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夜勤手当の相場を6つの働き方で比較——看護師の二交代は1回11,470円、介護職は6,011円、法定の深夜割増だけなら工場2,344円・コンビニ1,950円・施設警備975円。差がつくのは「会社独自の定額手当」と「仮眠時間の扱い」だった【2026年】

夜勤手当の相場は職種でここまで違う。日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」の二交代11,470円・三交代準夜4,300円/深夜5,211円、日本医労連「介護施設夜勤実態調査」の介護職(正規・二交代)6,011円を、工場の交替勤務・施設警備・コンビニ夜勤の「法定の深夜割増だけ」の金額と同じ計算式で並べた。月の上乗せは看護師二交代4.6万円・介護3.0万円・コンビニ週3で2.5万円・警備は手当なしなら7,800円。拘束1時間あたりに直した比較、割増込みの定額手当の見分け方、仮眠時間が労働時間になる条件、4〜6月の夜勤が社会保険料を1年上げる仕組みまで。

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11,470円と975円。

前者は病院の看護師が二交代の夜勤を1回こなしたときに付く夜勤手当の全国平均、後者は時給1,300円の施設警備員が仮眠4時間つきの夜勤に入ったとき、法律上最低限付く深夜割増の額だ。どちらも「夜勤手当」と呼ばれるが、中身は別物で、1回あたりの差は約11.8倍になる。

「夜勤手当の相場はいくらか」という疑問に答えようとすると、まずこの2種類を分けて考える必要がある。

  • 法定の深夜割増:労働基準法37条4項。22時〜翌5時に働いた時間に、1時間あたりの賃金の25%以上を上乗せする義務。どの職種でも同じ計算式
  • 会社独自の夜勤手当:就業規則・賃金規程で決める定額(1回◯円)の手当。法律上の義務はなく、金額は業界の慣行と人手不足の度合いで決まる

この記事では、夜勤の多い6つの働き方を同じ計算式で並べ、「どこで差がつくのか」を確かめる。割増率そのものの仕組みは割増賃金の解説記事にまとめてあるので、ここでは相場の比較に絞る。

比較の前提——6つのモデル

月給制は「月給÷月平均所定労働時間160時間」で1時間あたりの賃金を出す。深夜帯(22〜5時)の中に休憩・仮眠がある場合はその時間を除いている。

働き方賃金1回の勤務深夜帯に働く時間月の夜勤回数
A看護師・二交代月給28万円(1時間1,750円)16:30〜翌9:00(仮眠2時間)5時間4回
B看護師・三交代月給28万円(1時間1,750円)準夜16:00〜0:30/深夜0:00〜8:30(休憩1時間)準夜2.5時間/深夜4時間準夜4回+深夜4回
C介護職・二交代月給23万円(1時間1,437.5円)17:00〜翌10:00(休憩・仮眠2時間)5時間5回
D工場・三交替月給25万円(1時間1,562.5円)22:00〜翌7:00(休憩1時間)6時間7回
E施設警備時給1,300円17:00〜翌9:00(仮眠4時間=1〜5時)3時間8回
Fコンビニ深夜バイト時給1,300円22:00〜翌6:00(休憩1時間)6時間13回(週3)

月の夜勤回数は、看護師は日本看護協会の給与試算の前提(二交代4回・三交代8回)、工場は3週に1回夜勤週が来る三交替のローテーション、警備は隔日勤務の半分程度、コンビニは週3日勤務を置いたモデル値だ。

1回あたりの夜勤手当を並べる

法定の深夜割増は次の式で全員同じように計算できる。

```
法定の深夜割増 = 1時間あたりの賃金 × 0.25 × 深夜帯に働いた時間

A 看護師・二交代 1,750円 × 0.25 × 5時間 = 2,188円
B 看護師・準夜 1,750円 × 0.25 × 2.5時間 = 1,094円
看護師・深夜 1,750円 × 0.25 × 4時間 = 1,750円
C 介護職・二交代 1,437.5円 × 0.25 × 5時間 = 1,797円
D 工場・三交替 1,562.5円 × 0.25 × 6時間 = 2,344円
E 施設警備 1,300円 × 0.25 × 3時間 = 975円
F コンビニ 1,300円 × 0.25 × 6時間 = 1,950円
```

ここに、各業界の「実際に支払われている相場」を重ねたのが次の表だ。

働き方法定の深夜割増だけ実際の相場(1回)相場の出どころ
A 看護師・二交代2,188円11,470円日本看護協会 2025年調査の平均
B 看護師・三交代準夜1,094円/深夜1,750円準夜4,300円/深夜5,211円同上
C 介護職・二交代1,797円6,011円日本医労連 2022年調査(正規職員)の平均
D 工場・三交替2,344円2,344円+会社の手当 3,000〜7,000円求人媒体の掲載相場(くらシム調べ)
E 施設警備975円975円+会社の手当 2,000〜5,000円同上
F コンビニ深夜バイト1,950円1,950円(法定の25%増しのみが多い)同上

