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介護休業給付金とは|雇用保険から賃金67%・最大93日支給される仕組みと申請手順【2026年版】

介護休業給付金は、家族の介護で会社を休んだ会社員に賃金の67%を最大93日支給する雇用保険の制度。対象家族の範囲、3回までの分割取得、賃金日額の上限(45〜60歳で日額17,260円)、給付金の上限月額33.6万円、申請の流れを法令と公式数値から解説します。介護休業・介護休暇・短時間勤務との使い分けも整理。

「親が要介護2と認定された。仕事を辞めるしかないのか——」

そう考える前に、もう一つの選択肢を必ず数字で検討してほしい。それが介護休業給付金だ。雇用保険から、休業前の賃金の67%が最大93日にわたって支給される。月給30万円であれば、休業中の手取りに近い金額(約20.1万円)が、働かなくても入ってくる計算になる。

ところが厚生労働省「令和3年度雇用均等基本調査」によれば、介護休業の取得率は男性で1.5%、女性で4.0%。育児休業(男性30%超)に比べて知名度も活用率も極端に低い。「制度を知らなかったから離職した」というケースが今も多数派なのが現実だ。

この記事では、介護休業給付金の仕組みを「対象範囲」「支給額の計算」「申請手順」「他制度との使い分け」の4ブロックに分けて整理する。あわせて介護離職の収入インパクトシミュレーターで、休業した場合・離職した場合の生涯収入差も具体的に確認できる。

介護休業給付金の基本|雇用保険から支給される現金給付

介護休業給付金は、健康保険でも年金でもなく雇用保険から支給される。失業保険(基本手当)や育児休業給付金と同じ財源で、毎月の給与から自動的に天引きされている雇用保険料の中に、この給付の原資が含まれている。

項目内容
根拠法令雇用保険法 第61条の4
支給元雇用保険(厚生労働省)
給付率休業開始時賃金日額の67%
支給日数対象家族1人につき通算93日(最大3回まで分割可)
支給上限月額336,474円(賃金月額の上限502,200円×67%、2024年8月改定値)
申請窓口事業主経由でハローワーク

賃金月額の上限は毎年8月1日に「毎月勤労統計」の平均給与額をもとに改定される。2026年8月以降の数値は最新のハローワーク公式案内で必ず確認すること。

育児休業給付金との給付率の違い

同じ雇用保険からの給付でも、育児休業給付金とは支給期間と給付率の構造が異なる。混同しやすいので一度整理しておく。

給付の種類給付率支給期間
育児休業給付金(180日まで)67%最大1歳まで(保育所未確定なら最大2歳)
育児休業給付金(181日以降)50%同上
介護休業給付金67%(最後まで一律)対象家族1人につき通算93日
出生後休業支援給付金13%加算(合計80%相当)14日以内に夫婦同時取得時

育休のように後半で支給率が下がることはないが、期間が93日と短く区切られている点が最大の制約となる。

対象家族の範囲|「配偶者の祖父母」まで含まれる

介護休業の対象となる「対象家族」は、育児・介護休業法 第2条で次のように定義されている。

  • 配偶者(事実婚を含む)
  • 父母(養父母を含む)
  • 子(養子・特別養子縁組を含む)
  • 配偶者の父母
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹

ポイントは、配偶者の祖父母までは対象に含まれないこと。「妻の祖母の介護で休む」場合は、原則として介護休業給付金の対象外となる(妻が取得することは可能)。

「要介護状態」の定義|要介護認定2以上が目安

対象家族が「2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態」にあることが、給付の前提条件となる。具体的な判定基準は厚生労働省「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」に示されており、要介護認定の要介護2以上であれば、原則として該当する。

要介護1以下や、認定を受けていないケースでも、次の12項目のうち2項目以上が一定レベル以上であれば対象となる。

  1. 座位保持
  2. 歩行
  3. 移乗
  4. 水分・食事摂取
  5. 排泄
  6. 衣類の着脱
  7. 意思の伝達
  8. 外出すると戻れない
  9. 物を壊したり衣類を破く
  10. 周囲の者が何らかの対応をとらなければならないほどの物忘れ
  11. 薬の内服
  12. 日常の意思決定

要介護認定が出ていない段階でも、医師の診断書と職場への申し出によって介護休業を取得できる仕組みになっている。

受給条件|雇用保険被保険者と「12ヶ月ルール」

介護休業給付金を受給するには、本人側の条件として次の3つをすべて満たす必要がある。

  1. 雇用保険の被保険者であること
  2. 介護休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数11日以上ある月(または賃金支払の基礎となった時間数が80時間以上ある月)が12ヶ月以上あること
  3. 介護休業期間中の各支給単位期間(1ヶ月)に、就業した日数が10日以下であること

