贈与税はいくらかかる?税率表と計算方法を具体例で解説【2026年版】
贈与税は年110万円まで非課税。親から500万円なら48.5万円、1,000万円なら177万円(特例税率)。2024年改正後の相続時精算課税(年110万円控除+2,500万円)との比較、贈与額別の早見表、住宅取得資金など非課税制度の期限一覧、分割贈与の節税効果を国税庁の速算表で検算する。
結論:親からの1,000万円は177万円、110万円×10年なら0円
親や祖父母から財産をもらうと「贈与税」がかかる。ただし年間110万円までは基礎控除として非課税で、超えた部分に10〜55%の累進税率がかかる。国税庁の速算表で計算すると、結論は次の通りだ。
- 親から500万円を一括でもらう → 贈与税48.5万円(実効税率9.7%)
- 親から1,000万円を一括でもらう → 贈与税177万円(実効税率17.7%)
- 同じ1,000万円を200万円×5年に分ける → 合計45万円
- 110万円×10年に分ける → 0円
- 相続時精算課税を選ぶ → 贈与時の税額は0円(累計2,610万円まで、相続時に加算)
贈与税は「もらった側(受贈者)」が申告・納税する税金で、1月1日〜12月31日の1年間に受け取った贈与の合計額が対象になる。複数の人からもらった場合も合算して110万円を引く点に注意したい。生前にどれだけ非課税で財産を移せるかは、将来の相続税を大きく左右する。
贈与税の税率表(国税庁 No.4408・2026年9月照合)
税率は「特例税率」と「一般税率」の2種類がある。特例税率は、父母・祖父母などの直系尊属から、贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上の子・孫への贈与に適用される。贈与者の年齢に条件はない(60歳以上の要件があるのは相続時精算課税のほう)。それ以外の贈与(兄弟間・夫婦間・親から18歳未満の子など)は一般税率になる。
特例税率(直系尊属 → 18歳以上の子・孫)
| 基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 10% | - |
| 400万円以下 | 15% | 10万円 |
| 600万円以下 | 20% | 30万円 |
| 1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
| 1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
| 3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
| 4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
| 4,500万円超 | 55% | 640万円 |
一般税率(兄弟間・夫婦間・親から18歳未満の子など)
| 基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 10% | - |
| 300万円以下 | 15% | 10万円 |
| 400万円以下 | 20% | 25万円 |
| 600万円以下 | 30% | 65万円 |
| 1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
| 1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
| 3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
| 3,000万円超 | 55% | 400万円 |
計算式は「(贈与額 − 110万円)× 税率 − 控除額」。特例税率は各区分の幅が広いため、同じ金額でも一般税率より税負担が軽い。
贈与額別の税額早見表
上の速算表をそのまま当てはめた早見表。課税価格が200万円以下(贈与額310万円以下)なら特例と一般で差はつかず、差が出るのは400万円台からだ。
| 贈与額 | 課税価格 | 特例税率の税額 | 一般税率の税額 | 精算課税(贈与時) |
|---|---|---|---|---|
| 110万円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 200万円 | 90万円 | 9万円 | 9万円 | 0円 |
| 300万円 | 190万円 | 19万円 | 19万円 | 0円 |
| 500万円 | 390万円 | 48.5万円 | 53万円 | 0円 |
| 1,000万円 | 890万円 | 177万円 | 231万円 | 0円 |
| 2,000万円 | 1,890万円 | 585.5万円 | 695万円 | 0円 |
| 3,000万円 | 2,890万円 | 1,035.5万円 | 1,195万円 | 78万円 |
たとえば500万円(特例)なら、390万円×15%−10万円=48.5万円。1,000万円なら890万円×30%−90万円=177万円。3,000万円では税額が1,000万円を超えるため、この規模を動かすなら分割贈与か特例制度の活用が前提になる。
2024年改正で何が変わったか:精算課税110万円控除と7年持ち戻し
贈与税には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つの課税方式があり、2024年1月1日以後の贈与から両方のルールが変わった。
相続時精算課税に年110万円の基礎控除が新設された。 従来は少額でも申告が必要で、全額が相続財産に加算されていたが、改正後は年110万円以下なら申告不要・相続時の加算もなし。110万円を超えた分は累計2,500万円の特別控除で無税になり、それも超えた部分に一律20%がかかる。つまり贈与時に無税で渡せる上限は110万円+2,500万円=2,610万円だ。
