通勤手当の非課税限度額|電車・マイカー別の上限額と税金への影響
通勤手当の非課税限度額を交通手段別に解説。電車・バスは月15万円まで、マイカー通勤は距離別に上限が異なります。超過分の税金への影響もシミュレーション。
「通勤手当って非課税じゃないの?」——多くの会社員が非課税だと思っている通勤手当ですが、実は上限があります。電車・バス利用なら月15万円、マイカー・自転車通勤なら片道距離に応じた限度額を超えると、超過分に所得税・住民税がかかります。しかもマイカー・自転車の限度額は2025年と2026年に続けて改正され、ネット上には「最高31,600円」といった古い表がまだ多く残っています。この記事では、国税庁タックスアンサーNo.2585(令和8年4月1日現在法令等)に基づく最新の限度額、2026年4月に新設された駐車場代の加算(月5,000円上限)、超過時の税金の計算方法を整理します。通勤手当の非課税限度額シミュレーターで自分の手当をそのまま当てはめることもできます。
結論:2026年10月時点の非課税限度額
| 通勤方法 | 1か月あたりの非課税限度額 |
|---|---|
| 電車・バスのみ | 合理的な経路の定期代等(最高15万円) |
| マイカー・自転車のみ | 片道距離に応じて4,200円〜66,400円(2km未満は全額課税) |
| マイカー・自転車+勤務先や駅周辺の駐車場等 | 上の距離別限度額+駐車場等の料金相当額(加算は月5,000円まで) |
| 電車・バス+マイカー・自転車 | 定期代等+距離別限度額(+駐車場等加算)の合計(最高15万円) |
ポイントは3つです。①電車・バスの「月15万円」は改正されておらず、2026年10月時点でも同じ(タックスアンサーNo.2582)。②マイカー・自転車の距離別限度額は10km以上の区分が引き上げられ、最高額は31,600円→38,700円→66,400円になった。③2026年4月から、駐車場・駐輪場代が条件付きで非課税枠に加算できるようになった。
マイカー・自転車通勤の距離別限度額(最新表)
| 片道の通勤距離 | 現在の限度額(月額) | 2025年3月までの旧限度額 |
|---|---|---|
| 2km未満 | 全額課税 | 全額課税 |
| 2km以上 10km未満 | 4,200円 | 4,200円 |
| 10km以上 15km未満 | 7,300円 | 7,100円 |
| 15km以上 25km未満 | 13,500円 | 12,900円 |
| 25km以上 35km未満 | 19,700円 | 18,700円 |
| 35km以上 45km未満 | 25,900円 | 24,400円 |
| 45km以上 55km未満 | 32,300円 | 28,000円 |
| 55km以上 65km未満 | 38,700円 | 31,600円 |
| 65km以上 75km未満 | 45,700円 | 31,600円 |
| 75km以上 85km未満 | 52,700円 | 31,600円 |
| 85km以上 95km未満 | 59,600円 | 31,600円 |
| 95km以上 | 66,400円 | 31,600円 |
※出典:国税庁タックスアンサーNo.2585「マイカー・自転車通勤者の通勤手当」、国税庁「通勤手当の非課税限度額の改正について」(令和7年11月・令和8年4月)。距離は「通勤経路に沿った長さ」で、直線距離ではありません。
自転車やバイク通勤もこの表がそのまま使われます。自転車通勤で多い片道2〜10kmは、改正後も月4,200円で据え置きです。
いつから変わった? 2段階の改正
| 改正 | 適用開始 | 内容 |
|---|---|---|
| 令和7年改正(2025年11月19日公布・20日施行) | 2025年4月1日以後に支払われるべき通勤手当に遡って適用 | 10km以上の6区分を引上げ(55km以上は31,600円→38,700円) |
| 令和8年度税制改正 | 2026年4月1日以後に支払われるべき通勤手当 | 55km以上を細分化して最高66,400円に、駐車場等の料金相当額(月5,000円上限)の加算を新設 |
2025年の改正は年の途中で遡って適用されたため、4〜11月分を旧限度額で源泉徴収していた会社は2025年分の年末調整で精算しています。2026年改正は遡及がなく、「2026年4月1日以後に支払われるべき」手当から。3月分の差額を4月以降に追加で払う場合などは対象外です。
新設:駐車場・駐輪場代の加算(月5,000円まで)
以前は「通勤用の駐車場代は非課税枠に含まれない」のが原則で、駐車場代を手当に上乗せすると、距離別の限度額を超えた部分はそのまま課税されていました。2026年4月からは、次の条件を満たせば料金相当額を加算できます。
- 対象になる駐車場等:勤務先の周辺、または通勤で使う駅・バス停・フェリー乗り場・空港などの周辺にあるもの
- 駐輪場も含む:自転車・バイクの駐輪場も「駐車場等」に入る
- 自宅付近は対象外:自宅近くの月極駐車場代は加算できない
- 片道2km未満の人は対象外:距離別限度額がゼロの人には加算もない
- 上限は月5,000円:複数の駐車場等を使う場合は合計額で5,000円まで
計算例(国税庁Q&Aのケース)
片道50km、勤務先近くの駐車場代が月8,000円の人に、距離分32,300円+駐車場分8,000円=40,300円を支給するケースです。
```
非課税限度額 = 32,300円(45km以上55km未満)+ 5,000円(8,000円 > 上限5,000円)
= 37,300円
課税される額 = 40,300円 − 37,300円 = 3,000円/月
