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結婚式の初回見積もり298万円、最終請求は371万円——29歳夫婦が「上がる仕組み」を検算したら、式の自己負担は21万円・結婚全体では179万円だった【ケーススタディ】

東京都内のゲストハウスで60人の結婚式を挙げた29歳夫婦の家計記録。初回見積もり298万円が打ち合わせのたびに上がり最終371万円、それでもご祝儀200万円と親援助150万円で式単体の持ち出しは21万円に収まった。一方で指輪・新婚旅行・顔合わせを足した「結婚全体」は自己負担179万円。見積もりが73万円上がった明細と、平均より怖い「挙式10日前・361万円前払い」の資金繰りまで、数字で追う。

298万円——式場見学の帰り道、加藤さん(仮名・29歳・IT企業のシステムエンジニア・年収480万円)が手にしていた初回見積もりの数字だ。そして11ヶ月後、式を終えて届いた最終請求は371万円。差額73万円は、値上げでもオプションの押し売りでもなく、結婚式業界では「普通に起きること」として織り込まれていた。

婚約者(28歳・医療事務・年収330万円)と東京都江東区の賃貸マンションに暮らす加藤さんが、見積もりがなぜ上がるのかを項目単位で検算し、ご祝儀・親援助まで含めた「本当の自己負担」と、平均額より怖かった挙式10日前の資金繰りを記録したケーススタディである。

前提:加藤家の結婚式と、世間の平均

  • 会場: 都内のゲストハウス(貸切邸宅型)、11月の日曜・大安
  • ゲスト: 60人(友人・同僚44人、親族16人)
  • 資金: 2人の貯金合計260万円(婚約時点)

リクルート「ゼクシィ結婚トレンド調査2024」によると、挙式・披露宴の総額は全国平均で約340万円、招待客は平均約49人。ご祝儀総額は平均約200万円、親・親族からの援助は約7割のカップルにあり、援助額の平均は約180万円。カップルの最終的な自己負担は150万円台が平均像だ。加藤家は招待客がやや多い分、総額も平均よりやや上に着地したことになる。

検算1:初回見積もり298万円には「何が入っていないか」

成約前にもらった見積もりの内訳はこうだった。

項目金額備考
挙式料33万円人前式
料理・飲物(2万円×60人)120万円料理16,000円は最低ランク
会場費・音響照明25万円
衣装(新婦1着+新郎1着)38万円お色直しなしの前提
装花12万円最小構成
写真・ビデオ28万円スナップのみ、データは別料金
引出物・引菓子(6,500円×60人)39万円
ペーパーアイテムほか3万円
合計298万円

あとから分かったのは、初回見積もりが「嘘」ではなく最小構成だということだ。料理は選べる中で最安のコース、衣装はお色直しなし、写真はデータなし。式場探しの段階で複数会場を比べるなら、この「最小構成どうし」の比較になっていることを織り込む必要がある。ゲスト数と会場タイプを変えたときの総額の当たりは結婚式費用シミュレーターで先に掴んでおくと、見積もりの妥当性を初回から判断できる。

検算2:73万円は「どこで」上がったのか

打ち合わせが本格化するのは挙式3〜4ヶ月前。キャンセル料が発生する時期に入ってから内容を決めていく構造なので、そこからの増額は事実上断りにくい。加藤家の増額明細は次のとおり。

打ち合わせで決めた変更増額
料理を16,000円→18,500円のコースに(+2,500円×60人)+15万円
お色直しのカラードレス追加(レンタル+小物)+28万円
装花のボリュームアップ+8万円
写真の全データ+アルバム+12万円
プロフィールムービー制作+6万円
親族の着付け・美容+4万円
増額合計+73万円

振り返って加藤さんが言うのは、「一つひとつは全部『そりゃそうだよね』だった」ということだ。ゲストに出す料理の最低ランクは避けたい。写真データが残らないのは本末転倒。つまり73万円の大半は初回見積もりの時点で実質的に確定していた費用であり、見積もりを見る技術とは「上がるかどうか」ではなく「どの項目が最低ランクで書かれているか」を読むことだった。

```
最終請求 = 298万円 + 73万円 = 371万円
```

