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老後資金づくり4択を横断比較|iDeCo・新NISA・個人年金保険・銀行預金、月3万円は30年後いくらの差になるか

35歳・会社員が月3万円を老後資金に回すとき、置き場所で30年後の着地額は最大766万円変わる。iDeCo(上限2.3万円/月)は元本828万円が節税込み1,478.7万円に、新NISAは元本1,080万円が1,712.7万円に、個人年金保険は1,143.6万円、銀行預金は1,111.9万円にとどまる。年利3%・所得税+住民税20%を前提に4つの選択肢を計算式で比較し、併用パターンと流動性・年齢別の判断フローチャートまで整理した。

月3万円、どこに置くかで30年後に766万円の差がつく

「老後資金は積立が大事」とはよく聞くが、同じ月3万円でも置き場所によって30年後の着地額は600万円以上変わる——そう言われてもピンとこない人が多いのではないだろうか。

35歳・会社員(企業年金なし)が65歳まで月3万円を老後資金に回すケースで、iDeCo・新NISA・個人年金保険・銀行預金の4つに全額を投じた場合の着地額を計算すると、次のようになった(年利3%、所得税+住民税率20%を前提)。

選択肢30年間の元本30年後の着地額元本に対する倍率
新NISA(つみたて投資枠)1,080万円1,712.7万円1.59倍
iDeCo(上限月2.3万円)828万円1,478.7万円1.79倍
個人年金保険1,080万円1,143.6万円1.06倍
銀行預金1,080万円1,111.9万円1.03倍

最も着地額が大きいのは新NISAの1,712.7万円、最も小さいのは銀行預金の1,111.9万円。その差は600.8万円にのぼる。一方で、投じた元本に対する「効率」で見ると、拠出額が全額所得控除になるiDeCoが1.79倍と最も高い。この記事では、それぞれの計算根拠と、実際に多くの人が選ぶ「併用パターン」の試算、そして自分に合う選択肢を見極めるフローチャートを紹介する。

4つの選択肢の基本構造

まず、それぞれの制度の性格を整理しておく。

項目iDeCo新NISA個人年金保険銀行預金
掛金の所得控除○ 全額控除× なし△ 上限あり(年6.8万円)× なし
運用益非課税非課税課税繰延(受取時に一部課税)課税(利息に20.315%)
引き出し原則60歳まで不可いつでも可能中途解約は元本割れリスクいつでも可能
拠出上限会社員(企業年金なし)は月23,000円つみたて投資枠 年120万円・成長投資枠 年240万円保険会社ごとに設定(実質上限なし)上限なし
元本保証なし(運用商品次第)なしあり(保険会社の予定利率)あり

iDeCoと新NISAは「運用益が非課税」という点で共通するが、iDeCoは掛金そのものが所得控除の対象になる代わりに、原則60歳まで引き出せない。個人年金保険と銀行預金は元本保証がある代わりに、増え方は小さい。この「節税の大きさ」と「引き出しやすさ」のトレードオフが、4択を分ける最大のポイントだ。

① iDeCo:拠出828万円が節税込みで1,478.7万円に

会社員(企業年金なし)のiDeCo拠出上限は月23,000円(年276,000円)。これを年利3%で30年間積み立てると、運用結果は次の式で求められる。

```
将来価値 = 年間拠出額 × {(1+利回り)^年数 − 1} ÷ 利回り
= 276,000円 × {(1.03)^30 − 1} ÷ 0.03
= 276,000円 × 47.575
≈ 1,313.1万円
```

30年間の元本合計は276,000円×30年=828万円なので、運用益は1,313.1万円−828万円=485.1万円。ここに、掛金が全額所得控除になることで浮く税金を加える。課税所得に対して所得税+住民税率20%と仮定すると、年間の節税額は276,000円×20%=55,200円、30年間の累計で165.6万円になる。

運用益485.1万円+節税165.6万円+元本828万円=1,478.7万円。これがiDeCoの30年後の実質的な着地額だ。ただし受取時には退職所得控除または公的年金等控除が適用されるため、本試算より有利になるケースが多い一方、原則60歳まで一切引き出せない点は最大の制約になる。

② 新NISA:元本1,080万円が非課税で1,712.7万円に

新NISAのつみたて投資枠は年間120万円まで拠出できるため、月3万円(年36万円)は上限内に収まる。同じ年利3%・30年で計算すると、

```
360,000円 × 47.575 ≈ 1,712.7万円
```

元本1,080万円に対して運用益は632.7万円。この運用益がまるごと非課税になるのが新NISAの強みだ。仮に課税口座(税率20.315%)で同じ運用をしていた場合、税金は632.7万円×20.315%≈128.5万円かかる計算になるため、非課税メリットは128.5万円相当と言い換えられる。掛金の所得控除はないが、いつでも引き出せる流動性の高さがiDeCoにはない特徴だ。

