医療費控除でいくら戻る?年収500万→3万・800万→6万円【年収別早見表2026年分】
医療費30万円なら年収300〜500万で3万円、600万で4万円、800万で6万円戻る。令和8年分の基礎控除104万円で計算した年収別早見表、対象・対象外の費用一覧、セルフメディケーション税制との比較、3つの実例、e-Tax申告手順までシミュレーター付きで解説。
結論: 医療費30万円なら年収500万円で3万円、800万円で6万円戻る
医療費控除は、1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費が10万円(総所得200万円未満は所得の5%)を超えた分を所得から差し引ける制度です。控除額そのものが戻るのではなく、控除額 × 所得税率が還付され、控除額 × 10%が翌年度の住民税から減ります。
たとえば医療費30万円なら控除額は20万円。年収500万円(所得税率5%帯)なら所得税1万円+住民税2万円=3万円、年収800万円(20%帯)なら4万円+2万円=6万円です。同じ医療費でも税率が高い人ほど多く戻るため、共働きなら税率の高い方が家族分をまとめて申告するのが鉄則です。
なお本記事の税率帯は、令和8年度税制改正で基礎控除が104万円(合計所得489万円以下)に引き上げられた令和8年分(2026年分)で計算しています。2026年の医療費を2027年2〜3月に申告するケースに対応した数字です。
年収別 医療費控除の還付金早見表(2026年分)
社会保険料は年収の15%、配偶者控除・扶養控除なしの給与所得者で計算しています。実際の金額は医療費控除シミュレーターで年収・医療費・保険金の補てん額を入れて確認してください。
医療費20万円の場合(控除額10万円)
| 年収 | 所得税率 | 所得税還付 | 住民税減税 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 5% | 5,000円 | 10,000円 | 15,000円 |
| 500万円 | 5% | 5,000円 | 10,000円 | 15,000円 |
| 600万円 | 10% | 10,000円 | 10,000円 | 20,000円 |
| 700万円 | 20% | 20,000円 | 10,000円 | 30,000円 |
| 1,000万円 | 20% | 20,000円 | 10,000円 | 30,000円 |
| 1,200万円 | 23% | 23,000円 | 10,000円 | 33,000円 |
医療費30万円の場合(控除額20万円)
| 年収 | 所得税率 | 所得税還付 | 住民税減税 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 5% | 10,000円 | 20,000円 | 30,000円 |
| 500万円 | 5% | 10,000円 | 20,000円 | 30,000円 |
| 600万円 | 10% | 20,000円 | 20,000円 | 40,000円 |
| 700万円 | 20% | 38,000円 | 20,000円 | 58,000円 |
| 800万円 | 20% | 40,000円 | 20,000円 | 60,000円 |
| 1,200万円 | 23% | 46,000円 | 20,000円 | 66,000円 |
※年収700万円は課税所得348万円で、控除20万円のうち18万円が20%帯・2万円が10%帯にかかるため按分しています。
医療費50万円以上の場合
控除額40万円(医療費50万円)なら上の表のほぼ2倍で、年収500万円で6万円、800万円で12万円、1,200万円で13.2万円です。控除額の上限は200万円(医療費210万円)で、年収1,000万円なら所得税40万円+住民税20万円=60万円が最大です。
年収別の所得税率(令和8年分の基礎控除で計算)
還付額を左右する所得税率は「年収 − 給与所得控除 − 基礎控除 − 社会保険料」の課税所得で決まります。2025年分までは基礎控除が95万〜58万円でしたが、令和8年分は合計所得489万円以下(給与年収約665万円以下)で104万円になったため、年収500万円は10%帯から5%帯に下がりました。
| 年収 | 給与所得 | 基礎控除 | 課税所得の概算 | 所得税率 |
|---|---|---|---|---|
| 200万円 | 126万円 | 104万円 | 0円 | 0%(住民税のみ) |
| 300万円 | 202万円 | 104万円 | 約53万円 | 5% |
| 400万円 | 276万円 | 104万円 | 約112万円 | 5% |
| 500万円 | 356万円 | 104万円 | 約177万円 | 5% |
| 600万円 | 436万円 | 104万円 | 約242万円 | 10% |
