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不動産投資の表面利回りvs実質利回り|正しい計算方法と失敗しない物件選びを解説

不動産投資の表面利回りと実質利回りの違いを2,000万円・築15年のワンルームで計算。表面4.8%でも管理費・修繕積立金(国交省ガイドライン335円/㎡・月)・固定資産税(年約6.3万円)・空室を引くと実質2.8%、金利3.0%なら月約1.2万円の持ち出し。減価償却・家賃下落・利回り別の判断基準も解説。

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表面利回りだけで判断すると失敗する

不動産投資の物件情報に記載されている利回りは、ほとんどが「表面利回り」です。しかし実際の収益性を判断するには、経費を差し引いた「実質利回り」で評価しなければなりません。この差を理解せずに投資すると、想定より大幅に収益が低くなるリスクがあります。

表面利回りと実質利回りの計算式

表面利回り(グロス利回り)

表面利回りは最もシンプルな指標です。

表面利回り = 年間家賃収入 ÷ 物件購入価格 × 100

実質利回り(ネット利回り)

実質利回り = (年間家賃収入 − 年間経費) ÷ (物件購入価格 + 購入時諸経費) × 100

分母に購入諸経費を加え、分子から毎年の経費を差し引くため、実際のキャッシュフローに近い数字が出ます。

具体例:2,000万円のワンルームマンション投資

物件概要

都区部の築15年・専有面積25㎡の中古ワンルームを想定します(新築の投資用ワンルームは表面3%台が多く、表面4.8%は中古の水準です)。

項目金額
物件価格2,000万円
購入時諸経費(約7%)140万円
月額家賃8万円
年間家賃収入96万円

購入諸経費7%の内訳は、仲介手数料(約3%)、登記費用(約1%)、不動産取得税(約1.5%)、ローン手数料・火災保険等(約1.5%)です(不動産流通推進センター調べ)。

年間経費の内訳

年間経費金額備考
建物管理費5.3万円月約4,400円(国交省 令和5年度マンション総合調査の㎡当たり管理費 約178円×25㎡)
修繕積立金10万円月約8,400円(国交省ガイドライン335円/㎡・月×25㎡)
固定資産税・都市計画税6.3万円建物4.4万円+土地1.9万円(下の「固定資産税はいくらかかるか」で計算)
賃貸管理委託費(実効家賃の5%)4.3万円管理会社への委託費
火災保険料1.5万円RC造区分マンション(地震保険込み)の目安
空室損失(空室率10%)9.6万円年1.2か月分の空室に相当
年間経費合計37.0万円

利回り比較

利回り計算式結果
表面利回り96万 ÷ 2,000万4.8%
実質利回り(96万 − 37.0万) ÷ (2,000万 + 140万)2.8%

表面利回りと実質利回りの差は約2.0ポイント。この差を把握せずに投資判断をするのは危険です。

ローン返済まで入れた「手元に残るお金」

利回りだけでなく、ローン返済後のキャッシュフローも確認しましょう。不動産投資利回り計算シミュレーターのデフォルト設定(同じ2,000万円のワンルーム・頭金20%・金利3.0%・35年、上の表と同じ経費)で計算すると、次のようになります。

項目金額
年間家賃収入96万円
空室損失(10%)−9.6万円
経費(管理費・修繕積立金・固定資産税・委託費・保険)−27.4万円
年間ローン返済(借入1,600万円)−約73.9万円(月約61,600円)
年間キャッシュフロー約−14.9万円(月約−12,400円)

自己資金は頭金400万円+購入諸経費140万円=540万円。それでも毎月約1.2万円の持ち出しになり、家賃からの手残り(月約4.9万円)ではローン返済を賄えません。「表面4.8%」の物件でも、金利3%で8割を借りると手元の現金は毎月減っていく——この感覚を持っておくと、営業トークの「利回り」に惑わされにくくなります。

固定資産税はいくらかかるか:購入価格ではなく「面積×築年数」で決まる

固定資産税の建物の評価額は、購入価格ではなく「同じ建物を今建て直したらいくらかかるか(再建築費)」から築年数に応じた経年減点を差し引いて決まります(総務省「固定資産税制度について」)。そのため、同じ2,000万円でも新築か築15年かで税額が大きく変わります。シミュレーターでは次の式で推計しています。

