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11月のおせち予約、早割で申し込む前に——2026年正月の平均2万9,098円に対し、スーパーの単品を詰めれば約1.5万円、全部手作りで約1.1万円。差額を時給にすると手作りは1時間488円だった【4人家族・2027年正月】

帝国データバンクの調査で2026年正月のおせち平均価格は2万9,098円(前年比+3.8%)。4人家族で「予約・量販の1万円台・単品を買って詰める・半分手作り・全部手作り・ふるさと納税」の6通りを、費用・手間・時給換算で比べた。予約と手作りの差は約1.8万円だが、単品を詰める方法と比べると全部手作りの時給は488円で、東京の最低賃金1,280円の4割にも届かない。品目別の「作る価値」表、早割〜年末までのカレンダー、冷凍と冷蔵の選び方、家計調査で見た12月の上乗せ額まで整理する。

「今年もおせち、3万円のを頼む? 去年、半分くらい残ったよね」

10月の終わりに、こんな会話をする家庭は少なくないはずだ。通販サイトや百貨店のおせちは、10〜11月に早期割引や早期特典をつけて予約を集める。申し込むなら今が一番お得——という空気の中で、一度立ち止まって計算してみた。

結論を先に書く。4人家族のおせちは、予約すると約2.9万円、スーパーの単品を買って重箱に詰めると約1.5万円、全部手作りすると約1.1万円。予約と手作りの差は約1.8万円あるが、それは「重箱に詰まった完成品」と比べたときの話だ。単品を詰める方法と比べると、全部手作りで浮くのは3,900円。8時間余分に台所に立つので、時給にすると488円になる。

2026年正月のおせちは平均2万9,098円

帝国データバンクが全国の百貨店・スーパー・コンビニ・有名料理店など110社を対象に調べた2026年正月のおせち(三段重または3〜4人前)の平均価格は、税込2万9,098円だった。前年から1,054円(3.8%)の値上げで、110社のうち約6割の65社が値上げしている。原材料や包装資材、人件費の上昇が理由で、高級ホテルや料亭が監修する商品が「ごちそう」路線を強める一方、量販店は1万円台や大容量でお得感を打ち出す「二極化」が進んだという。

項目数字
平均価格(三段重または3〜4人前)29,098円
前年からの値上げ+1,054円(+3.8%)
値上げした社数65社/110社(約6割)
値上げ幅で最も多かった帯1,000円台(22社)
4人で食べた場合の1人あたり約7,275円

2027年正月向けの同じ調査は、例年どおりなら11月中旬に公表される。材料費や人件費の上昇が続いているので、平均が3万円を超えてもおかしくない。この記事では2026年正月の平均を基準に計算する。

ここで、もう1つの数字を見ておきたい。総務省「家計調査」の日別支出(二人以上の世帯、2025年)で、おせちを含む「その他の調理食品」は10月の3,460円に対して12月は6,262円。12月に増えた額は平均2,802円しかない。ネット予約は申し込み時に前払いすることが多く、10〜11月の支出に計上される分もあるが、それを考えても「3万円のおせちを毎年買う世帯」は多数派ではない。周りに合わせて予約する必要はない、ということだ。

6通りの調達方法を4人家族で比べる

4人家族(大人2人+小学生2人)が3〜4人前のおせちを用意する場合で、6つの方法を並べた。手間は、買い出し・調理・重箱詰め・受け取りにかかる時間の合計だ。

方法費用の目安1人あたり手間品数向いている家庭
A. 予約(百貨店・料亭・通販の平均帯)29,098円7,275円0.5時間20〜30品年末に台所に立ちたくない、見た目を重視する
B. 予約(量販店・スーパー・コンビニの1万円台)18,000円前後4,500円0.5時間15〜20品予約の手軽さはほしいが3万円は出せない
C. 単品を買って重箱に詰める15,100円3,775円1時間11品好きな品だけ食べたい、量を調整したい
D. 半分手作り(5品作り、6品買う)13,000円3,250円3.5時間11品家の味を残したい品がいくつかある
E. 全部手作り11,200円2,800円9時間11品作ること自体が年末の楽しみ
F. ふるさと納税の返礼品実質2,000円(控除上限の範囲内)—0.5時間商品による控除枠に余りがあり、使い道を決めていない

