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時給・月給・年俸を実質時給に換算して比較する方法

時給・月給・年俸の雇用形態を「実質時給」で横並びに比較。残業・休憩・通勤時間・ボーナス・社会保険まで加味した本当の時給の計算方法を解説します。

「時給1,200円」と「月給20万円」はどちらが得か?

アルバイト・パート・正社員・フリーランスなど、雇用形態によって給与の表示方法は異なります。「時給制」「月給制」「年俸制」を単純比較しても、実態はわかりません。

実質的な時給(実際に働いた時間あたりの手取り額)で換算することで、はじめて横並びの比較ができます。

たとえば「月給25万円」と聞くと時給1,500円以上に感じますが、社会保険料・残業・通勤時間を加味すると実質時給は917円まで下がるケースもあります。逆に「時給1,050円のアルバイト」でも、通勤5分・残業ゼロなら拘束時間あたりの効率は意外と悪くありません。

この記事では、あらゆる雇用形態を「実質時給」に換算して比較する具体的な方法を解説します。自分の実質時給を正確に知りたい方は、時給・月給・年俸換算シミュレーターで即座に計算できます。

換算に必要な「時間」の考え方

公称労働時間と実際の時間の違い

給与明細に載る「労働時間」と、実際に仕事のために費やしている時間には大きな差があります。

項目公称では含まれる?実態
所定労働時間含む基本の勤務時間
残業時間含まない場合が多い実態と乖離しやすい
休憩時間給与なし1時間/8時間勤務(法定)
通勤時間給与なし往復30分〜2時間
準備・後片付け給与なし着替え・引継ぎ等15〜30分
持ち帰り仕事給与なし管理職・教員に多い

総務省「社会生活基本調査(2021年)」によると、日本の通勤時間の平均は片道39分(往復1時間18分)です。年間勤務日数240日とすると、通勤だけで年間312時間を消費しています。この時間を「タダ」と考えるか「コスト」と考えるかで、働き方の選択は大きく変わります。

「拘束時間」で考える

実質時給 = 手取り月収 ÷ 月間拘束時間

拘束時間 = 勤務時間(含む残業) + 通勤時間

この「拘束時間」ベースで考えると、残業が多い仕事・通勤が長い仕事は見かけの月給が高くても実質時給が低くなります。残業代シミュレーターを使えば、残業時間に対していくら上乗せされるかを正確に計算できます。

月給制の実質時給計算

計算例:月給25万円(残業20時間・通勤往復1時間)

項目数値
月給(額面)250,000円
手取り(約80%)200,000円
月の勤務日数22日
1日の勤務時間8時間
月間残業時間20時間
合計勤務時間196時間
1日の通勤時間1時間(往復)
月間通勤時間22時間
月間拘束時間218時間
実質時給(手取りベース)917円

額面ベースで計算すると1,276円ですが、通勤時間・残業も含めると実質917円になります。

月給と手取りの差額の内訳

「手取り約80%」と簡略化していますが、実際の控除額は年収帯によって異なります。月給25万円(年収300万円)の場合、主な控除項目は以下の通りです。

控除項目月額(概算)
健康保険料約12,500円
厚生年金保険料約23,000円
雇用保険料約1,500円
所得税約5,200円
住民税約8,800円
合計控除額約51,000円

実際の控除額は扶養家族の人数や住んでいる自治体で変わります。手取り計算シミュレーターで正確な金額を確認できます。

「残業40時間」で月給25万円の場合

同じ月給25万円でも、残業が40時間に増えると状況は大きく変わります。

  • 合計勤務時間:176h + 40h = 216時間
  • 月間拘束時間:216h + 22h(通勤)= 238時間
  • 残業代(25%割増)が全額支給の場合:手取り約22万円 → 実質時給 924円
  • 残業代がサービス残業の場合:手取り20万円のまま → 実質時給 840円

残業が倍になっても、残業代が出なければ実質時給は100円近く下がります。月40時間の残業が常態化している方は、まず残業代シミュレーターで本来もらえる金額を確認しましょう。

時給制の実質時給計算

時給制は一見わかりやすいですが、社会保険の有無・交通費・ボーナスによって実態は変わります。

時給1,200円のアルバイト(週30時間・社保なし)と時給1,500円(社保あり)の比較

比較項目時給1,200円(社保なし)時給1,500円(社保あり)
月収(額面)155,520円(週30時間×4.33週)194,850円
社会保険料(本人負担)0円(国保・年金は別途)約27,000円
国民健康保険(概算)約10,000円0円(会社が半額負担)
国民年金16,980円0円(厚生年金に加入)
手取り約128,540円約167,850円
実質時給(手取り)988円1,292円

社会保険完備のパートは、「社保なし時給1,200円」より手取りが多くなる場合があります。

社会保険の「会社負担分」は隠れた収入

社会保険料は労使折半です。つまり会社が同額を負担しています。月給25万円の正社員の場合、会社が負担する社会保険料は月約37,000円(年間44万円)。これは「見えない年収」と言えます。

一方、社保に加入しないパート・アルバイトは全額自己負担の国民健康保険・国民年金を払う必要があります。社会保険料シミュレーターで、自分の収入帯での保険料を正確に把握しておくことが大切です。

2024年以降の社会保険適用拡大

2024年10月からは従業員51人以上の企業で、週20時間以上・月収8.8万円以上のパートも社会保険の加入対象になりました。これにより「106万円の壁」を超えると手取りが減る逆転現象が起きます。社保加入の有無で実質時給がどう変わるかは、事前に計算しておくことをおすすめします。