看護師の二交代は、法律の最低ラインの約5.2倍(11,470÷2,188)が支払われている。介護職は約3.3倍(6,011÷1,797)。一方、工場・警備・コンビニは「法定の割増+α」が基本で、αが付くかどうかは会社次第だ。

介護職の6,011円は看護師二交代の約52%にとどまる。同じ17時間前後の二交代夜勤でも、医療と介護で手当の水準は倍近く違う。介護施設の収入は介護報酬の単価で上限が決まるため、手当に回せる原資が限られやすい。介護の中でも差は大きく、同じ調査では特養5,879円、老健7,226円、グループホーム5,225円だった。

月の上乗せ額で比べると順位が入れ替わる

1回の単価だけでは比較にならない。回数を掛けると、こうなる。

働き方1回回数月の上乗せ年間
A 看護師・二交代11,470円4回45,880円55万560円
B 看護師・三交代4,300円+5,211円各4回38,044円45万6,528円
C 介護職・二交代6,011円5回30,055円36万660円
D 工場(手当3,000円の場合)5,344円7回37,408円44万8,896円
D 工場(法定のみ)2,344円7回16,408円19万6,896円
F コンビニ深夜バイト1,950円13回25,350円30万4,200円
E 施設警備(手当3,000円の場合)3,975円8回31,800円38万1,600円
E 施設警備(法定のみ)975円8回7,800円9万3,600円

看護師の二交代と三交代では、月7,836円(年9万4,032円)二交代が多い。三交代は夜勤に入る回数が倍なのに、手当の合計では負ける。勤務形態ごとの年収差は勤務形態4パターンの比較記事で詳しく計算している。

工場は、交替手当があるかないかで月2万1,000円の差がつく。求人票の「月給25万円」が同じでも、交替手当の有無で年間25万2,000円違う計算だ。

拘束1時間あたりに直すと見え方が変わる

夜勤は「何時間拘束されるか」も含めて評価したほうがいい。1回の上乗せ額を拘束時間で割ると、次のようになる。

働き方1回の上乗せ拘束時間拘束1時間あたり
A 看護師・二交代11,470円16.5時間695円
B 看護師・深夜勤5,211円8.5時間613円
D 工場(手当3,000円)5,344円9時間594円
B 看護師・準夜勤4,300円8.5時間506円
C 介護職・二交代6,011円17時間354円
D 工場(法定のみ)2,344円9時間260円
E 施設警備(手当3,000円)3,975円16時間248円
F コンビニ深夜バイト1,950円8時間244円
E 施設警備(法定のみ)975円16時間61円

拘束1時間あたりで見ると、夜勤手当の厚い看護師二交代と、手当のある工場夜勤が上位に並ぶ。介護職は1回6,011円でも拘束が17時間あるため、工場の法定のみと大差ない水準まで下がる。

最下位の施設警備(法定のみ)は、16時間拘束されて上乗せは975円。これは仮眠4時間を労働時間に数えていないことが効いている。

仮眠時間は「労働時間」になることがある

警備や介護の夜勤では、仮眠中でも警報や呼び出しがあればすぐ対応しなければならないことが多い。最高裁は大星ビル管理事件(平成14年2月28日判決)で、仮眠中も持ち場を離れられず、必要に応じて対応する義務がある時間は労働時間にあたると判断した。

モデルEの仮眠4時間(1〜5時)が労働時間と認められると、計算はこう変わる。

```
深夜帯に働く時間: 3時間 → 7時間(22時〜翌5時すべて)
法定の深夜割増: 1,300円 × 0.25 × 7時間 = 2,275円(+1,300円)
仮眠4時間分の賃金: 1,300円 × 4時間 = 5,200円(未払いだった場合)
```

1回あたり6,500円、月8回なら5万2,000円の差になる。仮眠室で制服を脱げるか、呼び出し時の対応が義務か、実際に起こされる頻度はどれくらいか——このあたりが判断の分かれ目になる。

「割増込みの定額手当」かどうかを確かめる

日本看護協会の2025年調査では、病院の夜勤手当の支給方法は2つに分かれていた。

  • 深夜割増を含めた定額の夜勤手当:52.0%
  • 深夜割増とは別に定額の夜勤手当:31.2%

前者なら11,470円がすべて、後者なら11,470円+深夜割増2,188円=13,658円が1回分になる。月4回では45,880円と54,632円、年間で10万5,024円の違いだ。給与明細に「夜勤手当」と「深夜割増(深夜手当)」が別の行で載っているかどうかで見分けられる。

