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予定納税は年収いくらから?フリーランスは事業所得約440万円・副業会社員は利益73万〜147万円が目安——15万円基準と減額申請

予定納税の対象は『前年の所得税(申告納税額)が15万円以上』の人。年収ベースの目安は、単身フリーランス(青色申告)で事業所得約440万円〜、会社員の副業なら利益約73万〜147万円〜(本業年収による)。所得別の納付額早見表、7月末・11月末の納付スケジュール、収入減のときの減額申請、払えないときの猶予まで国税庁の根拠に沿って解説する。

先に結論から。予定納税の対象になるのは「前年の所得税(予定納税基準額)が15万円以上」の人で、年収ベースの目安は単身フリーランス(青色申告65万円控除)なら事業所得(売上−経費)およそ440万円、会社員の副業なら副業利益およそ73万〜147万円(本業の年収による)から。対象になると、前年の所得税の3分の1ずつを7月31日と11月30日までに前払いする。

6月中旬、フリーランス2年目のデザイナーのもとに、税務署から見慣れない封筒が届いた。開けると「予定納税額の通知書」。第1期分12万円を7月31日までに、第2期分12万円を11月30日までに納付せよ、とある。

「所得税なら3月に払ったはず。なぜまた24万円も?」——これが、独立2年目の多くの人が経験する"夏の資金ショック"だ。

最初に押さえたいのは、予定納税は追加の税金ではなく、今年の所得税の前払いだということ。払った分は翌年の申告で全額精算され、払いすぎていれば利息相当額まで付いて戻ってくる。問題は税額そのものではなく、支払いタイミングが資金繰りに刺さることにある。この記事では、誰が対象になり、いくら・いつ払うのか、収入が減ったときに使える減額申請、どうしても払えないときの選択肢までを順に整理する。

予定納税の骨格——対象・時期・金額

予定納税は所得税法に定められた制度で、その年の5月15日時点で確定している前年分の所得・税額から計算した「予定納税基準額」が15万円以上になる人に自動的に適用される(国税庁タックスアンサーNo.2040)。希望制ではなく、対象になれば税務署長からその年の6月15日までに書面(e-Tax利用者は電子通知)で通知が届く。

項目内容
対象者予定納税基準額が15万円以上の人
予定納税基準額原則、5月15日時点で確定している前年分の申告納税額(復興特別所得税を含む)
第1期7月1日〜7月31日に基準額の3分の1を納付(2026年は7月31日金曜が期限)
第2期11月1日〜11月30日に基準額の3分の1を納付(2026年は11月30日月曜が期限)
残り翌年の申告(第3期)で年間の税額を確定して精算
通知6月15日までに税務署から「予定納税額の通知書」

前年の申告納税額が36万円だった人なら、第1期12万円・第2期12万円。今年の所得が前年並みなら、翌年3月の納付は残りの約12万円で済む。年間の税額を3回に分けて払っているだけで、トータルの負担は変わらない。

なお、予定納税基準額は原則「前年分の申告納税額」だが、前年に譲渡所得(土地・建物や株式の売却益)、一時所得、雑所得、山林所得、退職所得などの「除外所得」があった場合は、それらがなかったものとして計算し直した税額から源泉徴収税額を引いた額が基準額になる。前年だけ突発的に税額が膨らんだ人まで前払いさせない設計で、副業の収入を雑所得で申告している会社員は、その分が予定納税の計算から外れる点が重要だ(分離課税を選んだ上場株式の配当は除外されない)。

もう一つ、2026年ならではの注意点がある。令和8年度税制改正で所得税の基礎控除が引き上げられたが、この見直しは2026年分の予定納税額の計算にも減額申請の見積額にも反映されない(国税庁は「確定申告の際に考慮され、最終的な年間の所得税額において精算されます」と明記)。基礎控除が増えた分は、2027年3月の確定申告で第3期の納付額が減る(または還付が増える)形で戻ってくる。

