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光熱費

ガス代の内訳とは|基本料金のA〜F表・逓減制の単位料金・原料費調整額を検算式で分解——4人家族の月4,970円はこう決まる【2026年】

都市ガス代は「使用量で自動的に切り替わる基本料金+使うほど単価が下がる単位料金+原料費調整額」でできている。東京ガスの料金表で4人家族(月30m³)を検算すると月4,970円、2026年夏は政府補助−14〜18円/m³がここから引かれる。電気・水道と逆の「逓減制」の理由、冬が夏の2.4倍になる構造、節約1m³=約130円の使いどころまで料金表から読み解く。

検針票の隅に小さく印字された「B表」の一文字——この意味を説明できる人は、電気の契約アンペアを言える人よりずっと少ない。都市ガスの料金表はA表からF表まで6段階あり、あなたがどの表で計算されるかは、申し込みではなくその月の使用量が自動的に決める

電気代(電気代の内訳)・水道代(水道代の内訳)に続く光熱費分解シリーズの最終回として、この記事では都市ガス代を部品ごとにばらし、東京ガスの料金表で1円単位まで検算する。分解すると、ガスだけが電気・水道と逆の値付けになっていることと、その構造から導かれる節約の正しい順番が見えてくる。

ガス代の計算式:3つの部品と1つの割引

家庭向け都市ガス料金は、次の構造でできている。

```
ガス代 = 基本料金(その月の使用量で決まる)
+ 単位料金 × 使用量(使うほど単価が下がる)
± 原料費調整額(LNG輸入価格に連動、単位料金に含めて表示)
− 政府補助(2026年7〜9月使用分のみ)
```

単価の例はすべて東京ガス「一般料金」(東京地区等・税込・2026年7月時点)を使う。原料費調整前の基準単位料金で計算し、調整額の仕組みは後述する。

部品1:基本料金——「A表〜F表」は使用量で自動的に切り替わる

電気は契約アンペア、水道はメーターの口径という「事前に決まった固定費」だったが、ガスの基本料金は違う。その月に使った量に応じて、適用される表が毎月自動で切り替わる

1ヶ月の使用量基本料金(税込)基準単位料金(税込)
A表0〜20m³759.00円145.31円/m³
B表20超〜80m³1,056.00円130.46円/m³
C表80超〜200m³1,232.00円128.26円/m³

(この上にD〜F表が続くが、家庭で使うのは実質A〜C表まで)

よく見ると、基本料金が高い表ほど単位料金が安い。「たくさん使う月は固定費を多めに払う代わりに、単価をまけてもらう」という構造だ。

面白いのは境界での設計で、20m³ちょうどをA表とB表それぞれで検算すると——

```
A表: 759.00 + 145.31円 × 20m³ = 3,665.2円
B表: 1,056.00 + 130.46円 × 20m³ = 3,665.2円
```

完全に一致する。表の切り替わりで請求額が跳ねないよう、どの境界(80m³、200m³…)でも総額が連続するように単価が設計されている。「今月ちょっと使いすぎて高い表に入ったから損」ということは起きない仕組みだ。

部品2:単位料金——電気・水道と逆の「逓減制」

ここがガスの最大の特徴だ。電気の三段階料金も水道の従量料金も「使うほど単価が上がる」逓増制だったのに対し、ガスは使うほど1m³あたりの単価が下がる。平均単価を検算すると——

月の使用量月額(税込・調整前)1m³あたりの平均単価
10m³2,212円221円
30m³4,970円166円
60m³8,884円148円

なぜ電気・水道と逆なのか。電気・水道は生活必需インフラとして「最低限の使用は安く、浪費には高く」という政策的な逓増設計が入っているのに対し、都市ガスには強力な競合がいるからだ。お湯はエコキュート(電気)でも沸かせるし、暖房はエアコンでもできる。床暖房やガス温水暖房を入れる「大口の家庭」ほど奪い合いになるため、たくさん使う顧客に安い単価を出す競争的な値付けになっている。オール電化とガス併用の損益分岐はまさにこの単価構造の上で決まり、エコキュート vs ガス給湯器シミュレーターで世帯ごとに検算できる。

家計への含意は電気と逆向きだ。電気は「使うほど高い電気を買わされる」ので節電の限界効果が大きかったが、ガスの節約1m³の価値はB表なら約130円で一定。量を減らす努力が単価で報われることはない分、後述の「単価の高い使い方」を特定して削る精度が重要になる。

部品3:原料費調整額——検針票の単位料金は毎月違う

日本の都市ガスの原料はほぼ全量が輸入LNG(液化天然ガス)で、その輸入価格の変動を毎月の単位料金に自動反映させるのが原料費調整制度だ。仕組みは電気の燃料費調整とほぼ同じで、

  1. 貿易統計からLNGの平均輸入価格を毎月算出する
  2. 当月の単価には3〜5ヶ月前の3ヶ月間の平均が反映される(円安や中東情勢のニュースは数ヶ月遅れで検針票に現れる)
  3. 基準平均原料価格より高ければプラス、安ければマイナス調整になる

だから検針票に印字される「単位料金」は、上の表の基準単位料金と一致せず、毎月少しずつ違う。規制料金である一般料金には基準平均原料価格の1.6倍までという転嫁上限がある一方、自由料金プランには上限がないものが多く、原料高騰時に差が出る——この構造も電気(規制料金は1.5倍上限)とそっくりだ。

割引:2026年7〜9月は政府補助、ただし都市ガスだけ

政府の電気・ガス料金支援(2026年5月閣議決定)が7月使用分から入っており、申請不要で単位料金から自動的に引かれる。

対象月(使用分)都市ガスの補助月30m³の家庭
2026年7月−14円/m³−420円
2026年8月−18円/m³−540円
2026年9月−14円/m³−420円