費用はC〜Eが同じ11品(黒豆・栗きんとん・伊達巻・紅白かまぼこ・数の子・田作り・紅白なます・煮しめ・昆布巻き・海老のうま煮・肉料理)をそろえる前提で、年末の首都圏スーパーの価格帯を想定した概算だ。Aの平均帯は品数が多く、見た目や器の分も価格に入っているので、11品と単純には比べられない点に注意してほしい。Bの18,000円は、量販店が売りにしている1万円台の価格帯から置いた例である。

品目ごとに「作る価値」を時給で見る

全部手作りか全部買うかの2択ではなく、品目ごとに決めるのが現実的だ。各品目について、手作りの材料費と、同じ量を単品で買った場合の価格、実際に手を動かす時間を並べ、「作ると浮くお金 ÷ 実作業時間」で時給を出した。

品目手作りの材料費単品で買うと作ると浮く額実作業時間時給換算
海老のうま煮(有頭5尾)2,000円2,500円500円30分1,000円
数の子(塩抜きは前日から)2,000円2,200円200円15分800円
煮しめ(根菜・鶏肉)1,500円2,500円1,000円90分667円
黒豆(煮る時間は約3時間、実作業30分)600円900円300円30分600円
田作り300円500円200円20分600円
紅白なます300円500円200円20分600円
肉料理(八幡巻・ローストビーフ等)1,500円2,000円500円60分500円
伊達巻400円700円300円40分450円
栗きんとん800円1,200円400円60分400円
昆布巻き600円900円300円120分150円
紅白かまぼこ(作らない)1,200円———
合計11,200円15,100円3,900円約8時間488円

※手作りの合計は、かまぼこを買う1,200円を含む。全部手作り(E)の手間9時間は、実作業約8時間(485分)に買い出しと重箱詰めの約1時間を足したもの。

計算式で確かめておく。

  • 全部手作り(E)と単品を詰める(C)の比較:(15,100円 − 11,200円)÷(9時間 − 1時間)= 1時間あたり488円
  • 全部手作り(E)と平均帯の予約(A)の比較:(29,098円 − 11,200円)÷(9時間 − 0.5時間)= 1時間あたり約2,106円
  • 半分手作り(D)と単品を詰める(C)の比較:(15,100円 − 13,000円)÷(3.5時間 − 1時間)= 1時間あたり840円

2026年10月からの東京都の最低賃金は1,280円。予約おせちと比べれば手作りは時給2,000円超の「割のいい家事」だが、スーパーの単品と比べると、どの品目も最低賃金を下回る。昆布巻きにいたっては2時間かけて300円しか浮かない。

つまり、お金の面で効いているのは「作るか買うか」より「重箱入りの完成品を予約するか、単品を買って自分で詰めるか」のほうだ。AとCの差は約1.4万円で、これは品数の多さ・盛り付け・器・年末に買い出しに行かなくていい手軽さへの対価と言える。

半分手作りなら「時給の高い品」か「家の味」を残す

それでも、毎年作っている品や家族が楽しみにしている味はある。半分手作り(D)は、上の表で時給の高い順に5品を作り、残りを買う組み合わせにした。

作る(5品)材料費買う(6品)価格
海老のうま煮2,000円黒豆900円
数の子2,000円栗きんとん1,200円
煮しめ1,500円伊達巻700円
紅白なます300円紅白かまぼこ1,200円
田作り300円昆布巻き900円
肉料理2,000円
小計6,100円小計6,900円

合計13,000円、実作業は175分(約2.9時間)で、買い出しと詰める時間を足して約3.5時間。全部手作りより1,800円高いが、台所に立つ時間は5.5時間短くなる。

作る品の選び方は、時給の高さだけでなく「その家の味かどうか」でいい。黒豆を毎年おばあちゃんのレシピで煮ているなら、時給600円でも残す価値がある。逆に、誰も手をつけない昆布巻きは、作るのも買うのもやめてしまう選択肢がある。毎年余る品をリストから外すだけで、食品ロスと出費が同時に減る。

ふるさと納税のおせちは「控除枠の使い道」として考える

ふるさと納税の返礼品でおせちを選ぶと、控除上限の範囲内なら自己負担は2,000円で済む。ただし、返礼品の調達費は寄付額の3割以下というルールがあるので、市価1万円相当のおせちを受け取るには、おおむね3万円以上の寄付が必要になる計算だ。