建物の評価額 = 床面積 × 新築時の評価単価 × 経年減点補正率

要素値出典
新築時の評価単価(RC造共同住宅)166,000円/㎡東京法務局「新築建物課税標準価格認定基準表」(令和6年度)
経年減点補正率(非木造・築15年)0.6225法務局「経年減価補正率表」(固定資産評価基準の平均値)
土地の評価額時価の7割総務省(地価公示の7割目途)
住宅用地特例(200㎡以下)固定資産税1/6・都市計画税1/3地方税法
税率固定資産税1.4%+都市計画税0.3%標準税率・制限税率

2,000万円・25㎡・築15年のワンルームなら、建物は25㎡×166,000円×0.6225=約258万円で税額4.4万円、土地は物件価格の4割(800万円)×7割=560万円に特例を掛けて1.9万円、合計年約6.3万円です。同じ部屋が新築なら建物の評価額は約398万円になり、税額は年約8.6万円。注意したいのは新築住宅の減額(マンションは5年間、建物の固定資産税が半額)は1戸40㎡以上が要件で、25㎡前後の投資用ワンルームは新築でも対象外という点です(令和8年4月1日以降の新築は40㎡以上240㎡以下)。

RC造マンションの評価額は実際には60年かけて下限の2割まで下がるため、築20〜40年の物件ではこの推計が1〜3割低めに出ることがあります。購入前に売主から固定資産税の納税通知書(または評価証明書)を見せてもらい、シミュレーターの詳細設定に実額を入れるのが確実です。保有中の税額の推移は固定資産税シミュレーターでも確認できます。

修繕積立金はいくらが妥当か:国交省ガイドラインで確認

区分マンションのオーナーは、管理組合に「管理費」と「修繕積立金」を毎月払います。修繕積立金の妥当な水準は、国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(令和6年6月改定)が、30年以上の計画期間の平均額として示しています。

建物(20階未満)平均値事例の3分の2が入る幅25㎡換算(平均)
延床5,000㎡未満335円/㎡・月235〜430円約8,400円/月
延床5,000〜10,000㎡252円/㎡・月170〜320円約6,300円/月
延床10,000〜20,000㎡271円/㎡・月200〜330円約6,800円/月
20階以上338円/㎡・月240〜410円約8,500円/月

投資用ワンルームは小規模な建物が多いため、上の例では335円×25㎡=月約8,400円としました。管理費は同省「令和5年度マンション総合調査」の㎡当たり管理費(使用料充当を除く。全体平均158.6円、20戸以下176.2円・21〜30戸178.7円/月)から、小規模棟の約178円×25㎡=月約4,400円としました(1戸あたりの全体平均は11,503円/月ですが、ファミリー向けを含む平均なのでワンルームには高すぎます)。実際の物件の金額に置き換えてください。

注意したいのは、新築や築浅の物件ほど修繕積立金が目安より安く設定されている点です。同調査では修繕積立金を段階的に上げる方式が47.1%を占め、令和2年以降に完成したマンションの平均は月9,666円(1戸あたり)にとどまります。購入時の積立金が目安を大きく下回る物件は、将来の値上げや一時金を見込んで収支を計算しましょう。シミュレーターの詳細設定では、物件タイプを選ぶと「ガイドライン平均×専有面積」の修繕費(ワンルーム25㎡で年約10万円、ファミリー70㎡で年約28万円)が自動で入ります。

減価償却:確定申告で使える「帳簿上の経費」

不動産投資の大きなメリットの一つが減価償却による節税効果です。

新築の法定耐用年数はRC造47年・重量鉄骨造34年・木造22年です。中古は「簡便法」で(法定耐用年数−築年数)+築年数×20%に短くなり、築15年のRC造なら(47−15)+15×0.2=35年です。2,000万円の物件(建物比率60%)なら次のとおりです。

  • 建物価格: 2,000万 × 60% = 1,200万円
  • 年間償却額(築15年のRC造): 1,200万 ÷ 35年 = 約34.3万円/年(新築なら47年で約25.5万円/年)

この34.3万円は帳簿上の経費として計上でき、給与所得と損益通算することで所得税・住民税の軽減が見込めます。ただし、売却時に譲渡所得として課税されるため、出口戦略も含めた総合的な判断が必要です。

