リバースモーゲージとは?仕組み・受取額・2026年11月の金利とリスク、リースバックとの比較
リバースモーゲージの仕組みと受取額を2026年11月の金利で試算。評価額3,000万円なら元加型4.1%で月約2.9万円・利息640万円。社協2.8%・東京スター銀行4.10〜6.65%・楽天銀行4.10%の比較、3大リスク、リースバックとの違いも解説。
リバースモーゲージとは?自宅に住み続けながら老後資金を借りる仕組み
リバースモーゲージは、自宅を担保に金融機関からお金を借り、契約者の死亡後に自宅を売却して一括返済する仕組みです。通常の住宅ローンは借入残高が減っていきますが、リバースモーゲージは受け取るほど残高が増えていく「逆(リバース)」の構造です。生きている間の支払いは「利息のみ」か「利息も元本に組み入れて支払いなし(元加型)」のどちらかになります。
2026年は金利の前提が大きく変わった年です。日銀が9月18日に政策金利を1.25%へ引き上げた後、東京スター銀行「充実人生」の利息元加タイプは10月1日に3.85%→4.10%、利払いあり型は11月1日に5.35〜6.35%→5.65〜6.65%へ上昇し、楽天銀行も11月実行分から3.85%→4.10%になりました。ほぼすべてが変動金利のリバースモーゲージには逆風です。この記事では2026年11月2日に各機関の公式ページで照合した金利をもとに、受取額・利息・リスクを整理します。
基本的な仕組み
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 担保 | 自宅(社協は土地のみ評価) |
| 融資限度額 | 担保評価額の50〜70%(民間は50〜60%が中心、社協は土地評価額の70%) |
| 受取方法 | 毎月定額(年金型)/一括/枠内で随時引出 |
| 生前の支払い | 利息のみ毎月払い、または元加型で支払いなし |
| 元本の返済 | 死亡後に自宅の売却代金などで一括返済 |
| 利用年齢 | 55〜84歳(商品による。社協は原則65歳以上) |
ポイントは、融資限度額がそのまま受け取れる額ではないことです。元加型では限度額の中に将来の利息分を確保しておく必要があり、受取額はその分小さくなります。
主要商品の金利(2026年11月2日照合)
| 金融機関 | 商品名 | 金利(変動) | 利息の扱い | 対象年齢 |
|---|---|---|---|---|
| 社会福祉協議会 | 不動産担保型生活資金 | 年2.8%(2026年度) | 元本に組み入れ | 原則65歳以上・低所得世帯 |
| 楽天銀行 | リバースモーゲージ | 年4.10%(11月実行分) | 毎月利息のみ | 審査による |
| 東京スター銀行 | 充実人生(利息元加タイプ) | 年4.10%(基準3.50%+0.6%) | 元本に組み入れ | 70〜84歳 |
| 東京スター銀行 | 充実人生(利払いあり型) | 年5.65〜6.65%(基準3.70%+1.95〜2.95%) | 毎月利息のみ | 55〜84歳 |
| 三井住友信託銀行 | 不動産活用ローン | 個別提示 | 利払型/元加型 | 60歳以上(首都圏・愛知・関西の物件) |
出典:東京スター銀行「ローン金利」(2026年11月1日現在)、楽天銀行「リバースモーゲージ」(2026年11月実行分)、神奈川県社会福祉協議会「不動産担保型生活資金」、日本銀行「長・短期プライムレート(主要行)の推移」、三菱UFJ銀行「短期プライムレートの改定について」(2026年9月18日)。
東京スター銀行はこのほかフィナンシャルドゥが保証する「保証タイプ」(基準1.905%+4.8%=6.705%)も扱っています。楽天銀行の金利は同行の短期プライムレートに連動し、短プラは2026年11月2日から2.375%→2.625%へ上がっています(メガバンクと同時期)。
社会福祉協議会の金利は「年3%または毎年4月1日時点の長期プライムレートのいずれか低い方」です。2026年4月1日の長プラは2.80%だったため2026年度は2.8%ですが、長プラは10月9日に3.70%まで上がっており、来年4月も3%を超えていれば2027年度は上限の3%になります。
