住宅ローン繰り上げ返済で利息はいくら減る?変動1.2%・固定3.83%別の効果とタイミング【2026年10月金利】
3,500万円・35年で5年目に100万円を繰り上げ返済すると、2026年10月の変動金利水準1.2%なら期間短縮型で利息約42万円減、フラット35の3.83%なら約205万円減。期間短縮型と返済額軽減型の差、繰上時期別の早見表、住宅ローン控除で目減りする分(約6万円)と投資との比べ方まで解説します。
繰り上げ返済の効果は「金利」でまったく変わる
住宅ローンの総返済額のうち、利息が占める割合は金利しだいで大きく変わります。3,500万円を35年(元利均等返済)で借りた場合、2026年10月の主要行の新規変動金利の水準(1.2%前後)なら利息は約788万円(総返済額約4,288万円)、全期間固定のフラット35の最頻金利3.83%なら利息は約2,860万円(総返済額約6,360万円)です。
繰り上げ返済は、返した元金に「完済予定日までかかるはずだった利息」をかからなくする仕組みです。つまり借入金利が高いほど、同じ100万円でも削減できる利息は大きくなります。日銀は2026年9月に政策金利を1.25%へ引き上げ、変動金利も2024年頃の0.3〜0.5%台から1.2%前後まで上がりました。「低金利だから繰上返済は不要」という数年前の常識は、いまの金利水準で計算し直す必要があります。
この記事の数字は、すべて住宅ローン繰り上げ返済シミュレーターで計算しています(金利は完済まで一定、手数料・住宅ローン控除は含まない前提)。
繰り上げ返済の2つの方式
| 方式 | 何が変わるか | 利息の削減 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 期間短縮型 | 毎月の返済額はそのまま、完済が早まる | 大きい | 定年前に完済したい・総額を減らしたい |
| 返済額軽減型 | 完済時期はそのまま、毎月の返済額が下がる | 小さい | 教育費が増える時期の家計を楽にしたい・金利上昇に備えたい |
具体例:5年目に100万円を繰り上げ返済した場合
条件: 借入3,500万円・35年返済・元利均等、借入から5年経過時(60回返済後)に100万円を繰り上げ返済
| 変動1.2%(月102,096円) | 固定3.83%(月151,423円) | |
|---|---|---|
| 期間短縮型:削減される利息 | 約42万円 | 約205万円 |
| 期間短縮型:短縮される期間 | 1年1ヶ月 | 1年8ヶ月 |
| 返済額軽減型:削減される利息 | 約19万円 | 約68万円 |
| 返済額軽減型:毎月の返済額の減少 | 3,309円 | 4,677円 |
どちらの金利でも期間短縮型が返済額軽減型の2〜3倍の利息削減になります(変動1.2%で約2.2倍、固定3.83%で約3.0倍)。固定3.83%なら、100万円の繰り上げ返済で利息が約205万円減る、つまり元金100万円に対して2倍以上の効果があります。一方、変動1.2%では約42万円で、効果は固定の5分の1程度です。
タイミングで効果が大きく変わる
繰り上げ返済は早ければ早いほど効果が大きいです。返した元金に利息がかからなくなる期間(=残りの返済期間)が長いほど、削減額が大きくなるからです。
| 返済時期 | 変動1.2%の利息削減額 | 固定3.83%の利息削減額 |
|---|---|---|
| 借入から3年目 | 約46万円 | 約229万円 |
| 借入から5年目 | 約42万円 | 約205万円 |
| 借入から10年目 | 約34万円 | 約154万円 |
| 借入から20年目 | 約19万円 | 約74万円 |
(条件: 借入3,500万円・35年で、いずれも100万円を期間短縮型で繰り上げ返済した場合)
金利が高いほど「早く返すか遅く返すか」の差も大きく、固定3.83%では3年目と20年目で約155万円違います。変動1.2%では同じ差が約27万円にとどまります。
まとまった金額・毎月の追加返済だとどれくらい?
繰り上げ返済額を大きくすると、削減効果はほぼ比例して大きくなります。借入3,500万円・35年で、5年目に500万円を期間短縮型で繰り上げ返済した場合:
| 変動1.2% | 固定3.83% | |
|---|---|---|
| 削減される利息 | 約193万円 | 約862万円 |
| 短縮される期間 | 5年7ヶ月 | 7年5ヶ月 |
一括ではなく毎月1万円を追加で返済し続ける方法もあります(シミュレーターの「毎月追加返済」)。この場合、変動1.2%で利息約90万円減・完済が3年9ヶ月早まり、固定3.83%なら利息約394万円減・4年2ヶ月短縮です。ボーナスのたびにまとめて返すより手間がかからず、ネット銀行なら手数料もかかりません。
繰り上げ返済 vs 投資、どちらが得?