予定納税は年収いくらからかかる?——所得別の早見表

基準は「年収」ではなく「前年の所得税額15万円」なので、同じ売上でも経費や控除によって対象かどうかは変わる。ここでは単身・35歳・青色申告65万円控除・国民年金(2026年度 月17,920円)・国保は東京都区部目安という条件で、事業所得(売上−経費)ごとの所得税額と予定納税の有無を試算した。

事業所得(売上−経費)前年の所得税(復興税込み)予定納税第1期・第2期の各納付額
400万円約9.8万円対象外−
440万円約15.4万円対象約5.1万円
500万円約20.9万円対象約7.0万円
600万円約37.6万円対象約12.5万円
700万円約56.0万円対象約18.7万円

この条件では事業所得440万円前後が予定納税のラインになる。経費率2割なら売上ベースでおよそ550万円だ。扶養家族がいる、iDeCoや小規模企業共済に入っているなど控除が多い人はラインがさらに上がる。自分の数字は個人事業主の税金・手取りシミュレーターに売上と経費を入れれば、所得税額(=予定納税の基準額)まで確認できる。

会社員(給与所得者)の場合は、給与の所得税が源泉徴収で完結しているため、基準になるのは確定申告で源泉徴収額を差し引いた後に「追加で納めた税額」だ。副業を事業所得(または不動産所得)として申告している場合、本業年収500〜600万円(限界税率10%)なら副業利益およそ147万円(15万円÷10.21%)、本業年収800万円以上(同20%)ならおよそ73万円(15万円÷20.42%)を超えたあたりから予定納税の対象になり得る。一方、副業を雑所得で申告している場合は、前述の除外所得にあたるため、副業の利益がいくら大きくても予定納税の基準額には算入されない。

なぜ「2年目の7月」に来るのか——フリーランスの支払いカレンダー

独立1年目は前年の申告実績がないので予定納税は来ない。初めて通知が届くのは、初回の申告を終えた2年目の6月だ。しかも、この時期はほかの支払いと重なる。課税所得400万円弱・前年の申告納税額36万円のフリーランスを例に、2年目の支払いを並べてみる。

時期支払い金額の目安
3月前年分の所得税(申告後に一括)36万円
6月住民税 第1期(普通徴収・年4回払い)約10万円
6月〜国民健康保険料の新年度分スタート月3〜4万円
7月予定納税 第1期12万円
8月住民税 第2期約10万円
11月予定納税 第2期12万円

3月に36万円を払い終えてほっとした3ヶ月後に、住民税・国保・予定納税が立て続けに来る。「税金は3月にまとめて」ではなく「6〜8月が本当の山場」——これがフリーランス2年目のキャッシュフローの実態だ。会社員時代は給与天引きで意識しなかった負担構造については、会社員とフリーランスの手取り比較シミュレーターで年間ベースの違いを確認できる。

対策はシンプルで、売上入金のたびに税金・社会保険分(目安3割)を別口座に退避しておくこと。加えて、青色申告のメリットシミュレーターで確認できる青色申告特別控除65万円は、所得税だけでなく予定納税基準額・住民税・国保まで連動して軽くする効果がある。

収入が減ったら——減額申請は7月15日まで

前払いの金額は「前年並みに稼ぐ」前提で決まる。今年の業績が明らかに落ちているなら、「予定納税額の減額申請書」を出して前払い額そのものを減らせる。

  • 第1期・第2期の両方を減らす: その年6月30日時点の状況で年間の税額を見積もり、7月1日〜7月15日に税務署へ提出(e-Tax可)
  • 第2期だけ減らす: 10月31日時点の状況で見積もり、11月1日〜11月15日に提出。期限が土日祝日なら翌日が期限で、2026年は11月15日が日曜日のため11月16日(月)まで

2026年の第1期の減額申請はすでに締め切られているが、夏以降に受注が落ちた人は、11月の第2期分だけでも減額を申請できる。なお、前述のとおり令和8年度改正の基礎控除の引き上げは見積額の計算上考慮されないため、「基礎控除が増えたから」という理由だけでは減額の対象にならない。