年俸制の実質時給計算

年俸制は月給・ボーナスが一体になっています。残業代が含まれているかどうかが重要です。

年俸500万円(残業代込み)の場合

項目計算金額
年俸500万円
手取り(概算)500万円 × 約80%400万円
月手取り400万円 ÷ 12333,333円/月
月の労働時間(所定160h + 残業40h)200時間
月間通勤時間22日 × 1時間22時間
月間拘束時間222時間
実質時給333,333円 ÷ 222時間1,502円

年俸制で注意すべき「みなし残業」

年俸500万円の求人でも、「月40時間のみなし残業代を含む」と記載されている場合、実態は「年俸430万円 + みなし残業代70万円」です。40時間を超えた残業には追加手当が必要ですが、「年俸制だから残業代は出ない」と誤解している企業も少なくありません。

みなし残業の有無で実質年収が大きく変わるため、求人票は必ず確認しましょう。

雇用形態別・実質時給早見表

雇用形態額面収入月間拘束時間実質時給目安
アルバイト(時給1,050円・週20h・通勤30分)月9万円104時間約755円
パート(時給1,200円・週30h・社保なし・通勤30分)月15.5万円166時間約800円
パート(時給1,500円・週30h・社保あり・通勤30分)月19.5万円166時間約1,045円
正社員(月給22万円・残業30h・通勤1時間)月22万円225時間約782円
正社員(月給25万円・残業10h・通勤30分)月25万円192時間約1,042円
正社員(月給35万円・残業20h・通勤1時間)月35万円218時間約1,284円
年俸500万円・残業40h・通勤1時間月41.7万円222時間約1,502円
年俸700万円・残業50h・通勤1時間月58.3万円232時間約2,011円

この表はあくまで目安です。自分の条件に合わせて正確に計算したい場合は、年収比較シミュレーターも併せて使うと、年収ベースでの差額が把握しやすくなります。

ボーナスを加味した年換算

正社員はボーナスがあるため、月給だけで比較すると実態より低く見えます。

月給ボーナス(年)年収年手取り実質時給(年2,112時間拘束)
22万円44万円(2か月)308万円247万円約1,170円
25万円75万円(3か月)375万円300万円約1,421円
30万円90万円(3か月)450万円360万円約1,705円
35万円105万円(3か月)525万円420万円約1,989円

ボーナスが年3か月分ある正社員は、月給だけで見たときより実質時給が25%以上高くなります。逆に「ボーナスなし」の正社員は、高時給のパートに負けるケースもあり得ます。

フリーランス・業務委託との比較

近年はフリーランスや業務委託で働く人も増えています。「年収600万円のフリーランス」と「年収500万円の正社員」はどちらが実質的に得でしょうか?

フリーランスの「見えないコスト」

フリーランスは額面が高くても、以下のコストを自分で負担する必要があります。

コスト項目正社員(年収500万円)フリーランス(年収600万円)
健康保険料月約25,000円(会社半額負担)月約45,000円(全額自己負担)
年金厚生年金(会社半額負担)国民年金16,980円/月のみ
雇用保険あり(失業手当あり)なし
有給休暇年20日(勤続6.5年以上)なし(休むと収入ゼロ)
経費会社負担自己負担(PC・通信費等)
営業・事務会社が対応自分で対応(月20〜30時間)

実質時給で比較

項目正社員(年収500万円)フリーランス(年収600万円)
年間手取り約400万円約420万円(経費・保険料控除後)
年間拘束時間2,112時間(残業20h/月含む)2,400時間(営業・事務含む)
実質時給1,894円1,750円

フリーランスは年収が100万円高くても、営業・経理の時間や社会保険の自己負担を考えると、実質時給では正社員に負けることがあります。ただし、通勤時間ゼロ・働く時間の自由度など金銭以外のメリットもあるため、単純な優劣はつけられません。

フリーランスとして独立を検討している方は、フリーランス単価シミュレーターで必要な時間単価を計算してみてください。また、副業として始める場合の税金については副業税金シミュレーターで確認できます。

転職・副業・フリーランス転向の判断軸

実質時給で換算することで、以下の判断がしやすくなります。

検討事項実質時給での見方
転職先の選択額面より実質時給で比較。通勤時間が30分短くなるだけで実質時給が5〜10%上がることも
残業が多い職場残業代の有無・時間を反映。サービス残業月40時間なら実質時給は15〜20%低下
副業の価値副業時給 > 現職の実質時給なら経済的に価値あり。ただし体力・時間の余裕も考慮
フリーランス転向社会保険料・経費・不稼働時間を引いた実質時給で判断。正社員比で1.3〜1.5倍の額面が必要
リモートワーク通勤ゼロで月22時間の拘束時間削減。月給が同じなら実質時給が10〜15%アップ

具体的な判断基準の例

  • 転職: 年収が50万円下がっても、残業が月30時間減り通勤が片道30分短くなるなら、実質時給は上がる可能性がある
  • 副業開始: 現職の実質時給が1,000円で、副業のライティングが時給1,500円なら、余裕がある限り副業にシフトする経済合理性がある
  • フリーランス転向: 正社員時代の年収500万円と同等の生活水準を維持するには、フリーランスで年収650〜750万円が目安

あなたの実質時給をシミュレーション

ここまで読んで「自分の実質時給はいくらだろう?」と気になった方は、ぜひ実際に計算してみてください。

時給・月給・年俸換算シミュレーターでは、時給・月給・年俸など複数の雇用形態を同じ条件で並べて比較できます。残業時間・通勤時間・社会保険の有無・ボーナスを入力するだけで、どの選択肢が本当にお得かが一目でわかります。

手取り額を先に知りたい方は手取り計算シミュレーターから始めるのもおすすめです。

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