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児童扶養手当とは|全部支給48,050円の計算式と所得制限を検算——8月の現況届を忘れると11月分から止まる【令和8年度】

児童扶養手当(ひとり親向け)の令和8年度額は第1子48,050円・第2子以降加算11,350円。一部支給は『48,040円−(所得−限度額)×0.0264029』で1円刻みに減る仕組み。年収250万円+養育費月4万円なら月24,170円と検算。所得の数え方(養育費の8割算入・一律8万円控除)、児童手当との違い、毎年8月の現況届まで、こども家庭庁の資料に沿って整理する。

毎年8月、児童扶養手当を受給しているひとり親家庭には自治体から「現況届」の案内が届く。この1枚を出し忘れると11月分から手当が差し止めになり、そのまま2年放置すると受給資格そのものを失う。年間で最大57万円超(第1子48,050円×12ヶ月)が動く手続きだ。

ちょうど提出月を迎えるこのタイミングで、児童扶養手当の仕組みを条文と計算式のレベルまで分解しておきたい。「いくらもらえるのか」は年収を聞いただけでは答えられない——養育費の8割が所得に算入される一部支給は1円単位で滑らかに減るなど、児童手当とはまったく違うクセのある制度だからだ。

児童扶養手当の基本——児童手当とは別物

まず混同しやすい2つの制度を並べる。名前は似ているが、対象も金額も財源も別物で、両方の条件を満たせば併給できる

児童手当児童扶養手当
対象すべての子育て世帯ひとり親家庭等(離婚・死別・未婚など)
所得制限なし(2024年10月に撤廃)あり(全部支給・一部支給・全部停止の3段階)
対象年齢18歳年度末まで18歳年度末まで(一定の障害がある場合は20歳未満)
月額3歳未満1.5万円・3歳以降1万円・第3子以降3万円第1子 最大48,050円+第2子以降 各最大11,350円
支払月偶数月(年6回)奇数月(1・3・5・7・9・11月、各2ヶ月分)

児童扶養手当の受給者は全国で約77万人(こども家庭庁「福祉行政報告例」)。離婚だけでなく、未婚での出産、配偶者の死亡・重度障害・DVによる保護命令なども支給事由に含まれる。一方で、事実婚(同居やそれに準ずる関係)の状態にあると対象外になる点は重要だ。

令和8年度の手当額——物価スライドで+3.2%

手当額は毎年4月に全国消費者物価指数に連動して改定される。2026年4月分からは前年の物価上昇を受けて+3.2%の引き上げとなった。

区分全部支給(月額)一部支給(月額)
第1子(本体)48,050円48,040円〜11,340円
第2子以降の加算(1人につき)11,350円11,340円〜5,680円

出典: こども家庭庁「児童扶養手当について」(令和8年度額)

つまり子ども2人・全部支給なら月59,400円、年額712,800円。子ども3人なら月70,750円、年額849,000円になる。

なお2024年11月の制度改正で、それまで第2子より低かった第3子以降の加算額が第2子と同額に統一され、あわせて所得制限も引き上げられた。昔の記憶で「3人目は数千円しか付かない」と思っている人は情報を更新してほしい。

全部支給・一部支給・全部停止を分ける「所得」の数え方

児童扶養手当の判定に使う「所得」は、源泉徴収票の数字をそのまま使うわけではない。計算手順は次の通りだ。

```
判定所得 = 給与所得(収入 − 給与所得控除)
− 80,000円(社会保険料相当の一律控除)
+ 受け取った養育費 × 0.8
− 諸控除(障害者控除27万円など該当分)
```

ポイントは2つある。

  • 養育費の8割が所得に足される。 別れた相手から月4万円受け取っていれば、年48万円×0.8=38.4万円が判定所得に上乗せされる。児童手当にはないルールだ
  • 寡婦控除・ひとり親控除は、受給者本人(母・父)には適用されない。 税金の計算では使えるこれらの控除が、児童扶養手当の所得判定では母・父自身には使えない(同居の祖父母など扶養義務者の判定では使える)

この判定所得を、扶養親族の数に応じた限度額表に当てはめる。

所得制限限度額(受給者本人・2024年11月改正後)

税法上の扶養人数全部支給の限度額(所得)一部支給の限度額(所得)
0人69万円208万円
1人107万円230万円
2人145万円268万円
3人183万円306万円

(以降1人増えるごとに+38万円。扶養1人の場合、給与収入の目安で全部支給が約190万円、一部支給が約385万円)

限度額を1円でも超えると打ち切り——ではないのが児童扶養手当の設計だ。全部支給の限度額を超えると、次の式で1円単位で滑らかに減額されていく。

```
一部支給額(第1子) = 48,040円 − (判定所得 − 全部支給限度額) × 0.0264029
第2子以降の加算 = 11,340円 − (判定所得 − 全部支給限度額) × 0.0040719
※ 10円未満四捨五入。係数は令和8年度のもので毎年度改定
```

