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世帯年収1,100万円・子なし共働き夫婦が10年で資産5,000万円を目指す全記録【ケーススタディ】

夫35歳(年収650万)・妻33歳(年収450万)の共働きDINK夫婦が、NISA・iDeCo・固定費最適化で10年で金融資産5,000万円を達成するプラン。6つのシミュレーターで検証した資産形成戦略の全記録。

「このまま何も残らない気がする」——田中さん(仮名・35歳)がそう妻に切り出したのは、誕生日を過ぎた週末だった。

世帯年収1,100万円。生活に不自由はない。旅行にも行ける。外食も楽しんでいる。しかし通帳の残高は800万円。35歳・共働き・子なし夫婦としては、同世代の中央値とほぼ同じだ。

「DINKsの最大の強みは、教育費がかからないこと。その分を資産形成に回せば、会社員でも10年で5,000万円は射程圏内にある」。ファイナンシャルプランナーの一言がきっかけで、田中さん夫婦は本格的に動き始めた。

田中さん夫婦のプロフィール

項目夫(田中 翔太)妻(田中 美咲)
年齢35歳33歳
職業IT企業(正社員)メーカー営業(正社員)
年収(額面)650万円450万円
手取り年収約502万円約356万円
居住地東京都杉並区(賃貸2LDK)
金融資産現預金500万円 + 投資信託300万円 = 800万円
子どもの予定なし

手取りは手取り計算シミュレーターで算出。世帯の手取りは年間約858万円、月約71.5万円になる。

現状の家計——余裕はあるのに貯まらない構造

まず1ヶ月の支出を洗い出した。

項目月額備考
家賃135,000円2LDK・杉並区
食費65,000円外食週1回含む
水道光熱費15,000円
通信費12,000円スマホ2台+光回線
保険料12,000円医療保険 × 2
交通費8,000円定期外の移動
日用品10,000円
被服費25,000円
趣味・娯楽40,000円旅行積立含む
交際費30,000円
サブスク8,000円動画・音楽・ジム
その他15,000円
合計375,000円

月の余剰は715,000 − 375,000 = 34万円。年間で約408万円の余裕があるはずだ。

ところが、実際の年間貯蓄額は約200万円。差額の約200万円は「使途不明金」として消えていた。臨時の外食、衝動買い、なんとなくのコンビニ支出——管理していないお金は、いつの間にか蒸発する。

目標の逆算: 10年で5,000万円に届くための条件

現在の金融資産800万円のうち、生活費6ヶ月分の225万円を現預金(生活防衛資金)として確保し、残り575万円を投資に充てる。

```
目標: 10年後に金融資産5,000万円
現在の投資可能額: 575万円
現預金キープ: 225万円
必要な追加投資: 5,000万 − 225万(現預金)− 575万 × 1.48(10年4%運用)
≒ 5,000万 − 225万 − 851万 = 3,924万円
```

10年間(120ヶ月)で3,924万円を年利4%で積み立てる場合、必要な月額は約26.7万円。切り上げて月27万円が目標ラインだ。

現在の月余剰34万円から27万円を投資に回せばよい。残りの7万円は予備費として確保し、使途不明金を根絶するだけで達成可能な数字だった。

ステップ1: 固定費を月3.2万円削減する

投資原資を「余ったら回す」ではなく「先に確保する」仕組みに変える。まず固定費を削って確実な余裕を作る。

見直し項目BeforeAfter削減額/月
通信費(大手キャリア → 格安SIM × 2 + 光回線)12,000円5,500円6,500円
保険料(医療保険1本を解約)12,000円6,000円6,000円
サブスク(未使用サービス3件を解約)8,000円4,000円4,000円
被服費(月額予算を設定)25,000円15,000円10,000円
交際費(月上限を設定)30,000円25,000円5,000円
合計31,500円

年間で378,000円の削減。「節約で生活の質を下げる」のではなく、「使っていないものを止める」だけの見直しだ。

保険の判断は年代別保険シミュレーターを使った。子なし・共働き・貯蓄800万円の夫婦にとって、入院日額5,000円の医療保険2本分の保障は高額療養費制度と貯蓄で十分にカバーできる。1本を残して1本は解約という判断になった。

ステップ2: NISA・iDeCoを夫婦でフル活用する

非課税制度を夫婦で使えるのがDINKsの大きな利点。NISAシミュレーターiDeCoシミュレーターで投資配分を設計した。

月27万円の投資配分

制度月額合計
NISA(つみたて投資枠)100,000円100,000円200,000円
iDeCo23,000円23,000円46,000円
特定口座24,000円24,000円
合計147,000円123,000円270,000円

