賃貸と持ち家、生涯コストはどちらが安い?35年間の総費用を徹底比較
家賃10万円の賃貸と4,000万円のマンションの35年生涯コストを全費目で比較。2026年入居の住宅ローン控除(省エネ基準適合で年最大14万円・ZEH水準24.5万円)と売却推定額を反映し、賃貸約5,116万円・持ち家約6,709万円。家賃・住宅性能・年収別の損益分岐も解説します。
結論:この条件では賃貸が約1,590万円安い。ただし家賃13.4万円以上なら逆転
家賃10万円の賃貸と、4,000万円のマンション(頭金500万円・金利1.5%・35年ローン)を35年間比べると、賃貸は約5,116万円、持ち家は約6,709万円で、賃貸が約1,590万円有利です。数字は賃貸 vs 持ち家 生涯コスト比較シミュレーターの初期値で計算しています。
ただしこの答えは、次の条件で大きく動きます。
- 比べる家賃: 同じ持ち家に対して月13.4万円以上の賃貸と比べるなら持ち家が安い
- 35年後の売却額: 購入価格の55%以上で売れる立地なら持ち家が安い
- 住宅ローン控除: 2026年入居から、住宅の省エネ性能で13年間の控除額が0〜約267万円と大きく変わる(ただし控除だけで逆転するほどではない)
以下、費目ごとの計算式と、条件を変えたときの結果を順に見ていきます。
35年間の生涯コスト試算
賃貸の場合(家賃10万円・年0.5%上昇)
| 費用項目 | 計算式 | 35年合計 |
|---|---|---|
| 家賃 | 10万円から年0.5%上昇(35年目は約11.8万円) | 約4,577万円 |
| 管理費 | 5,000円 × 12ヶ月 × 35年 | 210万円 |
| 更新料(2年ごと1ヶ月分) | その時点の家賃 × 17回 | 約186万円 |
| 火災保険 | 1.5万円 × 35年 | 52.5万円 |
| 引越し費用(10年ごと) | 30万円 × 3回 | 90万円 |
| 合計 | 約5,116万円 |
家賃が上がらない前提なら約4,723万円、年1%上がるなら約5,556万円です。家賃上昇率0.5%の差で35年後に約400万円動くので、長く住むほど効いてきます。
持ち家の場合(4,000万円のマンション・2026年入居)
| 費用項目 | 計算式 | 35年合計 |
|---|---|---|
| 頭金 | — | 500万円 |
| ローン返済 | 3,500万円・金利1.5%・35年(月107,165円) | 約4,501万円(うち利息約1,001万円) |
| 管理費+修繕積立金 | 3万円 × 12ヶ月 × 35年 | 1,260万円 |
| 固定資産税 | 15万円 × 35年 | 525万円 |
| 専有部の設備更新・修繕一時金 | 200万円 × 3回(10・20・30年目) | 600万円 |
| 火災保険 | 3万円 × 35年 | 105万円 |
| 支出合計 | 約7,491万円 | |
| 住宅ローン控除 | 年14万円 × 13年 | −182万円 |
| 35年後の売却推定額 | 4,000万円 × 残存率15% | −600万円 |
| 実質コスト | 約6,709万円 |
管理費・修繕積立金の月3万円は、国土交通省「令和5年度マンション総合調査」の平均(管理費11,503円+修繕積立金13,054円)に、修繕積立金が同省ガイドライン(令和6年6月改定)の目安252〜335円/㎡・月へ上がっていく分を見込んだ35年平均です。「専有部の設備更新・修繕一時金」は、給湯器・水回り・内装の更新や、積立不足時の一時金徴収に備える費用です。
住宅ローン控除は2026年入居で大きく変わった
2026・2027年入居の借入限度額
住宅ローン控除は、年末のローン残高(借入限度額まで)の0.7%を所得税から、引ききれない分を住民税から差し引く制度です。令和8年度税制改正で2030年12月31日入居まで延長され、2026年入居からは次のルールになりました(国税庁タックスアンサーNo.1211-1・1211-3、令和8年4月1日現在法令等)。
| 住宅の種類 | 一般世帯 | 子育て世帯・若者夫婦世帯 | 控除期間 |
