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路線価とは|公示地価の8割・固定資産税評価額との違い・相続税評価の計算方法を7月公表の最新事情から解説

毎年7月1日に国税庁が公表する路線価は、相続税・贈与税の土地評価の基準。公示地価の8割水準に設定される理由、「300C」表記の読み方、路線価方式と倍率方式の計算式、小規模宅地等の特例まで、ひとつの土地に複数の価格がつく「一物五価」の全体像から整理する。

同じ1つの土地に、5つの異なる「価格」がついている——これが日本の土地評価の実態だ。実際の売買価格(実勢価格)、公示地価、基準地価、路線価、固定資産税評価額。どれも「その土地の値段」なのに、金額は互いに2〜3割ずれる。

このうち路線価は、毎年7月1日に国税庁が公表する、相続税・贈与税を計算するための土地の値段だ。2026年分も7月に公表され、国税庁の「路線価図・評価倍率表」サイトで誰でも無料で確認できる。参考までに、前年の令和7年分(2025年)は全国平均で前年比+2.7%と4年連続の上昇だった(国税庁発表)。

親の家を将来相続する人、土地の生前贈与を考えている人にとって、路線価は「税額の出発点」になる数字だ。この記事では、路線価の読み方・計算方法・他の地価との関係を順に解きほぐす。

一物五価——5つの地価の違いを1枚の表で

まず全体像から。土地の「価格」は目的別に5種類あり、それぞれ調査主体も水準も違う。

名称決める機関公表時期評価時点水準の目安主な用途
実勢価格市場(売主と買主)取引時100%実際の売買
公示地価国土交通省毎年3月1月1日100%(基準)土地取引の指標
基準地価都道府県毎年9月7月1日公示地価とほぼ同水準公示地価の補完
路線価国税庁毎年7月1日1月1日公示地価の約8割相続税・贈与税
固定資産税評価額市町村3年ごと評価替え基準年度の1月1日公示地価の約7割固定資産税・登録免許税など

覚え方はシンプルで、公示地価を100とすると、路線価は80、固定資産税評価額は70。相続税の計算に使う路線価がわざと2割低く設定されているのは、地価が1年の間に下落しても評価額が実勢を上回らないようにする「安全余裕」のためだ(国税庁の評価方針による)。

なお固定資産税評価額は3年に一度しか見直されない。直近の評価替えは2024年度で、次回は2027年度。毎年更新される路線価との大きな違いだ。固定資産税そのものの計算は固定資産税シミュレーターで確認できる。

路線価図の「300C」は何を意味するか

国税庁のサイトで路線価図を開くと、道路ごとに「300C」「215D」のような数字とアルファベットが書かれている。読み方は次の2段構えだ。

  • 数字: その道路に面する土地の1㎡あたり価格を千円単位で表す。「300」なら30万円/㎡
  • アルファベット: 借地権割合。A=90%、B=80%、C=70%、D=60%、E=50%、F=40%、G=30%

つまり「300C」の道路に面した土地は、自分で所有していれば1㎡あたり30万円で評価され、借地(他人の土地を借りて建物を建てている)ならその70%で評価される、という意味になる。

計算式と具体例

路線価地域の土地評価(路線価方式)の基本式はこうだ。

> 土地の評価額 = 路線価 × 奥行価格補正率などの各種補正率 × 地積(㎡)

例として、路線価「300C」の道路に面した165㎡(約50坪)の整形地を考える。補正率を1.0とすると:

  • 自用地: 30万円/㎡ × 165㎡ = 4,950万円
  • 借地権: 4,950万円 × 70% = 3,465万円
  • 貸宅地(土地を貸している側): 4,950万円 × (1 − 70%) = 1,485万円

同じ土地でも、所有形態によって評価額が3倍以上違う。相続税額への影響は相続税シミュレーターで試せる。

補正率は土地の形状で変わる。奥行きが極端に長い・間口が狭い・不整形といった使いにくい土地は評価が下がり、角地のように2つの道路に面する土地は加算される。補正率表は財産評価基本通達(国税庁)で定められており、路線価図と同じサイトで確認できる。

