こどもNISA・親のNISA・学資保険・預金——児童手当234万円を18年積み立てる4択を比べると、年5%運用なら385万円・学資保険245.7万円・預金243万円。こどもNISAの非課税は親のNISAと同じで、差がつくのは「誰のお金か」と「親の枠が埋まるか」だった【2027年1月開始・10月から受付】
2026年10月1日に口座開設の受付が始まったこどもNISA(2027年1月開始、0〜17歳・年60万円・上限600万円)を、親のNISAでの積立・学資保険(返戻率105%)・預金(0.5%)と並べて比較。児童手当の総額234万円を0歳から18歳まで積み立てると、年5%運用で約385万円、学資保険で245.7万円、預金で約243万円。非課税の効果は親のNISAと同じで、こどもNISAが有利になるのは夫婦のNISA枠3,600万円が埋まる家庭や祖父母が資金を出す家庭。12歳未満の払出し不可・18歳で子ども本人の資産になる点、判断フローチャート付き。
結論から書くと、こどもNISAを使っても、親のNISAで同じ投資信託を積み立てても、18歳時点の金額は1円も変わらない。 どちらも運用益は非課税で、買える商品も同じ「つみたて投資枠」の投資信託だからだ。
それでも2026年10月1日から各社でこどもNISAの口座開設受付が始まり、「子どもの分も作るべき?」という相談が急に増えている。比べるべきは利回りではなく、次の3点だ。
- そのお金は親のものか、子どものものか(18歳以降に誰が使い道を決めるか)
- 夫婦のNISA枠(1人1,800万円・2人で3,600万円)が、老後資金だけで埋まりそうか
- 12歳になるまで引き出せない制約を許容できるか
この記事では、児童手当を0歳から18歳まで全額積み立てるケースを例に、「こどもNISA」「親のNISA」「学資保険」「預金」の4択を同じ物差しで並べる。
こどもNISAの制度を1枚で確認
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開始 | 2027年1月(口座開設の受付は2026年10月から) |
| 対象 | 0〜17歳(口座は子ども名義、親権者等が運用を管理) |
| 年間投資枠 | 60万円(月5万円まで) |
| 非課税保有限度額 | 600万円 |
| 対象商品 | つみたて投資枠の対象投資信託のみ(個別株・成長投資枠はなし) |
| 非課税期間 | 無期限 |
| 払出し | 12歳以降、教育費・生活費に充てる目的で、子どもの同意があれば可能。12歳未満は原則不可(災害等の例外を除く) |
| 18歳以降 | 18歳になった後の最初の1月1日に、大人のNISAへ自動移行 |
| 生涯枠との関係 | 子どもが大人になってからの生涯枠1,800万円に含まれる(600万円使えば成人後の新規枠は1,200万円) |
出典: 財務省「令和8年度税制改正の大綱」、楽天証券・SBI証券の制度説明(2026年10月時点)
旧ジュニアNISA(2016〜2023年)との大きな違いは、非課税期間が無期限になり、12歳から引き出せるようになったこと。ジュニアNISAは18歳まで原則引き出せず、不人気の原因になっていた。なお、ジュニアNISAの残高をこどもNISAへ移すことはできない。
「12歳」の判定はその年の3月31日時点の年齢で行うため、実際に払い出せるようになるのは小学6年生の1月から。2月に入学金を払う中学受験にも間に合う設計だ。
比較の前提——児童手当を全額積み立てる
| 項目 | 設定 |
|---|---|
| 積立元 | 児童手当(第1子) 0〜2歳 月1.5万円、3歳〜高校生 月1万円 |
| 積立総額 | 1.5万円×36か月+1万円×180か月=234万円 |
| 期間 | 0歳から18歳まで(216か月) |
| NISAの想定利回り | 年3%(債券を含むバランス型)・年5%(株式中心)・年7%(全世界株式の長期平均並み) |
| 学資保険 | 返戻率105%(教育資金シミュレーターの一般的な学資保険の既定値) |
| 預金 | 年0.5%(メガバンク普通預金の2026年11月以降の金利)、税引後約0.4% |
児童手当の金額は児童手当シミュレーターで、第2子・第3子以降の場合も確認できる。
18歳時点の受取額を比べる
毎月の積立額を月複利で積み上げた結果は次のとおり。
| 選択肢 | 18歳時点 | 積立総額との差 | 元本割れの可能性 |
|---|---|---|---|
| こどもNISA(年3%) | 約314万円 | +80万円 | あり |
| こどもNISA(年5%) | 約385万円 | +151万円 | あり |
| こどもNISA(年7%) | 約476万円 | +242万円 | あり |