「100万円を繰り上げ返済に使うより、投資に回した方が得では?」という疑問は、繰り上げ返済を「借入金利と同じ利回りで、元本保証で運用すること」と言い換えると比べやすくなります。変動1.2%なら年1.2%、固定3.83%なら年3.83%で確実に運用するのと同じです。
さらに住宅ローン控除(年末残高の0.7%)を受けている間は、繰り上げ返済で残高が減った分だけ控除も減ります。そのため控除期間中の実質的な利回りは「金利−0.7%」です。
| 借入金利 | 控除期間中の実質利回り | 控除終了後 | 判断の目安 |
|---|---|---|---|
| 0.5%(2024年頃の変動) | マイナス0.2% | 0.5% | 控除期間中の繰上返済は損。投資・預金が有利 |
| 1.2%(2026年10月の変動) | 0.5% | 1.2% | 控除期間中は効果が小さい。生活防衛資金とNISAを優先し、控除終了後に検討 |
| 3.83%(フラット35) | 3.13% | 3.83% | 投資の期待リターンと大差なし。元本保証で3%台は有力な選択肢 |
例えば変動1.2%・3,500万円で5年目に100万円を繰り上げ返済すると、利息は約42万円減りますが、控除期間の残り(6〜13年目)に受けられたはずの控除が約6万円減ります(年末残高が借入限度額以下の場合)。差し引きの効果は約36万円です。
繰り上げ返済が有利なケース
- 住宅ローン金利が高い(固定2%台後半〜3%台、変動でも2%を超えてきた)
- 確実に利息を減らしたい(投資の値下がりリスクを取りたくない)
- 住宅ローン控除の期間が終了している
- 定年後もローンが残る計画になっている
投資が有利になりうるケース
- 住宅ローン金利が低い(変動1%前後で、控除期間中)
- 新NISAの非課税枠がまだ余っている
- 長期で年利3%以上のリターンを期待して、値下がりにも耐えられる
家計シミュレーションでは世界株式インデックスへの長期投資の期待リターンを保守的に年3〜5%程度で見積もることが多く(実際のリターンは年によって大きく上下します)、控除期間中の変動1.2%(実質0.5%)はこれを大きく下回ります。投資側の試算は新NISA運用シミュレーター、控除額は住宅ローン控除シミュレーターで確認できます。
判断フロー
- 生活費6ヶ月分+近い将来の大きな出費(車・教育費)を手元に残せるか → 残せないなら繰り上げ返済しない
- 住宅ローン控除の期間中か → 期間中で金利が1.5%未満なら、まずNISA・預金を優先
- 借入金利が投資の期待リターン(年3%程度)に近いか → 近いなら繰り上げ返済の優先度が高い
- 定年時にローン残高が残るか → 残るなら期間短縮型で早めに返す
繰り上げ返済の注意点
手元資金を減らしすぎない
生活費の6ヶ月分は手元に残すのが原則です。繰り上げ返済したお金は戻ってこないため、急な出費に対応できなくなると高金利のカードローンに頼ることになりかねません。変動金利の場合は、金利上昇で返済額が増えたときの備えも残しておきましょう。
繰り上げ返済手数料
金融機関によって手数料が異なります。ネット経由なら無料、窓口だと1〜3万円という銀行も。100万円の繰り上げ返済で削減できる利息が変動1.2%で約42万円なので、数千円の手数料なら効果は十分残りますが、少額をこまめに返す場合は手数料を確認しましょう。
住宅ローン控除との兼ね合い
控除期間中(新築等は最大13年)は、繰り上げ返済で残高が減ると控除額も減ります。金利0.7%以下なら控除期間が終わってから繰り上げ返済する方が有利で、2026年10月の変動金利水準1.2%でも控除期間中の実質的な効果は年0.5%程度です。年末残高が借入限度額を上回っている場合は、限度額まで減るまでは繰り上げ返済しても控除額は変わりません。
変動金利の「5年ルール・125%ルール」
多くの銀行の変動金利には、金利が上がっても返済額を5年間据え置き、見直し後も従来の1.25倍までに抑えるルールがあります。返済額が変わらなくても内訳の利息は増えているため、金利が上がったら繰り上げ返済の効果も大きくなります。シミュレーターの金利欄を上げて、削減額がどう変わるか確認しておくと安心です(3,500万円・35年・5年目に200万円の期間短縮型なら、1.2%で約83万円、1.8%で約136万円)。
よくある質問
Q: 繰り上げ返済は手元にいくら残してからすべき?