実例:評価額3,000万円・65歳から90歳まで毎月受け取る場合
リバースモーゲージシミュレーターで、評価額3,000万円・融資割合50%(限度額1,500万円)・受取期間25年の年金型を、商品ごとの金利と利息の扱いで計算しました。
| 条件 | 毎月の受取額 | 25年の受取総額 | 利息総額 | 毎月の利払い |
|---|---|---|---|---|
| 元加型・2.8%(社協) | 約34,500円 | 約1,035万円 | 約465万円(元加) | 0円 |
| 元加型・4.1%(東京スター元加タイプの水準) | 約28,700円 | 約860万円 | 約640万円(元加) | 0円 |
| 毎月払い・4.1%(楽天銀行) | 50,000円 | 1,500万円 | 約771万円(支払い) | 最終月 約51,300円 |
| 毎月払い・5.65%(東京スター利払いあり型の下限) | 50,000円 | 1,500万円 | 約1,063万円(支払い) | 最終月 約70,600円 |
計算の考え方は次のとおりです。
- 元加型:「受け取った元金+元加された利息」が90歳でちょうど限度額1,500万円に達するよう、毎月の受取額を逆算
- 毎月払い型:元金の合計が限度額に達するように受け取り、利息は「その月の元金残高 × 年利 ÷ 12」を毎月払う
元加型は毎月の支払いがない代わりに、4.1%では限度額の約4割(640万円)が利息に充てられます。毎月払い型は限度額いっぱい受け取れますが、残高が増えるにつれて利払いも増え、最後は年金から月5〜7万円を払い続けることになります。金利が1.3〜1.55%違うだけで、利息総額は約175〜292万円変わります。
なお東京スター銀行の利息元加タイプは契約時70歳以上が条件です。70歳から90歳までの20年間で同じ4.1%なら、毎月約40,300円(受取総額約967万円・利息約533万円)になります。受取期間が短いほど利息が積み上がる時間も短く、毎月の受取額は大きくなります。
リースバックとの比較
リースバックは「自宅を売却して現金化し、家賃を払って住み続ける」方式で、所有権を手放す点が根本的に異なります。
| 項目 | リバースモーゲージ | リースバック |
|---|---|---|
| 所有権 | 自分のまま | 買い手に移転 |
| 受け取るお金 | 借入(分割なら利息分だけ減る) | 売却代金(市場価格の60〜80%を一括) |
| 毎月の支払い | 利息のみ、または元加で0円 | 家賃 |
| 固定資産税 | 本人が負担 | 買い手が負担 |
| マンション | 対応は一部の商品のみ | 幅広く対応 |
評価額3,000万円の自宅を評価額の70%(2,100万円)で売却し、年間家賃を売却価格の10%とすると家賃は月17.5万円です。25年住めば家賃総額は5,250万円で、受け取った2,100万円を大きく上回ります。リバースモーゲージ(楽天銀行・毎月払い4.1%)の利息総額約771万円と比べると、長く住み続けるほどリバースモーゲージが有利です。逆に数年以内に施設へ移る予定なら、リースバックや通常売却(家を売る費用シミュレーターで手取りを確認)が向いています。
リバースモーゲージの3大リスク
1. 長生きリスク
| 年齢 | 平均余命(男性) | 平均余命(女性) |
|---|---|---|
| 65歳 | 19.68年(約85歳) | 24.52年(約90歳) |
| 70歳 | 15.78年(約86歳) | 20.10年(約90歳) |
| 75歳 | 12.24年(約87歳) | 15.88年(約91歳) |
出典:厚生労働省「令和7年簡易生命表」
平均余命はあくまで平均で、半数近くの人はそれより長生きします。受取総額が限度額に達すると新たな受取はできず、元加型では利息だけが増え続けます。上の実例(元加型・4.1%)で予想の90歳より5年長生きすると、返済額は1,500万円から約1,841万円に膨らみます。受取を終える年齢は平均余命より5年ほど長めに設定しておくのが安全です。
2. 金利上昇リスク
| 金利 | 残高1,500万円の月額利息 | 年間利息 |
|---|---|---|
| 2.8% | 35,000円 | 42万円 |