```
駐車場代が4,400円なら加算は4,400円で、限度額は36,700円。距離分と駐車場分を区別せず「通勤手当35,000円」とまとめて支給していても、36,700円以内なので全額非課税です。
駅前の有料駐輪場を使う自転車+電車通勤なら、定期代+4,200円(2〜10km)+駐輪場代(最大5,000円)の合計が月15万円以内で非課税になります。
電車・バス通勤の限度額(月15万円)
電車・バスだけで通勤する場合、非課税になるのは「最も経済的かつ合理的な経路および方法」による定期代等で、月15万円が上限です。新幹線や特急も、その経路が合理的と認められれば対象ですが、グリーン料金は対象外です。
| 月額通勤手当 | 非課税分 | 課税分 | 年間の追加税金(実効税率20%の場合) |
|---|---|---|---|
| 12万円 | 12万円 | 0円 | 0円 |
| 15万円 | 15万円 | 0円 | 0円 |
| 18万円 | 15万円 | 3万円 | 約7.2万円 |
| 20万円 | 15万円 | 5万円 | 約12万円 |
超過分は支給月の給与に上乗せして源泉徴収されます。実際の税額は所得税率と住民税10%で決まるため、自分の税率は手取り計算シミュレーターで確認すると精度が上がります。
超過したときの税金の計算式
```
月の課税対象額 = 支給された通勤手当 − 非課税限度額(マイナスなら0)
年間の税負担増 ≒ 月の課税対象額 × 12か月 × 実効税率(所得税×1.021+住民税10%)
```
例:片道20kmのマイカー通勤で月2万円の手当が出ている場合
- 非課税限度額:13,500円(15km以上25km未満)
- 課税対象:20,000円 − 13,500円 = 6,500円/月
- 年間:6,500円 × 12 = 78,000円 → 実効税率20%なら約1.6万円の税負担増
旧表(12,900円)で計算すると課税対象は7,100円/月になり、税負担を約1,400円/年多く見積もってしまいます。古い表を使っている給与計算ソフトや社内規程がないか、念のため確認しておきましょう。
限度額とガソリン代の関係
| 片道距離 | 非課税限度額 | ガソリン代の目安(月) | 差 |
|---|---|---|---|
| 8km | 4,200円 | 約4,000円 | +200円 |
| 20km | 13,500円 | 約10,000円 | +3,500円 |
| 30km | 19,700円 | 約15,000円 | +4,700円 |
| 50km | 32,300円 | 約24,900円 | +7,400円 |
| 70km | 45,700円 | 約34,900円 | +10,800円 |
※燃費15km/L、レギュラー170円/L(資源エネルギー庁 石油製品価格調査、2026年10月13日時点の全国平均170.1円)、月22日出勤で往復分を計算。
改正後の限度額は、燃費15km/Lの車ならガソリン代をおおむね上回ります。ただし非課税限度額は「税金がかからない上限」であって、会社が払う金額ではありません。実際の支給額は就業規則で決まるため、手当がガソリン代に届かず持ち出しになる人もいます。車の維持費全体は通勤費シミュレーター、駐車場代の相場は駐車場代シミュレーターで比べられます。
通勤手段を見直すときに使えるシミュレーター
- 通勤手当の非課税限度額シミュレーター — 駐車場代の加算も含めて課税額を計算
- 定期券比較シミュレーター — 1か月・3か月・6か月定期の損益分岐点
- 通勤費シミュレーター — 電車・バス・マイカーの総コストを比較
- 自転車vs電車シミュレーター — 自転車通勤に切り替えた場合の節約額
- バイクvs電車シミュレーター — バイク通勤の維持費と通勤手当
- 駐車場代シミュレーター — 月極・コインパーキングの費用比較
よくある質問(FAQ)
Q. この記事の非課税限度額のデータはどこから?
A. 国税庁タックスアンサーNo.2585「マイカー・自転車通勤者の通勤手当」とNo.2582「電車・バス通勤者の通勤手当」(いずれも令和8年4月1日現在法令等)、国税庁「通勤手当の非課税限度額の改正について」(令和7年11月・令和8年4月)とそのQ&Aです。根拠法令は所得税法9条・所得税法施行令20条の2です。
Q. 自宅の駐車場代も加算できますか?
A. できません。加算できるのは、勤務先の周辺か、通勤で使う駅・停留所などの周辺の駐車場等だけです。自宅付近の月極駐車場は対象外と国税庁Q&Aで明記されています。
Q. 自転車通勤で片道1.5kmです。手当は非課税ですか?
A. 片道2km未満は全額課税です。駐輪場代の加算もありません。電車・バスを併用している場合は、電車・バスの定期代部分だけが非課税になります。
Q. テレワーク日がある場合、定期代と実費精算どちらが有利?
A. 月の出社日数がおおむね15日以下なら、出社日ごとの実費精算の方が安くなるケースが多いです。どちらでも非課税の取扱いは同じです。定期券比較シミュレーターで損益分岐点を確認できます。
Q. 記事の数字が実感と合わない場合は?
A. 実効税率は所得や控除で変わり、ガソリン代も燃費や価格で大きく動きます。通勤手当の非課税限度額シミュレーターで個別の条件を入れてお試しください。会社の取扱いは経理・人事担当者に確認するのが確実です。誤りや気になる点はお問い合わせからお知らせください。
あなたの通勤手当の課税状況をチェック
通勤手段・片道距離・支給額、必要なら駐車場代を入力すると、非課税限度額と課税対象額、年間の税負担への影響が自動で計算できます。