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育児時短就業給付金とは|2025年4月新設・時短勤務でも賃金の10%が上乗せされる仕組みを解説

2025年4月に新設された『育児時短就業給付金』の仕組みを解説。2歳未満の子を育てながら時短勤務する人に、賃金の10%が支給される制度。給付率の計算式、賃金別の支給額早見表、育休給付との違い、申請手続きまで数字で整理する。

育児休業から復帰したとき、多くの人が直面するのが「フルタイムは無理、でも時短にすると給料が減る」というジレンマだ。これまで、この"復帰後の収入の谷"を直接埋める公的な仕組みは存在しなかった。

2025年4月、その谷に橋をかける新しい給付が始まった。育児時短就業給付金である。雇用保険法の改正で創設されたこの制度は、2歳未満の子を育てながら時短勤務する人に、時短中の賃金の一部を上乗せする。「働き方を落とす」選択のハードルを下げることが狙いだ。

まだ知名度が低いこの制度を、対象・給付率・金額の3点から具体的に押さえていく。出典は厚生労働省「育児時短就業給付」の案内に基づく。

どんな制度か——3行で

  • 対象:2歳未満の子を養育するため、時短勤務(育児時短就業)をする雇用保険の被保険者
  • 給付額:時短勤務中に支払われた賃金額の、原則10%
  • 期間:時短就業を開始した日から、子が2歳になるまで(1ヶ月単位で支給)

男女を問わず対象になる。育児休業給付を受けて復帰した人も、休業を取らずに時短へ移行した人も、要件を満たせば受けられる。

なぜ「10%」なのか——制度の狙い

育児休業給付(休んでいる間にもらえる給付)は、休業前賃金の67%(181日目以降は50%)。一方で復帰して時短勤務になると、給付はゼロ、賃金も労働時間に応じて減る。「育休中より、時短で働き始めたほうが手取りが下がる」という逆転すら起きうる。

育児時短就業給付金は、この逆転を緩和する。賃金の10%を上乗せすることで、フルタイムに近づけなくても、時短のまま家計を保ちやすくする。育休給付(休む期間)と育児時短就業給付(時短で働く期間)が、子の成長に沿って連続するよう設計されている、と理解するとわかりやすい。

局面受けられる給付給付率の目安
産前産後出産手当金標準報酬日額の2/3
育児休業中育児休業給付金休業前賃金の67%→50%
時短で復帰後育児時短就業給付金時短中賃金の10%
フルタイム復帰(給付なし)

賃金別・支給額の早見表

支給額は「各月に実際に支払われた賃金 × 10%」が基本だ。時短後の月給別に、おおよその支給額を示す。

時短前の月給時短後の月給(例)給付額(月)年間の給付額
25万円20万円約20,000円約24万円
30万円22.5万円約22,500円約27万円
35万円26万円約26,000円約31万円
40万円30万円約30,000円約36万円

時短で月給が5万〜10万円下がっても、その1割が戻る。額そのものは大きくないが、子が2歳になるまで毎月続くため、累計では数十万円規模になる。時短後の手取りがどう変わるかは育休給付シミュレーター育休中の収入シミュレーターとあわせて見ておきたい。

注意点——「賃金が高いと10%もらえない」逓減の仕組み

ここが見落とされやすい。給付率は常に10%固定ではなく、賃金 + 給付額が、時短前の賃金水準を超えないように調整される

計算の考え方はこうだ。

$$\text{賃金} + \text{給付額} \leq \text{時短前の賃金}$$

時短後の賃金が時短前と比べてかなり下がっている(たとえば75%程度)なら、10%を満額もらっても上の不等式に収まるため、給付率は10%のまま。しかし、

  • 時短後の賃金が時短前の90%を超えると、10%を足すと時短前を上回ってしまうため、給付率は10%から徐々に下がる
  • 時短後の賃金が時短前とほぼ同じ水準なら、給付はゼロ

つまり「ほんの少しだけ時間を減らした」ケースでは、給付はほとんど出ない。逆に「しっかり時短にした」人ほど、10%の恩恵をフルに受けられる。また、賃金が毎年8月に改定される支給限度額を超える高所得者は不支給となる。

育児休業給付との違いを整理する

項目育児休業給付金育児時短就業給付金
いつ受ける休業して働かない期間時短で働く期間
対象の子の年齢原則1歳まで(延長で最長2歳)2歳まで
給付率67%→50%時短中賃金の10%
賃金との関係賃金が出ると減額・不支給賃金を受けながら上乗せ
申請窓口勤務先経由でハローワーク勤務先経由でハローワーク

申請の流れ

  1. 時短勤務(育児時短就業)を開始する
  2. 勤務先(事業主)を通じてハローワークに支給申請する
  3. 原則として2ヶ月ごとに、その期間の賃金額に基づいて支給される
  4. 子が2歳に達する月まで、要件を満たす限り継続して受給する

雇用保険の他の給付と同様、申請は基本的に事業主経由で行う。復帰前後に人事・総務へ「育児時短就業給付の対象になるか」を確認しておくと、申請の取りこぼしを防げる。

FAQ

Q. この給付の前提データはどこから?
A. 制度の対象・給付率・期間は、2025年4月施行の改正雇用保険法および厚生労働省「育児時短就業給付」の案内に基づきます。早見表の支給額は「時短後賃金 × 10%」で機械的に算出した概算で、実際は賃金の逓減調整・支給限度額により異なります。正確な額は勤務先またはハローワークでご確認ください。

Q. 育休を取らずに、産後すぐ時短で復帰した場合も対象?
A. 対象になり得ます。育児休業の取得は必須要件ではなく、2歳未満の子を養育するための時短就業であること、雇用保険の被保険者であることなどが要件です。

Q. 育児休業給付と同時に両方もらえる?
A. 同じ期間に両方は受けられません。育児休業給付は「休んでいる期間」、育児時短就業給付は「時短で働いている期間」の給付で、時系列で切り替わります。

Q. パート・有期雇用でも対象になる?
A. 雇用保険の被保険者であることが前提です。週の所定労働時間など加入要件を満たして雇用保険に入っていれば、雇用形態だけで一律に除外されるわけではありません。働き方ごとの収入差は時給・働き方の比較でも確認できます。

Q. 数字が実感と合わない場合は?
A. 給付率の逓減(賃金が時短前の90%超でゼロに近づく)を考慮していないケースが多いです。「しっかり時短にしたのに10%もらえない」と感じる場合は、賃金が時短前に近すぎないかを確認してください。出産・育児にかかる費用全体は出産費用シミュレーターで見通しを立てておくと、給付額の位置づけがわかりやすくなります。

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育児時短就業給付金は、金額のインパクトこそ控えめだが、「時短にすると損をする」という長年の構図を制度として崩した点に意味がある。2025年4月に始まったばかりで、勤務先も従業員も存在を知らないまま申請し損ねるケースが少なくない。復帰のタイミングが近い人は、まず「自分は対象か」「いつから・いくら受けられるか」を勤務先に確認することが、最初の一歩になる。

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