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生命保険の「入り方」4択を横断比較|県民共済・ネット定期・対面大手・入らない——月2,000円と月2.9万円の間で決めるフローチャート

日本の世帯は生命保険に年35.3万円(月約2.9万円)払っている(生命保険文化センター2024年度調査)。だが同じ「万一に備える」でも、県民共済なら月2,000円、ネットの定期保険なら月1,000円前後から、対面大手のパッケージなら月1.5万〜2万円と、入り方によって30年で数百万円の差がつく。4つの入り方の構造の違いを比較表と意思決定フローチャートで整理し、遺族年金・高額療養費という「入らない」場合の土台まで検算した。

年間35.3万円。月に直すと約2.9万円——生命保険文化センターの「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、日本の2人以上世帯が生命保険(個人年金保険を含む)に払っている保険料の平均額だ。30年続ければ約1,059万円(35.3万円 × 30年)。家計の固定費として、住居費に次ぐ規模になり得る金額である。

一方で、同じ「死亡に備える」目的なら、県民共済は月2,000円、ネット生保の定期保険は30歳男性で月1,000円前後から入れる。この差は「安いほうが得」という単純な話ではなく、保障の中身と構造がまったく違うことから来ている。この記事では、生命保険の「入り方」を4つに分けて横断比較する。

  • ① 都道府県民共済(月2,000円の掛金一律型)
  • ② ネット生保の掛け捨て定期・収入保障(必要額をオーダーメイド)
  • ③ 対面大手のパッケージ型(死亡+医療+特約のセット、貯蓄型含む)
  • ④ 入らない(遺族年金+高額療養費+貯蓄の「自家保険」)

まず全体像:4つの入り方の比較表

30歳・会社員をモデルに、月額と保障の構造を並べる。

① 県民共済② ネット定期③ 対面大手④ 入らない
月額の目安2,000円(一律)約1,000円〜3,000円約1.5万〜2万円0円
死亡保障病気死亡400万円※1,000万〜数千万円(自由設計)数百万〜数千万円+特約遺族年金のみ
保障額の調整ほぼ不可(型が固定)100万円単位で自由設計次第(提案ベース)
医療保障入院日額5,000円※が同梱別契約(付けない選択も可)特約で同梱されがち高額療養費制度
掛金の戻り割戻金あり(毎年変動)なし(純掛け捨て)貯蓄型なら満期金・解約返戻金
高齢期60歳以降保障が縮小、65歳から熟年型へ更新ごとに保険料上昇終身型なら一生涯
30年総額の概算約72万円(割戻し前)約90万円約540万〜720万円0円

※都道府県民共済「総合保障2型」の18〜60歳の例。交通事故死亡は1,000万円など事由により異なる。

30年総額の内訳を検算しておく。①は2,000円 × 12ヶ月 × 30年 = 72万円で、割戻金(掛金の2〜3割程度が戻る年度が多い。率は毎年変動)を考えれば実質はさらに下がる。②は更新型の宿命で保険料が段階的に上がる前提——30歳台で月1,000円、40歳の更新で月2,000円、50歳の更新で月4,500円と仮定すると(1,000+2,000+4,500円)× 12ヶ月 × 各10年 = 90万円。③は月1.5万〜2万円 × 360ヶ月 = 540万〜720万円。①②と③の間には30年で450万円以上の開きがある

もちろん③には貯蓄型の返戻金が含まれることがあるため、総額だけで損得は決まらない。契約ごとの生涯支払額は保険料の総支払額シミュレーターで自分の契約条件から計算できる。

それぞれの構造:何にお金を払っているのか

① 県民共済——「広く浅く」の相互扶助

都道府県民共済の総合保障2型は、月2,000円の掛金で死亡・入院・ケガをまとめて薄くカバーする。営利を目的としない共済の仕組み上、剰余が出れば割戻金として戻るのが特徴だ。弱点ははっきりしていて、病気死亡400万円では、子どもがいる世帯の死亡保障としては足りないこと、そして60歳を過ぎると保障が段階的に縮小し、65歳以降は同額掛金の熟年型(85歳まで)に移行することだ。「独身・保障は最低限でいい」「メイン保険の隙間を月2,000円で埋めたい」という使い方に向く。

② ネット定期・収入保障——必要な額だけを最安で買う

死亡保障だけを切り出して買うなら、掛け捨ての定期保険が単価では最も安い。30歳男性・保険金1,000万円・保険期間10年で月1,000円前後(各社の公開保険料例による概算)。「毎月10万円を遺族に65歳まで」という形で買う収入保障保険なら、必要保障額が年々減っていく実態に合わせられるためさらに合理的だ。