| 4.1%(楽天銀行・東京スター元加) | 51,250円 | 61.5万円 |
| 5.65%(東京スター利払いあり型の下限) | 70,625円 | 約84.8万円 |
| 6.65%(同上限) | 83,125円 | 約99.8万円 |
計算式は「借入残高 × 年利 ÷ 12」です。残高1,500万円なら金利が1%上がるだけで月12,500円、年15万円の負担増になります。年金収入が固定の世帯ほど影響が大きく、元加型でも限度額に早く達して受取が止まる時期が前倒しになります。
3. 不動産価値下落リスク
金融機関は定期的に担保評価を見直し、評価額が下がると融資枠が縮小されたり、一部返済を求められたりします。木造戸建ての建物は築20〜30年で評価がほぼゼロになるため、実質的には「土地の価値」が融資額を決めます。売却額が返済額に届かないとき相続人に請求しないノンリコース型かどうかは、契約前に必ず確認しましょう。
社会福祉協議会の不動産担保型生活資金
各都道府県の社会福祉協議会が運営する公的な貸付制度で、民間より金利が低い代わりに対象が限られます。
- 対象:原則65歳以上・市町村民税非課税または均等割課税程度の世帯(生活保護世帯は別枠)
- 物件:戸建てのみ(マンション・二世帯住宅は対象外)、土地評価額はおおむね1,500万円以上
- 限度額:土地評価額の70%、月30万円以内(3か月分ごとに貸付)
- 期間:死亡時まで、または元利金が限度額に達するまで
- 金利:年3%または4月1日時点の長期プライムレートの低い方(2026年度2.8%)
融資までに2〜3か月かかることが多く、推定相続人の中から連帯保証人を立てる必要があります。
リ・バース60との違い
住宅金融支援機構と提携する金融機関の「リ・バース60」も、毎月は利息のみ・元金は死亡時に一括返済という点は同じです。ただし資金使途は住宅の建設・購入、リフォーム、住宅ローンの借り換え、サ高住の入居一時金などに限られ、生活費には使えません。融資限度額は担保評価額の50%または60%(上限1億2,000万円)で、ノンリコース型を選べます。金利は取扱金融機関ごとに異なります。
よくある質問
Q. 借りたお金に税金はかかりますか?
受け取るお金は借入なので、所得税・住民税はかかりません。死亡時の借入残高は相続税の計算で債務として差し引かれるため、自宅の評価額が大きい場合は相続税シミュレーターで影響を確認しておくと安心です。
Q. 毎月払い型と元加型、どちらを選ぶべき?
年金に毎月数万円の余裕があれば、限度額いっぱい受け取れる毎月払い型が有利です。年金だけで生活がぎりぎりなら、支払いがない元加型が安全です。上の例(4.1%)では毎月払い型が月5万円、元加型が月約2.9万円です。
Q. 借りる前に確認すべきことは?
まず「本当にいくら足りないのか」です。老後資金シミュレーターで不足額を、定年後の収入プランで毎月の収支と貯蓄が尽きる年齢を確認し、年金 繰上げ・繰下げ比較で年金額そのものを増やせないかも検討しましょう。住み替えを考えるなら老後の住まい 費用比較も参考になります。
Q. この記事の金利・融資条件はどこから?
2026年11月2日に各機関の公式ページで照合しました。東京スター銀行「ローン金利」(2026年11月1日現在:利払いあり型5.65〜6.65%・利息元加タイプ4.10%)、楽天銀行「リバースモーゲージ」(年4.10%・11月実行分)、神奈川県社会福祉協議会「不動産担保型生活資金」、日本銀行「長・短期プライムレート(主要行)の推移」(長プラ2026年4月1日時点2.80%・10月9日実施3.70%)、三菱UFJ銀行「短期プライムレートの改定について」(2026年9月18日)、平均余命は厚生労働省「令和7年簡易生命表」です。金利は随時変わるため、最新情報は各金融機関でご確認ください。
Q. 数字が実感と合わない場合は?
実際の融資額は担保評価(立地・築年数)、年齢、年金収入、相続人の同意などで大きく変わります。試算には手数料(東京スター銀行は初回16.5万円+2年目以降年1.65万円)や登記費用を含めていません。リバースモーゲージシミュレーターの詳細設定で金利・融資割合・予想寿命を調整してみてください。誤りや古い数値に気づかれた場合はお問い合わせからご連絡ください。