| 700万円 | 520万円 | 67万円 | 約348万円 | 20% |
| 800万円 | 610万円 | 67万円 | 約423万円 | 20% |
| 1,000万円 | 805万円 | 62万円 | 約593万円 | 20% |
| 1,200万円 | 1,005万円 | 62万円 | 約763万円 | 23% |
年収200万円以下の給与所得者は課税所得がゼロになるため、医療費控除をしても所得税の還付はなく、住民税(基礎控除43万円)の軽減だけになります。税率の仕組みは所得税率シミュレーターで確認できます。
医療費控除の計算式
```
医療費控除額 = (支払った医療費 − 保険金等で補てんされる金額) − 10万円
※ 総所得金額等が200万円未満なら「10万円」は「総所得金額等の5%」
※ 上限200万円
所得税の還付 = 控除額 × 所得税率(5〜45%)
住民税の減額 = 控除額 × 10%
```
「保険金等で補てんされる金額」には、生命保険の入院給付金、健康保険の高額療養費・家族療養費、出産育児一時金(50万円)などが含まれます。ただし差し引くのはその給付の目的となった医療費からのみで、入院給付金が入院費を上回っても、余った分を他の医療費から引く必要はありません。
対象になる費用・ならない費用
判断基準は「治療のために直接必要か」です。国税庁タックスアンサーNo.1122・1124・1126・1128に具体例があります。
対象になる
| 項目 | 具体例・条件 |
|---|---|
| 診療・治療費 | 病院・歯科の窓口負担、あん摩・はり・柔道整復(治療目的) |
| 医薬品 | 処方薬、風邪薬など治療目的の市販薬(ビタミン剤・サプリは対象外) |
| 通院交通費 | 電車・バス代。公共交通が使えない場合のタクシー代。付き添いが必要な子どもの親の交通費 |
| 入院費 | 部屋代・食事代(病院給食)、療養上の世話の付添料 |
| 歯科 | インプラント、金歯・セラミック(一般的な材料)、子どもの不正咬合の矯正、歯科ローン払い(利息除く) |
| 出産 | 妊婦健診・検査、分娩費、入院時のタクシー代、助産師の分娩介助 |
| 眼科 | レーシック、オルソケラトロジー、医師の指示で治療に必要な眼鏡 |
| 介護 | 介護保険サービスの自己負担分、医師の証明があるおむつ代(6か月以上寝たきり) |
| 医療用器具 | 義手・義足・松葉杖・補聴器・義歯・コルセット |
対象にならない
| 項目 | 理由 |
|---|---|
| 自家用車のガソリン代・駐車場代 | 公共交通機関が原則(No.1122注2) |
| 本人都合の差額ベッド代 | 治療上の必要がない個室代(No.1126) |
| 美容整形・美容目的の歯列矯正 | 容ぼうを美化する費用(No.1128) |
| 予防接種・健康診断・人間ドック | 予防目的。ただし重大な病気が見つかり治療した場合は対象 |
| ビタミン剤・サプリメント | 健康増進目的 |
| 近視用の眼鏡・コンタクト | 日常生活用(治療用は対象) |
| 医師へのお礼、親族への付添料 | 診療の対価ではない |
| 入院中の日用品・出前 | 身の回り品 |
セルフメディケーション税制との比較
医療費が10万円に届かない年でも、ドラッグストアで対象マークのあるスイッチOTC医薬品を年12,000円超買っていれば、セルフメディケーション税制で控除を受けられます。2つの制度は選択適用で、申告後に変更はできません。
| 医療費控除 | セルフメディケーション税制 | |
|---|---|---|
| 対象費用 | 医療費全般(家族分合算可) | 対象OTC医薬品の購入費(家族分合算可) |
| 足切り額 | 10万円(または所得の5%) | 12,000円 |
| 控除の上限 | 200万円 | 88,000円 |
| 条件 | なし | 申告者本人が健診・予防接種など「一定の取組」をしている |
| 適用期限 | 恒久 | スイッチOTC分は令和8年度改正で期限撤廃、その他は2031年末まで |
| 節税額の目安(10%帯) | 医療費30万円で4万円 | OTC5万円で7,600円、10万円で17,600円 |
判断の目安は「医療費(補てん後)が10万円を超えるか」。超えるなら通常の医療費控除、超えない年は市販薬のレシートを集めてセルフメディケーション税制、と切り替えるのが最も効率的です。医療費控除シミュレーターの詳細設定でOTC購入額を入れると、どちらが有利かを自動判定します。
3つの実例で見る還付額
例1: 出産した共働き夫婦(夫450万円・妻400万円)
分娩・入院費65万円+妊婦健診5万円=70万円を支払い、出産育児一時金50万円を受給。実質負担は20万円で、控除額は10万円。夫婦とも5%帯なので、どちらが申告しても所得税5,000円+住民税1万円=1.5万円です。ただし産休・育休中の妻は所得が減って税率0%になることが多いため、夫が申告するのが確実です。出産費用の全体像は出産費用シミュレーターで確認できます。