暦年課税は「持ち戻し」が3年から7年に延長された。 相続人が相続開始前に受けた暦年贈与は相続財産に加算して相続税を計算する。加算期間は相続開始日で決まり、2026年12月までの相続は3年以内、2027年1月〜2030年12月は「2024年1月1日以後の贈与」、2031年1月以後は7年以内となる。延長された4年分(3年超7年以内)は合計100万円まで加算されない。
| 比較項目 | 暦年課税 | 相続時精算課税 |
|---|---|---|
| 年間の非課税枠 | 110万円 | 110万円 + 累計2,500万円 |
| 超過分の税率 | 10〜55%(累進) | 一律20% |
| 相続時の加算 | 相続前7年以内(経過措置あり) | 年110万円を超えた分の全額 |
| 対象者 | 誰からでも可 | 60歳以上の父母・祖父母 → 18歳以上の子・孫 |
| 撤回 | いつでも切替可 | 一度選ぶと同じ贈与者からは戻せない |
| 向く人 | 若い親が長期に少額を渡す・相続人でない孫へ渡す | 高齢の親がまとまった額を早く渡す |
判断の目安は「贈与者が相続まで7年以上生きる見込みか」。持ち戻し対象は相続や遺贈で財産を取得する人だけなので、相続人でない孫への暦年贈与は原則加算されない。改正の損得の検算は生前贈与2024年改正の解説記事にまとめている。
ペルソナ別の3つのケース
ケース1:68歳の父から35歳の娘へ、住宅の頭金1,000万円
暦年課税なら177万円の贈与税がかかる。しかし2026年12月31日までの贈与で省エネ等住宅(断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上)を取得するなら、住宅取得等資金の非課税1,000万円が使えて税額0円。基礎控除110万円と併用できるので、最大1,110万円まで非課税だ。ただし翌年3月15日までに住宅を取得・居住し、税額0円でも申告する必要がある。申告を忘れると177万円がまるごと課税される。実例は親からの住宅資金1,000万円のケーススタディで検算している。
ケース2:58歳の母から28歳の息子へ、毎年200万円を5年間
母はまだ58歳で相続時精算課税を選べない(贈与者60歳以上が要件)。暦年課税で毎年200万円なら1年あたり9万円、5年で45万円の贈与税で1,000万円を移せる。一括贈与の177万円と比べて132万円の節税だ。母が長生きする前提なら、7年持ち戻しの影響も小さい。毎年贈与契約書を作り、金額や時期を固定しないことが定期贈与とみなされないポイントになる。
ケース3:82歳の祖父から45歳の孫へ、2,000万円を一度に
祖父が高齢で相続までの期間が短いなら、暦年課税は1回で585.5万円の税金に加え、持ち戻しの心配もある。相続時精算課税を選べば、110万円控除後の1,890万円は特別控除2,500万円の枠内で贈与時の税額0円。ただし1,890万円は祖父の相続時に相続財産に加算される。孫が相続人でない場合、暦年贈与なら持ち戻し対象外という利点があるため、祖父の資産総額と相続税の試算を見て決めたい。
非課税特例の一覧と期限(2026年9月時点)
| 制度 | 非課税限度額 | 主な要件 | 期限 |
|---|---|---|---|
| 住宅取得等資金の贈与(No.4508) | 省エネ等住宅1,000万円/その他500万円 | 受贈者18歳以上・合計所得2,000万円以下・床面積40〜240㎡ | 2026年12月31日までの贈与 |
| 教育資金一括贈与(No.4510) | 1,500万円 | 受贈者30歳未満・金融機関に拠出 | 2026年3月31日で終了(既拠出分は継続) |
| 結婚・子育て資金一括贈与(No.4511) | 1,000万円(結婚費用は300万円) | 受贈者18歳以上50歳未満・前年所得1,000万円以下 | 2027年3月31日 |
| 配偶者控除・おしどり贈与(No.4452) | 2,000万円 | 婚姻20年以上・居住用不動産またはその資金 | 恒久措置(同一配偶者から一生に一度) |
教育資金一括贈与は令和8年度税制改正で延長されず、2026年3月末で終了した。ただし扶養義務者が学費や生活費を必要な都度支払う分はもともと非課税(相続税法21条の3)なので、学費を直接学校へ振り込む形なら金額にかかわらず贈与税はかからない。教育費の総額を把握して都度払いに切り替えるのが現実的だ。
分割贈与の節税効果
一括で大きな金額を贈与するより、複数年に分けた方が税負担は大幅に軽くなる。
1,000万円を移転する場合(特例税率)
| 贈与方法 | 贈与税の合計 | 節税額 |
|---|---|---|
| 1,000万円を一括 | 177万円 | - |
| 500万円×2年 | 48.5万円×2=97万円 | 80万円 |
| 200万円×5年 | 9万円×5=45万円 | 132万円 |
| 110万円×10年(端数あり) | 0円 | 177万円 |
3,000万円を移転する場合(特例税率)
| 贈与方法 | 贈与税の合計 | 節税額 |
|---|---|---|
| 3,000万円を一括 | 1,035.5万円 | - |
| 1,000万円×3年 | 177万円×3=531万円 | 504.5万円 |
| 500万円×6年 | 48.5万円×6=291万円 | 744.5万円 |
| 110万円×28年(端数あり) | 0円 | 1,035.5万円 |
ただし分割には時間がかかる。3,000万円を500万円ずつなら6年、110万円ずつなら28年。贈与者の年齢と7年持ち戻しを考えると、「暦年贈与で数年、残りは精算課税」という組み合わせも選択肢になる。生前贈与で相続税がどれだけ減るかは相続対策 節税シミュレーターで確認できる。