NISAのつみたて投資枠は年間120万円(月10万円)が上限。夫婦で年間240万円を非課税枠内で運用する。iDeCoは会社員の場合、月額23,000円が上限(企業年金なしの場合)。

iDeCoの「確定リターン」——節税効果

iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象。運用益とは別に、掛けた瞬間から税金が戻る。

```
夫: 23,000円 × 12ヶ月 × (所得税率20% + 住民税率10%)= 82,800円/年
妻: 23,000円 × 12ヶ月 × (所得税率10% + 住民税率10%)= 55,200円/年
──────────────────────────
夫婦合計の節税額: 138,000円/年 → 10年で約138万円
```

この138万円は運用成績に関係なく手に入る「確定リターン」だ。

ステップ3: 資産配分を決める

資産配分シミュレーターで、リスク許容度と投資期間からポートフォリオを設計した。

資産クラス配分比率期待リターン主な投資先
全世界株式インデックス70%年5〜7%eMAXIS Slim 全世界株式
先進国債券インデックス15%年2〜3%eMAXIS Slim 先進国債券
現預金(生活防衛資金)15%年0.1%銀行預金

10年という投資期間と、夫婦とも収入がある安定した家計構造を踏まえ、株式70%のやや積極的な配分にした。ポートフォリオ全体の期待リターンは年5%程度だが、保守的に年4%で以降の試算を行う。

10年間の資産推移シミュレーション

初期投資575万円(年4%運用)+ 月27万円の積立(年4%運用)+ 現預金225万円で算出。

経過年数新規投資(累計)投資評価額運用益資産合計
スタート575万円800万円
1年後324万円922万円23万円1,147万円
3年後972万円1,659万円112万円1,884万円
5年後1,620万円2,455万円260万円2,680万円
7年後2,268万円3,316万円473万円3,541万円
10年後3,240万円4,741万円926万円4,966万円

10年後の金融資産は約4,966万円。これにiDeCoの節税効果10年分(約138万円)を加えると、実質的なリターンは約5,100万円相当に達する。

7年目あたりから運用益の伸びが加速していることに注目してほしい。これが複利の効果だ。投資元本の増加に比例して、毎年の運用益が雪だるま式に膨らんでいく。

リスクへの備え——楽観だけでは危ない

年4%のリターンはあくまで期待値。以下のリスクに対する備えも同時に設計した。

暴落シナリオ: 10年の間に株式市場が30〜40%下落する局面は1〜2回は来る。しかし月27万円の積立を継続すれば、下落局面は「安く買える期間」になる。生活防衛資金225万円があれば、投資を取り崩す必要もない。

収入減リスク: どちらか一方が転職・休職しても、もう一方の収入で生活費をカバーできるのがDINKsの強み。仮に妻の収入がゼロになっても、夫の手取り月42万円で生活費34万円は賄える。

ライフプラン変更: 「やはり子どもが欲しくなった」場合でも、5年目時点で2,680万円の資産があれば教育費の準備期間は十分に確保できる。

田中さん夫婦の「次のアクション」チェックリスト

実行フェーズに入るため、田中さん夫婦が最初の1ヶ月で完了させたタスクは以下の通り。

  • [ ] 格安SIMへの乗り換え手続き(2台分)
  • [ ] 医療保険1本の解約手続き
  • [ ] 未使用サブスクの解約(3件)
  • [ ] SBI証券でNISA口座を開設(夫婦各1口座)
  • [ ] iDeCoの加入手続き(夫婦各1口座、勤務先への届出を含む)
  • [ ] 毎月27万円の自動積立設定(NISA・iDeCo・特定口座)
  • [ ] 生活防衛資金225万円を別口座に分離
  • [ ] 家計簿アプリの導入(使途不明金の可視化)

「やることは多く見えるが、ほとんどが一度やれば終わる手続きだ。毎月の積立は自動設定にすれば、翌月からは何もしなくていい」——田中さんはそう振り返る。

仕組みを作ったあとは、市場の上下に一喜一憂せず10年間淡々と積み立てを続けることが、5,000万円到達への最も確実なルートになる。

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出典: 金融庁「つみたてNISAの概要」/ 国民年金基金連合会「iDeCo公式サイト」/ 総務省「家計調査(二人以上の勤労者世帯・2024年)」

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