くらシム
交通・通信

「月々4.5万円ならステップワゴンに乗れますよ」——残クレを勧められた上尾市の三浦さん一家(仮名・36歳・世帯年収690万円)が10月の新金利5.6%で検算すると、5年後に買い取れば利息は71.5万円。同じ月々で銀行ローン7年にすると利息36.9万円で車も手元に残った【ケーススタディ】

ホンダの残価設定型クレジット(残クレ)は2026年10月1日申込分から実質年率5.2%→5.6%に改定。ステップワゴン e:HEV AIR EX(397.65万円・頭金50万円・残価155.4万円・60回)を例に、埼玉県上尾市の4人家族が残クレの3つの出口(返却・一括買取・再クレジット)と銀行マイカーローン(変動2.9%の5年・7年)を10年スパンで比較。月々44,704円の残クレと月々45,780円の銀行7年は支払いがほぼ同じでも、総額は34.6万円差。走行距離超過(ステップワゴンは1kmあたり7円)と内外装の減点精算、銀行ローンの金利上昇リスクも試算した。

🚗この記事の計算を自分の条件で自動車ローン 返済シミュレーター試算する →

「月々4万5,000円くらいで、新しいステップワゴンに乗れますよ。5年後は返しても、乗り換えても、買い取ってもいいんです」

10月の3連休、埼玉県上尾市に住む三浦さん(仮名・36歳)は、子ども2人を連れて行ったディーラーで残価設定型クレジット(残クレ)の見積書を受け取った。今乗っている2013年式のフリードは13年目に入り、来年度から自動車税が重課になる。下の子のチャイルドシートと上の子の習い事の送迎を考えると、スライドドアの広い車に替えたい。

家に帰って妻と見積書を広げると、引っかかったのは「月々」より下にある一行だった。実質年率5.6%。ホンダは2026年10月1日申込分から、残クレの金利を5.2%から5.6%に上げている。

三浦さん一家の前提

項目内容
住まい埼玉県上尾市(戸建て賃貸・駐車場込み)
家族三浦さん36歳(会社員・年収580万円)、妻34歳(パート・年収110万円)、長女6歳、長男3歳
車の使い方平日は妻の送迎と買い物、週末は実家(栃木県)との往復。年間約14,400km(月1,200km)
候補の車ステップワゴン e:HEV AIR EX 車両価格3,976,500円(税込)
頭金50万円(貯金から。諸費用は下取りと別の貯金で支払う)
借りる額3,476,500円
乗る期間「子どもが中学生になるまで」——少なくとも10年は乗りたい

見積書の数字は、ホンダ公式サイトに載っているステップワゴンの支払例(2026年4月時点、当時のキャンペーン金利2.9%)と同じ車両価格・頭金・残価を使い、金利だけ10月の5.6%に置き換えたものだ。残価は155万4,450円で、車両価格の約39%にあたる。

残クレの月々はどう決まるのか

残クレは「5年後の買取価格(残価)を最終回まで据え置き、それ以外を59回で返す」ローンだ。据え置いた残価にも利息はかかり、その利息は毎月の支払いに含まれている。月々の額は次の式で決まる。

> 月々の支払額 =(借入額 − 残価 ÷ (1 + 月利)^60)× 月利 ÷(1 − (1 + 月利)^−59)

月利は5.6% ÷ 12 ≒ 0.467%。この式で計算すると、三浦さんの見積もりは月44,704円×59回+最終回155万4,450円。同じ式を2.9%に当てはめると月38,810円になり、ホンダ公式の支払例(ボーナス併用で総額384.3万円)ともほぼ一致する。

金利が0.4ポイント上がっただけに見えるが、4月のキャンペーン金利2.9%と比べると月々は5,894円上がり、利息の合計は36.8万円から71.5万円へほぼ倍になった。残クレは「借りている元本が最後まで減らない」ので、普通のローンより利息の影響が大きく出る。

出口は3つ、5年後に払うお金はこれだけ違う

残クレの5年後には「返す」「買い取る」「乗り換える」の3択がある。乗り換えは「返却+次の残クレ」なので、お金の流れは返却と同じだ。

5年後の選択6年目以降の支払い支払総額(頭金込み)うち利息
①返却(車は手元に残らない)なし313.8万円+精算金71.5万円
②残価を現金で一括買取155.4万円を一括469.2万円71.5万円
③残価を再クレジット(5.6%・60回)月29,764円×60回492.3万円94.7万円

