保険料控除申告書の書き方と記入例|生命保険は最大12万円・地震保険5万円・iDeCo全額【令和8年分】
年末調整の保険料控除申告書(令和8年分)は、生命保険料・地震保険料・社会保険料・小規模企業共済等掛金(iDeCo)の4欄に控除証明書の金額を転記する。生命保険料控除は3区分で合計最大12万円、23歳未満の扶養親族がいれば令和8年分から一般生命保険料の上限が4万→6万円に拡充。地震保険は最大5万円、国民年金(月17,920円)とiDeCoは全額控除。大学生の子がいる会社員の記入例で控除額46.5万円・節税額約13.7万円を検算。
結論から言うと、保険料控除申告書(令和8年分)は4つの欄に控除証明書の金額を書き写すだけで、控除の上限は生命保険料が合計12万円、地震保険料が5万円、社会保険料(国民年金など)とiDeCo(小規模企業共済等掛金)は全額です。令和8年分からは、23歳未満の扶養親族がいる人は一般生命保険料の控除上限が4万円から6万円に拡充されました(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」)。大学生の子がいる会社員の記入例で検算すると、控除額は所得税ベースで合計46.5万円、所得税と住民税の軽減額は約13.7万円になります。
10月に入って、生命保険会社から見慣れないハガキが届いた——「保険料控除証明書」。中身を見ても「新生命保険料」「介護医療保険料」といった専門用語が並ぶだけで、これをどう使えばいいのか分からないまま引き出しにしまい込んだ経験がある人は多いはずだ。この証明書は、年末調整で提出する「給与所得者の保険料控除申告書」に転記するためのものだ。書き方さえ分かれば10分で終わる作業だが、書かなければ払いすぎた税金は戻ってこない。
保険料控除申告書の4つの欄と控除上限は?
「保険料控除申告書」という1枚の用紙には、実は性質の異なる4つの控除欄が同居している。まず全体像を押さえておく。
| 欄 | 対象 | 控除の上限(所得税) | 証明書の要否 |
|---|---|---|---|
| ①生命保険料控除 | 生命保険・介護医療保険・個人年金保険 | 合計12万円(各区分4万円、23歳未満の扶養親族がいれば一般のみ6万円) | 必要(10〜11月に郵送) |
| ②地震保険料控除 | 地震保険(旧長期損害保険を含む) | 合計5万円 | 必要 |
| ③社会保険料控除 | 給与天引き以外で自分が支払った国民年金・国民健康保険など | 上限なし(全額) | 国民年金は必要(日本年金機構発行) |
| ④小規模企業共済等掛金控除 | iDeCo・小規模企業共済・心身障害者扶養共済 | 上限なし(全額) | 必要(国民年金基金連合会等が発行) |
同じ「保険料」でも、①②は支払った金額の一部しか控除されないのに対し、③④は払った分がそのまま全額控除になる。この違いを知らずに①②の欄だけ埋めて提出すると、iDeCoの掛金を控除し忘れるという実害が出る。
令和8年分で何が変わった?——23歳未満の扶養親族がいる人の特例
令和7年度税制改正で、子育て世帯向けに生命保険料控除が拡充され、令和8年分・令和9年分の所得税に適用される。今年(2026年)12月の年末調整が最初の対象だ。
- 対象者: 年齢23歳未満の扶養親族(令和8年分なら平成16年1月2日以後生まれ)がいる人。控除対象扶養親族にならない16歳未満の子も含む
- 対象の保険料: 新制度(2012年1月1日以後の契約)の一般生命保険料
- 変わる点: 一般生命保険料控除の上限が4万円→6万円。ただし3区分の合計上限12万円は据え置き
- 住民税: 拡充されるのは所得税のみ。住民税の生命保険料控除(各区分2.8万円・合計7万円)は従来どおり
特例が適用される場合の一般生命保険料(新)の計算式は次のとおり。
| 年間の新生命保険料 | 控除額(令和8・9年分の特例) | 参考:通常の計算式 |
|---|---|---|
| 30,000円以下 | 全額 | 20,000円以下は全額 |