| 親のNISA(同じ商品) | こどもNISAと同額 | 同上 | あり |
| 学資保険(返戻率105%) | 245.7万円 | +11.7万円 | 満期まで持てばなし(途中解約は元本割れが多い) |
| 預金(税引後0.4%) | 約243万円 | +9万円 | なし |
計算式は次のとおり(年5%の場合)。
```
月利 r = (1 + 0.05)^(1/12) − 1 ≒ 0.407%
18歳時点の残高 = Σ 毎月の積立額 × (1 + r)^(残り月数)
= 0〜2歳分 1.5万円×36回 + 3歳以降分 1万円×180回 を月ごとに複利計算
≒ 385万円
学資保険 = 234万円 × 105% = 245.7万円
```
学資保険の差益11.7万円は一時所得になるが、特別控除50万円の範囲内なので税金はかからない。預金の利息には20.315%が源泉徴収されるため、0.5%の金利でも手取りは約0.4%になる。
「暴落した年に18歳」のケース
NISAの数字は平均値で、受け取る直前に下落する可能性がある。年5%で385万円まで育った残高が、17歳の年に30%下落すると約270万円。それでも学資保険(245.7万円)や預金(約243万円)を上回る。逆転するのは下落が40%を超えた場合(約231万円で、積立総額234万円を割り込む)だ。
対策はシンプルで、大学の入学金・初年度納付金のように「その年に必ず要るお金」の分だけ、高校に入る頃から少しずつ預金に移していく。こどもNISAでも12歳以降は教育費目的で引き出せるため、この「出口の分散」ができる。
4択の違いは「利回り」以外にある
| 比較軸 | こどもNISA | 親のNISA | 学資保険 | 預金 |
|---|---|---|---|---|
| お金の持ち主 | 子ども | 親 | 親(契約者) | 名義次第 |
| 使い道の自由 | 12歳以降・教育費や生活費のみ | 自由 | 満期・祝金のタイミングのみ | 自由 |
| 18歳以降 | 子ども本人の大人NISAになる | 親が判断 | 親が受け取る | 名義次第 |
| 親の生涯枠を使うか | 使わない | 使う(1人1,800万円の一部) | 関係なし | 関係なし |
| 親が亡くなった場合 | 残高は子どものまま。積立は止まる | 相続財産になる | 以後の保険料が免除され満額受取 | 相続財産になる |
| 贈与税 | 年60万円なら基礎控除110万円内で非課税 | 関係なし | 関係なし | 子名義なら贈与の扱いに注意 |
特に見落とされやすいのが2点ある。
1つ目は「18歳で子どものお金になる」こと。 こどもNISAは子ども名義の財産で、18歳の後の1月1日に子ども本人の大人NISAへ移る。進学費用に使ってほしいと思っていても、法的には本人が使い道を決められる。親のNISAなら、いつ・何に使うかを親が決められる。
2つ目は、学資保険だけが持つ「保障」。 契約者である親が亡くなると以後の保険料が免除され、満期金は満額受け取れる。ただしこの保障は、掛け捨ての収入保障保険などで別に買うこともできる。保険と貯蓄をセットにする必要があるかは、生命保険の必要保障額シミュレーターで確認してから判断したい。
こどもNISAが「親のNISA」より有利になる家庭
非課税の効果が同じである以上、こどもNISAの価値は「親のNISA枠を使わずに済む」ことに集約される。夫婦なら生涯枠は合計3,600万円。これが埋まる家庭は多くない。
| 家庭のタイプ | こどもNISAの必要性 | 理由 |
|---|---|---|
| 夫婦のNISA積立が合計月5万円程度 | 低い | 40年続けても2,400万円で、枠は1,200万円余る |
| 夫婦で年360万円以上をNISAに入れている | 高い | 10年で3,600万円が埋まり、教育資金の行き場がなくなる |
| 祖父母が孫のために資金を出したい | 高い | 祖父母の資金を孫名義で非課税運用できる(年60万円は贈与税の基礎控除110万円内) |
| 子どもが2〜3人いる | やや高い | 子ども1人ごとに年60万円・600万円の枠があり、教育資金を子どもごとに分けて管理できる |
| 片働きで貯蓄余力が月数万円 | 低い | 12歳まで引き出せない資金を作るより、親のNISAの柔軟性を優先したい |
祖父母から資金を受ける場合、贈与税の基礎控除(年110万円)は受け取る子ども1人あたり・その年に受けたすべての贈与の合計で判定される。こどもNISAの年60万円に加えて、お年玉や入学祝いで高額な贈与を受けた年は、合計額を確認しておきたい。計算は贈与税シミュレーターでできる。
判断フローチャート
```
Q1. 12歳(小6の1月)まで手を付けなくていいお金か?
