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税金・社会保険

年金制度の「2階建て」構造を完全解説|自分はいくらもらえるのか

国民年金と厚生年金の2階建て構造を図解的に解説。加入パターン別の受給額テーブル、繰上げ・繰下げの影響、年金だけでは足りない理由、iDeCo等の3階部分まで網羅。

国民年金の満額は月68,000円。これだけで暮らせる人はまずいない。

2026年度の国民年金(老齢基礎年金)の満額は月額約68,000円、年額にして約816,000円です。家賃を払って食費を出して光熱費を払えば、もうほとんど残りません。

しかし、会社員や公務員であれば「厚生年金」が上乗せされます。さらにiDeCoや企業年金を活用すれば「3階部分」も作れる。年金制度は複数の階層から成り立っており、自分がどの階にいるかで老後の収入は大きく変わります。

この記事では、年金制度の全体像を整理し、自分がいくらもらえるのかを把握するための知識を解説します。

年金の「2階建て」構造

日本の公的年金は2階建てと呼ばれる構造になっています。

全体像

階層年金の名称対象者保険料
2階厚生年金会社員・公務員(第2号被保険者)標準報酬月額 × 18.3%(労使折半)
1階国民年金(基礎年金)日本に住む20歳〜60歳の全員月額16,980円(2026年度)
(3階)iDeCo・企業年金・国民年金基金任意加入掛金は自分で設定

被保険者の3つの種別

種別対象者1階2階
第1号自営業・フリーランス・学生国民年金のみなし
第2号会社員・公務員国民年金+厚生年金あり
第3号第2号の配偶者(年収130万円未満)国民年金のみ(保険料負担なし)なし

ここが最大の格差: 第1号被保険者(自営業等)は1階部分しかないため、受給額は最大でも月68,000円。第2号被保険者(会社員等)は2階部分が上乗せされるため、平均月額14〜15万円を受給しています。

1階: 国民年金(老齢基礎年金)

受給額の計算式

国民年金の受給額は非常にシンプルです。

満額 × 保険料納付月数 ÷ 480月(40年)

納付期間受給額(月額)受給額(年額)
40年(480月)全額納付約68,000円約816,000円
35年(420月)約59,500円約714,000円
30年(360月)約51,000円約612,000円
25年(300月)約42,500円約510,000円
20年(240月)約34,000円約408,000円

学生時代の未納期間や免除期間があると、その分だけ満額から減額されます。ただし免除期間は「納付月数の1/2」としてカウントされるため、完全な未納よりは有利です。

受給資格を得るには最低10年(120月)の加入期間が必要です。

2階: 厚生年金(老齢厚生年金)

受給額の計算式

厚生年金の受給額は、加入期間中の平均的な報酬と加入月数で決まります。

平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数

この計算式は2003年4月以降の加入分に適用されるもので、それ以前の期間は別の計算式が使われます。

平均年収別の受給額テーブル(加入38年の場合)

加入期間中の平均年収平均標準報酬月額(概算)厚生年金(月額)基礎年金と合計(月額)
300万円250,000円約62,600円約130,600円
400万円333,000円約83,400円約151,400円
500万円417,000円約104,400円約172,400円
600万円500,000円約125,200円約193,200円
700万円583,000円約146,000円約214,000円
800万円650,000円(上限)約162,800円約230,800円

※標準報酬月額の上限は65万円。年収が800万円を超えても厚生年金の受給額は頭打ちになります。

自分の条件での受給見込み額は年金受給額シミュレーターで計算できます。

繰上げ受給と繰下げ受給

年金の受給開始は原則65歳ですが、60〜75歳の間で自由に選択できます。

繰上げ受給(60〜64歳で受給開始)

  • 1か月繰り上げるごとに0.4%減額
  • 60歳で受給開始すると24%減額(生涯にわたって減額が続く)

繰下げ受給(66〜75歳で受給開始)

  • 1か月繰り下げるごとに0.7%増額
  • 70歳で受給開始すると42%増額
  • 75歳で受給開始すると84%増額

受給開始年齢別の月額比較(基礎年金+厚生年金 平均年収500万・38年加入の場合)

受給開始年齢増減率月額(概算)年額(概算)
60歳−24%約131,000円約1,572,000円
63歳−9.6%約155,800円約1,870,000円
65歳(原則)±0%約172,400円約2,069,000円
67歳+16.8%約201,400円約2,417,000円
70歳+42%約244,800円約2,938,000円
75歳+84%約317,200円約3,807,000円

