収入ゼロ
  • 住宅ローン返済中の家庭: 返済が止まらないため、収入減少の影響が大きい
  • 貯蓄が生活費の6ヶ月分未満: 長期療養に耐えられない
  • 家計の大黒柱(共働きでない): 一人の収入に依存している家庭
  • 精神的にストレスの多い職場: うつ病等のリスクが高い

不要な可能性がある人

  • 十分な貯蓄がある(1,000万円以上): 自力で長期療養を乗り越えられる
  • 共働きで配偶者の収入だけで生活できる: 片方が働けなくなっても家計が維持できる
  • 大企業で手厚い福利厚生がある: 独自の休業補償制度がある場合
  • すでに団体信用生命保険の就業不能特約に加入: 住宅ローンは保障されている

保険料のコスパを考える

30歳男性が月額15万円の保障に加入した場合の保険料と保障のバランスを確認しましょう。

項目金額
月額保険料約2,000円
年間保険料約24,000円
30年間の保険料総額(30〜60歳)約72万円
1年間就業不能になった場合の給付額180万円
3年間就業不能になった場合の給付額540万円

30年間で72万円の保険料を払い、万が一1年間働けなくなれば180万円を受け取れます。保険料の2.5倍が1年で回収できる計算です。就業不能のリスクが数%あることを考えれば、コスパは悪くありません。

よくある質問

会社の団体保険で就業不能保障がある場合は?

会社の団体長期障害所得補償保険(GLTD)に加入している場合は、個人で就業不能保険に入る必要性は低くなります。ただし、転職すると団体保険は失効するため、転職の可能性がある方は個人保険の検討も必要です。

支払い対象にならないケースは?

就業不能状態が60日未満で回復した場合は支給対象外です。また、自傷行為や犯罪行為による就業不能は免責事項となります。商品によっては精神疾患を対象外としているものもあるため、約款をよく確認してください。

うつ病でも保険金は出ますか?

精神疾患を保障対象としている商品であれば、うつ病で就業不能と認定された場合も給付金が支払われます。ただし、精神疾患の支給期間を18ヶ月に制限している商品が多い点に注意してください。

就業不能保険と収入保障保険の違いは?

収入保障保険は死亡保険の一種で、被保険者が死亡した場合に遺族に毎月定額が支払われます。就業不能保険は生きているが働けない場合の保障です。名前は似ていますが、まったく別の保険です。

あなたの就業不能リスクをシミュレーション

年齢、年収、職業(会社員/自営業)、家族構成、住宅ローンの有無を入力すると、公的保障でカバーされる金額と不足額、必要な就業不能保険の月額保障額を計算できます。保険料とのバランスも確認できるので、加入の判断材料にお使いください。

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