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保険・社会保障

労災保険の給付額ガイド|休業補償・障害補償の計算方法と申請手順

労災保険の給付額を具体的な数字で解説。休業補償給付(80%)、障害補償給付の等級別金額、遺族補償の計算方法、健康保険との違い、申請手順まで網羅。

労災保険とは?仕事中のケガ・病気を補償する公的保険

労災保険(労働者災害補償保険)は、仕事中や通勤中にケガをしたり、仕事が原因で病気になった場合に補償を受けられる公的保険制度です。保険料は全額会社負担で、パート・アルバイトを含むすべての労働者が対象です。

労災保険の最大のメリットは、治療費が全額無料(自己負担ゼロ)で、休業中も給与の約80%が補償される点。健康保険の傷病手当金(約67%)より手厚い補償が受けられます。

労災保険の給付の種類と金額

給付の全体像

給付の種類内容補償額
療養補償給付治療費全額自己負担ゼロ
休業補償給付休業中の賃金補償給付基礎日額の80%
障害補償給付後遺障害への補償等級に応じた年金または一時金
遺族補償給付死亡時の遺族への補償給付基礎日額の153〜245日分/年
葬祭料葬儀費用31.5万円+給付基礎日額の30日分
傷病補償年金1年6ヶ月経過後も治らない場合給付基礎日額の245〜313日分/年

「給付基礎日額」とは

給付基礎日額は、労災が発生した日以前3ヶ月間の賃金総額を暦日数で割った金額です。

計算式: 給付基礎日額 = 直前3ヶ月の賃金総額 ÷ 暦日数(約90日)

月収(額面)3ヶ月の賃金総額給付基礎日額(概算)
20万円60万円約6,667円
25万円75万円約8,333円
30万円90万円約10,000円
35万円105万円約11,667円
40万円120万円約13,333円
50万円150万円約16,667円

ボーナスは給付基礎日額には含まれませんが、別途「特別支給金」として上乗せされます。

休業補償給付の詳細

補償額の内訳

休業補償給付は、給付基礎日額の80%が支給されます。

項目割合性質
休業補償給付60%保険給付(非課税)
休業特別支給金20%福祉事業からの上乗せ(非課税)
合計80%全額非課税

月収別の休業補償額

月収(額面)給付基礎日額1日あたり補償月額(30日)
20万円6,667円5,334円約16万円
25万円8,333円6,666円約20万円
30万円10,000円8,000円約24万円
35万円11,667円9,334円約28万円
40万円13,333円10,666円約32万円

非課税なので、手取り換算では通常の給与とほぼ変わらない水準になります。

休業補償の支給条件

  • 待期期間: 休業開始から最初の3日間は支給されない(会社が60%を負担)
  • 支給期間: 治るまで(上限なし)
  • 支給開始: 4日目から

障害補償給付の等級別金額

障害等級と給付額(年金)

障害等級1〜7級は年金、8〜14級は一時金で支給されます。

障害等級年金(給付基礎日額の日数分)月収30万円の場合(年額)
第1級313日分/年約313万円/年
第2級277日分/年約277万円/年
第3級245日分/年約245万円/年
第4級213日分/年約213万円/年
第5級184日分/年約184万円/年
第6級156日分/年約156万円/年
第7級131日分/年約131万円/年

障害等級と給付額(一時金)

障害等級一時金(給付基礎日額の日数分)月収30万円の場合
第8級503日分約503万円
第9級391日分約391万円
第10級302日分約302万円
第11級223日分約223万円
第12級156日分約156万円
第13級101日分約101万円
第14級56日分約56万円

障害等級の認定は、労働基準監督署が医師の診断書をもとに判断します。

遺族補償給付の金額

遺族の人数別の年金額

遺族の人数年金(給付基礎日額の日数分)月収30万円の場合(年額)
1人153日分/年約153万円/年
2人201日分/年約201万円/年
3人223日分/年約223万円/年
4人以上245日分/年約245万円/年

年金に加えて、遺族特別支給金として一律300万円が支給されます。

健康保険の傷病手当金との比較

項目労災保険(休業補償)健康保険(傷病手当金)
補償割合80%(60%+特別20%)約67%(標準報酬日額の2/3)
治療費自己負担ゼロ3割自己負担
支給期間治るまで(上限なし)最長1年6ヶ月
課税非課税非課税
待期期間3日3日
対象業務上・通勤中の傷病業務外の傷病

労災保険のほうが補償割合が高く、支給期間の上限もなく、治療費も無料。仕事中のケガは必ず労災保険を使うべきです。

労災保険の申請手順

ステップ1: 会社に労災を報告する

ケガや病気が発生したら、まず会社に報告します。通勤途中の事故も対象です。

ステップ2: 労災指定病院で受診する

労災指定病院なら窓口負担ゼロで受診できます。指定病院以外で受診した場合は、いったん自費で支払い、後から請求します。

ステップ3: 必要書類を準備する

給付の種類必要な書式提出先
療養補償給付様式第5号(指定病院用)病院経由で労基署
休業補償給付様式第8号労働基準監督署
障害補償給付様式第10号労働基準監督署

ステップ4: 労働基準監督署に申請する

書類を労働基準監督署に提出します。審査期間は通常1〜3ヶ月。休業補償は毎月請求する形が一般的です。

よくある間違い・注意点

「会社が労災を使いたがらない」問題

会社は労災事故が増えると保険料率が上がる(メリット制)ため、労災申請を嫌がるケースがあります。しかし、労災隠しは犯罪(労働安全衛生法違反で50万円以下の罰金)です。会社が協力しない場合は、労働者本人が直接労基署に申請できます。

通勤災害の範囲

通勤途中の寄り道は原則として対象外ですが、以下は「日常生活上必要な行為」として認められます。

  • 日用品の購入(スーパー、コンビニ)
  • 病院への通院
  • 選挙の投票
  • 介護(要介護状態の家族)

よくある質問

パート・アルバイトでも労災保険は使える?

はい。雇用形態に関係なく、すべての労働者が対象です。1日だけの短期バイトでも、仕事中のケガは労災保険の対象になります。保険料は全額会社負担なので、労働者の費用負担はありません。

この計算の前提データはどこから?

給付日数・等級表は労働者災害補償保険法および労働基準法施行規則に基づいています。月収別の金額は給付基礎日額の算出方法(直前3ヶ月の賃金総額÷暦日数)に従い計算しています。

労災と健康保険を間違えて使ってしまった場合は?

仕事中のケガで健康保険を使ってしまった場合、後から労災保険に切り替えることができます。健康保険組合に連絡し、労基署に労災申請を行ってください。手続きは煩雑ですが、正しく切り替えることで自己負担分が返還されます。

数字が実感と合わない場合は?

残業代や各種手当の有無、ボーナスの影響(特別支給金)により実際の給付額は変動します。シミュレーターにご自身の月収や条件を入力して、より正確な金額をご確認ください。

あなたの労災保険給付額をシミュレーション

月収と休業日数を入力すれば、休業補償給付の金額を自動計算できます。障害等級別の補償額や、健康保険の傷病手当金との比較も一目で確認できます。万が一の備えとして、ご自身の補償額を把握しておきましょう。

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