昇給100万円の手取り増は約64〜77万円|年収別早見表と税金・社会保険で目減りする仕組み
昇給100万円で増える手取りは、年収400万→500万なら約77万円、700万→800万なら約64万円。2026年(令和8年分)の基礎控除104万円・給与所得控除74万円と令和8年度の社会保険料率で年収帯別に試算し、年収665万円付近で昇給しても手取りが減る段差、住民税が翌年6月から上がるタイミングも解説します。
昇給100万円で実際に増える手取りは約64〜77万円です。年収400万→500万円なら約77.4万円(増加率77%)残りますが、年収700万→800万円では約63.9万円(同64%)まで目減りします。増えた分に社会保険料・所得税・住民税がかかり、年収が上がるほど所得税の税率帯が上がるためです。
2026年(令和8年分)は所得税の基礎控除が合計所得489万円以下なら104万円、489万円超655万円以下なら67万円と大きく変わりました。この境目(給与年収で約665.6万円)をまたぐと控除が一度に37万円減るため、年収600万円台の昇給は目減りが特に大きくなります。この記事の数字は、すべて昇給の手取りインパクトシミュレーターの実装(独身・40歳未満・賞与なし・協会けんぽ全国平均)で計算した値です。
年収帯別:昇給100万円の手取り増加額(令和8年分)
| 昇給前の年収 | 昇給後 | 昇給前の手取り | 昇給後の手取り | 手取り増加分 | 増加率 | 月あたり |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 400万円 | 約240万円 | 約317万円 | 約76.8万円 | 76.8% | 約6.4万円 |
| 400万円 | 500万円 | 約317万円 | 約395万円 | 約77.4万円 | 77.4% | 約6.4万円 |
| 500万円 | 600万円 | 約395万円 | 約467万円 | 約72.0万円 | 72.0% | 約6.0万円 |
| 600万円 | 700万円 | 約467万円 | 約531万円 | 約64.7万円 | 64.7% | 約5.4万円 |
| 700万円 | 800万円 | 約531万円 | 約595万円 | 約63.9万円 | 63.9% | 約5.3万円 |
| 800万円 | 900万円 | 約595万円 | 約662万円 | 約66.8万円 | 66.8% | 約5.6万円 |
| 900万円 | 1,000万円 | 約662万円 | 約728万円 | 約65.9万円 | 65.9% | 約5.5万円 |
| 1,000万円 | 1,100万円 | 約728万円 | 約792万円 | 約64.5万円 | 64.5% | 約5.4万円 |
※手取り=額面 − 社会保険料 − 所得税(復興特別所得税込み) − 住民税所得割。住民税は昇給の翌年6月から上がるため、昇給した年だけを見ると手取り増はこれより大きくなります(例: 500万→600万円なら約78.4万円)。
読み取れるポイントは3つです。
- 年収300万〜500万円は増加率が高い: 課税所得が5〜10%の税率帯に収まり、所得税の増え方が緩やか。
- 年収600万〜800万円が最も目減りする: 基礎控除の104万→67万円の段差に加え、課税所得が330万円を超えて所得税20%帯に入る。
- 賞与なしなら年収800万円台で増加率が戻る: 月給が厚生年金の標準報酬月額の上限65万円(賞与なしで年収約762万円以上)に達し、厚生年金保険料が増えなくなるため。ただしこれは賞与なし(年収=月給×12)の場合だけです。
賞与がある場合(賞与4ヶ月分・年2回)
厚生年金の上限は月給(標準報酬月額65万円)と賞与(標準賞与額1回150万円)で別々にかかります(日本年金機構「厚生年金保険の保険料」、令和8年度・2026年10月31日確認)。賞与4ヶ月分なら月給は年収÷16なので、月給が上限等級に届くのは年収約1,016万円、賞与が1回150万円に届くのは年収1,200万円です。そのため年収800万〜1,000万円台でも厚生年金保険料は増え続け、「800万円台で増加率が戻る」現象は起きません。
| 昇給前の年収 | 昇給後 | 昇給前の手取り | 昇給後の手取り | 手取り増加分 | 増加率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 700万円 | 800万円 | 約532万円 | 約594万円 | 約62.7万円 | 62.7% |
| 800万円 | 900万円 | 約594万円 | 約655万円 | 約60.1万円 | 60.1% |
| 900万円 | 1,000万円 | 約655万円 | 約714万円 | 約59.6万円 | 59.6% |
| 1,000万円 | 1,100万円 | 約714万円 | 約776万円 | 約61.9万円 | 61.9% |