3つ目の「就業日数10日以下」は意外と見落とされる条件だ。介護休業中に在宅勤務で半日働いた日も「就業日」としてカウントされる。月の半分以上働くと、その月の給付金は不支給となるので注意が必要。

有期雇用労働者の特例

2022年4月改正で、有期雇用労働者の取得要件も大幅に緩和された。改正前は「1年以上の継続雇用」が必須だったが、現在は次の1点のみで取得可能となっている。

  • 介護休業取得予定日から93日経過日+6ヶ月を経過するまでに、労働契約期間が満了し更新されないことが明らかでないこと

つまり、契約社員・派遣社員でも、契約が93日+6ヶ月(おおむね9ヶ月)の間に終わる見込みでなければ取得できるようになった。

支給額の計算式|月収別早見表

介護休業給付金の支給額は、休業開始時の賃金から算出された「賃金日額」をベースに計算される。

計算式

```
支給額 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%
```

休業開始時賃金日額= 休業開始前6ヶ月の賃金総額 ÷ 180日

月収別の介護休業給付金(93日フル取得した場合)

月収(額面)賃金日額1日あたり給付額93日合計月額換算
月20万円約6,667円約4,467円約415,400円約13.4万円
月25万円約8,333円約5,583円約519,200円約16.7万円
月30万円10,000円6,700円623,100円約20.1万円
月35万円約11,667円約7,817円約727,000円約23.5万円
月40万円約13,333円約8,933円約830,700円約26.8万円
月50万円約16,667円約11,167円約1,038,500円約33.5万円

賃金日額には上限がある(年齢区分別)

賃金日額には年齢区分別の上限があり、これを超える場合は上限額で計算される(2024年8月1日改定値)。

年齢区分賃金日額上限1日あたり給付上限
30歳未満14,130円9,467円
30〜45歳未満15,690円10,512円
45〜60歳未満17,260円11,564円
60〜65歳未満16,490円11,048円

介護に直面する年齢層の中心である45〜60歳の場合、月額の給付上限は約33.6万円となる。月収50万円超の高所得者でも、給付金は33.6万円が上限という点に注意。

社会保険料の自己負担分は介護休業中も発生する一方で、賃金は事業主から支払われない(あるいは大幅に減額される)ため、休業中の実質手取り感覚は手取り計算シミュレーターで平時と比較しておくと判断しやすい。

申請の流れ|事業主経由でハローワークへ

介護休業給付金は本人がハローワークに直接行く必要はない。手続きは原則として事業主が代行する。

ステップ別の手順

  1. 本人 → 事業主:休業開始予定日の2週間前までに、介護休業申出書を提出
  2. 事業主 → 本人:介護休業取扱通知書の交付
  3. 介護休業の開始
  4. 休業終了後 → 事業主:本人が「介護休業給付金支給申請書」に署名・押印
  5. 事業主 → ハローワーク:休業終了日の翌日から2ヶ月後の月末までに、賃金台帳・出勤簿等の添付書類とともに提出
  6. ハローワーク → 本人口座:審査後、約1〜2ヶ月で振込

必要書類

  • 介護休業給付金支給申請書(事業主から交付)
  • 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
  • 賃金台帳・出勤簿(休業開始前6ヶ月分)
  • 介護対象家族の住民票記載事項証明書(続柄確認用)
  • 医師の診断書または要介護認定通知書のコピー
  • 本人名義の振込口座が分かるもの(通帳の写しなど)

申請期限は休業終了日の翌日から2ヶ月後の月末まで。これを過ぎると時効により給付金が受給できなくなるため、事業主担当者と連携してスケジュールを管理する必要がある。

介護休業・介護休暇・短時間勤務の違い|3つの制度を使い分ける

「介護休業給付金」とよく混同される制度が2つある。下表で違いを整理した。

項目介護休業(給付金あり)介護休暇短時間勤務等の措置
取得単位通算93日(3回まで分割)1日または時間単位期間制限なし
取得日数対象家族1人につき93日対象家族1人につき年5日(2人以上で年10日)
給付金あり(賃金の67%)なし(無給または有給扱いは会社規程による)なし
主な用途まとまった休業(施設探し・退院手続き等)通院付き添い・ケアマネとの打合せ等日常的な見守り・送迎を継続的に行う
申出期限2週間前まで当日でも可原則1ヶ月前

実務的な使い分けの目安は次のとおり。

  • 介護休業:要介護認定の申請から、ケアプラン確定、施設入居(または在宅介護体制構築)までの3〜4週間の集中対応期間に活用
  • 介護休暇:定期的な通院付き添いやケアマネとの面談など、スポット対応に活用
  • 短時間勤務:在宅介護を続けながら、毎日の送迎・食事介助のために継続的に労働時間を減らすときに活用

3つを組み合わせれば、介護休業93日を使い切ったあとも、短時間勤務に切り替えて働き続ける選択が可能になる。離職せずに介護と仕事を両立するための「3段ロケット」と覚えておくとよい。