| 30,000円超〜60,000円以下 | 支払額×1/2+15,000円 | 20,001〜40,000円は×1/2+10,000円 |
| 60,000円超〜120,000円以下 | 支払額×1/4+30,000円 | 40,001〜80,000円は×1/4+20,000円 |
| 120,000円超 | 一律60,000円 | 80,000円超は一律40,000円 |
保険会社の控除証明書に印字される「申告額」は通常の計算式(上限4万円)が前提のものが多い。23歳未満の扶養親族がいる人は、支払保険料の実額から上の特例の式で計算し直して記入するのがポイントだ。年間保険料が8万円を超えている人なら、最大で2万円控除が増える。
①生命保険料控除欄はどう書く?——新・旧で計算式が違う
生命保険料控除は「一般生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」の3区分に分かれ、さらに契約時期によって新制度(2012年1月1日以後の契約)と旧制度(2011年12月31日以前)で控除額の計算式が異なる。新制度の通常の計算式は次の通りだ。
- 年間支払保険料 20,000円以下 → 全額
- 20,001〜40,000円 → 支払金額×1/2+10,000円
- 40,001〜80,000円 → 支払金額×1/4+20,000円
- 80,000円超 → 一律40,000円(区分ごとの上限)
旧制度(上限5万円)の契約が残っている場合は、旧制度の式で計算した金額と新旧合算の金額の有利な方を選べる。控除証明書に印字されている「申告額」の欄をそのまま転記すれば計算不要だが、家族の証明書を合算する場合や前章の23歳未満特例を使う場合は、自分で計算式に当てはめる必要がある。新旧制度の選び方は生命保険料控除の仕組みで詳しく解説している。
②地震保険料控除欄はどう書く?——上限5万円
地震保険料は年間支払額がそのまま控除額になり、上限は5万円(住民税は支払額の1/2・上限2.5万円)。火災保険とセットで地震保険に入っていれば年間15,000〜30,000円程度の保険料が一般的なので、上限に達するケースは少ない。証明書に記載された金額をそのまま転記すればよい。2006年以前に契約した長期損害保険(保険期間10年以上・満期返戻金あり)が残っている場合は経過措置があり、そちらは上限15,000円で別枠計算になる。両方ある場合は合算して上限5万円が適用される。地震保険の保険料相場は地震保険の解説で確認できる。
③社会保険料控除欄は何を書く?——見落とされがちな「肩代わり払い」
給与から天引きされている厚生年金・健康保険はすでに会社側で年末調整に反映済みのため、この欄への記入は不要だ。書く必要があるのは、給与天引き以外で自分の財布から支払った社会保険料——典型例は「大学生の子どもの国民年金保険料を親が肩代わりして払った」ケースである。国民年金保険料は令和8年度(2026年4月〜)が月額17,920円(令和7年度は17,510円)。2026年1〜3月分と4〜12月分で単価が違うので、1年分を親が払った場合は17,510円×3+17,920円×9=213,810円が丸ごと社会保険料控除の対象になる。日本年金機構から届く「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」が必要書類だ。
④小規模企業共済等掛金控除欄(iDeCo)はどう書く?
会社員でiDeCo(個人型確定拠出年金)に加入している人が、この欄への記入を忘れるケースが目立つ。掛金は給与天引きではなく口座振替が基本のため、会社側では把握できず、自分で申告しないと控除が反映されない。国民年金基金連合会から10〜11月頃に届く「小規模企業共済等掛金払込証明書」の金額をそのまま転記する。iDeCoの節税額はiDeCoシミュレーターで掛金別に確認できる。個人事業主が国民年金に上乗せする4つの制度の使い分けはフリーランスの年金上乗せ4択比較で整理している。
記入例:大学生の子がいる会社員(課税所得400万円)の控除額はいくら?