割増込みの場合でも、定額手当が法定の深夜割増を下回ることは許されない。月給を上げた結果、法定の割増額が定額手当を超えてしまうケースは少ないが、時給の高い専門職で定額手当が低い職場ではあり得る。差額は請求できる。

自分の夜勤手当を相場と比べる4ステップ

  1. 給与明細から1時間あたりの賃金を出す:基本給+諸手当(家族手当・通勤手当・住宅手当など法律で除外できる7種を除く)÷月平均所定労働時間
  2. シフト表で深夜帯(22〜5時)の実働時間を数える:休憩・仮眠を除く。ただし仮眠が「呼び出し待機」なら除かない
  3. 法定の深夜割増を計算する:1時間あたりの賃金×0.25×深夜実働時間。明細の金額がこれを下回っていないか確認
  4. 会社独自の夜勤手当を相場表と比べる:看護師二交代11,470円、三交代準夜4,300円・深夜5,211円、介護職6,011円が全国平均の目安

1〜3は夜勤手当・深夜手当シミュレーターにシフトの開始・終了時刻と月給(時給)を入れれば自動で計算できる。会社の夜勤手当(円/回)も入力欄があるので、4の比較もそのまま行える。夜勤と残業が重なる日がある場合は、深夜+時間外で50%増しになるので残業代シミュレーターで確認したい。

よくある質問

Q. 夜勤手当を増やすと手取りはいくら増える?

夜勤手当は給与所得なので、所得税・住民税・社会保険料がかかる。月4万5,880円の上乗せでも、手取りで残るのはおおむね7〜8割だ。自分の年収で手取りの増え方を見るなら手取り計算シミュレーターに夜勤手当込みの年収を入れて比べるとわかりやすい。

Q. 4〜6月に夜勤を増やすと損をするって本当?

社会保険料は、4〜6月に支払われた給与の平均で決まる「標準報酬月額」をもとに、その年の9月から1年間固定される。夜勤手当も報酬に含まれるため、4〜6月に夜勤を2回増やして月2万円多くなると、標準報酬月額が1等級上がり、本人負担がおおむね月2,900円(年3万5,000円前後)増えることがある。将来の厚生年金は増えるので純粋な損ではないが、手取りは減る。詳しくは社会保険料シミュレーターで確認できる。

Q. 夜勤専従になると手当はどう変わる?

夜勤専従は夜勤の回数が月8〜10回程度に増えるぶん、手当の総額は大きくなる。看護師二交代の平均11,470円で月9回なら10万3,230円だ。ただし、基本給を低めに設定して夜勤手当で稼ぐ給与体系の職場もあり、夜勤ができなくなったときの収入減が大きい。年収で比べるなら年収比較シミュレーターが使える。

Q. この記事の前提データはどこから?

看護師の夜勤手当は日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」(調査期間2025年10月1日〜11月17日)、介護職は日本医療労働組合連合会「2022年 介護施設夜勤実態調査」の正規職員・二交替夜勤の平均額。工場・警備・コンビニは公的な統計がないため、主要求人媒体の掲載内容をもとにした目安で、法定の深夜割増は労働基準法37条に基づく計算値。仮眠時間の扱いは最高裁平成14年2月28日判決(大星ビル管理事件)による。

Q. 数字が実感と合わない場合は?

夜勤手当は同じ地域・同じ職種でも施設ごとに数千円単位で違う。看護師でも大学病院と中小病院、介護でも特養とグループホームで差が大きいので、平均値は「交渉や転職先選びの物差し」として使ってほしい。自分の条件での計算は夜勤手当シミュレーターの詳細設定で行える。記事の計算に誤りがあると思われる場合は、お問い合わせフォームから連絡いただければ検証する。

まとめ表——夜勤手当の相場(2026年時点の目安)

働き方1回あたり主な決まり方確認ポイント
看護師・二交代11,470円病院独自の定額(割増込み52%/別31%)明細に深夜割増が別行であるか
看護師・三交代準夜4,300円/深夜5,211円同上二交代より月7,836円少ない
介護職・二交代6,011円施設独自の定額特養5,879円・老健7,226円・GH5,225円
工場・三交替2,344円+0〜7,000円法定割増+交替手当交替手当の有無で年25万円差
施設警備975円+0〜5,000円法定割増+夜勤手当仮眠が待機なら労働時間
コンビニ深夜バイト1,950円法定割増のみ時給×1.25になっているか

「夜勤手当が安い」と感じたら、まず法定の割増が正しく払われているかを確かめ、そのうえで定額手当を相場と比べる。この順番で見ると、交渉すべき点と、職場を変えないと埋まらない差が切り分けられる。

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