奨学金の返済額と繰上返済の効果|月々の返済額から利息総額まで解説
日本学生支援機構(JASSO)の奨学金の返済額を借入額別に解説。第一種・第二種の違い、繰上返済の利息削減効果、返済が苦しいときの対処法もまとめました。
奨学金の返済、いくら払うか把握していますか?
大学卒業時点で奨学金を借りている人の平均借入額は約310万円。毎月の返済は約1.5万円、期間は15〜20年に及びます。社会人になったばかりの時期から長期にわたって家計に影響するため、返済総額を正確に把握し、計画的に返していくことが重要です。
借入額別の返済シミュレーション
第一種奨学金(無利子)
| 月額借入 | 4年間の借入総額 | 月々の返済額 | 返済期間 |
|---|---|---|---|
| 2万円 | 96万円 | 6,222円 | 13年 |
| 3万円 | 144万円 | 8,333円 | 15年 |
| 5.1万円 | 245万円 | 13,600円 | 15年 |
| 6.4万円 | 307万円 | 14,222円 | 18年 |
無利子のため、借りた金額をそのまま返すだけです。繰上返済をしても利息削減のメリットはありませんが、返済期間の短縮による心理的メリットは大きいでしょう。
第二種奨学金(有利子・利率0.5%の場合)
| 月額借入 | 4年間の借入総額 | 月々の返済額 | 返済期間 | 利息総額 |
|---|---|---|---|---|
| 3万円 | 144万円 | 8,486円 | 15年 | 約8.7万円 |
| 5万円 | 240万円 | 13,190円 | 16年 | 約13.2万円 |
| 8万円 | 384万円 | 17,866円 | 20年 | 約44.8万円 |
| 10万円 | 480万円 | 22,322円 | 20年 | 約55.7万円 |
| 12万円 | 576万円 | 26,786円 | 20年 | 約68.9万円 |
利率0.5%でも、借入額が大きいと利息だけで50万円以上になります。
第一種と第二種の違い
| 第一種 | 第二種 | |
|---|---|---|
| 利息 | なし | あり(上限年3%) |
| 成績基準 | 高い(3.5以上目安) | 普通(平均以上) |
| 月額上限 | 6.4万円(国公立自宅外) | 12万円 |
| 選考 | 厳しい | 比較的緩い |
現在の第二種の利率は0.3〜0.9%程度で、過去と比べて非常に低水準です。
繰上返済のメリット
利息削減効果
第二種・借入480万円・利率0.5%・20年返済の場合:
| 繰上返済額 | 繰上のタイミング | 利息削減額 | 返済期間の短縮 |
|---|---|---|---|
| 50万円 | 返済開始3年目 | 約8万円 | 約2年 |
| 100万円 | 返済開始3年目 | 約15万円 | 約4年 |
| 50万円 | 返済開始10年目 | 約4万円 | 約2年 |
住宅ローンと同じく、早い時期の繰上返済ほど効果が大きいです。
繰上返済すべきか?
第二種の利率が0.5%程度なら、繰上返済より投資に回す方が合理的な場合もあります。
- 利率0.5% → 投資の期待リターン(年3〜5%)の方が高い
- 利率1.0%以上 → 繰上返済を優先した方が確実
ただし、「借金がある」という心理的負担を減らしたいなら、合理性よりも精神的な安心を優先してOKです。
奨学金の繰上返済 vs 投資、どちらが得?