承認されるのは、見積もった申告納税見積額が予定納税基準額を下回る場合。典型的な理由には次のようなものがある。

  • 廃業・休業・失業した
  • 業況不振で、今年の所得が前年を明らかに下回る見込み
  • 災害・盗難・横領で資産に損害を受けた
  • 多額の医療費を支出した、扶養家族が増えたなど、控除が大きく増える

たとえば前年の申告納税額36万円(各期12万円)の人が、今年は受注減で申告納税見積額18万円と見積もった場合、承認されれば各期の納付は6万円に下がる。見積もりの根拠(帳簿上の売上推移など)を添えて申請する。

見逃されがちだが、「単に手元にお金がない」は減額申請の理由にならない。減額はあくまで「今年の税額見込みが下がった」場合の制度だ。

払えない・忘れたときはどうなる

納期限を過ぎると、翌日から延滞税がかかる。税率は原則、納期限の翌日から2ヶ月以内が年7.3%・それ以降が年14.6%だが、低金利下では延滞税特例基準割合により引き下げられている。ただし金利上昇を受けて、2026年(令和8年)1月1日以後の期間は年2.8%・9.1%と、2022〜2025年の年2.4%・8.7%から上がった(国税庁タックスアンサーNo.9205)。2026年分の予定納税に当てはめると次のとおりだ。

区分遅れて納付した日延滞税の割合
第1期分(7月31日期限)2026年8月1日〜9月30日年2.8%
第1期分2026年10月1日〜12月31日年9.1%
第2期分(11月30日期限)2026年12月1日〜12月31日年2.8%
第1期・第2期分2027年1月1日以後2027年の割合(前年11月30日までに告示)

たとえば第1期分12万円を2ヶ月半遅れて10月15日に納めた場合、8月1日〜9月30日の61日分が12万円×2.8%×61/365≒561円、10月1日〜15日の15日分が12万円×9.1%×15/365≒448円で、合計は約1,000円になる(延滞税は1,000円未満なら全額切り捨て、100円未満の端数も切り捨て)。金額はわずかでも、2ヶ月を境に税率が約3.3倍に跳ね上がる構造は変わらない。

実務上の落とし穴が振替納税の残高不足だ。口座振替を設定していると納期限(7月31日・11月30日)に自動引き落としされるが、残高が足りず振替不能になると、納期限の翌日から納付する日まで延滞税がかかる。通知書が届いたら、まず振替口座の残高を確認しておきたい。

どうしても納付が難しい場合は、放置せずに税務署へ相談すれば、換価の猶予・納税の猶予(原則1年以内の分割納付、延滞税の軽減あり)という正規の出口がある。

精算の仕組み——払いすぎは利息付きで戻る

翌年の申告で年間の所得税額が確定すると、予定納税で払った分が差し引かれる。

```
第3期に納める税額 = 年間の確定税額 − 予定納税額(第1期 + 第2期)
```

この計算がマイナスになれば差額は還付され、しかも納付日からの期間に応じた還付加算金(利息に相当)が上乗せされる。減額申請を出しそびれて多めに前払いしても、最終的な税負担が増えるわけではない——影響するのは、あくまで手元資金の厚さだけだ。

なお、予定納税の額は所得税の計算だけで決まるが、フリーランスの手取りを考えるうえでは住民税・国保とセットで見る必要がある。住民税シミュレーターで普通徴収の年間額を、フリーランスの適正単価シミュレーターで税・保険料込みで逆算した必要単価を確認しておくと、翌年の資金計画が立てやすい。

よくある質問

Q. 予定納税は年収いくらから対象になる?

A. 基準は年収ではなく「前年の所得税(申告納税額)15万円以上」。目安としては、単身・青色申告65万円控除のフリーランスで事業所得(売上−経費)約440万円、経費率2割なら売上約550万円から。扶養控除・iDeCo・小規模企業共済などの控除が多いほどラインは上がる。本記事の早見表と個人事業主の税金シミュレーターで自分の位置を確認できる。