例2: インプラント2本を入れた会社員(年収800万円)
自由診療のインプラント90万円は、一般的な治療として全額が対象です。控除額80万円 × 20%=所得税16万円、住民税8万円で合計24万円が戻り、実質負担は66万円まで下がります。歯科ローンを使った場合も契約した年に全額を控除できます(利息・手数料は対象外)。費用の相場はインプラント費用シミュレーターで試算を。
例3: 通院と市販薬が多い一人暮らし(年収350万円)
皮膚科の通院・処方薬・交通費で年18万円。控除額8万円 × 5%=所得税4,000円、住民税8,000円で合計1.2万円。額は小さくても、e-Taxなら30分で申告できるので手間に見合います。医療費が10万円を割った年は、セルフメディケーション税制に切り替えましょう。
確定申告の手順(e-Tax・医療費通知)
医療費控除は年末調整では受けられません。会社員でも確定申告が必要ですが、還付申告は翌年1月1日から提出でき、2〜3月の混雑期を待つ必要はありません。
- 医療費通知を取り込む — 健康保険組合・協会けんぽから届く「医療費のお知らせ」があれば、明細の入力を大幅に省略できます。マイナポータル連携なら確定申告書等作成コーナーに自動で取り込めます。
- 通知に載らない分を集計する — 自由診療(インプラント等)、市販薬、交通費、1〜2月分の未反映分は領収書から「医療費集計フォーム」(Excel)に入力します。
- 補てん額を差し引く — 高額療養費・入院給付金・出産育児一時金を該当する医療費から引きます。未確定なら見込額で申告し、確定後に差があれば訂正します。
- e-Taxで送信 — 確定申告書等作成コーナーで源泉徴収票の内容と医療費を入力し、マイナンバーカードで送信。「医療費控除の明細書」は自動作成され、領収書の提出は不要です(5年間保存)。
- 還付を受け取る — e-Taxなら約3週間、書面提出なら1〜2か月で指定口座に振り込まれます。住民税の軽減は翌年6月からの給与天引き額に反映されます。
よくある質問
家族の医療費はまとめられる?別居の親の分は?
生計を一にする配偶者・子・親のために支払った医療費は、支払った人が合算して申告できます。別居していても、仕送りなどで生計を一にしていれば対象です。共働きなら税率の高い方が申告すると還付額が最大になります。
ふるさと納税と併用すると損する?
併用できますが、医療費控除で課税所得が減る分だけ住民税所得割が減り、ふるさと納税の控除上限額も下がります。目安は医療費控除額の2〜3%で、控除額20万円なら上限が5,000〜6,000円ほど下がる程度です。ただし医療費控除で確定申告するとワンストップ特例は無効になるため、寄付分も忘れずに申告書に記載してください。上限額はふるさと納税シミュレーターで確認できます。
過去の医療費を申告し忘れた場合は?
還付申告はその年の翌年1月1日から5年間できます。2021年分なら2026年12月31日が期限です。年分ごとに別々の申告書を作成し、当時の源泉徴収票が必要になります。
高額療養費をもらった年はどう計算する?
高額療養費は「保険金等で補てんされる金額」として、その月の医療費から差し引きます。たとえば1か月の窓口負担30万円に対し高額療養費21万円が戻れば、医療費控除の対象は9万円です。上限額は高額療養費シミュレーターで計算できます。
この計算の前提データはどこから?
医療費控除の計算式・上限200万円・足切り額は所得税法73条と国税庁タックスアンサーNo.1120、対象費用の判定はNo.1122・1124・1126・1128、セルフメディケーション税制はNo.1129・1131、所得税率はNo.2260の速算表、還付申告の期限はNo.2030に基づきます。課税所得の概算には令和8年分の給与所得控除(最低保障74万円)と基礎控除(合計所得489万円以下104万円・655万円以下67万円・2,350万円以下62万円。令和8年度税制改正、2026年12月1日施行)を使い、社会保険料は年収の15%としています。いずれも2026年9月時点で国税庁サイトの「令和8年4月1日現在法令等」と照合済みです。
数字が実感と合わない場合は?
早見表は配偶者控除・扶養控除・生命保険料控除・iDeCoなどを考慮していないため、これらが多い人は課税所得が下がって税率帯が1段低くなることがあります。逆に2025年分(令和7年分)の還付申告では基礎控除が95万〜58万円なので、年収500万円は10%帯になり還付が増えます。実際の還付額には復興特別所得税2.1%分が上乗せされる点も差の一因です。それでも合わない場合はお問い合わせからご連絡ください。
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