※シミュレーターの詳細設定で「賞与月数」を4にした値(独身・40歳未満・協会けんぽ全国平均・住民税は所得割のみ)。賞与4ヶ月モデルの年収から手取り計算シミュレーターでも、手取り増加分は700万→800万円で約62.4万円、800万→900万円で約59.3万円と、賞与なしより少なくなる点は同じです(住民税の対象年度・均等割の扱いが異なるため、年収帯によっては1〜3万円ずれます)。賞与なしの場合、手取り計算シミュレーターでも800万円約595万円・900万円約661万円・1,000万円約727万円・1,100万円約792万円と、上の表とほぼ一致します。
年収そのものの手取り額は年収から手取り計算シミュレーターで確認できます。
昇給額はどこへ消える? 500万→600万円の内訳
100万円の昇給は、次のように分かれます。
| 行き先 | 金額 | 計算の考え方 |
|---|---|---|
| 社会保険料の増加 | 約15.9万円 | 標準報酬月額 41万→50万円 ×(健康保険4.95%+子ども・子育て支援金0.115%+厚生年金9.15%)×12か月+雇用保険0.5% |
| 所得税の増加 | 約5.8万円 | 課税所得の増加分 × 5〜10% × 1.021 |
| 住民税の増加 | 約6.4万円 | 課税所得の増加分 × 10%(翌年6月から) |
| 手取りに残る額 | 約72.0万円 | 100万円 − 上記の合計約28.0万円 |
計算式で書くと、手取り増 = 昇給額 − 社会保険料の増加 − 所得税の増加 − 住民税の増加 です。社会保険料は昇給額のおよそ12〜16%(賞与なしで厚生年金が上限に達する年収800万円以上では5〜7%。賞与4ヶ月分なら年収1,000万円前後まで約14%が続きます)、住民税はおよそ6〜9%で、年収帯による差を最も大きく生むのは所得税です。
2026年の注意点:年収665万円付近で「昇給したのに手取りが減る」
令和8年度税制改正で、所得税の基礎控除は次のようになりました(国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」)。
| 合計所得金額(給与だけの場合の年収) | 令和8・9年分 | 令和7年分(改正前) |
|---|---|---|
| 132万円以下(206万円以下) | 104万円 | 95万円 |
| 336万円以下(約475.2万円以下) | 104万円 | 88万円 |
| 489万円以下(約665.6万円以下) | 104万円 | 68万円 |
| 655万円以下(850万円以下) | 67万円 | 63万円 |
| 2,350万円以下(2,545万円以下) | 62万円 | 58万円 |
改正前は最大の段差でも20万円(88万→68万円、年収約475万円)でしたが、改正後は合計所得489万円で104万→67万円と37万円の段差があります。給与年収で約665.6万円を1円でも超えると課税所得が37万円増え、所得税が約3.8万円(10%帯×復興税)増えます。
シミュレーターで試すと、独身・40歳未満の場合はこうなります。
| ケース | 昇給額 | 所得税の増加 | 手取りの増減 |
|---|---|---|---|
| 年収660万円 → 665万円 | 5万円 | 約0.5万円 | 約+4.1万円 |
| 年収660万円 → 666万円 | 6万円 | 約4.3万円 | 約+1.1万円 |
| 年収665万円 → 666万円 | 1万円 | 約3.9万円 | 約−3.0万円 |
| 年収665万円 → 670万円 | 5万円 | 約4.2万円 | 約+0.3万円 |
1万円の昇給で手取りが年約3万円減り、約5万円上がってようやく元に戻ります。ほかにも、給与年収850万円(基礎控除67万→62万円)、ひとり親控除の所得要件(合計所得500万円=年収約677.8万円)、配偶者控除の逓減(年収1,095万円・1,145万円・1,195万円)に段差があります。なおiDeCoや生命保険料控除は課税所得を下げますが、基礎控除を判定する「合計所得金額」は下げないため、この段差は回避できません。
会社員の場合、令和8年11月までの源泉徴収は従来どおりで、引上げ後の基礎控除は12月の年末調整でまとめて精算されます。月々の給与明細ではこの段差は見えず、12月(または令和9年1月以降の新しい源泉徴収税額表)で初めて反映される点に注意してください。
所得税率が上がる年収の目安
| 境界年収の目安(独身・令和8年分) | 変化 |
|---|---|
| 約526万円 | 課税所得が195万円を超え、税率5%→10% |
| 約674万円 | 課税所得が330万円を超え、税率10%→20%(直前の665.6万円で基礎控除の段差あり) |
| 約1,083万円 | 課税所得が695万円を超え、税率20%→23% |
| 約1,302万円 | 課税所得が900万円を超え、税率23%→33% |