|---|---|---|---|
| 新築・長期優良住宅/低炭素住宅 | 4,500万円(年31.5万円) | 5,000万円(年35万円) | 13年 |
| 新築・ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円(年24.5万円) | 4,500万円(年31.5万円) | 13年 |
| 新築・省エネ基準適合住宅 | 2,000万円(年14万円) | 3,000万円(年21万円) | 13年 |
| 新築・その他の住宅 | 原則対象外 | 原則対象外 | — |
| 中古・長期優良/ZEH水準 | 3,500万円(年24.5万円) | 4,500万円(年31.5万円) | 13年 |
| 中古・省エネ基準適合住宅 | 2,000万円(年14万円) | 3,000万円(年21万円) | 13年 |
| 中古・その他の住宅 | 2,000万円(年14万円) | 2,000万円(年14万円) | 10年 |
かつてよく見かけた「年間上限21万円」は、2024・2025年入居の省エネ基準適合住宅(借入限度額3,000万円)のルールです。2026年入居の一般世帯は2,000万円=年14万円に下がりました。子育て世帯・若者夫婦世帯は、19歳未満の扶養親族がいるか、夫婦のどちらかが40歳未満の世帯(入居年の12月31日時点で判定)です。
主な要件は、合計所得金額2,000万円以下、床面積50㎡以上(合計所得1,000万円以下なら40㎡以上も可。ただし子育て世帯等の上乗せは50㎡以上)、返済期間10年以上です。
性能・年収別の控除額(借入3,500万円・金利1.5%)
控除額は「借入限度額×0.7%」が上限ですが、払っている税金より多くは戻りません。所得税から引ききれない分は住民税から引けますが、住民税は課税総所得金額等の5%(最高9.75万円)までです。シミュレーターでは年収(独身・社会保険料15%の概算)から、この上限も計算しています。
| ケース | 13年間の控除 | 持ち家の35年実質コスト |
|---|---|---|
| 新築・省エネ基準適合・一般世帯(初期値) | 約182万円 | 約6,709万円 |
| 同・子育て世帯(年収500万円) | 約251万円 | 約6,640万円 |
| 新築・ZEH水準・一般世帯(年収500万円) | 約253万円 | 約6,638万円 |
| 新築・ZEH水準・一般世帯(年収600万円) | 約267万円 | 約6,624万円 |
| 中古・その他の住宅 | 約140万円(10年) | 約6,751万円 |
| 新築・省エネ基準未満 | 0円 | 約6,891万円 |
年収500万円の場合、控除しきれる税額は年約17.7万円(所得税8.85万円+住民税8.85万円)です。ZEH水準の控除枠は年24.5万円あるので、13年間で約13万円が使い切れずに消えます。省エネ基準適合とZEH水準の差は最大約85万円で、35年の総額で見ると約1.3%の差にとどまります。年別の控除額は住宅ローン控除シミュレーターで確認できます。
持ち家が有利になる条件
1. 家賃が高い地域
同じ4,000万円の持ち家(実質約6,709万円)に対して、比べる家賃を変えた結果です(家賃上昇率0.5%)。
| 月額家賃 | 35年間の賃貸コスト | 差額 |
|---|---|---|
| 10万円 | 約5,116万円 | 賃貸が約1,593万円安い |
| 12万円 | 約6,069万円 | 賃貸が約640万円安い |
| 13.4万円 | 約6,736万円 | ほぼ同等(持ち家が約27万円安い) |
| 15万円 | 約7,498万円 | 持ち家が約789万円安い |
| 18万円 | 約8,927万円 | 持ち家が約2,218万円安い |
4,000万円のマンションと同じ広さ・立地の部屋が月13.4万円以上で借りられているエリアなら、買った方が安い計算です。
2. 金利が低い
金利1.0%なら3,500万円・35年の利息は約650万円(1.5%の約1,001万円より約350万円少ない)です。逆に全期間固定のフラット35(2026年10月の最低3.83%)では利息が約2,860万円まで増えます。金利別の毎月返済額は住宅ローン 月々返済額シミュレーターで確認できます。