Q. 予定納税額はいくら?計算方法は?

A. 予定納税基準額(原則、前年分の申告納税額)の3分の1ずつを第1期(7月)・第2期(11月)に納付する。前年の所得税が21万円なら各期7万円、37.5万円なら各期12.5万円。金額は6月15日までに届く「予定納税額の通知書」に印字されており、自分で計算して申告する必要はない。

Q. 会社員なのに予定納税の通知が来た。なぜ?

A. 予定納税は職業ではなく「前年の申告納税額」で決まる。事業所得として申告した副業、不動産所得、分離課税を選んだ上場株式の配当などで、源泉徴収では足りない納税額が15万円以上あれば会社員でも対象になる。逆に、雑所得の副業や株式・不動産の売却益、一時所得は除外所得として計算から外れるため、それだけで通知が来ることはない。副業側の税額感は副業の税金シミュレーターで把握できる。

Q. 消費税にも同じような前払いがある?

A. ある。前年の確定消費税額(国税分)が48万円を超えると、消費税の中間申告・中間納付が発生する。予定納税(所得税)とは別の制度で、通知も納期も別に来るため、インボイス登録した課税事業者は両方をカレンダーに載せておく必要がある。

Q. 通知書が来ない。自分は対象外?

A. 予定納税基準額が15万円未満なら対象外で、何も届かない。前年の申告納税額が14万円台までの人は、翌年の申告時にまとめて納付する通常のサイクルのままだ。

Q. 2026年の基礎控除の引き上げで、予定納税額は自動的に減る?

A. 減らない。令和8年度税制改正による基礎控除の見直しは、2026年分の予定納税額にも減額申請の見積額にも反映されず、2027年の確定申告で精算される(国税庁タックスアンサーNo.2040)。前年と同じ所得なら予定納税はやや多めの前払いになるが、差額は第3期の納付額の減少か還付で戻ってくる。

Q. 納期限に遅れたら延滞税はいくら?

A. 2026年中の期間は、納期限の翌日から2ヶ月以内が年2.8%、それ以降が年9.1%。第1期分(7月31日期限)なら9月30日までの納付は年2.8%で済み、12万円を1ヶ月遅れても延滞税は約280円で、1,000円未満は切り捨てのため実際には0円になる。ただし10月以降は年9.1%に上がるため、遅れるなら早めに納めるのが原則だ。

Q. 減額申請が却下されたら損をする?

A. 最終的な税額は翌年の申告で確定するため、損得は生じない。前払いが多かった分は還付加算金付きで戻る。却下で失うのは「手元資金の余裕」だけなので、承認の見込みが薄くても資金計画側で備えれば足りる。

Q. 早見表の数字が自分の実感と合わない場合は?

A. 本記事の試算は単身・35歳・青色申告65万円控除・国保は東京都区部目安という条件で、個人事業主の税金シミュレーターの計算式をそのまま実行した値。扶養家族・iDeCo・共済掛金・国保料率(自治体差)で所得税額は大きく変わるため、シミュレーターで自分の条件に合わせて再計算してほしい。それでも疑問が残る場合はお問い合わせからご指摘いただきたい。

通知書が届いたら——今月のチェックリスト

  • [ ] 通知書の第1期・第2期の金額と納期限(7月31日・11月30日)を確認した
  • [ ] 振替納税の設定有無と、引き落とし口座の残高を確認した
  • [ ] 今年の業績が前年より明らかに悪いなら、7月15日まで(第2期のみなら11月15日まで。2026年は11月16日)の減額申請を検討した
  • [ ] 第2期分(11月)の資金を、いま別口座に取り分けた
  • [ ] 来年に向けて、売上入金の約3割を税金・保険料用に自動退避する仕組みを作った

前払いの通知は、見方を変えれば「今年もこのペースで稼ぐはず」という税務署からの見立てでもある。その見立てと自分の実態がずれているなら減額申請で調整し、合っているなら粛々と資金を並べる——予定納税との付き合い方は、この二択に尽きる。

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