「10年乗りたい」三浦さんにとって現実的なのは②か③だ。ただ、5年後に155万円を一括で出せるかは分からないので、③の再クレジットで総額492.3万円が「最もありそうな未来」になる。再クレジットの金利は、満期時点でホンダが設定している金利がそのまま適用される(2026年10月時点は5.6%)。

①の返却も無料ではない。ホンダの残クレで最終回の支払いが不要になる条件は「内外装の減点が100点以内」かつ「月間走行距離1,000km以下」で、超えた分は精算になる。

  • 走行距離: 三浦さん一家は月1,200km。5年で72,000kmに対して上限は60,000km、超過12,000km×7円(ステップワゴンの規定額)=84,000円
  • 内外装の減点: 子どもが小さい家庭は、シートの汚れやスライドドアの擦り傷がたまりやすい。仮に130点なら、超過30点×1,000円=30,000円

返却するなら合計11.4万円が上乗せされ、5年間の負担は325.2万円になる。月1,500kmのプランも選べるが、そのぶん残価が下がって月々が上がる。

銀行マイカーローンと並べると

妻が「銀行のローンだとどうなるの」と聞き、三浦さんは給与振込口座のある地方銀行でマイカーローンの事前審査を受けた。提示されたのは変動金利 年2.9%。同じ347万6,500円を借りるとこうなる。

借り方月々支払回数総額(頭金込み)利息完済時の車
残クレ5.6%→再クレジット44,704円→29,764円59回+60回492.3万円94.7万円10年後に自分のもの
残クレ5.6%→一括買取44,704円59回+最終155.4万円469.2万円71.5万円5年後に自分のもの
銀行2.9%・5年62,314円60回423.9万円26.2万円5年後に自分のもの
銀行2.9%・7年45,780円84回434.6万円36.9万円7年後に自分のもの

目を引くのは最後の行だ。7年で組むと月々45,780円で、残クレの44,704円との差は月1,076円しかない。それでいて総額は残クレ+一括買取より34.6万円少なく、7年目の終わりには車が自分のものになり、8〜10年目は返済ゼロで乗れる。

5年ローン(月62,314円)は月々が残クレより17,610円重いが、利息は残クレ+一括買取より45.3万円少ない。家計に余裕があるなら最も安い。

「5年で乗り換える」なら残クレが得なのでは?

三浦さんがもう一つ気にしたのは、「5年で手放すなら残クレのほうが得では」という点だ。銀行ローンで買い、5年後に残価と同じ155.4万円で売れたとすると、5年間の負担は50万円+373.9万円−155.4万円=268.4万円。残クレを返却した場合の325.2万円(精算込み)より56.8万円少ない。精算がゼロでも差は45.3万円ある。

ここで効いてくるのが、残クレの残価が「保証」である点だ。5年後の買取相場が残価を下回れば、残クレは差額を負担しなくて済む。逆に言えば、残クレの利息の差は相場下落に備える保険料ともいえる。ステップワゴンのように中古車の需要が安定した車種では、この保険の価値は小さい。新型への切替えで値崩れしやすい車や、相場の読みにくいEVでは事情が変わる。

銀行ローンの「変動金利」はどこまで上がると逆転するか

銀行マイカーローンの多くは変動金利で、日銀は9月18日に政策金利を1.25%へ引き上げたばかりだ。三浦さんの5年ローンで、借入中に金利が上がった場合を試算した。

金利の動き(5年・60回)利息の合計
2.9%のまま26.2万円
3年目から3.9%(+1%)29.7万円
2年目から4.9%(+2%)38.3万円
参考:残クレ5.6%+一括買取71.5万円

2年目から2ポイント上がっても、利息は残クレの半分強にとどまる。残クレの金利は契約時に固定されるが、満期に再クレジットする場合はその時点の金利になるので、「残クレ=金利上昇に強い」とも言い切れない。

三浦さんが決めたこと

家族で話し合った結論は、銀行マイカーローン7年だった。決め手は3つ。

  1. 月々は残クレとほぼ同じ(差は月1,076円)で、総額は34.6万円少ない
  2. 年14,400km走る一家は、残クレだと走行距離の精算が毎回かかる
  3. 「10年乗る」なら、残クレは5年後に再ローンか一括払いの判断を迫られる

