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小4で中学受験を決断|世帯年収750万円・横浜の太田家が塾代+私立中高一貫+大学で1,420万円を捻出する15年計画【ケーススタディ】

新小4で中学受験塾に入った長女・莉子(10)を持つ太田家。世帯年収750万円・住宅ローン残債2,400万円・下に小1の弟という条件で、塾3年分255万円+私立中高一貫6年分750万円+私立大学4年400万円の合計1,420万円をどう捻出するか。家計再設計と6本のシミュレーター活用を全公開。

「やっぱり、行かせたい」——4月の保護者面談から帰ってきた美由紀さん(40)が、夕食の片付けを終えた夫の健太郎さん(42)にそう切り出したのは、桜が散った週末のことだった。

長女の莉子(10)は地元の公立小学校で成績は上位。担任から「中学受験を検討してもいい学力」と言われ、本人も「中学受験ってどんな勉強するの」と興味を持ち始めている。問題は、3歳下の弟・翔太(小1)の存在と、9年前に組んだ住宅ローンが2,400万円残っていること。

その夜から二人は、表計算ソフトとブラウザを行き来しながら、3年間の塾代+私立中高一貫6年+大学までの教育費がいくら必要で、いまの家計から本当に出るのかを本気で試算しはじめた。

太田家のプロフィール

項目夫(健太郎)妻(美由紀)
年齢42歳40歳
職業電機メーカー営業課長派遣事務(週4)
年収(額面)580万円170万円
世帯年収750万円
居住地神奈川県横浜市青葉区(中古マンション・築15年)
子供長女・莉子(10歳・小4)/長男・翔太(7歳・小1)
住宅ローン残債2,400万円・残り25年・変動0.6%・月返済額75,800円
金融資産預金420万円+つみたてNISA180万円=600万円
親からの援助祖父母から贈与の予定なし

世帯の手取りは手取り計算シミュレーターで算出すると年間約585万円、月平均約48.8万円。ここから固定費・変動費・住宅ローンが引かれ、毎月13万円ほどが余剰として残っている、というのが受験を考え始めるまでの太田家の家計の姿だった。

受験を始める前の家計——月13万円の余剰

直近6ヶ月の支出を、家計簿アプリの履歴から拾い直した。

費目月額
住宅ローン75,800円
管理費・修繕積立金26,000円
固定資産税(月割)11,000円
食費78,000円
水道光熱費23,000円
通信費(家族4人)16,000円
保険料(医療・生命・自動車)21,000円
教育費(公立小×2+習い事)38,000円
交通費(車1台+電車)15,000円
日用品・被服24,000円
交際・娯楽25,000円
サブスク・その他8,000円
支出合計360,800円
つみたてNISA33,000円
予備貯蓄95,000円
支出+貯蓄計488,800円

教育費は莉子のスイミング月5,500円+ピアノ7,000円+公文(算国)13,000円、翔太のスイミング5,500円+公文7,000円——合わせて月3.8万円。中学受験塾は別格の出費だと夫婦とも分かっていた。

まず固めたのは"3年間の塾代"

最初に塾・家庭教師シミュレーターで、SAPIX・日能研・四谷大塚クラスの中学受験塾に通った場合の3年総額を出した。

中学受験塾の学年別年間コスト

学年月謝講習費(夏・冬・春)テスト・教材年間合計
小4月35,000円 × 12=42万円約8万円約4万円約54万円
小5月50,000円 × 12=60万円約15万円約6万円約81万円
小6月70,000円 × 12=84万円約25万円約11万円約120万円
3年合計約255万円

夫婦の率直な感想は「思った以上にかかる」だった。出典は SAPIX 公式の費用表と「中学受験 進学レーダー」のクラス別費用調査をベースにした概算。小6時の月7万円という数字に、健太郎さんは「翔太の習い事をやめさせるレベルじゃ追いつかないな」とつぶやいた。

公立中→高校受験ルートとの比較

公立中学に進学し、高校受験で塾を使うルートとの費用差も計算してみる。

ルート塾代総額(小4〜高3)教育費の山
中学受験ルート(小4〜小6で受験塾、中高一貫で塾少なめ)約330万円小5〜小6
公立中学→高校受験ルート(中2〜中3で受験塾、高1〜高3で予備校)約290万円中3+高3

塾代だけ見れば40万円の差。しかし学費の差はこの後で決定的に効いてくる

私立中高一貫+大学までの総コスト

教育費トータル計算で、莉子が私立中高一貫から私立文系大学(自宅通学)に進む前提で総額を出した。

進学パターン別・教育費総額(小4〜大学卒業)