3. 資産価値が落ちにくい
初期値の残存率15%(築35年)は全国平均ベースの保守的な値です。35年後に購入価格の55%(2,200万円)以上で売れるなら、売却額だけで差額を埋めて持ち家が逆転します。駅徒歩分数・管理状態・再開発の有無が効くため、売却時の手取りは自宅売却 手取りシミュレーターで確認しておくと安心です。
比較期間を変えると何が起きるか
途中で売る場合は、売却額からローン残債を返済した「手残り」で比べる必要があります。シミュレーターの累計推移も、各年に売却した場合の手残りを差し引いて表示しています。
| 住む期間 | 賃貸の累計 | 持ち家の実質累計 |
|---|---|---|
| 10年 | 約1,343万円 | 約2,266万円 |
| 20年 | 約2,792万円 | 約4,496万円 |
| 35年 | 約5,116万円 | 約6,709万円 |
| 50年 | 約7,565万円 | 約8,319万円 |
家賃10万円との比較では、10年でも50年でも賃貸が安いままです。10年で売る場合はローン残債が約2,680万円残り、さらに購入時5〜8%・売却時3〜6%の諸費用(この表には含まれない)がかかるため、短期の所有ほど不利です。
よくある質問
Q. この記事の前提データはどこから?
管理費・修繕積立金は国土交通省「令和5年度マンション総合調査」と修繕積立金ガイドライン、売却推定額の残存率はレインズ(東日本不動産流通機構)の築年数別成約データ、金利1.5%は2026年10月の主要行の変動金利(概ね1.0〜1.8%)に利上げを織り込んだ想定、固定資産税は評価額×1.4%に住宅用地特例を適用した概算です。住宅ローン控除は国税庁タックスアンサーNo.1211-1・1211-3(令和8年4月1日現在法令等、2026年10月25日確認)の2026年入居ルールで計算しています。
Q. 数字が実感と合わない場合は?
生涯コストは家賃上昇率・金利・売却時の資産価値の3つで大きく変わります。特に売却推定額は全国平均の減価率なので、都心の駅近では有利に、郊外では不利に出ます。シミュレーターの詳細設定で、金利・管理費・修繕費・住宅の性能・年収を自分の条件に合わせてください。お気づきの点があればお問い合わせからご連絡ください。
Q. ZEH水準のマンションを選べば持ち家が有利になる?
控除は増えますが、逆転するほどではありません。初期値の条件で省エネ基準適合からZEH水準(年収600万円)に変えると、控除は約182万円→約267万円で、差は約85万円です。賃貸との差(約1,590万円)を埋めるのは、性能よりも家賃水準と売却価格です。
Q. 頭金なしのフルローンだと結果はどう変わる?
借入が4,000万円に増え、金利1.5%・35年の利息は約1,001万円から約1,144万円に増えます。一方、省エネ基準適合住宅(借入限度額2,000万円)なら残高が2,000万円を超えている間は控除額が変わらないため、控除は約182万円のままです。頭金を入れるかどうかの判断は頭金シミュレーターで比べられます。
Q. 年収いくらまでなら住宅ローンを組んで大丈夫?
年間返済額が手取り年収の25%以内が目安です。初期値の月107,165円(年約129万円)なら手取り約515万円以上、額面年収なら約670万円(独身・30歳の場合)以上が安全圏の目安です。年収から逆算した物件価格は年収別 買える家の価格シミュレーターで確認できます。
関連シミュレーター
- 賃貸 vs 持ち家 生涯コスト比較 — 全費目込みの生涯コストと損益分岐を計算
- 住宅ローン控除シミュレーター — 2026年入居ルールで年別の控除額を計算
- 住宅ローン 月々返済額 — 借入額・金利・期間から毎月の返済額を計算
- 年収別 買える家の価格 — 年収から無理のない物件価格を逆算
- 頭金シミュレーター — 頭金割合別の返済額・利息を比較
- 自宅売却 手取りシミュレーター — 仲介手数料・税金・ローン残高を引いた手取りを計算