検算——年収250万円のパート勤務・子1人ならいくらか

具体例で確かめる。子ども1人を育てる母親、給与収入250万円、元夫から養育費月4万円のケース。

```
給与所得控除 = 250万円 × 30% + 8万円 = 83万円
給与所得 = 250万円 − 83万円 = 167万円
判定所得 = 167万円 − 8万円 + 48万円 × 0.8
= 159万円 + 38.4万円 = 197.4万円

扶養1人の限度額: 全部支給107万円 < 197.4万円 < 一部支給230万円 → 一部支給

手当額 = 48,040円 − (1,974,000 − 1,070,000) × 0.0264029
= 48,040円 − 23,868円
= 24,171.8円 → 24,170円/月(年額 290,040円)
```

同じ条件で養育費がなければ判定所得は159万円になり、手当は48,040円−(1,590,000−1,070,000)×0.0264029=34,310円/月まで増える。養育費月4万円の受け取りで手当は月約1万円減るが、養育費48万円>手当減少12万円なので、受け取ったほうが手元に残るお金は年36万円ほど多い。「手当が減るから養育費はいらない」は計算上成り立たない。

もう1つ、給与収入150万円・養育費なし・子2人のケース。

```
給与所得 = 150万円 − 65万円(給与所得控除の最低額) = 85万円
判定所得 = 85万円 − 8万円 = 77万円 ≦ 145万円(扶養2人の全部支給限度)
→ 全部支給: 48,050円 + 11,350円 = 59,400円/月(年額 712,800円)
```

自分のケースの世帯収支はシングルマザー・ファザー家計シミュレーターで手当・ひとり親控除込みの手取りを試算できる。養育費の相場自体を知りたい場合は、裁判所の算定表に基づく養育費計算シミュレーターが使える。

8月の現況届——出し忘れの代償は大きい

児童扶養手当は認定されたら終わりではなく、毎年8月1日〜31日に「現況届」を提出して受給資格と所得を確認する。この結果で11月分以降・翌年10月分までの手当額が決まる。

  • 提出しないと11月分から支払いが差し止められる
  • 差し止め後に提出すれば遡って支払われるが、2年間未提出のままだと時効で受給資格を失う
  • 多くの自治体で窓口提出が原則(事実婚の有無などを対面確認するため)。案内が届いたら早めに日程を確保したい

あわせて押さえておきたい支給の基本ルールが2つ。

  1. 申請(認定請求)した月の翌月分から支給される。 遡及はできないため、離婚が成立したら申請は1ヶ月でも早いほうがいい
  2. 受給開始から5年(または支給事由発生から7年)を過ぎると、就労等の状況を確認する「一部支給停止適用除外」の届出が必要になる。働いている・求職中・障害や介護で働けない等の事由を届け出れば減額されない——書類を出さないと半額停止になり得る手続きだ

手当の外側にある「ひとり親パッケージ」

児童扶養手当の受給者(または同水準の所得のひとり親)は、他の支援制度の入口にも立っている。金額換算すると手当本体に匹敵するものもある。

  • ひとり親家庭等医療費助成: 親子の医療費自己負担を軽減(自治体により無料〜1割)
  • ひとり親控除: 所得税で35万円の所得控除(税金の計算では使える)
  • 国民年金保険料の免除申請: 所得が低い期間の保険料負担を回避
  • 高等職業訓練促進給付金: 看護師等の資格取得中に月10万円(住民税非課税世帯)
  • 児童手当との併給: 前述の通り両方受け取れる。児童手当側の仕組みは児童手当シミュレーターで確認できる

また、パート収入を増やすか抑えるか迷う場面では、児童扶養手当の減額カーブ(所得1万円増で手当約264円/月減=年約3,170円減)は社会保険の「年収の壁」ほど急ではない。働き損になる崖ではなく緩い坂なので、収入増を諦める理由にはなりにくい。壁の位置関係は年収の壁シミュレーターで整理できる。

FAQ

Q. この記事の金額・計算式の出典は?
こども家庭庁「児童扶養手当について」および児童扶養手当法・同法施行令に基づく。手当額(48,050円等)と係数(0.0264029等)は令和8年4月改定後のもので、毎年4月に物価スライドで変わる。所得制限限度額は2024年11月改正後の額。

Q. 公的年金(遺族年金・障害年金)をもらっていると受け取れない?
かつては年金受給者は対象外だったが、現在は年金額が児童扶養手当額を下回る場合、差額を受給できる。障害基礎年金の受給者は、子の加算部分との差額で調整される。該当しそうなら受給額の資料を持って自治体窓口で試算してもらうのが確実だ。

Q. 実家に戻って親と同居したら手当はどうなる?
同居の親(祖父母)は「扶養義務者」として別枠の所得制限がかかる。扶養義務者の所得が限度額(扶養2人で268万円など)を超えると、本人の所得が低くても全部停止になる。同居を検討するときは事前に自治体で扶養義務者判定を確認したい。

Q. 計算してみた金額が自治体の決定通知と合わない場合は?
判定所得に使う年(前年所得)、諸控除の適用、養育費の申告額のいずれかがズレていることが多い。本記事の計算は標準的なケースの検算例であり、最終的な支給額は自治体の認定による。試算と大きく食い違う場合は決定通知の所得欄を確認のうえ、お問い合わせでも事例として受け付けている。

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関連シミュレーター: シングルマザー・ファザー家計 / 養育費計算 / 児童手当 / 年収の壁 / 時給から月収・年収換算

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