A: 一般的に「生活費の6ヶ月分+近い将来の大きな出費」を手元に残すのが目安です。住宅の修繕費(年間10〜30万円程度)や教育費の見込みも考慮しましょう。無理な繰り上げ返済で手元資金が不足し、カードローン等の高金利借入に頼ることになっては本末転倒です。
Q: 変動金利の場合、繰り上げ返済を急ぐべき?
A: 変動金利は将来の金利上昇リスクがあります。元本を早めに減らしておけば、金利上昇時の利息負担は軽くなります。ただし2026年10月の水準(1.2%前後)では、住宅ローン控除の期間中は実質0.5%程度の効果しかなく、投資に回した方が期待リターンが高い場合もあります。急ぐよりも、まず金利が上がっても困らない手元資金を確保し、金利が2%を超えてきたら繰り上げ返済の優先度を上げる、という順番が現実的です。変動と固定の総返済額の差は変動 vs 固定シミュレーターで比較できます。
Q: 毎月少しずつ繰り上げ返済するのと、まとめて返済するのではどちらが得?
A: 利息削減の観点では、お金ができた段階でこまめに繰り上げ返済する方が有利です。返済が早いほど利息がかからない期間が長くなるためです。ただし、手数料がかかる金融機関ではまとめて返済した方が手数料を節約できます。ネット銀行は手数料無料・1万円から繰り上げ返済できるところが多く、こまめな返済がしやすい環境です。
Q: すでに返済中の場合はどう計算すればいい?
A: シミュレーターに当初の借入額・金利・借入期間を入力し、「繰上返済時期」を借入からの経過年数に合わせてください。返済予定表の残高とほぼ同じ前提で試算できます。途中で金利が変わった変動金利の場合は、現在の適用金利を入れると「今後この金利が続いた場合」の効果になります。
Q: この記事・シミュレーターの計算の前提データはどこから?
A: 毎月返済額と総利息は、住宅金融支援機構の返済額シミュレーションで用いられる元利均等返済の標準計算式(M = P × r(1+r)^n ÷ ((1+r)^n − 1))に基づく試算です。入力した金利が完済まで続く前提で、変動金利の半年ごとの金利見直しは反映していません。変動1.2%は2026年10月の主要行の新規変動金利(三菱UFJ銀行1.195%・りそな銀行1.240%・みずほ銀行1.275%)、固定3.83%は住宅金融支援機構「フラット35」の2026年10月の最頻金利(21〜35年・融資率9割以下、2026年10月20日確認)です。住宅ローン控除の「年末残高×0.7%・最大13年」は2022年度税制改正で定められた控除率・控除期間で、本記事執筆時点で有効な制度に基づいています。
Q: 記事内の数字が自分のケースと実感が合わない場合は?
A: 本記事の試算は特定の借入条件(借入額・金利・返済時期)を仮定した一例です。実際の効果は借入額・金利・返済期間・繰り上げ返済のタイミングによって変わるため、住宅ローン繰り上げ返済シミュレーターにご自身の条件を入力して試算し直すことをおすすめします。また、繰り上げ返済手数料・保証料・団体信用生命保険料などの諸費用はシミュレーションに含まれていないため、実際の返済額は金融機関の見積もりでご確認ください。数字に疑問があれば、シミュレーター画面下の「計算結果について報告」からお問い合わせいただけます。
関連シミュレーター
住宅ローンに関連する計算ツールもご活用ください。
- 住宅ローン月額返済シミュレーター - 月々の返済額を計算
- 住宅ローン 変動 vs 固定シミュレーター - 金利上昇シナリオ別に総返済額を比較
- 住宅ローン金利比較シミュレーター - 変動・固定の金利差を比較
- 住宅ローン控除シミュレーター - 住宅ローン控除の節税額を計算
- 頭金シミュレーター - 頭金の最適額を検討
- 持ち家vs賃貸シミュレーター - 住宅購入と賃貸のコスト比較
- 新NISA運用シミュレーター - 繰り上げ返済の代わりに投資した場合の資産額を試算
あなたの繰り上げ返済効果をシミュレーション
借入額、金利、返済期間、繰り上げ返済額とタイミングを入力すれば、期間短縮型・返済額軽減型それぞれの利息削減効果が具体的に分かります。