定年後の収入プラン|年金・再雇用・貯蓄の組み合わせ方を徹底解説
定年後の収入源を年金・再雇用・貯蓄の3本柱で解説。年齢別の収支シミュレーションと貯蓄が尽きる年齢の計算方法をまとめました。
定年後の収入は「3本柱」で考える
定年後の主な収入源は年金・再雇用収入・貯蓄取り崩しの3つです。どの組み合わせが最適かは、退職時の資産状況と生活費によって大きく異なります。
「何歳まで働くか」「年金をいつから受け取るか」「貯蓄を月いくら取り崩すか」——この3つの選択の組み合わせで、老後の家計は大きく変わります。定年後の収入プラン シミュレーターを使えば、年金・再雇用給与・貯蓄を入力するだけで月次収支と貯蓄が枯渇する年齢を自動計算できます。
定年後の平均的な収支
収入(夫婦2人世帯・月額)
| 収入源 | 金額 |
|---|---|
| 公的年金(夫:厚生年金) | 約15万円 |
| 公的年金(妻:国民年金) | 約6.5万円 |
| 合計 | 約21.5万円 |
支出(夫婦2人世帯・月額)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 食費 | 6.7万円 |
| 住居費 | 1.6万円(持ち家の場合) |
| 水道光熱費 | 2.2万円 |
| 交通・通信 | 2.8万円 |
| 保健医療 | 1.6万円 |
| 教養娯楽 | 2.1万円 |
| その他(交際費等) | 5.4万円 |
| 税金・社会保険料 | 3.1万円 |
| 合計 | 約25.5万円 |
毎月の赤字は約4万円。年間で約48万円、30年間で約1,440万円が不足します。
年金の繰下げ受給で収入アップ
年金の受給開始を遅らせると、1ヶ月あたり0.7%増額されます(最大75歳まで)。
| 受給開始年齢 | 増額率 | 月額(基礎年金+厚生年金の場合) | 損益分岐年齢 |
|---|---|---|---|
| 60歳(繰上げ) | -24% | 約16.3万円 | 80歳 |
| 65歳(通常) | 0% | 約21.5万円 | − |
| 66歳 | +8.4% | 約23.3万円 | 78歳 |
| 68歳 | +25.2% | 約26.9万円 | 80歳 |
| 70歳 | +42% | 約30.5万円 | 82歳 |
| 75歳 | +84% | 約39.6万円 | 87歳 |
70歳まで繰り下げると月額約30万円となり、平均的な生活費をほぼカバーできます。
再雇用・継続雇用の収入
再雇用時の年収水準
| パターン | 定年前との比較 | 月収目安 |
|---|---|---|
| 同じ職務・フルタイム | 60〜80% | 24〜32万円 |
| 軽減勤務・週4日 | 40〜60% | 16〜24万円 |
| パート・アルバイト | 20〜40% | 8〜16万円 |
| 全く別の仕事 | 30〜50% | 12〜20万円 |
在職老齢年金の減額に注意
65歳以上で厚生年金に加入しながら働く場合、年金と給与の合計が月50万円を超えると年金が一部カットされます。
| 年金+給与の月額 | 年金カット額 |
|---|---|
| 50万円以下 | カットなし |
| 55万円 | 月2.5万円カット |
| 60万円 | 月5万円カット |
月給25万円+年金15万円=40万円なら、カットなしで全額受給できます。
貯蓄取り崩しの計画
退職時の貯蓄別・枯渇年齢
| 退職時貯蓄 | 月4万円不足の場合 | 月6万円不足の場合 |
|---|---|---|
| 1,000万円 | 86歳で枯渇 | 79歳で枯渇 |
| 1,500万円 | 96歳まで持つ | 86歳で枯渇 |
| 2,000万円 | 100歳以上OK | 93歳で枯渇 |
| 2,500万円 | 100歳以上OK | 100歳以上OK |
| 3,000万円 | 100歳以上OK | 100歳以上OK |
月の不足額を4万円以下に抑えれば、1,500万円の貯蓄で安心です。
収入を増やすための選択肢
| 方法 | 月額の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 再雇用 | 15〜25万円 | 最も確実だが体力が必要 |
| 年金繰下げ | +3〜18万円 | 長生きリスクに備えられる |
