仮想通貨の税金はいくら?売却益にかかる税率と計算方法
仮想通貨(暗号資産)の売却益にかかる税金を解説。雑所得の税率、計算方法、確定申告の注意点を具体例とともにまとめます。
仮想通貨の利益には最大約55.9%の税金がかかる
仮想通貨(暗号資産)の売却益は原則として「雑所得」に分類され、給与所得などと合算して累進課税されます(国税庁FAQ 2-2)。株式の税率が一律20.315%なのに対し、仮想通貨は所得が増えるほど税率が上がり、最高で所得税45%+復興特別所得税+住民税10%=約55.9%です。
令和8年分(2026年1〜12月の取引)で計算すると、給与700万円の会社員が仮想通貨で500万円の利益を出した場合、税金は約158万円(負担率約31.6%)。同じ500万円を株式で得たときの約101.6万円より約56万円重くなります。
課税所得別の税率と100万円の利益の手取り
| 課税所得(給与+仮想通貨利益−所得控除) | 所得税率 | 合計税率(復興特別所得税・住民税込み) | 100万円の利益の手取り |
|---|---|---|---|
| 〜195万円 | 5% | 約15.1% | 約84.9万円 |
| 195万〜330万円 | 10% | 約20.2% | 約79.8万円 |
| 330万〜695万円 | 20% | 約30.4% | 約69.6万円 |
| 695万〜900万円 | 23% | 約33.5% | 約66.5万円 |
| 900万〜1,800万円 | 33% | 約43.7% | 約56.3万円 |
| 1,800万〜4,000万円 | 40% | 約50.8% | 約49.2万円 |
| 4,000万円超 | 45% | 約55.9% | 約44.1万円 |
※利益の全額が同じ税率帯に収まる場合。税率は国税庁「No.2260 所得税の税率」。
「課税所得」は給与の額面ではありません。計算式は次のとおりです。
- 給与所得 = 給与収入 − 給与所得控除(令和8年分は最低74万円)
- 課税所得 = 給与所得 + 仮想通貨の利益 − 社会保険料 − 基礎控除 − その他の所得控除
給与400万円なら、給与所得276万円から社会保険料約58.9万円と基礎控除104万円を引いた課税所得は約113.1万円。利益200万円が乗ると約313.1万円になり、利益は5%と10%の区間にまたがります。
令和8年分の落とし穴「489万円の段差」
所得税の基礎控除は合計所得金額で決まり、仮想通貨の利益も合計所得に含まれます。
| 合計所得金額 | 令和7年分 | 令和8・9年分 |
|---|---|---|
| 132万円以下 | 95万円 | 104万円 |
| 132万超〜489万円以下 | 88万〜68万円 | 104万円 |
| 489万超〜655万円以下 | 63万円 | 67万円 |
| 655万超〜2,350万円以下 | 58万円 | 62万円 |
出典: 国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」。住民税の基礎控除は43万円のままです。
合計所得が489万円を1円でも超えると基礎控除が37万円減ります。給与600万円(給与所得436万円)の人なら、利益53万円で税金は約10.7万円ですが、53万円を1円超えると約14.9万円に跳ね上がります。
| ケース(令和8年分) | 合計所得 | 基礎控除 | 利益にかかる税 | 負担率 |
|---|---|---|---|---|
| 給与600万円+利益30万円 | 466万円 | 104万円 | 約6.1万円 | 約20% |
| 給与600万円+利益100万円 | 536万円 | 67万円 | 約29.2万円 | 約29% |
| 給与500万円+利益100万円 | 456万円 | 104万円 | 約19.4万円 | 約19% |
| 給与500万円+利益200万円 | 556万円 | 67万円 | 約52.1万円 | 約26% |
給与600万円の人が利益を30万円から100万円に増やすと、増えた70万円に対して税金は約23.1万円(約33%)増えます。年末の利確額は区分の手前で止めるか、翌年に分けると効果的です。
課税されるタイミング
保有しているだけでは課税されません。次の時点で、時価と取得価額の差が利益になります。
- 日本円への売却
- 他の仮想通貨との交換(BTC→ETHなど)
- 仮想通貨での商品・サービスの購入
- ステーキング・レンディング・マイニング報酬の受取(受取時の時価が収入)
- エアドロップなどで新たに取得したとき(一定の例外あり)
特に仮想通貨同士の交換は「円に戻していないから非課税」と誤解されがちです。
4つのケースで税額を比べる
| ケース | 給与 | 利益 | 課税所得(利益加算前→後) | 税額 | 負担率 | 手取り |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1. 会社員 | 400万円 | 200万円 | 113.1万→313.1万円 | 約36.2万円 | 約18% | 約163.8万円 |
| 2. ITエンジニア | 700万円 | 500万円 | 349.9万→854.9万円 | 約158.0万円 | 約32% | 約342.0万円 |
| 3. 管理職 | 1,500万円 | 1,000万円 | 1,060.7万→2,060.7万円 | 約455.6万円 | 約46% | 約544.4万円 |
| 4. パート | 200万円 | 50万円 | 0→42.5万円 | 約7.2万円 | 約14% | 約42.8万円 |
- ケース1: 合計所得476万円で基礎控除104万円のまま。税額は所得税約16.2万円(復興特別所得税込み)+住民税20万円です。
- ケース2: 合計所得が1,020万円になり、基礎控除は67万→62万円に下がります。所得税約108.0万円+住民税50万円。給与400万円の人が同じ500万円を得た場合(約134.3万円)より約23.7万円重くなります。