鍵は「いくら必要か」を自分で決めること。たとえば子ども1人の世帯で、遺族の生活費が月25万円、遺族年金が月12万円、配偶者の収入が月8万円なら、不足は月5万円。子どもが独立するまでの20年分で 5万円 × 12ヶ月 × 20年 = 1,200万円 が必要保障額の目安になる。この計算は年齢別 必要保険額シミュレーターが遺族年金・団信込みで自動化してくれる。

③ 対面大手のパッケージ型——設計とサポートを込みで買う

死亡・医療・がん・介護などの特約を1本にまとめた提案型。担当者がつき、請求時のサポートや定期的な見直し面談が受けられる。保険料が高くなる主因は、保障の「原価」にあたる純保険料に、人件費・店舗などの付加保険料が乗る構造と、貯蓄型(終身保険・養老保険)が組み込まれがちなことにある。貯蓄部分は「掛け捨てじゃないから安心」に見えるが、途中解約すると元本割れしやすい。掛け捨て+自分で投資と比べてどちらが残るかは、貯蓄型 vs 掛け捨て保険の比較シミュレーターで数字にできる。

なお、勤務先に団体定期保険(グループ保険)があるなら、①〜③のどれより安いことがある。年1回の募集時期しか入れないのが難点だが、まず給与明細と福利厚生案内を確認する価値はある。

④ 入らない——公的保障という「デフォルトの保険」

「保険に入らない」は「無防備」ではない。会社員なら全員、給料から保険料を天引きされて2つの大きな保障に既に加入している。

  • 遺族年金: 厚生年金加入の会社員(平均的な収入・子1人)が亡くなった場合、遺族基礎年金 約107万円/年(子の加算含む)に遺族厚生年金が上乗せされ、合計で月12万円前後が目安になる(日本年金機構の年金額例をもとにした概算)
  • 高額療養費制度: 年収370万〜770万円なら、医療費が月100万円かかっても自己負担の上限は 80,100円 +(100万円 − 267,000円)× 1% = 月87,430円 で頭打ち

つまり独身・子なし・貯蓄が生活費の半年分以上ある人にとって、死亡保険の優先度はもともと低い。「自分に足りないのはどの分野か」は感覚ではなく、保障の過不足チェッカーで死亡・医療・がん・就業不能の4分野を判定してから決めたい。

意思決定フローチャート

  1. あなたの収入で生活している家族(子・配偶者)がいるか?
  2. 必要保障額(不足月額 × 不足年数)を計算したか?
  3. 必要保障額は500万円を超えるか?
  4. 貯蓄・請求サポート・対面相談に月1万円以上の価値を感じるか?

すでに③で加入済みの人は、乗り換えでいくら変わるかを保険見直し節約シミュレーターで試算してから判断すればいい。解約は新契約の成立後に——の鉄則だけ忘れずに。

よくある疑問

Q. 掛け捨てはお金を捨てているようで抵抗がある。
A. 掛け捨ての保険料は「万一の年に数千万円受け取る権利」の購入代金で、火災保険と同じ構造だ。貯蓄型との差額(月1万円なら30年で360万円)を自分で積み立てれば、保障と貯蓄を分離したまま同じ目的を果たせる。

Q. 共済とネット定期は併用できる?
A. できる。たとえば「共済2,000円で入院と小さな死亡保障、収入保障保険2,000円台で大きな死亡保障」という月4,000円台の組み合わせは、子育て世帯の現実解のひとつだ。

Q. 健康診断で引っかかっていても入れる?
A. ②は告知内容次第で断られたり割増になったりする。①の共済は告知項目が比較的簡素で、③には引受基準緩和型もあるが保険料は高い。健康なうちに入るほど選択肢が多い、というのが唯一確実に言えることだ。

Q. 平均の月2.9万円より安くしたら不安。みんな払いすぎなの?
A. 平均には貯蓄型・個人年金・医療特約が混ざっており、「死亡保障の適正価格」ではない。必要保障額から逆算した結果が月数千円なら、それは節約ではなく適正化だ。

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4つの入り方に絶対の正解はないが、「何も計算せずに平均額を払う」ことにだけは合理性がない。まず公的保障を土台に必要額を出し、その不足分を最も単価の安いチャネルで埋める——順番さえ守れば、月2,000円と月2.9万円のどちらを選んでも、それはあなたの答えになる。

出典: 生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」/都道府県民共済グループ 総合保障2型の掛金・保障内容(公式サイト)/日本年金機構「遺族年金」/厚生労働省「高額療養費制度」

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