| 不動産収入 | 3〜10万円 | 安定だが初期投資が大きい |
| 投資の配当 | 1〜5万円 | 元本リスクあり |
| パート | 5〜10万円 | 健康維持にもなる |
ケーススタディ: 「65歳まで再雇用+年金68歳繰下げ」プラン
60歳定年・貯蓄1,800万円・生活費月25万円の夫婦のモデルケースです。
- 60〜65歳: 再雇用でフルタイム勤務(月収26万円)。不足分月マイナス数万円は貯蓄から補填しつつ、厚生年金の加入期間も延びて年金額が微増
- 65〜68歳: 週4日の軽減勤務(月収18万円)に切り替え。年金は繰下げ中のため受給せず、不足分月7万円を貯蓄から取り崩し
- 68歳〜: 完全リタイア。繰下げ受給で年金は+25.2%の月約27万円となり、生活費25万円を年金だけでカバー。貯蓄の取り崩しは実質不要に
このプランでは68歳時点で貯蓄が約1,300万円残り、以降は医療・介護の備えとして温存できます。ポイントは「働ける間は繰下げで年金を育て、リタイア後は年金だけで回る状態を作る」こと。長生きするほど有利になる設計です。繰下げの損益分岐は年金受給開始年齢シミュレーターで確認できます。
見落としがちな支出: 退職直後の税金・社会保険料
定年退職の翌年は、現役時代の所得に対する住民税の請求が来ます。年収600万円だった人なら住民税だけで年約30万円。加えて国民健康保険料(年30〜45万円)も自己負担になるため、退職後1年目は100万円前後の「見えない支出」を織り込んでおく必要があります。詳細は退職後にかかる費用シミュレーターで計算できます。
よくある質問(FAQ)
Q. この記事の前提データはどこから?
年金の平均月額は厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況(2024年度)」、夫婦世帯の生活費は総務省「家計調査年報(2023年)」の65歳以上夫婦のみ無職世帯のデータ、繰上げ・繰下げの増減率は日本年金機構の公表値(繰上げ−0.4%/月・繰下げ+0.7%/月)を参照しています。
Q. 数字が実感と合わない場合は?
年金額は現役時代の収入・加入期間で大きく変わります。正確な見込み額は「ねんきん定期便」または「ねんきんネット」で確認し、その数字を定年後の収入プラン シミュレーターに入力してください。生活費も持ち家か賃貸かで月5〜10万円変わります。計算結果に疑問がある場合は「計算結果について報告」からお知らせください。
Q. 繰下げ受給にデメリットはない?
あります。(1) 繰下げ期間中に亡くなると増額の恩恵を受けられない(損益分岐は80歳前後)、(2) 加給年金(配偶者手当に相当、年約40万円)は繰下げ中は支給されない、(3) 年金額が増えると税金・社会保険料も増えるため手取りの増加率は額面より小さい——の3点は把握しておきましょう。
Q. 退職金は一時金と年金形式どちらで受け取るべき?
多くの場合、一時金の方が税制上有利です。退職所得控除(勤続38年で2,060万円まで非課税)が大きいためです。年金形式は雑所得として毎年課税され、国民健康保険料の算定にも影響します。ただし運用利率が高い企業年金は年金形式が有利な場合もあります。
Q. 貯蓄の取り崩しはどう管理すればいい?
「毎月定額」より「残高の定率」で取り崩す方が枯渇リスクを抑えられます。また、取り崩し中も残りの資産を年3〜4%で運用できれば資産寿命は大きく延びます。老後資産の取り崩しシミュレーターで定額・定率の違いを比較できます。
関連シミュレーター
定年後のお金の計画に役立つシミュレーターをまとめました。
- 定年後の収入プラン シミュレーター — 年金・再雇用・貯蓄から月次収支と枯渇年齢を計算
- 年金受給開始年齢シミュレーター — 繰上げ・繰下げの損益分岐点を比較
- 老後資産の取り崩しシミュレーター — 定額・定率の取り崩しで資産寿命がどう変わるか試算
- 老後資金シミュレーター — 必要な老後資金の総額を逆算
- 退職後にかかる費用シミュレーター — 退職翌年の住民税・国保・年金の負担を計算
- 新NISAシミュレーター — 定年までの資産形成と定年後の運用を試算
あなたの定年後の収支をシミュレーション
定年後の収入プラン シミュレーターで年金額・再雇用収入・貯蓄額・生活費を入力すれば、年齢別の収支推移と貯蓄が尽きる年齢が自動で計算できます。