③ 個人年金保険:保障はあるが増え方は小さい

個人年金保険は保険会社が運用を行うため、契約者が受け取る金額(返戻率)はあらかじめ決まっている。一般的な円建て個人年金保険の返戻率は30年払込で103〜108%程度とされ、本試算では104%を採用する。

```
30年間の払込保険料 = 30,000円 × 12ヶ月 × 30年 = 1,080万円
将来の受取額 = 1,080万円 × 1.04 = 1,123.2万円
運用益 = 1,123.2万円 − 1,080万円 = 43.2万円
```

さらに、個人年金保険料控除(2012年以降の新制度)により、年間払込保険料8万円以上であれば所得税4万円・住民税2.8万円が上限額として控除される。節税額は(40,000円+28,000円)×20%÷2...ではなく、控除額そのものに税率をかけて(40,000円×10%)+(28,000円×10%)=6,800円/年、30年で20.4万円

運用益43.2万円+節税20.4万円+元本1,080万円=1,143.6万円。元本保証があり保険料控除も使えるが、増え方は新NISAやiDeCoに比べて明らかに小さい。中途解約すると多くの場合元本割れする点も要注意だ。

④ 銀行預金:安全だが物価上昇に負ける

普通預金金利は2026年時点でメガバンクでも年0.1〜0.2%程度が目安。ここでは年0.2%で試算する。

```
360,000円 × {(1.002)^30 − 1} ÷ 0.002 ≈ 1,111.9万円
```

元本1,080万円に対して利息はわずか31.9万円。元本割れリスクはゼロで、いつでも引き出せる安心感はあるが、物価上昇率が年1〜2%で推移すれば実質的な価値は目減りする。「増やす」用途ではなく、生活防衛資金の置き場所と割り切るのが実態に合っている。

併用パターンが理論値では最も有利

実際には4択のどれか1つに絞る必要はない。多くのFPが勧めるのが「iDeCoを上限まで使い、残りを新NISAに回す」併用パターンだ。月3万円のうち23,000円をiDeCo、残り7,000円を新NISAに振り分けると、

  • iDeCo部分(年276,000円):1,313.1万円+節税165.6万円=1,478.7万円
  • NISA部分(年84,000円):84,000円×47.575≈399.6万円

合計は1,478.7万円+399.6万円=1,878.3万円。単体で最も着地額が大きい新NISA(1,712.7万円)よりもさらに165.6万円多い。iDeCoの節税効果は「もらえるボーナス」のようなものなので、上限まで使わない手はない、というのがこの試算から見える結論だ。銀行預金(1,111.9万円)との差は766.4万円に達する。

判断フローチャート:あなたはどれを選ぶべきか

  • 60歳まで引き出さなくても生活に困らないか?
  • 住宅購入や教育費など、10年以内に使う可能性のあるお金か?
  • 元本保証・死亡保障がないと不安か?
  • 投資判断そのものをしたくない、リスクはゼロがいい

多くの会社員にとって現実的な優先順位は「①iDeCoを上限まで→②余った分を新NISAへ→③どうしても元本保証が欲しい部分だけ個人年金保険」という組み合わせになりやすい。

よくある質問

この試算の前提データはどこから?

新NISAの非課税枠は金融庁「新しいNISA」の制度概要、iDeCoの拠出上限は国民年金基金連合会の公式情報(会社員・企業年金なしの場合は月23,000円)、個人年金保険料控除の上限額は国税庁「生命保険料控除」の新制度(2012年1月1日以降の契約)に基づく。運用利回り3%・所得税+住民税率20%・個人年金保険の返戻率104%は本記事独自の前提であり、実際の金融機関・保険会社の商品によって数値は変動する。

利回りの前提を変えると結果はどう変わる?

利回りが1%下がるだけで30年後の着地額は1〜2割程度変わる。新NISAシミュレーターiDeCoシミュレーターでは利回りを自分で調整して再計算できるので、保守的な想定(年利1〜2%)でも試してみることをおすすめする。

iDeCoと新NISA、どちらを先に上限まで使うべき?

一般的には「iDeCoを上限まで使い切ってから新NISA」が節税効率の面では有利とされる。ただし60歳まで引き出せない制約があるため、当面の生活資金や住宅購入資金と切り分けて考える必要がある。両制度を数値で直接比較したい場合は新NISA vs iDeCo比較シミュレーターが使える。

個人年金保険はもう不要ということ?

そうとは限らない。個人年金保険は「保険料控除が使える」「解約しにくいので強制的に貯まる」「万一の際の保障が付くタイプもある」といった、数字だけでは測れないメリットもある。すでに加入している場合、無理に解約するより保障内容を確認したうえで判断したい。

数字が実感と合わない場合は?

年収・課税所得・加入している保険商品によって節税額や返戻率は変動する。自分の年収に近い条件で再計算したい場合は、老後資金シミュレーターで年金・退職金を含めた総合的な過不足も確認できる。数字に納得できない場合は、各シミュレーターページの「計算結果について報告」から知らせてほしい。

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