- ケース3: 課税所得のうち1,800万円を超える約260.7万円に所得税40%がかかります。合計所得が2,350万円を超えると基礎控除が段階的に0円まで減り、負担率はさらに上がります。
- ケース4: 給与だけなら課税所得0円。利益のうち約42.5万円に5%がかかるだけなので、所得の低い年に利確する方が有利です。
※令和8年分・独身・40歳未満・その他の所得控除なし・経費0円。社会保険料は協会けんぽ全国平均の令和8年度料率で、年収を月給×12+賞与4ヶ月分に分け、標準報酬月額・標準賞与額の上限を当てはめて概算(給与400万円で約58.9万円、1,500万円で約182.3万円)。住民税は所得割10%で、調整控除・均等割は省略。いずれも仮想通貨 税金計算シミュレーターと同じ計算です。
節税のポイント
- 年20万円以下に抑える: 給与収入2,000万円以下で給与以外の所得が20万円以下なら、所得税の確定申告は不要です(国税庁「No.1900」)。ただし住民税の申告は必要です。
- 同じ年の含み損と相殺する: 雑所得の中なら損益を相殺できます。給与や株式との損益通算、翌年への繰越はできません。
- 所得控除を増やす: iDeCoは会社員(企業年金なし)で月2.3万円(2026年12月分の掛金からは月6.2万円)まで全額控除。課税所得の圧縮効果はiDeCo節税シミュレーターで確認できます。
- ふるさと納税の上限を見直す: 利益で住民税が増えると控除上限も上がります。利益が20万円を超えて確定申告する年はワンストップ特例が使えないので、ふるさと納税 ワンストップ特例 vs 確定申告で手続きを確認しましょう。
- 経費を計上する: 取引手数料や送金手数料は利益から差し引けます。
- 評価方法を選ぶ: 取得価額は総平均法か移動平均法で計算し、届出がなければ総平均法になります(国税庁FAQ 2-5)。変更には承認申請が必要で、採用から3年未満だと却下される場合があります(同2-6)。
確定申告の流れ(令和8年分)
| 時期 | やること |
|---|---|
| 2026年12月31日まで | 損益の集計・含み損の売却を検討 |
| 2027年1〜2月 | 取引所から年間取引報告書をダウンロード |
| 2027年2月16日〜3月15日 | 確定申告書作成コーナーで入力・e-Taxで提出 |
| 2027年3月15日 | 所得税の納付期限 |
| 2027年6月 | 住民税(令和9年度分)の通知・徴収開始 |
関連シミュレーター
- 仮想通貨 税金計算シミュレーター — 給与と利益から税額・489万円の段差・分離課税との差を計算
- 仮想通貨 利益計算シミュレーター — 購入価格・現在価格・数量から利益と手取りを計算
- 所得税率シミュレーター — 自分の課税所得の税率帯を確認
- 株式売却益の税金シミュレーター — 分離課税20.315%との比較に
- 副業の税金シミュレーター — 副業の雑所得と合わせた税額を確認
よくある質問
Q. 仮想通貨は分離課税20%になる?
A. 令和8年度税制改正の大綱(2025年12月26日閣議決定)で、登録業者を通じた「特定暗号資産」の譲渡益などを20.315%の申告分離課税にし、損失の3年繰越も認める方針が決まりました。適用は2028年1月からの見込みで、2026・2027年の取引は現行の総合課税です。
Q. 損失は翌年に繰り越せる?
A. 現行では繰り越せません。給与など他の所得との損益通算もできません。
Q. 海外取引所の利益も申告が必要?
A. 必要です。日本の居住者は海外取引所での利益も申告対象です。
Q. 仮想通貨の利益で扶養から外れることはある?
A. あります。令和8年分の扶養親族・配偶者控除の所得要件は合計所得62万円以下で、雑所得も含まれます。給与100万円(給与所得26万円)の人が40万円の利益を出すと合計所得66万円となり、対象から外れます。
Q. 申告漏れのペナルティは?
A. 期限後申告や決定には無申告加算税(税務署の調査後なら50万円まで15%・300万円まで20%・300万円超30%)がかかります(国税庁「No.2024」)。延滞税もかかるので、気づいたら早めに申告しましょう。
Q. この計算の前提データはどこから?
A. 所得税率は国税庁「No.2260 所得税の税率」、基礎控除(104万・67万・62万円)と給与所得控除(最低74万円)は国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」、所得区分と評価方法は国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」令和7年12月26日版(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/virtual_currency_faq_03.pdf)です。社会保険料は協会けんぽ「令和8年度都道府県単位保険料率」(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/about/business/insurance_rate/rate_prefectures/r08)の料率と標準報酬の上限で概算しています(確認日2026年11月1日)。
Q. 数字が実感と合わない場合は?
A. 主な原因は、(1)社会保険料の実額(健保組合の料率や賞与の月数)、(2)配偶者控除・扶養控除・iDeCoなどの所得控除、(3)取引手数料などの経費、(4)住民税の調整控除や均等割、(5)総平均法と移動平均法の違いです。仮想通貨 税金計算シミュレーターの詳細設定で実額を入れて試算し、それでも合わない場合はお問い合わせからご連絡ください。
まとめ
仮想通貨の利益は「雑所得・総合課税・最大約55.9%」が原則です。令和8年分は合計所得489万円の段差にも注意が必要です。利確の前に仮想通貨 税金計算シミュレーターで税額と手取りを確認しておきましょう。