10月の電気代は同じ使用量でも1,400円上がる|政府の電気・ガス補助は9月使用分で終了——秋の家計が組み違う前に確認したい3つの数字【2026年】
2026年7月から入っていた政府の電気・ガス料金支援(電気−3.5〜4.5円/kWh・都市ガス−14〜18円/㎥)は9月使用分で終了する。月400kWhの家庭は10月から補助分の約1,400円、8月のピーク補助と比べれば約1,800円、請求額が押し上がる。使用量別の負担増早見表と、9月のうちに検針票で確認すべき数字、冬の暖房シーズンへの備えをまとめた。
1,400円。 月400kWh使う4人家族の電気代が、10月から「同じ使用量のまま」上がる金額だ。冷房を使いすぎたわけでも、単価が改定されたわけでもない。2026年7月使用分から自動的に値引きされていた政府の電気・ガス料金支援が、9月使用分で終わるからである。
夏の請求額を「うちの平常時の電気代」と思って秋以降の家計を組むと、この分がまるごとずれる。しかも秋の先には暖房シーズンが控えている。この記事では、補助がいくら入っていたのかを検針票ベースで確かめ、10月からの負担増を使用量別に試算し、9月のうちにやっておきたい準備を整理する。
7〜9月の請求額には「値引き」が入っていた
2026年5月の閣議決定(予備費約5,000億円)で実施された電気・ガス料金支援は、申請不要で全世帯の請求から自動的に差し引かれている。単価は次のとおりだった。
| 対象月(使用分) | 電気(低圧・家庭向け) | 都市ガス |
|---|---|---|
| 2026年7月 | −3.5円/kWh | −14円/㎥ |
| 2026年8月 | −4.5円/kWh | −18円/㎥ |
| 2026年9月 | −3.5円/kWh | −14円/㎥ |
| 2026年10月〜 | なし(終了) | なし(終了) |
冷房ピークの8月だけ増額される設計で、標準的な家庭(電気350kWh・都市ガス20㎥程度)なら3ヶ月合計で約5,000円の負担減だった。検針票やWeb明細に「政府支援による値引き」といった行が入っているはずなので、まだ見ていない人は今月分で確認してほしい。この行が、10月使用分から消える。
なお、LPガス(プロパン)は今回の支援の対象外だった。都市ガスとプロパンでもともと大きな価格差があることも含め、ガス代の都市ガスvsプロパン比較シミュレーターで自宅の条件を確かめられる。
10月からいくら上がる?使用量別の早見表
負担増の計算は単純で、「9月まで引かれていた値引き額」がそのまま上乗せに変わる。
```
10月からの負担増(月額) = 電気使用量(kWh) × 3.5円 + 都市ガス使用量(㎥) × 14円
```
世帯タイプ別に当てはめると次のようになる。
| 世帯イメージ | 電気使用量 | 都市ガス | 9月比の負担増 | 8月(ピーク補助)比 |
|---|---|---|---|---|
| 一人暮らし | 200kWh | 10㎥ | 月840円 | 月1,080円 |
| 二人暮らし | 300kWh | 15㎥ | 月1,260円 | 月1,620円 |
| 4人家族 | 400kWh | 20㎥ | 月1,680円 | 月2,160円 |
| 4人家族(電気のみ・オール電化等) | 400kWh | — | 月1,400円 | 月1,800円 |
検算しておくと、4人家族の電気分は400kWh×3.5円=1,400円、ガス分は20㎥×14円=280円で計1,680円。8月比の列は電気400kWh×4.5円=1,800円+ガス20㎥×18円=360円で計2,160円。ただし8月と10月では冷房分だけ使用量自体が違うため、この列は「10月の想定使用量に8月の補助単価を当てた参考値」として読んでほしい。
ここで効いてくるのが、実は補助とは別の伏兵だ。総務省「家計調査」(2023年)によると4人世帯の電気代は月平均約13,500円。ここに再エネ賦課金が2026年度は過去最高の4.18円/kWh(月400kWhで月1,672円)乗っており、燃料費調整額も毎月動く。補助という「下駄」が外れると、これらの素の水準がそのまま見えるようになる。仕組みごと理解したい人は電気代の内訳を検算式で分解した解説記事が使える。