年収650万円前後(課税所得400万円・所得税率20%)の会社員で、20歳の大学生の子(23歳未満の扶養親族)がいるケースを、所得税と住民税に分けて計算する。
| 項目 | 年間支払額 | 所得税の控除額 | 住民税の控除額 |
|---|---|---|---|
| 一般生命保険料(新) | 96,000円 | 54,000円(96,000×1/4+30,000・特例) | 28,000円 |
| 個人年金保険料(新) | 60,000円 | 35,000円(60,000×1/4+20,000) | 28,000円 |
| 生命保険料控除 小計 | 89,000円 | 56,000円 | |
| 地震保険料 | 18,000円 | 18,000円 | 9,000円 |
| 社会保険料(子の国民年金肩代わり) | 213,810円 | 213,810円 | 213,810円 |
| 小規模企業共済等掛金(iDeCo月12,000円) | 144,000円 | 144,000円 | 144,000円 |
| 合計控除額 | 464,810円 | 422,810円 |
税金が軽くなる額は、所得税が464,810円×20.42%(復興特別所得税込み)=約94,900円、住民税が422,810円×10%=約42,300円で、合計約13.7万円。このうち23歳未満特例による上乗せは一般生命保険料の控除が4万→5.4万円に増えた分の所得税約2,900円だ。
計算の流れをフローにすると次のようになる。
- 控除証明書を区分ごとに仕分ける(一般・介護医療・個人年金/地震/国民年金/iDeCo)
- 23歳未満の扶養親族がいるか確認 → いれば一般生命保険料(新)を特例の式で計算
- 生命保険料3区分を合計し、12万円を超えたら12万円に
- 地震保険料は5万円で頭打ち、③④は全額をそのまま記入
- 証明書(原本または電子データ)を添付して提出
自分の給与額に置き換えた概算は年末調整 還付金シミュレーターで確認できる。
提出時に気をつけたいことは?
- 証明書は原本または電子データ(保険会社から交付されたXML等)での添付が必要。証明書が添付されていない申告は経理側で受理されないことが多い
- 証明書を紛失した場合は、保険会社のマイページや電話で再発行を依頼できる。年末調整の締め切り(多くの企業で11月中旬〜下旬)に間に合うよう早めに動く
- 家族分の生命保険料(例:配偶者が契約者の保険料を自分の口座から払っている場合)も、実際に支払っている人の申告書に含められる
- 医療費控除・住宅ローン控除(初年度)・ふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)は年末調整では処理できず、確定申告が別途必要になる。年末調整の全体の流れは年末調整チェックリストで確認できる
よくある質問
この記事の数字の根拠は?
生命保険料控除・地震保険料控除の計算式は国税庁タックスアンサー「No.1140 生命保険料控除」「No.1145 地震保険料控除」、23歳未満の扶養親族がいる場合の特例は国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」の改正点(一般生命保険料控除の適用限度額6万円・合計12万円据え置き)に基づく。国民年金保険料は日本年金機構が公表した令和8年度の月額17,920円、令和7年度の17,510円を使用した。
23歳未満の扶養親族の特例は、会社が自動で計算してくれる?
保険料控除申告書の記載内容をもとに会社が計算するため、本人が一般生命保険料の控除額を特例の式で記入するのが基本だ。扶養控除等申告書に子が記載されていることが前提になるので、扶養控除等申告書の書き方と合わせて確認しておきたい。
16歳未満の子しかいない場合も特例の対象?
対象になる。特例の要件は「年齢23歳未満の扶養親族」で、扶養控除(38万円)の対象にならない16歳未満の子も扶養親族に含まれる。ただし子が共働きの配偶者側の扶養親族になっている場合は、自分は対象にならない点に注意。
証明書が2枚以上ある場合はどうする?
同じ区分(例:新生命保険料)で複数の証明書がある場合は、支払額を合算してから計算式に当てはめる。証明書ごとに別々に計算して合計する方法は誤りなので注意したい。
iDeCoの掛金が給与天引き(事業主払込)の場合も記入が必要?
不要。会社の給与規定でiDeCo掛金を給与天引きにしている場合は、会社側が年末調整に反映するため申告書への記入は原則不要。口座振替(個人払込)の場合のみ記入が必要になる。
保険料控除申告書を出し忘れたらどうなる?
年末調整には反映されないが、翌年1月以降に確定申告(還付申告)をすれば取り戻せる。還付申告は5年間さかのぼって提出できる。年末調整と確定申告の違いは年末調整と確定申告の違いで整理している。
数字が実感と合わない場合は?
保険料控除は他の控除(扶養控除・住宅ローン控除など)と合わせて年間の所得税額全体で計算されるため、この記事の単純計算とはずれることがある。また住民税の控除額は所得税と計算式が違う(生命保険は各区分2.8万円・地震保険は1/2)。正確な還付見込みは年末調整 還付金シミュレーターで確認でき、ご不明点や数字の誤りに気づいた場合はお問い合わせページから連絡できる。