よくある質問
Q. 贈与税の申告はいつまで?
贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までに、受贈者の住所地の税務署へ申告・納付する(国税庁 No.4429)。暦年課税で年110万円以下なら申告不要。相続時精算課税を初めて選ぶ年は、110万円以下でも「相続時精算課税選択届出書」の提出が必要だ。住宅取得資金の非課税や配偶者控除は、税額0円でも申告しなければ適用されない。
Q. 110万円の非課税枠は1人あたり?1組あたり?
もらう側1人あたり年間110万円。父から100万円、母から100万円をもらえば合計200万円から110万円を引いた90万円が課税対象になる。逆に贈る側は何人に贈っても制限はない。
Q. 親から子への生活費や教育費は課税される?
扶養義務者からの通常必要な生活費・教育費は非課税。ただし一括でまとめて渡す、生活費名目で実際は貯蓄や投資に回している、という場合は贈与税の対象になりうる。
Q. 名義預金・定期贈与とは?どう防ぐ?
子名義の口座に親が入金して通帳・印鑑を親が管理している「名義預金」は贈与が成立しておらず、相続時に親の財産として課税される。また「毎年110万円を10年間渡す」と最初に約束した「定期贈与」は総額1,100万円の贈与とみなされ一括課税される。対策は(1)毎年贈与契約書を作る、(2)金額や時期を毎年変える、(3)受贈者が自由に使える口座に振り込む、(4)振込記録を残す、の4点だ。
Q. 精算課税を選んだあと暦年贈与に戻せる?
戻せない。同じ贈与者からの贈与は以後すべて精算課税になる。ただし贈与者ごとの選択なので、父からは精算課税・母からは暦年課税、という使い分けは可能だ。
Q. この記事の税率や期限の出典は?
税率表は国税庁タックスアンサー No.4408、基礎控除110万円は相続税法21条の5、相続時精算課税は相続税法21条の11の2〜21条の13(No.4103)、生前贈与加算は No.4161、非課税特例は No.4508/4510/4511、配偶者控除は No.4452 に基づく。いずれも2026年9月時点で国税庁サイトの現行法令と照合した。
Q. シミュレーターの数字が実感と合わない場合は?
贈与税シミュレーターは1人の贈与者から1年に受けた贈与を前提にした概算で、複数人からの贈与の合算、過去に使った特別控除、土地・建物の相続税評価額(時価との差)、精算課税選択後の相続税額は反映していない。計算ロジックの誤りに気づいた場合はお問い合わせフォームから連絡してほしい。実際の申告額は税理士・税務署に確認を。
関連シミュレーター・記事
- 贈与税シミュレーター — 贈与額・関係・目的を入れると暦年課税と精算課税、分割贈与の税額を比較
- 相続税シミュレーター — 贈与で減らした後の相続財産に相続税がいくらかかるか
- 相続対策 節税シミュレーター — 暦年贈与を何年続けると相続税がいくら減るか
- 教育費シミュレーター — 一括贈与終了後の「都度払い」の目安額
- 生前贈与2024年改正の損得を検算 — 7年持ち戻しと精算課税110万円控除の判断フロー
- 親からの住宅資金1,000万円のケーススタディ — 非課税枠の申告と借入額の設計
- 相続税の基礎控除と計算方法 — 贈与の先にある相続税の全体像