9月のうちに確認したい3つの数字
補助終了は止められないが、10月以降の請求をただ受け取るか、構えて迎えるかは9月の過ごし方で変わる。チェックすべきは次の3つだ。
- 検針票の「政府支援」の値引き行 — 金額を見て、10月からそれが上乗せに変わると認識しておく。家計簿アプリの光熱費予算もこの分だけ引き上げる
- 契約プランと単価 — 燃料費調整額がプラス圏なら、単価の安いプランへの乗り換え効果が大きくなっているサイン。電気代プラン比較シミュレーターで現契約と新電力の年間差額を出せる。乗り換えは申し込みからスマートメーター切替まで2週間〜1ヶ月かかるため、10月の請求に間に合わせたいなら9月中の手続きが目安になる
- 電気を多く食っている機器 — 補助が消える10月以降は、節電1kWhの価値が第3段階単価+再エネ賦課金でおおむね45円前後に戻る。どの家電が効いているかは家電の年間電気代シミュレーターで当たりを付けられる
その先にある冬——暖房シーズンは補助なしで迎える
見落としがちなのはここだ。過去2年、政府の料金支援は夏と冬に断続的に実施と終了を繰り返してきたが、現時点で公表されているのは9月使用分までで、冬の再開は決まっていない。 電気代が年間で最も膨らむ1〜2月の暖房シーズンを、補助なしの単価で迎える前提で考えておくほうが安全だ。
暖房は器具の選び方で単価効率が大きく違う。エアコン・こたつ・電気毛布・石油ファンヒーターのコスト差は暖房器具コスト比較シミュレーターで、また冬前の省エネ家電への買い替えは投資回収まで含めて省エネ家電買い替え効果シミュレーターで試算できる。照明のLED化のように1年前後で元が取れる打ち手なら、9〜10月に動けば冬の値上がり分をほぼ相殺できる。
よくある質問
Q. この記事の前提データはどこから?
政府補助の単価と期間は2026年5月閣議決定の電気・ガス料金支援に関する経済産業省・資源エネルギー庁の公表内容、再エネ賦課金(2026年度4.18円/kWh)は資源エネルギー庁の年度単価決定、世帯平均の電気代は総務省「家計調査」(2023年)に基づく。負担増の試算は本文中の計算式のとおり補助単価×想定使用量で算出した。
Q. 補助は延長・再開されないの?
2024〜2025年も「終了→燃料高や酷暑・厳冬を受けて再開」を繰り返してきた経緯があり、冬に再開される可能性はゼロではない。ただし再開はそのつど閣議決定・予算措置が必要で、事前に当てにできる性質のものではない。決まってから家計に反映すればよく、計画は「補助なし」で立てるのが堅実だ。
Q. 新電力と契約していても補助は受けられていた?
受けられていた。今回の支援は小売電気事業者・都市ガス事業者を通じて一律に値引きされる仕組みで、大手・新電力の別やプランを問わない。逆に言えば、10月からの負担増もすべての契約者に等しく発生する。
Q. 10月の請求額が本記事の試算と合わない場合は?
季節の変わり目は使用量そのものが大きく動く(冷房終了で減り、暖房開始で増える)ため、補助終了分と使用量変動が混ざって見える。検針票の使用量(kWh)を先月と比べ、単価×使用量で分解してみてほしい。それでも不明な差があればお問い合わせから検針票の内訳を添えて質問を。
10月に慌てないための、今日のアクション
- 直近の検針票で「政府支援の値引き額」を確認する(所要1分)
- 光熱費の予算をその金額分だけ引き上げておく
- 電気代プラン比較シミュレーターで現契約の立ち位置を確かめ、乗り換えるなら9月中に申し込む
- 冬に向けて、回収の速い順(LED化→暖房器具の選択→省エネ買い替え)に手を打つ
補助の終了そのものは全世帯共通の「値上げ」だが、同じ値上げを受けても、単価の安い契約と効率のよい機器で迎える家庭とそうでない家庭では、冬の請求額に月数千円の差がつく。9月は、その分かれ目の月である。