ディーラーには銀行ローンでの購入を伝え、値引き交渉はそのまま続けた。メーカー系のローンを使わないと値引きが渋くなる販売店もあるので、見積書は「残クレ」と「現金一括(他社ローン)」の2通りを出してもらい、車両の値引き額が同じかを確かめたのが三浦さんの工夫だ。

一方で、残クレが向いている家庭もある。

  • 3〜5年ごとに新車へ乗り換えると決めていて、年間走行距離が1.2万km以下
  • 下取り相場が読みにくい車種(EV・モデル末期の車)を選ぶ
  • 手元資金を残したく、月々を最小にすることを優先する

よくある質問

Q. 残クレの「実質年率」は交渉できますか?

ホンダは「全国統一金利」としており、販売店ごとの交渉はできない。下げられるのは車両価格(値引き)と頭金の額だけだ。メーカーが期間限定の低金利キャンペーン(2026年春〜夏のステップワゴンは2.9%)を出していることがあるので、時期が合えば総額は大きく変わる。

Q. 銀行ローンの審査に落ちたらどうなりますか?

マイカーローンは年収の30〜35%程度を年間返済額の目安にしている金融機関が多い。三浦さんの年収580万円なら年174万〜203万円で、7年ローンの年間返済54.9万円は十分に収まる。住宅ローンを抱えている場合は合算で見られるので、ローン比較シミュレーターで借入先ごとの総額を並べておくとよい。

Q. この計算の前提データはどこから?

残クレの金利・精算条件はホンダファイナンス公式サイト(「金融商品の金利改定について(2026年10月1日以降)」、残価設定型クレジットの商品ページ)、車両価格・残価はホンダ公式のステップワゴン残クレ支払例(2026年4月時点)による。銀行ローンの2.9%は三浦さんのケースで想定した提示金利で、2026年10月時点の主要行の公表金利(三菱UFJ銀行 年2.375〜3.50%・2026年10月1日現在、横浜銀行 年0.90〜3.30%・11月2日から上限3.55%)の範囲内に置いた。返済額はいずれも元利均等返済で計算している。

Q. 数字が実感と合わない場合は?

ボーナス併用払い、諸費用のローン組み込み、販売店独自のメンテナンスパックの有無で月々は変わる。見積書の「割賦元金」「実質年率」「最終回支払額」を自動車ローンシミュレーターに入れると、同じ条件で比べ直せる。計算の誤りに気づいた場合は、シミュレーターの「計算結果を報告」から知らせてほしい。

あなたの見積書なら、どの行に入るか

三浦さん一家の結論は「同じ月々なら銀行7年」だったが、答えは走行距離と乗る年数で変わる。手元の見積書について、次の3つを確かめてみてほしい。

  • 月々の支払額ではなく、最終回まで払い切った総額はいくらか
  • 自分の年間走行距離は、契約の上限(月1,000kmなら年12,000km)に収まるか
  • 5年後、155万円クラスの残価を一括で払うか、再ローンを組むか、返すか——今の時点でどれを選びそうか

車の費用は借り方だけでは決まらない。ガソリン代・保険・車検まで含めた10年の総額はマイカー生涯費用シミュレーターで、新車にこだわるべきかは新車 vs 中古車比較で、月額定額で乗る選択肢はカーリース vs 購入比較で確かめられる。

---

  • 本田技研工業/ホンダファイナンス「金融商品の金利改定について(2026年10月1日以降)」(残価設定型クレジット 実質年率5.2%→5.6%)
  • ホンダファイナンス「残価設定型クレジット」商品ページ(返却条件:内外装減点100点以内・月間走行距離1,000km以下、減点1点1,000円、走行距離超過1kmあたりステップワゴン7円)
  • ホンダ「STEP WGN 残クレ2.9%キャンペーン」支払例(e:HEV AIR EX 車両価格3,976,500円、頭金50万円、最終回1,554,450円、2026年4月時点)
  • 横浜銀行 マイカーローン金利(2026年8月3日時点)、日本銀行 金融政策決定会合(2026年9月18日)

🚗 自動車ローン 返済シミュレーター

あなたの条件を入力すると、具体的な数字で結果が分かります(無料・登録不要)

シミュレーターを使う

広告

関連記事

広告