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「おまかせ運用」4択を手数料込みで比較——退職金1,000万円を15年預けると、ファンドラップ(年2%)は手取り1,277万円、バランスファンドをNISAで持てば1,769万円で492万円差。ロボアドを途中でやめるときの税金は「余分なコスト」ではなかった【2026年】

自分で売買しない「おまかせ運用」を、ファンドラップ・ロボアドバイザー・バランスファンド・自分でインデックスを組むの4択で比較。年4%運用で退職金1,000万円を15年なら、年間コスト2%のファンドラップは手取り1,277万円、1.2%のロボアドは1,415万円、0.143%のバランスファンドを3年かけてNISAへ移すと1,769万円。29歳・100万円+月3万円の20年積立でも、ロボアドとバランスファンドの差は約161万円。含み益のあるロボアドを売って乗り換えると税金10万円がかかるが、持ち続けても同じ税は最後に払うため、乗り換えは初年度から有利になる計算。どれを選ぶかの分岐フロー付き。

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「1,000万円の退職金、そのまま普通預金ではもったいないですよ。プロが配分を決めて、相場に合わせて入れ替えもします」

銀行の窓口でファンドラップを勧められた61歳の大川さん(仮名・千葉県船橋市、元事務職、夫婦2人暮らし)は、パンフレットの「年率最大1.54%」という数字を見て、高いのか安いのか判断がつかなかった。同じ週、29歳の息子・翔太さん(年収420万円・都内の賃貸で一人暮らし)からは「俺はロボアドで毎月3万円積み立ててる」と聞いている。

どちらも「自分では売買しない」運用だ。ただ、自分で売買しない方法はこの2つだけではない。この記事では、おまかせ運用の4つの選択肢を同じ値動き(年4%)を仮定したうえで、コストと税金の違いだけを比べる。

4つの「おまかせ」は何にお金を払っているか

ファンドラップロボアドバイザーバランスファンド自分で組む
代表例大手証券・銀行のラップ口座WealthNavi、THEO、楽ラップeMAXIS Slim バランス(8資産均等型)など全世界株式+債券のインデックスファンド
年間コストの目安合計2%前後WealthNavi型 約1.2%/楽ラップ型 約0.9%0.143%(上の例)0.1%前後
コストの中身投資一任報酬1.3〜1.7%前後+ラップ専用投信の信託報酬0.3〜0.7%前後運用手数料1.1%(WealthNavi・3,000万円以下)+ETF経費0.1%前後信託報酬のみ信託報酬のみ
配分の決め方面談・質問票で数コースから質問票で5段階前後からファンドごとに固定(株式比率の違う商品を選ぶ)自分で決める
リバランス自動自動ファンド内で自動年1回ほど自分で
NISA使えない一部対応(例:WealthNaviの「おまかせNISA」)使える使える
最低金額数百万円からのコースが多い1万円前後から100円から100円から

見落としやすいのは、バランスファンドも中身のリバランスは自動だという点だ。「相場に合わせて配分を戻してくれる」という機能そのものは、年0.143%の商品でも手に入る。ファンドラップやロボアドの手数料が払っているのは、配分の選択肢・面談やアプリの体験・税負担の調整機能などの「上乗せ部分」ということになる。

コストの目安は各社が公表している手数料体系をもとにした概算で、契約コースや残高で変わる。

ケース1:退職金1,000万円を15年預ける(大川さん)

前提はシンプルにした。

  • 一括1,000万円、15年間、追加入金・取り崩しなし
  • 4択とも値動きは年4%(同程度の株式・債券比率を想定)、そこから年間コストを差し引く
  • 15年後に全額売却し、利益に20.315%の税金がかかる(NISAは非課税)
  • バランスファンドは、NISAの年間枠(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円=360万円)に3年かけて移す。待っている間は同じファンドを特定口座で持つ
年間コスト1年目のコスト15年後の残高売却後の手取り
ファンドラップ2.0%約20万円1,348万円1,277万円
ロボアド(WealthNavi型)1.2%約12万円1,520万円1,415万円
ロボアド(楽ラップ型)0.9%約9万円1,588万円1,469万円
バランスファンド(特定口座のまま)0.143%約1.4万円1,782万円1,623万円
バランスファンド(3年でNISAへ)0.143%約1.4万円1,769万円1,769万円