2025年4月施行の育介法改正|事業主の周知義務が強化

2025年4月1日施行の改正育児・介護休業法では、介護離職を防ぐための事業主側の義務が大幅に強化された。実務上、影響の大きいポイントを3つに整理する。

改正1:介護に直面した労働者への個別周知・意向確認の義務化

労働者が「家族の介護に直面した」旨を申し出た場合、事業主は介護休業制度・介護両立支援制度について個別に周知し、意向を確認することが義務付けられた(面談・書面・FAX・電子メール等いずれの方法でも可)。これまで「知らなかった」という労働者が多かったため、制度説明を事業主側に義務付けた形だ。

改正2:40歳到達時の情報提供の義務化

労働者が40歳(介護保険料の徴収が開始される年齢)に達した日の属する年度に、介護休業・介護両立支援制度に関する情報を提供することが義務化された。介護に直面する前の段階から、制度を知る機会が制度的に保証される。

改正3:仕事と介護の両立支援研修・相談窓口の設置義務

事業主に対し、次のいずれかの措置を講じることが義務化された。

  • 仕事と介護の両立支援研修の実施
  • 相談窓口の設置
  • 介護休業取得事例の収集・提供
  • 自社労働者への両立支援制度の方針周知

中小企業も対象(一部は努力義務)。職場で介護のことを言い出しにくかった空気を、制度面から変えようという改正だ。

給付金活用の判断フロー|離職か、休業か、時短か

実際に親の介護に直面したとき、判断は次のフローで進めるとシンプルになる。

  1. 要介護認定の申請(市区町村役場)
  2. 対象家族の常時介護該当性を確認(要介護2以上 or 12項目チェック)
  3. 会社の介護休業規程を確認(給付金とは別に独自の有給休業がないか)
  4. 介護休業93日の使い方を設計(連続取得?3回分割?)
  5. 休業中の家計シミュレーション(給付金33.6万円上限を踏まえる)
  6. 93日後の働き方を選択(短時間勤務・在宅勤務・サービス利用の組み合わせ)

このうち5番目の家計確認は、介護離職の収入インパクトシミュレーター老人ホーム費用シミュレーターで具体的にイメージを掴むのが近道。介護施設の月額費用と給付金月額のバランスがつくかどうかで、選択肢が大きく変わってくる。

FAQ|介護休業給付金のよくある疑問

Q1. 給付金の前提データはどこから来ている?

本記事の制度内容は、雇用保険法第61条の4、育児・介護休業法、厚生労働省「雇用保険業務取扱要領」(介護休業給付)、厚生労働省「2025年4月施行 改正育児・介護休業法のあらまし」に基づきます。賃金日額の上限額・給付上限額は厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更」(2024年8月1日改定)。毎年8月1日に改定される項目があるため、最新値はハローワーク窓口または都道府県労働局で確認してください。

Q2. 介護休業中も社会保険料は払う必要がある?

はい、健康保険料・厚生年金保険料の本人負担分は休業中も発生します。育児休業のような社会保険料免除制度は介護休業にはありません。会社経由で給与天引きとなる場合もあれば、会社から請求書が届く形になる場合もあります。

Q3. 93日を超えて介護休業を取りたい場合は?

法律上の取得可能日数は対象家族1人につき通算93日までです。これを超える場合は、会社独自の介護休暇制度(任意)の利用、有給休暇の消化、無給の欠勤扱いとなります。同じ対象家族について再度93日を取得することはできませんが、別の対象家族(例:父の後に母)について新たに93日を取得することは可能です。

Q4. 給付金の金額が実感と合わない場合は?

賃金日額は休業開始前6ヶ月の総支給額から計算されますが、賞与は除外されます。月給30万円でも、固定残業代の有無や直近半年の残業時間によって、賃金日額が想定より低くなることがあります。正確な金額は、賃金台帳と出勤簿をもとに事業主が「休業開始時賃金月額証明書」で算出します。気になる場合は会社の労務担当者にお問い合わせください。

Q5. 国民健康保険・国民年金の自営業者は対象になる?

介護休業給付金は雇用保険からの給付なので、自営業者・フリーランス・会社役員(雇用保険未加入)は対象外です。一方、国民健康保険と協会けんぽの違いを確認して、必要に応じて配偶者の被扶養者に入る等の組み立ても検討の余地があります。

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介護休業給付金は、知っているかどうかで「親の介護=離職」という連鎖を断ち切れる可能性のある制度だ。月33.6万円の上限・93日の期間制限はあるが、この期間で施設探し・在宅介護の体制構築を集中して行えば、その後は短時間勤務に切り替えて働き続ける道が開ける。

働き方と家計の組み立ては、老後資金シミュレーター年金受給額シミュレーターも併用して、介護に入る前の段階から将来像を描いておくと、いざというときの判断が早くなる。

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