├─ いいえ → 預金 または 親のNISA
└─ はい ↓
Q2. 夫婦のNISA枠(合計3,600万円)は老後資金で埋まりそうか?
または祖父母が資金を出してくれるか?
├─ はい → こどもNISA
└─ いいえ ↓
Q3. 18歳以降、子どもがそのお金を自由に使えても構わないか?
├─ はい → こどもNISA でも 親のNISA でも可(管理のしやすさで選ぶ)
└─ いいえ → 親のNISA
Q4(共通). 親に万一があったときの教育資金は確保できているか?
├─ できていない → 掛け捨て保険で補うか、学資保険を一部に
└─ できている → 学資保険は不要
```
よくある質問
Q. こどもNISAの口座はいつまでに作ればいい?
制度の開始は2027年1月で、2026年10〜12月に申し込んだ口座は1月以降に開設される。年内に申し込んでおけば、1月の最初の積立から始められる。0〜17歳の間は金融機関を変更できず、変えるには口座を廃止して作り直す必要があるため、親自身の証券口座と同じ会社で作るのが無難だ。
Q. 中学受験や高校の入学金に使える?
12歳になった年(判定は3月31日時点)の1月以降なら、教育費目的で子どもの同意を得て払い出せる。小6の2月に中学の入学金を払うケースにも対応できる。12歳より前に引き出すと、それまでの運用益にさかのぼって課税される。教育費のピークがいつ来るかは教育費シミュレーターで、公立・私立の組み合わせごとに確認しておきたい。
Q. 児童手当以外も入れていい?
年60万円・累計600万円までなら、親や祖父母の資金も入れられる。ただし子ども名義の財産になるため、親から子への贈与として扱われる。年60万円なら基礎控除の範囲内だ。
Q. この記事の前提データはどこから?
こどもNISAの制度は財務省「令和8年度税制改正の大綱」と証券各社の公表資料(2026年10月時点)、児童手当の金額はこども家庭庁の制度(2024年10月改正後)、学資保険の返戻率は当サイトの教育資金シミュレーターの既定値(生命保険各社の主要商品の中央値)、預金金利はメガバンクの2026年11月以降の普通預金金利0.5%を使っている。NISAの利回りは想定値で、将来の運用成果を保証するものではない。
Q. 数字が実感と合わない場合は?
実際の積立額や返戻率、金利が前提と違えば結果も変わる。教育資金シミュレーターで月額や利回りを自分の条件に変えて試算できる。前提に誤りがあれば、サイトのお問い合わせフォームから知らせてほしい。
年内にやっておくこと
- 夫婦それぞれのNISAの積立額を合計し、3,600万円の枠が何年で埋まるかを計算する(埋まらないなら、こどもNISAは急がなくていい)
- こどもNISAを作るなら、親自身の証券口座と同じ会社で12月中に申し込む
- 祖父母から資金援助の話があれば、こどもNISAに入れる額と、その年の他の贈与(お年玉・入学祝い)の合計を確認する
- 高校入学の頃から、大学の初年度納付金の分だけ預金に移すと決めておく
- 学資保険を検討しているなら、保障部分だけを掛け捨て保険で買った場合の保険料と比べる