路線価がない土地は「倍率方式」

路線価が設定されているのは市街地が中心で、郊外や農村部の多くには路線価がない。その場合は倍率方式で評価する。

> 土地の評価額 = 固定資産税評価額 × 評価倍率

評価倍率は地域・地目ごとに国税庁が定めており、宅地では1.1倍が多い。固定資産税評価額は毎年春に届く固定資産税の課税明細書に載っているので、倍率方式の地域なら明細書1枚と倍率表だけで概算できる。

評価額を大きく下げる「小規模宅地等の特例」

路線価で計算した評価額は、あくまで特例適用前の数字だ。実務で最も影響が大きいのが小規模宅地等の特例で、被相続人の自宅の土地は、配偶者や同居親族が相続するなど一定の要件を満たせば330㎡まで評価額が80%減額される(租税特別措置法69条の4)。

先ほどの4,950万円の土地が自宅の敷地で特例の対象なら:

  • 4,950万円 × (1 − 80%) = 990万円

評価額が5分の1になる計算で、これだけで相続税が数百万円変わるケースも珍しくない。特例の要件(同居・家なき子特例・貸付事業用の場合の200㎡/50%減など)は細かいので、該当しそうなら相続準備シミュレーターで全体像を掴んだうえで税理士に確認したい。

路線価が動くと何が変わるか——影響を受ける人のチェックリスト

路線価の上昇は「土地持ちの税金が増える」方向に働く。影響を受けるのは次のような人だ。

  • これから相続が発生する人: 相続税の土地評価が上がる。都市部の実家+預貯金で基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人数)を超える世帯が増えている
  • 土地の生前贈与を検討中の人: 贈与税の評価も路線価ベース。評価額と税額は贈与税シミュレーターで確認できる
  • 不動産の売却を検討中の人: 路線価÷0.8で実勢価格の目安を逆算できる(あくまで概算)。実際の手取り額は自宅売却の手取りシミュレーターが使える
  • タワーマンションの相続を見込む人: 2024年からマンションの相続税評価は新ルール(居住用の区分所有財産の評価)に変わり、市場価格の6割水準まで評価が引き上げられた。「タワマン節税」の効果は大幅に縮小している

FAQ

Q. 自分の土地の路線価はどこで調べられる?

国税庁「路線価図・評価倍率表」(chikamap ではなく rosenka.nta.go.jp)で、都道府県→市区町村→地図の順にたどれば無料で見られる。過去7年分も閲覧可能。固定資産税評価額とあわせて見たい場合は、一般財団法人資産評価システム研究センターの「全国地価マップ」も便利だ。

Q. 路線価と実勢価格はどちらが高い?

原則として実勢価格のほうが高い。路線価は公示地価の8割水準に設定されるため、路線価÷0.8がおおまかな実勢価格の目安になる。ただし人気エリアでは実勢がさらに上振れし、逆に流動性の低い地域では路線価を下回る取引もある。あくまで「税務上の評価額」と割り切ること。

Q. 相続税の計算では路線価以外に何が要る?

土地評価は相続財産の一部にすぎない。建物(固定資産税評価額で評価)、預貯金、有価証券、生命保険(500万円×法定相続人数の非課税枠あり)を合算し、基礎控除を引いた残りに税率をかける。全体の流れは相続税シミュレーターで一気に試算できる。

Q. 7月1日の公表を待つ意味はある?

その年の1月1日以降に発生した相続・贈与の土地評価は、その年分の路線価(7月公表)を使う。たとえば2026年3月に相続が発生した場合、申告には2026年7月公表の路線価が必要になる。申告期限は相続開始から10ヶ月なので、年前半の相続では「路線価の公表待ち」という期間が実際に発生する。

まとめ——最初にやる3ステップ

  1. 国税庁サイトで実家・自宅の路線価を見る(5分で終わる)
  2. 路線価 × 面積で土地のざっくり評価額を出す(補正は後回しでいい)
  3. 土地+建物+金融資産の合計を基礎控除と比べる——超えそうなら相続税シミュレーターで税額の目安を確認し、小規模宅地等の特例の適用可否を調べる

「うちは関係ない」と思っていた世帯が、地価上昇で基礎控除ラインを超える——路線価の公表は、それに年1回気づくための定点観測でもある。

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出典: 国税庁「路線価図・評価倍率表」「財産評価基本通達」、国土交通省「地価公示」、租税特別措置法69条の4(小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例)

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