注意したいのは、この補助の対象が都市ガスのみであること。プロパンガス(LPガス)は配送コスト構造が違う自由料金のため国の一律補助の対象外で、支援は自治体ごとの給付にとどまる。もともと単価が都市ガスの1.5〜2倍あるプロパン世帯ほど補助がない、というねじれがある。自宅のガス種別ごとの負担差はガス料金比較シミュレーターで試算できる。

検算:4人家族の請求額を1円単位で再現する

4人家族の標準的な月30m³(B表)を、8月使用分で検算する。

```
基本料金 B表 1,056.00円
単位料金 30m³ × 130.46円 = 3,913.80円
政府補助 30m³ × −18円 = −540.00円
――――――――――――――――――――――――――――
合計(原料費調整額を0円と仮定) 約4,430円
補助のない月なら 約4,970円
```

総務省の家計調査でも二人以上世帯のガス代は月5,000円前後で、この検算とほぼ重なる。使用量別の早見表はこうなる(調整0円・補助なし・税込)。

月使用量想定世帯適用表月額
10m³一人暮らしA表約2,212円
15m³4人家族の夏A表約2,939円
30m³4人家族の年平均B表約4,970円
45m³4人家族の冬B表約6,927円

なぜ冬は夏の2.4倍になるのか——ガス代の主戦場は「水温」

上の表のとおり、同じ家族でも夏15m³(約2,939円)と冬45m³(約6,927円)で2.4倍の開きが出る。暖房のせいと思われがちだが、ガス暖房のない家でも冬のガス代は跳ね上がる。主犯は水道水の温度だ。

家庭の都市ガスの使い道を検算すると、コンロは中火2kW×1日1時間で月5m³前後。月30m³のうち2割弱に過ぎず、残りの大半は給湯・風呂が使っている。そして水道水の温度は夏25℃前後・冬10℃を下回るため、同じ40℃のお湯を作るのに必要な熱量が冬は1.5〜2倍になる。使う湯量が同じでも、ガスは勝手に増える。

単価に直すとこうなる。

  • シャワー1分 ≒ ガス約5〜6円+水道・下水約4円 = 約10円(毎分12L、冬の水温で検算)
  • 湯船1杯(200L・40℃)≒ ガス約76円+水道約67円 = 約143円

つまりガス代の節約は、コンロの火加減や炊事の工夫ではなくお湯の使い方から手を付けるのが料金表から導かれる正しい順番だ。家族4人が1人1分シャワーを短くするだけで月1,200円規模になる。湯船とシャワーの損益分岐はお風呂 vs シャワー コスト比較、シャワーヘッド交換(湯量3〜4割減)の回収期間は節水シャワーヘッド元とれ計算で世帯条件に合わせて検算できる。冬のガス暖房をエアコンに置き換える損得は暖房コスト比較シミュレーターが使える。

よくある質問

Q. この記事の前提データはどこから?
料金単価は東京ガス「一般料金」の料金表(東京地区等・税込・2026年7月時点、原料費調整前の基準単位料金)、原料費調整制度と規制料金の転嫁上限は資源エネルギー庁の公表資料、政府補助は2026年5月閣議決定の電気・ガス料金支援の公表内容に基づく。世帯別の使用量は東京ガス公表の平均使用量と総務省「家計調査」の水準から置いた。原料費調整額は毎月変わるため、検算では0円と仮定している。

Q. 東京ガス以外・プロパンガスでもこの計算は使える?
「使用量で切り替わる基本料金+逓減する単位料金+原料費調整」という構造は大手都市ガスでほぼ共通だが、単価は事業者ごとに違う。自社サイトの料金表で同じ足し算をすれば再現できる。プロパンガスは公的な料金表がない自由料金で、同じ熱量あたりの単価が都市ガスの1.5〜2倍になりやすい。集合住宅では入居時に選べないことが多いので、物件選びの段階でガス料金比較シミュレーターを通しておくのが実務的だ。

Q. 補助が終わったらどうなる?
政府補助は9月使用分で終了予定で、10月からは月30m³なら400〜500円ほど請求が戻る。電気の補助も同時に切れ、東京都の水道基本料金無償化も秋に終わる。光熱費3本がそろって10月に「元の水準」へ戻るので、夏の請求額を基準に秋以降の家計を組むとまとめてずれる点は注意したい。3つまとめての見直しは水道光熱費まとめて診断が早い。

Q. 数字が実感と合わない場合は?
まず検針票の適用表(A/B/C)と当月の単位料金(調整後)を確認してほしい。プロパン・オール電化・ガス暖房ありの家は前提が変わる。それでも大きくずれる場合は、検針票の使用量と単位料金を添えてお問い合わせから質問してもらえれば、一緒に検算する。

まとめ:電気・ガス・水道、3つの料金表はこう違う

シリーズ3本の締めくくりに、光熱費3本の構造を1つの表に並べておく。

電気都市ガス水道
固定費の決まり方契約アンペア(変更可)その月の使用量で自動メーター口径(実質変更不可)
従量単価の構造逓増(使うほど高い)逓減(使うほど安い)逓増(使うほど高い)
毎月動く部品燃料費調整+再エネ賦課金原料費調整なし
節約1単位の価値約45円/kWh(第3段階)約130円/m³約333円/m³
節約の主戦場300kWh超の部分お湯(給湯・風呂)お湯(風呂・シャワー)

3枚の料金表を並べて気づくのは、電気・ガス・水道の節約が結局同じ場所——風呂場で交差していることだ。シャワー1分に水道・下水4円とガス6円が同時に流れている。光熱費を「3つの別々の請求」ではなく「お湯という1つの家計項目」として見ること。それがこのシリーズ3本の、いちばん実務的な結論になる。

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