個人事業主の手取り早見表【令和8年分】|売上400万→手取り232万
令和8年分(2026年)の個人事業主の手取りは、売上400万円で約232万円、600万円で約340万円、1,000万円で約521万円(経費率25%・青色65万円・東京23区)。改正後の基礎控除104万円と「所得489万円の壁」、令和8年度の国保料率、国民年金月17,920円で所得税・住民税・事業税・国保・年金を売上別に一覧化。
個人事業主の税金は「5種類+消費税」
個人事業主(フリーランス・自営業・一人親方)は、会社員のように給与天引きされないため、自分で計算して納めるお金が5種類あります。所得税・住民税・個人事業税・国民健康保険・国民年金です。さらにインボイス登録をした人や、2年前の売上が1,000万円を超えた人は消費税も納めます。
2026年(令和8年分)は令和8年度税制改正で所得税の基礎控除が大きく変わった年です。この記事では、改正後のルールで売上別の手取りを一覧にし、どこに「壁」があるのかを数字で確認します。
売上別 税金と手取りの早見表(令和8年分)
前提: 経費率25%・青色申告65万円・東京23区・35歳単身
| 売上 | 経費 | 所得税 | 住民税 | 事業税 | 国保 | 年金 | 手取り | 負担率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 300万 | 75万 | 約0.8万 | 約7.9万 | 0 | 約19.1万 | 約21.5万 | 約176万 | 16.4% |
| 400万 | 100万 | 約4.2万 | 約14.6万 | 約0.5万 | 約27.0万 | 約21.5万 | 約232万 | 16.9% |
| 600万 | 150万 | 約11.4万 | 約27.3万 | 8.0万 | 約42.0万 | 約21.5万 | 約340万 | 18.4% |
| 800万 | 200万 | 約32.7万 | 約40.0万 | 約15.5万 | 約57.1万 | 約21.5万 | 約433万 | 20.9% |
| 1,000万 | 250万 | 約59.7万 | 約52.8万 | 約23.0万 | 約72.2万 | 約21.5万 | 約521万 | 22.9% |
| 1,500万 | 375万 | 約117万 | 約79.6万 | 約38.3万 | 約95.6万 | 約21.5万 | 約705万 | 28.0% |
※負担率は売上に対する税・社会保険料の割合。1,500万円は消費税約68.2万円(簡易課税・みなし仕入率50%)を含みます。国保は令和8年度の特別区の料率(子ども・子育て支援金分を含む)で計算しています。
表を見ると、売上600万円までは税金より国保+年金の方が重いことが分かります。売上600万円なら税金合計46.7万円に対し、社会保険料は63.5万円です。40歳以上になると国保に介護分が加わり、売上600万円の国保は約42.0万円→約51.9万円、手取りは約332万円に下がります。
2026年改正のポイント: 所得489万円の壁
令和8年分から、所得税の基礎控除は合計所得金額に応じて次のように変わりました(国税庁「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」)。
| 合計所得金額 | 令和7年分 | 令和8・9年分 |
|---|---|---|
| 132万円以下 | 95万円 | 104万円 |
| 132万円超336万円以下 | 88万円 | 104万円 |
| 336万円超489万円以下 | 68万円 | 104万円 |
| 489万円超655万円以下 | 63万円 | 67万円 |
| 655万円超2,350万円以下 | 58万円 | 62万円 |
所得489万円以下の人は控除が大きく増えた一方、489万円を1円でも超えると控除が37万円減ります。経費率25%・青色65万円の条件では、売上757万円→757.5万円で事業所得が488.9万円→489.2万円にまたがり、所得税は約21.6万円→約27.1万円に跳ね上がります。売上は5,000円増えたのに、手取りは約5.2万円減る計算です。
決算前に所得が489万円付近になりそうなら、次のような手が有効です。
- 必要な設備投資や消耗品の購入を年内に済ませて、事業所得そのものを489万円以下に抑える
- 青色申告特別控除を55万円(紙提出)から65万円(e-Tax)に上げる(事業所得が10万円下がる)
- 小規模企業共済・iDeCoは所得控除なので合計所得は減らず、489万円の判定には効きません(ただし課税所得は下がるので税額は減ります)
なお扶養親族・配偶者控除の対象となる家族の所得要件も58万円→62万円に引き上げられました。住民税の基礎控除43万円は据え置きです。
各税金の計算方法
1. 所得税(5〜45%の累進課税+復興税2.1%)
```
事業所得 = 売上 − 経費 − 青色申告特別控除
課税所得 = 事業所得 − 基礎控除 − 社会保険料控除 − その他の所得控除
所得税 = (課税所得 × 税率 − 控除額)× 1.021
```
2. 住民税(一律10%)
```