注意したいのは、ふるさと納税の控除上限は1年あたりの総額で決まっているということ。すでに米や日用品で枠を使い切る予定なら、おせちを選ぶと別の返礼品をあきらめることになる。おせちが「タダになる」のではなく、控除枠を何に使うかの選択肢の1つとして考えるのが正確だ。なお、2025年10月からはポータルサイトによるポイント付与が禁止されている。

おせちの返礼品は年内配送の受付を早めに締め切る自治体が多いので、選ぶなら11月中に決めておきたい。自分の控除上限はふるさと納税シミュレーターで計算できる。

冷凍と冷蔵、届く日と冷蔵庫の空きで選ぶ

予約おせちには、冷凍で届くものと冷蔵(生)で届くものがある。

  • 冷凍:12月29〜30日ごろに届く商品が多い。食べる前に冷蔵庫で丸1日前後の解凍が必要な商品が多く、三段重なら冷蔵庫の棚1段分の空きがいる。年末の買い出しで冷蔵庫が埋まる家庭は、届く前に場所を空けておく
  • 冷蔵(生):12月31日に届く商品が多い。解凍の手間はないが、配達日時の指定幅が狭く、受け取れないと再配達で元日に間に合わないこともある

冷凍食品と手作りの時間・コストの比べ方は、ふだんの食事でも同じ考え方が使える。平日の夕食で比べたい場合は冷凍食品 vs 手作りシミュレーター、外食との比較なら自炊 vs 外食シミュレーターが参考になる。

早割から元日までのカレンダー

時期やることお金のポイント
10月下旬〜11月予約するかどうかを決める早期割引・早期特典の期限は店ごとに違うので、各サイトで確認する
11月中旬帝国データバンクの2027年正月版の価格調査(例年この時期)平均価格の動きで、予約か単品詰めかを最終判断
11月中ふるさと納税でおせちを選ぶなら申し込む年内配送の受付締切が早い自治体が多い
12月上旬〜中旬予約の最終締切が多い時期締切直前は人気商品が売り切れやすい
12月28〜30日手作り・単品の買い出しかまぼこ・数の子・海老などは年末に値上がりしやすい。日持ちする乾物(黒豆・田作り・昆布)は中旬までに買っておく
12月29〜31日予約おせちの受け取り冷凍は解凍スペースの確保、冷蔵は受け取り時間の確保
1月2日以降売れ残りの値引き正月用の単品が値引きされることもあるが、元日に間に合わない

年末は食費全体がふくらむ月でもある。12月の食費が家族人数に対して多すぎないかは、食費の適正額シミュレーターで平均と比べられる。おせちが毎年余る家庭は、食品ロスシミュレーターで「捨てている金額」を出してみると、量を減らす決心がつきやすい。

よくある疑問

Q. 2人家族でも三段重を予約すべき?

三段重の多くは3〜4人前なので、2人だと元日から3日まで食べ続けても余りやすい。1〜2人前の一段重を予約するか、Cの「単品を詰める」方法で好きな品だけ買うほうが無駄が少ない。

Q. 早割で1割引になるなら、予約が一番お得では?

平均帯(29,098円)が1割引になっても26,188円で、単品を詰める方法(15,100円)より1万円以上高い。早割は「予約すると決めた人が少し安く買える仕組み」で、予約するかどうかの判断材料にはなりにくい。

Q. この記事の価格の前提は?

おせちの平均価格は帝国データバンク「おせち料理の価格動向調査(2026年正月)」、12月の支出は総務省「家計調査」第6-16表(二人以上の世帯、2025年10月・12月)による。手作りの材料費と単品価格は、年末の首都圏スーパーの価格帯を想定した概算で、地域や店によって上下する。数字が実感と違う場合は、お問い合わせから教えてほしい。

あなたの家のおせち、何品残っていますか

最後に1つだけ問いかけたい。去年のおせちで、三が日が終わったときに残っていた品はいくつあっただろう。

3品以上残っていたなら、予約の価格帯を1つ下げるか、単品を詰める方法に切り替えるだけで、1万円以上が浮く可能性がある。全部食べきったなら、今の選び方が家族に合っている証拠だ。手作りを続けるか迷っているなら、時給488円の8時間を「家族で過ごす年末の行事」として楽しめるかどうかで決めればいい。お金の計算は、その判断を邪魔しない程度に知っておけば十分である。

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