ファンドラップとNISAのバランスファンドの差は約492万円。内訳を分けると、

  • コストの差で約346万円(特定口座同士で比べた1,623万円−1,277万円)
  • NISAの非課税で約146万円(1,769万円−1,623万円)

になる。NISAへ移す途中の2・3年目に、特定口座で出た利益に約7.5万円の税金がかかっているが、それを払っても非課税の効果のほうがはるかに大きい。

計算の式は、毎月「残高 ×(1+4%÷12)」で増やしたあと「残高 × 年間コスト ÷ 12」を差し引く、をくり返しているだけだ。年2%のコストは「利益の2%」ではなく「残高の2%」なので、利回り4%の運用だと期待リターンの半分を毎年払っていることになる。

ケース2:29歳から100万円+月3万円を20年積み立てる(翔太さん)

積立はファンドラップの対象外になることが多いので、3択で比べる。元本は100万円+月3万円×240か月=820万円。

年間コスト20年間に払うコスト20年後の残高(NISA・非課税)
ロボアド(WealthNavi型・おまかせNISA)1.2%約137万円1,138万円
バランスファンド0.143%約18万円1,299万円
自分で組む0.1%約13万円1,306万円

同じNISAの中で持っても、ロボアドとバランスファンドの差は約161万円。払うコストの差(約119万円)より大きいのは、手数料として抜かれたお金がその後の運用益も生まなくなるからだ。もしロボアドを特定口座で持っていれば、売却時に税金がかかり手取りは約1,074万円まで下がる。

一方、バランスファンドと「自分で組む」の差は7万円ほど。年1回、配分を戻す作業を20年続ける手間と比べると、多くの人にとってはバランスファンドで十分という結果になる。コストが期間とともにどう効いてくるかは信託報酬インパクトシミュレーター、ロボアド各社の手数料を並べた比較はロボアドバイザー手数料比較シミュレーターで確かめられる(シミュレーターの初期値は年5%運用なので、この記事の4%とは数字が少し異なる)。

途中でやめるなら:「売ると税金がかかる」は本当に損か

すでにロボアドを特定口座で数年続けている人が一番迷うのがここだ。たとえば、

  • 現在の評価額300万円(入金額250万円、含み益50万円)
  • 今売ると税金:50万円 × 20.315% = 約10.2万円

この10万円を「乗り換えコスト」と考えると、二の足を踏みたくなる。ところが、持ち続けた場合も最後に売るときには、この50万円分の利益にも同じ税金がかかる。つまり今払うか、後で払うかの違いでしかない。追加入金なしで、両者を同じ年数後に全部売った手取りで比べるとこうなる。

経過年数持ち続ける(ロボアド・特定口座)バランスファンド(特定口座)に乗り換え差バランスファンド(NISA)に乗り換え差
3年後310.7万円318.1万円+7.4万円325.3万円+14.6万円
5年後325.7万円338.9万円+13.2万円351.4万円+25.7万円
10年後366.9万円398.3万円+31.5万円426.0万円+59.1万円
15年後414.2万円470.4万円+56.2万円516.4万円+102.2万円

コストの差だけでも(特定口座同士)、乗り換えは1年目から有利になる。前払いした約10万円の税金が「本来なら運用できたはずのお金」として失われる効果より、年1%余りのコスト差のほうがずっと大きいからだ。

ただし、次の2つは例外になる。

  1. 含み損がある場合:売っても税金はかからないが、同じ年に他の利益があれば損益通算で相殺できる。売る時期を年内にそろえると有利になることがある
  2. おまかせNISAの中で持っている場合:NISA内の売却は非課税で、売った分の枠(簿価)は翌年に復活する。ただし年間枠360万円の範囲でしか買い直せないので、大きな残高は数年がかりになる