住民税 = (事業所得 − 基礎控除43万円 − 社会保険料等)× 10% − 調整控除 + 均等割5,000円
```
住民税は前年の所得に対して6月から課税されるため、独立1年目は会社員時代の所得で計算されます。
3. 個人事業税(業種により3〜5%)
```
事業税 = (青色申告特別控除を引く前の所得 − 事業主控除290万円)× 税率
```
青色申告特別控除は事業税では使えない点に注意してください。文筆業・漫画家・音楽家など法定業種に当たらない仕事は非課税です。
4. 国民健康保険
(前年の所得−43万円)に所得割率を掛け、1人あたりの均等割を足します。令和8年度から子ども・子育て支援金分が加わり、賦課限度額は合計113万円(基礎67万・支援金26万・介護17万・子ども3万円)です。料率は自治体で大きく違い、事業所得400万円・39歳以下なら東京23区で約44.5万円、大阪市で約55.1万円、福岡市で約38.2万円です。
5. 国民年金
2026年度は月額17,920円、年21万5,040円です。配偶者が20〜59歳で会社員でなければ、配偶者の分も世帯で負担します。
青色申告の控除は2027年から変わる
| 区分 | 令和8年分まで | 令和9年分以後 |
|---|---|---|
| 複式簿記+e-Tax+優良な電子帳簿等 | 65万円 | 75万円 |
| 複式簿記+e-Tax | 65万円 | 65万円 |
| 複式簿記+紙で提出 | 55万円 | 10万円 |
| 簡易簿記(前々年の事業収入1,000万円超) | 10万円 | 0円 |
出典は国税庁リーフレットと令和8年度税制改正の大綱です。売上600万円・経費150万円なら、青色65万円は白色申告より年約18.6万円負担が軽くなります。紙で提出している人は、2027年分からe-Taxに切り替えないと控除が45万円減ります。申告方法による差は青色申告vs白色申告シミュレーターで計算できます。
節税方法ベスト4
- 小規模企業共済(月最大7万円・年84万円): 掛金が全額所得控除
- iDeCo(月最大6.8万円・年81.6万円): 2026年12月分の掛金から国民年金基金と合算で月7.5万円に引き上げ。詳しくはiDeCoシミュレーター
- 経費の適切な計上: 家賃・光熱費・通信費の事業按分、書籍・PC・ソフトウェア代
- 法人化の検討: 利益が800〜900万円を超えたら法人化シミュレーターで比較
売上600万円・経費150万円で小規模企業共済とiDeCoを上限まで掛けると、所得税・住民税が年約25.8万円減ります。ただし国保料は所得控除では下がりません。
消費税の注意点
| 状況 | 消費税の扱い(2026年分) |
|---|---|
| 2年前の売上1,000万円以下・インボイス未登録 | 免税事業者 |
| インボイス登録で課税事業者になった | 2割特例(売上税額×20%)。2027・2028年分は3割特例 |
| 2年前の売上1,000万円超 | 本則課税か簡易課税 |
税込売上1,500万円・経費375万円の場合、簡易課税(みなし仕入率50%)なら消費税は約68.2万円、2割特例が使えれば約27.3万円です。詳しくはインボイス2割特例の解説をご覧ください。
よくある質問
Q. この早見表の前提データはどこから?
所得税率は国税庁タックスアンサーNo.2260、基礎控除は令和8年度税制改正後の令和8年分テーブル、国保は特別区の令和8年度基準保険料率(所得割合計10.58%+介護分2.43%、均等割合計67,073円)、国民年金は2026年度月額17,920円、住民税は標準税率です。個人事業税は前年と同額を当年の経費に算入し、消費税は税込経理で必要経費にしています。
Q. 数字が実感と合わないのはなぜ?
主な要因は、(1)国保料率がお住まいの自治体と異なる、(2)医療費控除・生命保険料控除・ふるさと納税が反映されていない、(3)住民税と国保は前年所得で決まるため売上が伸びている年は実際の負担が小さい、(4)扶養家族の有無、などです。個人事業主の税金シミュレーターの詳細設定で地域・家族・申告方法を変えると実態に近づきます。
Q. 会社員とフリーランス、手取りはどっちが多い?
会社員は健康保険・厚生年金が労使折半ですが、個人事業主は国保・国民年金を全額自己負担します。一方で経費計上や青色申告控除は個人事業主だけの武器です。会社員vsフリーランス手取り比較で差額を確認できます。
Q. 令和8年分の改正はいつの確定申告から反映される?
2026年1〜12月の所得について、2027年2月16日〜3月15日の確定申告で反映されます。改正法は2026年12月1日施行ですが、個人事業主は年1回の確定申告で精算するため、令和8年分の所得全体に新しい基礎控除が適用されます。
関連シミュレーター
- 個人事業主の税金シミュレーター — 売上・経費から手取りと負担率を一括計算
- 青色申告vs白色申告シミュレーター — 申告方法による節税額の差
- 国民健康保険料シミュレーター — 世帯構成別の国保料
- iDeCoシミュレーター — 掛金の節税効果
- 法人化シミュレーター — 個人と法人の税負担比較
- 会社員vsフリーランス手取り比較 — 雇用形態ごとの手取り