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iDeCoの掛金上限が月2.3万円→6.2万円へ|2027年1月適用の年金制度改正、誰がいくら増やせるかを解説

2025年6月成立の年金制度改正法により、iDeCoの拠出限度額が2027年1月引落分から大幅拡大。企業年金なし会社員は月23,000円→62,000円、自営業者は68,000円→75,000円に。加入可能年齢の70歳未満への引き上げ、被保険者区分別の新旧早見表、満額拠出時の節税額試算、増額前に確認すべき注意点(10年ルール・手数料・流動性)まで制度の全体像を解説。

結論から書くと、iDeCoの掛金上限は2027年1月の引落分から、企業年金のない会社員で月23,000円から62,000円へと2.7倍に広がります。 根拠は2025年6月13日に成立した年金制度改正法(国民年金法等の一部を改正する法律)で、施行日は2026年12月1日。つまりこの記事を読んでいる2026年7月時点から、適用まで半年を切っています。

「NISAとiDeCo、結局どっちを優先するか」という定番の悩みは、この改正で条件が変わります。所得控除というiDeCoにしかない節税効果の枠が、多くの人にとって年間27.6万円分から74.4万円分へ拡大するからです。本記事では、誰の上限がいくらになるのか、満額まで増やすと節税額はいくら変わるのか、そして増額の前に必ず確認したい3つの注意点を整理します。

新旧の拠出限度額 早見表

拠出限度額は公的年金の被保険者区分と、勤務先の企業年金の有無で決まります(出典: 厚生労働省「年金制度改正法の概要(令和7年6月)」)。

区分現行(〜2026年12月引落分)改正後(2027年1月引落分〜)
自営業・フリーランス(第1号)月68,000円75,000円
会社員・企業年金なし(第2号)月23,000円62,000円
会社員・企業型DCやDBあり(第2号)月20,000円(かつ事業主掛金と合計55,000円以内)62,000円−事業主掛金等の額
公務員(第2号)月20,000円62,000円−退職等年金給付の掛金相当額
専業主婦・主夫(第3号)月23,000円月23,000円(据え置き

読み方のポイントは3つあります。

  • 第1号被保険者の75,000円は、国民年金基金の掛金・付加保険料との合算枠です(この点は現行と同じ考え方)
  • 企業年金がある人は「iDeCoは月2万円まで」というiDeCo単体の上限が撤廃され、月62,000円の共通枠から会社の掛金分を差し引いた残りまで拠出できるようになります。たとえば企業型DCの事業主掛金が月1万円なら、iDeCoに月52,000円まで出せる計算です
  • 第3号被保険者だけは引き上げの対象外です。そもそもiDeCoの掛金は本人の所得からの控除なので、所得がない・少ない場合は節税メリット自体が小さい点も合わせて押さえておきたいところです

なお、あわせて加入可能年齢も現行の65歳未満から70歳未満へ広がります(iDeCoの老齢給付や老齢基礎年金をまだ受け取っていない等の条件つき)。60歳以降も働く人が「もうひと伸ばし」できる設計になりました。

満額に増やすと節税額はいくら変わるか

iDeCoの掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除の対象で、所得税と住民税の課税所得から差し引かれます。社会保険料には影響しない(標準報酬月額は変わらない)ため、節税効果は「掛金 × (所得税率+住民税率10%)」で概算できます。

年間節税額 ≒ 年間掛金 × (所得税率 + 10%)

企業年金のない会社員が月23,000円から月62,000円の満額に増やした場合を、所得税率別に試算すると次のとおりです(復興特別所得税は簡略化のため除く)。

所得税率(課税所得の目安)現行満額 年27.6万円の節税額改正後満額 年74.4万円の節税額差額
5%(〜194.9万円)約4.1万円/年約11.2万円/年+約7.0万円/年
10%(〜329.9万円)約5.5万円/年約14.9万円/年+約9.4万円/年
20%(〜694.9万円)約8.3万円/年約22.3万円/年+約14.0万円/年
23%(〜899.9万円)約9.1万円/年約24.6万円/年+約15.4万円/年

たとえば45歳・課税所得500万円(所得税率20%)の会社員・佐藤さん(仮名)が60歳まで15年間満額を続けると、所得控除による節税だけで約22.3万円 × 15年 = 約335万円。現行上限のままなら約124万円ですから、改正で節税余地が200万円以上広がる計算になります。自分の年収・掛金での正確な試算はiDeCoシミュレーターでできます。