検算3:収入側——ご祝儀200万円の読みはどう立てたか

支出側だけ見ると371万円は貯金260万円を超えており、一見成立しない。しかし結婚式には収入側がある。加藤家はゲスト名簿から先にご祝儀を見積もった。

ゲスト人数相場小計
友人・同僚42人3万円126万円
主賓・上司2人5万円10万円
親族(夫婦8組)16人8万円/組64万円
合計60人平均3.3万円/人200万円

実際のご祝儀総額もほぼ読みどおりの200万円だった。関係性別の相場はご祝儀相場シミュレーターで確認できるが、名簿ができた時点でご祝儀総額は±10万円程度の精度で予測できる——これが結婚式の家計計画で最初にやるべき計算になる。

さらに両家から援助の申し出があった。夫側から100万円、妻側から50万円の計150万円(前述のとおり、援助は約7割のカップルにある)。式単体の収支はこうなった。

```
371万円 −(ご祝儀200万円 + 援助150万円)= 式の自己負担 21万円
```

「結婚式は高い」の実像は、総額371万円・持ち出し21万円という二重構造だった。

検算4:ただし「結婚のお金」は式だけではない

式の収支だけ見ると楽勝に見えるが、結婚には式の外側の出費が並走する。加藤家の実績はこうだ。

  • 婚約指輪: 38万円
  • 結婚指輪(2本): 28万円
  • 両家顔合わせの食事会: 7万円
  • 新婚旅行(イタリア8日間・2人): 75万円
  • 旅行のお土産(職場・親族): 10万円

小計158万円。式の21万円と合わせると結婚全体の自己負担は179万円で、ゼクシィ調査の平均像(150万円台)とほぼ重なる水準に着地した。新婚旅行はハイシーズンを外しても2人で70万円台が相場圏で、ツアーと個人手配の差は旅行パッケージ vs 個人手配で行き先別に検算できる。

検算5:平均額より怖かったのは「挙式10日前の361万円」

加藤家が一番ヒヤリとしたのは金額ではなく支払いのタイミングだった。多くの式場は残額の前払い(挙式1週間〜10日前までの振込)を求める。ご祝儀200万円が入るのは当日なので、順番が逆なのだ。

時期出入り手元資金の動き
契約時(10ヶ月前)手付金 −10万円貯金260万 → 250万円
事前親援助 +150万円→ 400万円
挙式10日前残額振込 −361万円39万円
挙式当日ご祝儀 +200万円→ 239万円

振込直後、2人の口座には39万円しか残らなかった。もし援助がなかったら、あるいは貯金が200万円だったら、式の収支は最終的に黒字圏でも、10日前の振込が物理的にできない。ブライダルローンという逃げ道はあるが金利は年5〜7%が相場で、数週間のつなぎとしては高くつく。式場選びの比較項目に「ご祝儀払い(後払い)やカード払いに対応しているか」を入れておくべきだったというのが加藤さんの反省点だ。

なお、残った239万円はそのまま新生活の原資になる。2人とも単身向け物件だったため引越しと家具家電で結局100万円近くが飛んだ——このフェーズの相場は引越し費用シミュレーターで先に見積もれる。

これから式場見学に行く人へ:先に決めておく3つの数字

加藤家の検算を汎用化すると、式場見学の前に次の3つを決めておくことに尽きる。

  1. ゲスト名簿とご祝儀の見込み額——収入側が決まらないと予算は立たない。名簿×相場で±10万円まで読める
  2. 初回見積もりに足す「実質確定額」——料理ランクアップ・お色直し・写真データで+60〜100万円を最初から総額に足して比較する
  3. 挙式10日前に振り込める上限額——自己負担の平均153万円ではなく、前払いのピーク(総額−事前に受け取れる援助)が貯金内に収まるか

結婚式の失敗談の多くは「思ったより高かった」と要約されるが、加藤家の検算が示すのはもう少し正確な教訓だ。高いのは最初から分かっている。読み違えるのは、最低ランクで書かれた初回見積もりと、ご祝儀より先に来る支払日——この2つである。

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