家賃下落と空室率:長期シミュレーションの重要性

三井住友トラスト基礎研究所の調査によると、賃貸マンションの家賃は築年数に応じて年0.5〜1%程度下落します。

経過年数家賃下落率(累計)月8万円の場合
10年後-5〜10%7.2〜7.6万円
30年後-14〜26%5.9〜6.9万円

空室率は東京23区で5〜8%、地方では20%を超える地域もあります。長期保有なら、家賃下落と空室率の両方を織り込んで試算しましょう。

投資判断の目安:利回り別ガイド

実質利回り判定コメント
5%以上優良ローン金利とのイールドギャップ十分。地方物件に多い
3〜5%標準都心物件ならまずまず。キャッシュフローは出にくい
2〜3%要注意ローン金利次第では赤字の可能性。資産価値の上昇を見込む場合のみ
2%未満危険金利上昇や空室で即赤字。初心者は避けるべき

ポイント: ローン金利との差(イールドギャップ)が2%以上あるかどうかが重要な判断基準です。投資用ローンは自宅用の住宅ローン(2026年10月の変動金利で概ね1.0〜1.8%)より高く、オリックス銀行の不動産投資ローン(変動)は2026年10月1日現在で適用金利が年2.675〜4.675%(店頭表示4.675%)です(日銀は9月18日に政策金利を1.25%程度へ引き上げ)。金利3%前後で借りるなら実質利回り5%以上が合格ラインです。

少額から試すなら

いきなり現物の区分マンションはハードルが高いと感じる場合は、1万円台から買えるREIT(不動産投資信託)や、1口1万円からの不動産クラウドファンディングで「不動産から収益を得る感覚」を先に体験するのも一つの方法です。

よくある質問(FAQ)

Q1. この記事の前提データはどこから来ていますか?

修繕積立金は国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(令和6年6月改定)の平均目安、管理費は同省「令和5年度マンション総合調査」の㎡当たり平均、固定資産税は総務省の評価方法(建物は再建築費×経年減点、土地は地価公示の7割目途・住宅用地特例)に沿って東京法務局の新築建物課税標準価格認定基準表(令和6年度)と経年減価補正率表で推計、購入諸経費率は不動産流通推進センターの統計(新築3〜7%・中古6〜10%)、家賃下落率は三井住友トラスト基礎研究所の調査(年0.5〜1%程度)、減価償却は税法上の法定耐用年数(RC造47年・木造22年)と中古の簡便法に基づいています(2026年10月20日確認)。シミュレーターのデフォルト値も同じ出典で、「計算の前提条件を確認する」から全パラメータを確認できます。

Q2. 不動産会社の収支シミュレーションはどこをチェックすべきですか?

要注意なのは(1)空室率が0〜5%と楽観的、(2)家賃が35年間下落しない前提、(3)修繕費・原状回復費が含まれていない、(4)金利が全期間固定の最低水準、の4点です。同じ物件条件をシミュレーターの詳細設定に入力し、空室率10〜15%・家賃下落率0.5〜1%で再計算して、それでもキャッシュフローが黒字かを確認しましょう。

Q3. 「節税になるから」と勧められました。本当ですか?

減価償却による節税効果は本物ですが、効果が大きいのは(1)課税所得900万円超(所得税率33%以上)の高所得者、(2)建物比率・償却期間の関係で償却額が大きい物件、に限られます。年収500〜600万円の会社員では所得税率が10〜20%のため、節税額より物件の収支悪化の方が大きい「節税倒れ」になりがちです。節税は副次効果と考え、物件単体のキャッシュフローで判断するのが原則です。

Q4. 売却するときの税金はどうなりますか?

譲渡所得(売却益)には、所有期間5年以下で39.63%、5年超で20.315%の税金がかかります。減価償却した分は取得費から差し引かれるため、保有中に節税した分だけ売却時の課税所得は増える点に注意してください。売却価格から仲介手数料・税金・ローン残債を引いた手取り額は自宅売却手取りシミュレーターで計算できます(投資用は3,000万円特別控除の対象外です)。

Q5. 数字が実感と合わない場合は?

利回り・経費は物件の築年数・構造・エリアで大きく変動します。この記事の数字は全国平均的な概算のため、実際の物件では登記簿・管理組合資料・固定資産税納税通知書の実額をシミュレーターの詳細設定に入力して再計算してください。前提と大きくずれる事例があればお問い合わせフォームからお知らせください。

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