パターン小4〜小6中学3年高校3年大学4年総額
A: 中学受験→私立中高一貫→私立文系大学(自宅通学)270万円430万円320万円400万円約1,420万円
B: 中学受験→私立中高一貫→国公立大学(自宅通学)270万円430万円320万円250万円約1,270万円
C: 公立中学→公立高校→私立文系大学(自宅通学)60万円165万円155万円400万円約780万円
D: 公立中学→公立高校→国公立大学(自宅通学)60万円165万円155万円250万円約630万円

出典は文部科学省「子供の学習費調査(令和5年度)」と日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果(2024年度)」。私立中高一貫の学費は学校により幅があるため、神奈川県内の中堅進学校(年間学費85万円・施設費・寄付込み)をモデルにした。

太田家は本命をパターンA、最悪でもパターンBを想定。総額として1,300万円を目標に据えた。パターンDから見ると約670万円の上乗せになる計算だ。

翔太の教育費も忘れない

ここで盲点になりがちなのが弟の翔太(小1)の教育費。莉子と同じ条件にしないとしても、二人目だから半額になるわけではない。

翔太は公立中→公立高→国公立大学(自宅通学)を本命に据え、塾は中2から月3万円程度を3年だけ通う前提で、総額約600万円で見積もった。

兄弟の総教育費は、

  • 莉子(パターンA):1,420万円
  • 翔太(公立ルート):600万円
  • 兄弟合計:約2,020万円

これを莉子の小4〜翔太の大学卒業まで(15年間)でならすと、月平均11.2万円の教育費負担になる。今の家計で教育費に回しているのは3.8万円。月7.4万円の上乗せが必要ということが、ここで初めて数字で見えた。

月7.4万円をどこから捻出するか——家計再設計

毎月の余剰13万円のうち、現在は3.3万円をつみたてNISA・9.5万円を予備貯蓄に回している。これをまず教育費・受験塾の原資に振り向けるのが第一の手段だ。

受験塾期間(小4〜小6)の家計配分案

費目受験前小4小5小6
住宅ローン+管理費等112,800円112,800円112,800円112,800円
食費78,000円76,000円74,000円72,000円
通信費(格安SIM化)16,000円8,000円8,000円8,000円
保険料(医療見直し)21,000円16,000円16,000円16,000円
莉子の習い事25,500円5,500円(スイミングのみ残す)0円0円
翔太の習い事12,500円12,500円12,500円12,500円
中学受験塾(莉子)0円45,000円67,500円100,000円
交際・娯楽・その他33,000円28,000円25,000円22,000円
その他固定費・変動費62,000円60,000円58,000円56,000円
支出合計360,800円363,800円373,800円399,300円
つみたてNISA33,000円33,000円33,000円0円(小6で停止)
翔太の教育費積立0円20,000円20,000円20,000円
予備貯蓄95,000円71,200円61,200円68,700円

通信費の格安SIM切替(▲8,000円)・医療保険の見直し(▲5,000円)・莉子のピアノと公文を一時休止(▲20,000円)で、月3.3万円の余地を作る。

これに加えて、小5以降は莉子の習い事を完全停止して原資化。小6時にはつみたてNISA積立も一時停止し、塾代の月10万円を捻出する。

「これでも翔太の積立を月2万円キープできる。塾代を払うために弟の将来を犠牲にする、という構図にだけはしたくなかった」と健太郎さんは振り返る。

私立中入学後の家計

合格して私立中高一貫に進学した場合、次に襲ってくるのが月7〜10万円の学費だ。

私立中高一貫の月額負担(神奈川県内中堅進学校モデル)

費目中学1〜3年高校1〜3年
授業料・施設費(月割)60,000円55,000円
教材・修学旅行積立8,000円10,000円
部活動費5,000円5,000円
通学定期12,000円12,000円
補習塾(高2以降は予備校)0〜15,000円25,000〜40,000円
月額合計約85,000〜100,000円約107,000〜122,000円

中3で塾を完全に外せれば月8.5万円、高3で予備校に通えば月12万円超になる。莉子が中学に入る2028年度、太田家の家計はこの水準を吸収できるのか——次にそれを試算する。

莉子中学進学時(健太郎45歳・美由紀43歳)の家計予測

3年後の世帯収入予測:

  • 健太郎:年功上昇で年収620万円(手取り約475万円)
  • 美由紀:派遣→正社員復帰で年収280万円(手取り約215万円)
  • 世帯手取り:約690万円/月57.5万円

手取り計算シミュレーターで美由紀さんの正社員復帰後の社会保険料負担を反映済み。月8.7万円の収入アップになる前提だ。

中学入学後の家計:

費目月額
住宅ローン+管理費等112,800円
食費(兄弟成長で増加)90,000円
通信費(格安SIM継続)8,000円
保険料16,000円
莉子の私立中費用92,000円
翔太の習い事+公立小費用18,000円
交通費・日用品・娯楽70,000円
その他30,000円
支出合計436,800円
つみたてNISA再開(夫婦)50,000円
翔太の教育費積立30,000円
予備貯蓄58,200円

「妻の正社員復帰がなければ成り立たない」——これが太田家の現実的な結論だった。美由紀さんはすでに勤務先と「3年後に正社員枠で再雇用」する方向で口頭合意を取りつけている。

莉子の高3〜大学進学期(健太郎50歳・美由紀48歳)

教育費のピークは中学ではなく莉子の高3年度(学費+予備校+大学入学一時金が重なる年)にやってくる。

  • 私立高3:年144万円(学費月10万円+予備校月2万円)
  • 大学受験費用:60万円(複数校受験+宿泊・交通)
  • 私立大学初年度(入学金+前期授業料+施設費の納入):約130万円
  • 大学2年目以降:年間100万円(4年合計400万円)

ここに翔太(中3)の高校受験塾(月3万円×12=36万円)も重なる。莉子高3の単年度教育費は約370万円(莉子334万円+翔太36万円)——貯蓄取崩しを前提にしないと回らない水準だ。

取崩シナリオ

NISAシミュレーターで、つみたてNISA既存180万円+追加積立(小4〜小5は月3.3万円継続、小6は停止、中学入学後は月5万円再開)の評価額を試算した。

経過年莉子の学年累積元本評価額(年4%運用)
2年後小6(春)180+79=259万円約284万円
5年後中2(夏)259+150=409万円約480万円
8年後高2(夏)409+180=589万円約735万円
9年後高3(春)649万円約815万円

莉子の大学進学時に評価額約815万円のうち500万円を切り崩せば、入学金130万円+大学4年400万円=530万円をほぼカバー可能。残り315万円は翔太の大学費用と老後資金に温存できる設計だ。

住宅ローンとの折り合い——繰上返済はしない

住宅ローン残債2,400万円・残25年・変動0.6%・月7.58万円。手元の預金420万円を一部繰上返済に充てれば利息を圧縮できるが、太田家は繰上返済を凍結した。

繰上返済シミュレーターで計算した結果:

シナリオ利息軽減額短縮期間
100万円を期間短縮型で繰上約45万円約14ヶ月
200万円を期間短縮型で繰上約88万円約28ヶ月
繰上返済せず手元に置く0円0ヶ月

200万円繰上で利息88万円を浮かせるより、手元の流動性を確保して教育費に備えるほうが優先と判断した。住宅ローン控除も残4年あり、繰上で残債を減らすと控除額も減る。

受験失敗時のリスクシナリオ

中学受験で第一志望に落ち、公立中に進学するケースも当然ある。その場合:

  • 投じた塾代255万円は戻らない
  • ただし学力は確実に上がっており、公立中→高校受験で上位校を狙える土台になる
  • 私立中費用430万円が浮き、その分は翔太の教育費+老後資金に回せる

太田家の整理は「第一志望でなくても、滑り止めの私立中で納得できるなら進学する。公立中に切り替える場合は浮いた費用を全額老後資金に振り向ける」というものだった。

太田家が小4の春に決めた3つのこと

  1. 塾代の原資は「習い事の整理+固定費削減」で作る。貯蓄取崩は最終手段
  2. 妻の正社員復帰を3年後に確定させる。これがないと中学以降の家計が回らない
  3. 手元預金420万円は教育費の防衛資金。住宅ローン繰上には絶対に回さない

この3点を家族会議でホワイトボードに書き、冷蔵庫の横に貼った。「莉子が受験を辞めると言ったら、その日に撤退する」というルールも添えた。

中学受験を考える全国の家庭へ

中学受験はお金の話だけでは語れないが、お金の見通しが立たないと家族の判断が揺れる。太田家のように世帯年収750万円・住宅ローンあり・下の子ありの条件でも、家計を3年スパンで再設計すれば中学受験は十分に成立する

迷っている家庭は、まず次の3点を試算してみてほしい。

  1. 塾・家庭教師シミュレーターで受験塾3年分の総額を確定する
  2. 教育費トータル計算で中学〜大学までの進学パターン別総額を比較する
  3. 緊急資金シミュレーターで半年分の生活防衛資金を確保したうえで余剰額を算出する

数字が出てから、はじめて「行かせたい」と「行かせられる」が同じテーブルに乗る。

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