これに運用益非課税の効果が加わります。月62,000円を年利3%で30年積み立てると、元本2,232万円に対して資産は約3,540万円。運用益約1,308万円に通常かかる20.315%の税金(約266万円)がゼロになります。

NISAとの優先順位はどう変わるか

改正前は「iDeCoの枠が小さいので、まず満額まで使ってから残りをNISAへ」という整理が一般的でした。改正後は枠が大きくなるぶん、流動性の差が判断の中心になります。

  • 老後資金と割り切れるお金 → iDeCo優先。所得控除のぶんNISAより税効果が大きい
  • 教育費・住宅など60歳前に使う可能性があるお金 → NISA。iDeCoは原則60歳まで引き出せない
  • 掛金を増やしすぎて家計が回らなくなるのが最悪のパターン。手取りへの影響を見ながら段階的に増額する

両制度の税効果の違いはNISA vs iDeCo比較シミュレーターで、企業型DCに入っている人のマッチング拠出との比較は企業型DC vs iDeCo比較で確認できます。なお企業型DCでは、マッチング拠出の「従業員掛金は事業主掛金以下」という制限の廃止も同じ改正に盛り込まれており、勤務先の制度次第ではiDeCoを使わずに社内で完結する選択肢も出てきます。

増額の前に確認したい3つの注意点

1. 受け取り時の「10年ルール」

iDeCoは拠出時・運用時が非課税でも、受け取り時には課税されます(一時金なら退職所得控除、年金なら公的年金等控除)。2025年からは、iDeCoの一時金を先に受け取り、あとから会社の退職金を受け取る場合に退職所得控除を両方フルに使うための間隔が、実質5年から10年に延びました(令和6年度税制改正)。掛金を増やすほど受け取り時の出口戦略が重要になります。退職金と合わせた手取りは退職金の手取りシミュレーターで確認しておきましょう。

2. 60歳まで引き出せない

iDeCoの資産は原則60歳まで現金化できません。月62,000円は年74.4万円。緊急予備資金(生活費の6ヶ月分が目安)を確保したうえでの増額かどうか、先に家計側を点検してください。

3. 手数料と拠出のバランス

iDeCoには加入時2,829円のほか、拠出のたびに最低171円/月(国民年金基金連合会105円+事務委託先金融機関66円)の手数料がかかります。掛金が大きくなるほど手数料の比率は下がるため、改正はむしろ「手数料負けしにくくなる」方向に働きますが、運営管理機関によっては別途口座管理料がかかる点は変わりません。金融機関選びの見直しも増額のタイミングで済ませておくと二度手間になりません。

よくある質問

Q. 手続きはいつから何をすればいい?

掛金額の変更は運営管理機関(証券会社・銀行)への「加入者掛金額変更届」の提出です。改正後の上限での受付開始時期は運営管理機関ごとにアナウンスされる見込みなので、2026年秋以降、利用中の金融機関の案内を確認してください。なお掛金額の変更は原則年1回までという現行ルールにも注意が必要です。

Q. 今の上限額のうちに始めておく意味はある?

あります。所得控除の節税は拠出した年から発生するため、改正を待つ理由はありません。2026年中は現行上限で積み立て、2027年1月から増額するのが最も枠を無駄にしない動き方です。

Q. 65歳を過ぎていても新たに加入できる?

改正後は70歳未満まで加入可能になりますが、「iDeCoの老齢給付金や老齢基礎年金を受給していない」「iDeCoに加入できる資産・加入歴がある」などの条件があります。60代後半からの加入は運用期間が短いため、節税メリット(掛金の所得控除)が主目的になる点は理解しておきましょう。

Q. この記事の計算の前提データはどこから?

拠出限度額と施行日は厚生労働省「年金制度改正法(令和7年6月13日成立)」の公表資料、税率は所得税の速算表(国税庁)に基づいています。節税額は「掛金×(所得税率+住民税10%)」の概算で、復興特別所得税や各種控除の個別事情は反映していません。正確な金額はiDeCoシミュレーターや源泉徴収票をもとに確認してください。

2026年内にやっておくこと

改正まで半年。今できる準備は次の4つです。

  1. 自分の区分(企業年金の有無)で改正後の上限額を確認する——勤務先の企業型DC・DBの事業主掛金額は総務・人事に聞けば分かる
  2. 未加入なら現行枠で加入しておく(節税は始めた年から効く)
  3. 緊急予備資金と60歳前に使うお金を除いた「増額余力」を家計から逆算する
  4. 手数料の安い運営管理機関かどうかを見直す

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