株の売却益にかかる税金の仕組みは株式譲渡益の税金シミュレーターで確認できる。

どれを選ぶか:4つの質問で分ける

```
Q1. NISAの年間枠(360万円)をまだ使い切っていない?
├─ はい → まずNISAで「バランスファンド」か「自分で組む」
│ (ファンドラップはNISAで持てない)
└─ いいえ → Q2へ

Q2. 年1回、配分を見て売買し直す作業を続けられる?
├─ はい → 自分で組む(コスト最小)
└─ いいえ → Q3へ

Q3. 株式と債券の比率を、自分の好みに細かく合わせたい?
├─ いいえ → バランスファンド(株式比率の違う商品から選ぶ)
└─ はい → Q4へ

Q4. 年1%前後を払ってでも、面談やアプリの通知で「続けられる仕組み」が欲しい?
├─ はい → ロボアド(まず低コスト型から)
└─ いいえ → バランスファンドを複数組み合わせる
```

ファンドラップがこのフローに出てこないのは、「相談相手が欲しい」というニーズは、運用残高に比例する手数料ではなく、相談ごとに払うお金でも買えるからだ。1,000万円を預ける場合、ファンドラップの手数料は1年目だけで約20万円かかる。

大川さんと翔太さんが選んだもの

大川さんは、1,000万円のうち生活防衛資金と今後5年の旅行・家の修繕費として400万円を預金に残し、600万円をバランスファンドで運用することにした。初年度はNISAに360万円を入れ、残りの240万円は同じファンドを特定口座で持って翌年NISAへ移す。取り崩しの順番は退職金の取り崩しシミュレーターで、70歳から月5万円ずつ崩した場合に何歳まで持つかを確認した。

翔太さんは、ロボアドの残高をおまかせNISAから売却し、翌月から同じ月3万円をつみたて投資枠のバランスファンドに切り替えた。売った分の枠は翌年に戻るので、来年の成長投資枠で買い直す予定だ。株式の比率をどうするかは資産配分シミュレーターで、リスクの許容度から決め直した。

よくある質問

Q. 年4%で比べているが、ファンドラップのほうが運用がうまい可能性は?

プロが運用しても、同じ株式・債券比率なら長期の値動きは市場平均に近づきやすい。コストの差を毎年1.8%以上埋め続ける運用ができるかどうかが判断の基準になる。過去の実績を見るときは、手数料を引いた後の数字で、同じリスクのバランスファンドと比べる必要がある。

Q. ロボアドの「税負担を減らす機能」は、コスト差を埋めるほど効く?

WealthNaviなどには、利益が出た年に含み損のある銘柄を売って税金を減らす機能がある。ただし減らせるのは「その年の税金」で、多くの場合は将来の税金の繰り延べにとどまる。NISAで持つバランスファンドは最初から非課税なので、この機能の価値は小さくなる。

Q. この記事の前提データはどこから?

ファンドラップとロボアドバイザーの手数料は各社が公表している手数料体系(WealthNaviは運用額3,000万円以下の部分に年1.1%、楽ラップは固定報酬型の投資一任報酬が年0.715%以下)をもとにした概算で、ラップ専用投信やETFの経費を足して年間コストを置いた。バランスファンドは三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」の信託報酬年0.143%(税込)。税率20.315%は所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%、NISAの年間投資枠は金融庁のNISA特設ウェブサイトによる。年4%は株式と債券を半分ずつ持つ配分を想定した仮定で、将来の運用成果を示すものではない。

Q. 数字が実感と合わない場合は?

運用利回り・コスト・期間を変えると差の大きさは変わるが、「コストが高いほど差が広がる」という方向は変わらない。自分の条件で試算するならNISAシミュレーターと上の各シミュレーターを使ってほしい。記事の数字に誤りがあると思われる場合は、お問い合わせフォームから知らせてもらえれば確認する。

今週できること

  • 持っているラップ口座・ロボアドの「年間コスト合計」を、手数料と投信・ETFの経費を足して計算する
  • その数字に現在の残高を掛けて、1年に払っている金額を円で書き出す
  • NISAの今年の残り枠を証券口座で確認する(12月の買付締切に注意)
  • 特定口座で含み益がある場合は、売却時の税金と、上の表の「乗り換えた場合の差」を比べる
  • ロボアドの手数料の仕組みをもう少し詳しく知りたい人はロボアドバイザーの手数料の記事、退職金全体の運用設計は退職金2,000万円のケーススタディへ

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