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介護離職の収入ダウンはいくら?4つの選択肢を比較シミュレーション

介護のために離職・休業・時短・外部サービス利用した場合の収入差と年金影響を比較。介護離職を避けるための制度活用法を解説します。

介護離職の経済的損失は生涯で数千万円

総務省「就業構造基本調査」(2022年)によると、年間約10.6万人が介護・看護を理由に離職しています。その約8割が40〜50代の働き盛りの世代です。しかし、介護離職による収入損失は生涯で2,000〜5,000万円にのぼり、「離職しない方法」を最優先で検討すべきです。

まずは年収手取り計算シミュレーターで現在の手取り額を把握し、離職した場合の差額をイメージしてみましょう。

4つの選択肢の収入比較

条件:50歳・年収600万円の会社員が親の介護に直面した場合

選択肢月収の変化年間収入65歳までの15年間
(1) 現状維持(外部サービス利用)変わらない600万円9,000万円
(2) 介護休業(93日間)休業中は給与の67%約570万円8,800万円
(3) 時短勤務約25%減約450万円6,750万円
(4) 介護離職0円→再就職で減0〜350万円3,000〜5,250万円

介護離職すると、現状維持と比べて15年間で3,750〜6,000万円の差が生まれます。この差額は年金や退職金の減少を含めるとさらに拡大します。

介護離職が「損」な理由

1. 再就職が厳しい

三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によると、50代で介護離職した場合、再就職までに平均1〜2年かかります。再就職後の年収は離職前の50〜70%に下がるケースが多く、正社員としての再就職率は約3割にとどまります。非正規雇用になれば、社会保険料の負担構造も変わり、将来の年金額にも影響します。

2. 年金が減る

厚生年金の加入期間が短くなるため、将来の年金額が減少します。厚生年金は報酬比例部分が大きいため、高収入の人ほど離職による損失が大きくなります。

離職期間年金の減少額(年額)20年間の差額
2年約3万円約60万円
5年約8万円約160万円
10年約16万円約320万円

※日本年金機構の報酬比例部分の計算式に基づく概算。年収600万円(標準報酬月額50万円)を前提に試算。万が一の場合の遺族年金の受給額にも影響するため、家族全体で考える必要があります。

3. 退職金が減る

退職金は勤続年数に大きく連動します。厚生労働省「就労条件総合調査」(2023年)によると、大卒の定年退職金の平均は約1,896万円。50歳で離職すると、60歳定年まで働いた場合と比べて500〜1,000万円少なくなることも珍しくありません。退職金の手取り計算で、勤続年数による差額を確認してみてください。

4. 介護は長期化する

厚生労働省「国民生活基礎調査」によると、介護の平均期間は約5年1ヶ月。しかし10年以上続くケースも約17%あります。離職して介護に専念しても、終わりが見えない不安と経済的なプレッシャーが続きます。

離職せずに介護を続けるための制度

介護休業

  • 期間: 対象家族1人につき通算93日(3回まで分割可能)
  • 給付金: 給与の67%(雇用保険から支給)
  • 使い方: 介護体制を整えるための準備期間として活用

93日は長くないため、「介護そのもの」ではなく介護サービスの手配や施設探しに使うのが効果的です。給与の67%という水準は育休中の収入と同じ仕組みなので、休業中の生活費イメージの参考になります。

介護休暇

  • 日数: 年5日(対象家族2人以上は年10日)
  • 単位: 1時間単位で取得可能
  • 給与: 会社の規定による(無給の場合も)

通院の付き添いやケアマネとの面談に使えます。2021年の法改正で時間単位の取得が義務化され、より柔軟に使えるようになりました。

短時間勤務

  • 内容: 所定労働時間を短縮(例: 8時間→6時間)
  • 期間: 利用開始日から3年間
  • 給与: 時間に応じて減額(おおむね25%減)

時短勤務中も厚生年金に加入し続けるため、離職と比べて年金への影響は限定的です。社会保険料の等級は下がりますが、加入を維持できるメリットは大きいです。

フレックスタイム・テレワーク

2025年4月の育児・介護休業法改正により、企業は介護を行う従業員に対してテレワーク等の措置を講じる努力義務が強化されました。対象企業に勤めている場合は、人事部に確認してみましょう。

介護サービスの費用

外部サービスを利用して働き続ける場合のコスト:

サービス月額費用(1割負担)
デイサービス(週3回)約15,000円
訪問介護(週5回)約20,000円
ショートステイ(月5日)約10,000円
合計約45,000円

※介護保険の自己負担割合は所得に応じて1〜3割。上記は1割負担の場合の概算です。

月4.5万円の介護サービス費は大きいですが、離職による収入減(月20〜50万円)と比べれば圧倒的に安いです。働き続けた方が経済的に圧倒的に有利です。

介護と仕事の両立プラン

ステップ1: まず介護休業を取得(〜93日)

介護体制の構築に専念。ケアマネジャーと相談し、必要なサービスを手配します。地域包括支援センターへの相談は無料なので、早めに動きましょう。

ステップ2: 介護サービスを最大限活用

デイサービス・訪問介護・ショートステイを組み合わせ、日中の介護をプロに任せます。

ステップ3: 勤務形態を調整

時短勤務・テレワーク・フレックスを活用して、朝夕の介護と仕事を両立。上司や人事部への相談は早いほど選択肢が広がります。

ステップ4: 施設入所の検討

在宅介護の限界が来たら、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームへの入所を検討。特養は待機者が多いため、早めの申し込みが重要です。

相談先

窓口内容
地域包括支援センター介護全般の相談(無料・全国約5,400カ所)
会社の人事部介護休業・時短の申請
ケアマネジャー介護プランの作成
ハローワーク介護休業給付金の申請
仕事と介護の両立支援センター厚労省委託の専門相談窓口

あなたの介護と収入をシミュレーション

年収、介護の状況、利用可能な制度を入力すれば、4つの選択肢それぞれの収入・年金への影響が分かります。介護離職を考える前に、まずは数字で比較してみましょう。

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