奨学金の返済と資産形成を両立させたい人にとって、「繰上返済に充てるか、投資に回すか」は最大の悩みどころです。具体的な数字で比較してみましょう。
シミュレーション条件
- 奨学金残高:300万円(第二種・利率0.5%・残り15年)
- 手元にまとまった100万円がある場合
- 利息削減額:約10万円
- 返済期間:15年 → 約10年に短縮
- 確定した節約効果:10万円
- 15年後の運用益:約80万円(非課税)
- 奨学金の利息は通常通り約11万円支払う
- 差し引きの利益:約69万円
判断のフローチャート
- 生活防衛資金(3〜6ヶ月分)は確保しているか? → NOなら、繰上返済も投資もせず貯蓄が最優先
- 奨学金の利率は1.0%を超えているか? → YESなら繰上返済を優先
- 15年以上の長期投資が可能か? → NOなら繰上返済が無難
- 暴落時に売らない自信があるか? → NOなら繰上返済が安心
投資のリターンは「期待値」であり保証はありません。一方、繰上返済による利息削減は確定した利益です。リスク許容度に応じて判断しましょう。複利計算シミュレーターで、投資した場合の将来額を具体的に計算できます。
返済が苦しいときの対処法
1. 減額返済制度
月々の返済額を最大半額に減額できます。返済期間は延びますが、家計が苦しい時期を乗り越えられます。
2. 返還期限猶予
経済困難・傷病・災害などの場合、最長10年間返済を猶予してもらえます。猶予中は利息も発生しません(第一種)。
3. 所得連動返還方式(第一種のみ)
年収に応じて返済額が変動する方式。年収が低い時期は返済額が自動的に減ります。
注意: 延滞は絶対に避ける
3ヶ月以上延滞すると個人信用情報機関に登録(いわゆるブラックリスト)され、クレジットカードの作成や住宅ローンの審査に影響します。苦しくなる前に減額や猶予の手続きをしましょう。固定費見直しシミュレーターで家計全体の支出を見直すことで、返済の余裕を作れる場合もあります。
奨学金と住宅ローンの関係
奨学金の返済中でも住宅ローンは組めますが、返済額が審査に影響します。
- 住宅ローンの返済負担率(年収に占めるローン返済の割合)に奨学金の返済額が加算される
- 年収400万円・奨学金の年間返済額18万円の場合、借入可能額が100〜200万円減ることも
住宅購入を考えているなら、それまでに奨学金を完済しておくと審査が有利になります。住宅ローンの月々の返済額は住宅ローン 月々返済額シミュレーターで確認できます。
返済と並行してやるべきこと
奨学金を返済しながらでも、将来の資産形成は始められます。
- 生活防衛資金を確保する — まず手取りの3〜6ヶ月分を貯蓄。貯金目標シミュレーターで目標額と達成時期を計算しましょう
- 新NISAで少額積立を始める — 月5,000円からでもOK。奨学金の利率より投資リターンの方が高い可能性が大きいため、両立が合理的です
- 固定費を見直す — スマホ代・保険料・サブスクの見直しで月5,000〜1万円浮く可能性があります
- 手取り額を正確に把握する — 手取り額シミュレーターで社会保険料・税金控除後の手取りを確認し、返済に充てられる金額を明確に
返済シミュレーションで計画を立てよう
借入額、利率、返済期間を入力すれば、月々の返済額、利息総額、繰上返済の効果が具体的に分かります。奨学金返済シミュレーターで、あなたのケースに合った返済計画を立ててみましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. この記事のデータの出典は?
本記事の借入額・返済額は、日本学生支援機構(JASSO)が公表している「奨学金の種類と利率」および「返還のてびき」に基づいています。第二種の利率は2024〜2025年度の実績値(利率固定方式0.3〜0.9%)を参考にしています。平均借入額310万円は、JASSOの「学生生活調査」のデータです。
Q. 数字が実感と合わない場合は?
奨学金は利率の方式(固定・変動)、借入時期、併用貸与の有無などで返済額が大きく変わります。正確な返済額はJASSOのマイページ「スカラネット・パーソナル」で確認できます。記事の数字と合わない場合は、お問い合わせフォームからご連絡ください。
Q. 第一種と第二種を併用している場合はどうなる?
併用貸与の場合、第一種と第二種は別々に返済します。口座引き落としも別になるため、返済額は合算して家計に計上しましょう。繰上返済をする場合は、利息が発生する第二種を優先するのが基本です。
Q. 奨学金を返済しながらiDeCoやNISAは始められる?
始められます。奨学金の利率(0.3〜0.9%)は非常に低いため、投資の期待リターン(年3〜5%)の方が高い可能性があります。ただし投資にはリスクがあるため、まず生活防衛資金(手取りの3〜6ヶ月分)を確保してから始めましょう。新NISA運用シミュレーターやiDeCoシミュレーターで節税効果も含めた試算ができます。
Q. 奨学金の返済は年末調整や確定申告で控除できる?
残念ながら、奨学金の返済額は所得控除の対象外です。住宅ローン控除や生命保険料控除のような税制上の優遇はありません。ただし、返済中に収入が減った場合は、減額返還や返還期限猶予の制度を活用しましょう。
関連シミュレーター
- 奨学金 返済シミュレーター — 借入額・利率から月々の返済額と利息総額を計算
- 教育ローン 比較シミュレーター — 国の教育ローン・民間ローン・奨学金を比較
- 複利計算シミュレーター — 繰上返済の代わりに投資した場合の将来額を試算
- 手取り額シミュレーター — 年収から手取りを計算し、返済可能額を把握
- 固定費 見直しシミュレーター — 家計の固定費を見直して返済余力を確保
- 貯金目標 達成シミュレーター — 生活防衛資金の貯蓄計画を立てる