繰下げの「損益分岐点」は約12年後です。70歳まで繰り下げた場合、82歳以降は65歳受給より累計受給額が多くなります。繰上げ・繰下げの詳細なシミュレーションは年金受給タイミングシミュレーターで試算してください。

年金だけでは足りない理由

老後の生活費と年金収入のギャップ

総務省「家計調査」によると、65歳以上の夫婦世帯の平均的な支出は月額約26〜28万円です。

項目夫婦世帯の年金収入(平均年収500万円の会社員+第3号配偶者)月の生活費
年金収入約240,000円-
生活費-約270,000円
毎月の不足額-約30,000円

毎月3万円の不足が30年間続くと、約1,080万円の貯蓄が必要になる計算です。老後に必要な資産の全体像は老後資金シミュレーターで確認できます。

3階部分: 自分で作る年金

公的年金だけでは不足する分を補う「3階部分」として、以下の制度があります。

制度対象者掛金上限(月額)税制優遇
iDeCo65歳未満の公的年金加入者12,000〜68,000円(職業による)掛金全額所得控除+運用益非課税
企業型DC導入企業の従業員55,000円掛金は給与から除外+運用益非課税
国民年金基金第1号被保険者68,000円(iDeCoと合算)掛金全額所得控除
つみたてNISA誰でも年間120万円(月10万円)運用益非課税(控除なし)

会社員であればiDeCoに月23,000円(企業年金なしの場合)を拠出でき、年間27.6万円の所得控除が受けられます。iDeCoの節税効果の詳細はiDeCoシミュレーターで試算可能です。

加入パターン別チェックリスト

自分がどのパターンに該当するかを確認し、必要なアクションを把握しましょう。

パターンA: 会社員・公務員(第2号被保険者)

  • [x] 1階(国民年金)+2階(厚生年金)に自動加入
  • [ ] ねんきん定期便で自分の受給見込み額を確認した?
  • [ ] 企業型DC・企業年金の有無を人事に確認した?
  • [ ] 3階部分(iDeCo等)を検討した?

パターンB: 自営業・フリーランス(第1号被保険者)

  • [x] 1階(国民年金)のみ → 月68,000円が上限
  • [ ] 国民年金基金またはiDeCoで2階部分を自分で用意した?
  • [ ] 付加年金(月400円で年金増額)を検討した?
  • [ ] 小規模企業共済を利用している?

パターンC: 配偶者の扶養内(第3号被保険者)

  • [x] 1階(国民年金)のみ(保険料負担なし)
  • [ ] 将来の受給額(最大月68,000円)で足りるか検討した?
  • [ ] iDeCo(月23,000円まで)を検討した?
  • [ ] 年収130万円を超えると第3号から外れることを理解している?

追加の年金を作る方法については追加年金シミュレーターでシミュレーション可能です。

よくある質問(FAQ)

Q. ねんきん定期便はどこで確認できる?

毎年誕生月に届くハガキのほか、日本年金機構の「ねんきんネット」でいつでも確認できます。50歳以上の方には年金見込額が記載されています。50歳未満の方はこれまでの加入実績に基づいた額のみ記載されるため、将来の見込み額はシミュレーターで計算する必要があります。

Q. 厚生年金の保険料を多く払えば、その分もらえる年金も増える?

はい。厚生年金の受給額は「加入期間中の平均報酬額 × 加入月数」で決まるため、報酬が高いほど、加入期間が長いほど受給額は増えます。ただし標準報酬月額には上限(65万円)があるため、年収約800万円を超えると受給額の伸びは止まります。

Q. この記事の計算の前提データはどこから?

国民年金の満額は厚生労働省の年度別発表値、厚生年金の計算式は日本年金機構「老齢厚生年金の受給要件・支給開始年齢・年金額」に基づいています。繰上げ・繰下げの増減率は2022年4月以降の制度改正後の数値です。

Q. 数字が実感と合わない場合は?

実際の受給額は加入期間中の平均報酬(全期間平均)で計算されるため、若い頃の低い報酬も含まれます。この記事の計算例は全期間の平均年収が一定と仮定した概算です。正確な見込み額は「ねんきんネット」で確認するか、年金受給額シミュレーターに詳しい条件を入力して試算してください。

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  • 日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始年齢・年金額」
  • 日本年金機構「老齢厚生年金の受給要件・支給開始年齢・年金額」
  • 厚生労働省「2026年度の年金額改定について」
  • 日本年金機構「年金の繰上げ受給・繰下げ受給」
  • 総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)」

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