税率の境目をまたいでも、高い税率がかかるのは超えた部分だけなので、それだけで手取りが逆転することはありません。逆転が起きるのは、上の基礎控除のように「控除額そのものが一度に減る」段差です。自分の税率帯は所得税率シミュレーターで確かめられます。
いつから手取りが変わる? 昇給後のタイムライン
4月に昇給した場合の典型的な流れです。
- 4月: 基本給アップ。所得税の源泉徴収は月額表に沿って当月から増える
- 7月分または9月分から: 社会保険料が上がる。固定的賃金が上がり標準報酬月額が2等級以上変わると変動月から4か月目の7月分(随時改定)、それ以外は4〜6月の給与をもとに9月分から(定時決定)。翌月の給与から天引きされるのが一般的
- 12月: 年末調整で1年分の所得税を精算(令和8年分は基礎控除の引上げもここで反映)
- 翌年6月: 住民税の天引き額が上がる。ここで手取り増が最終的な水準に落ち着く
昇給1年目は住民税が据え置きのため手取りが多めに見え、翌年6月に「手取りが減った」と感じやすいのはこのためです。翌年の住民税は住民税シミュレーター、標準報酬月額の等級ごとの保険料は社会保険料シミュレーターで確認できます。
手取りに影響する税・保険料の率(令和8年度)
| 種別 | 本人負担 | 備考 |
|---|---|---|
| 所得税 | 5〜45%(累進)+復興特別所得税2.1% | 課税所得に適用 |
| 住民税 | 所得割10% | 基礎控除43万円(改正なし)。翌年6月から |
| 健康保険 | 4.95%(協会けんぽ全国平均9.90%の折半) | 都道府県・健保組合で異なる |
| 子ども・子育て支援金 | 0.115%(0.23%の折半) | 2026年4月分から |
| 介護保険 | 0.81%(1.62%の折半) | 40〜64歳のみ |
| 厚生年金 | 9.15%(18.3%の折半) | 標準報酬月額65万円・賞与1回150万円が上限 |
| 雇用保険 | 0.5% | 令和8年度・一般の事業 |
40〜64歳は介護保険料が加わるため、500万→600万円の手取り増は約71.5万円と40歳未満より約0.5万円少なくなります。
昇給分の手取りを増やす方法
| 対策 | 効果 | 注意点 |
|---|---|---|
| iDeCo | 掛金が全額所得控除 | 60歳まで引き出せない。合計所得は下がらない |
| ふるさと納税 | 年収が上がると上限も上がる | 昇給した年の年収で上限を見直す |
| 企業型DC・選択制DC | 掛金が給与扱いにならない | 選択制は社会保険料・将来の年金も下がる |
| 住宅ローン控除 | 税額から直接控除 | 所得税で引ききれない分は住民税から(上限あり) |
シミュレーターの詳細設定でiDeCoの月額を入れると、昇給前後とも控除後の税額で計算します。独身で月2万円(年24万円)を拠出した場合の所得税・住民税の軽減額は、年収600万円で年約4.9万円、年収1,000万円で年約7.3万円です。節税策の比較は節税ランキングシミュレーター、iDeCoの運用まで含めた試算はiDeCoシミュレーターが便利です。
よくある質問
この計算の前提データはどこから?
所得税は国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」に基づく令和8年分の基礎控除(104万/67万/62万円)・給与所得控除(最低保障74万円)と所得税の速算表、復興特別所得税2.1%で計算しています。住民税は所得割10%・基礎控除43万円・調整控除を反映しています。社会保険料は協会けんぽ令和8年度の全国平均料率(健康保険9.90%)、子ども・子育て支援金0.23%、厚生年金18.3%(いずれも労使折半)、雇用保険の労働者負担0.5%を、標準報酬月額の等級表に当てはめています。
数字が実感と合わない場合は?
ズレの主な原因は、①住民税がまだ前年所得ベース、②社会保険料の改定が9月分または随時改定のタイミング、③健康保険組合の料率が協会けんぽと違う、④住宅ローン控除・生命保険料控除・16歳未満の子(扶養控除なし)などの個別条件、⑤令和8年分の基礎控除引上げは12月の年末調整で精算、の5点です。それでも大きく違う場合はお問い合わせから条件を添えてご連絡ください。
2026年の税制改正で、昇給の手取りは増えた?
同じ年収なら、基礎控除と給与所得控除の引上げで所得税は減ります。ただし改正で基礎控除の段差が37万円と大きくなったため、年収665万円前後で少額の昇給をすると、改正前より目減りが大きくなるケースがあります。
配偶者控除は年収いくらで受けられなくなる?
本人側は合計所得900万円(年収1,095万円)を超えると38万円→26万円、950万円超で13万円、1,000万円超(年収約1,195万円超)で0円になります。配偶者側は令和8年分から給与収入136万円以下で配偶者控除、136万円超207万円以下で配偶者特別控除の対象です。
ボーナスが多い場合は?
詳細設定の「賞与月数」を使うと、年収を(12+賞与月数)で割った月給で標準報酬月額を決め、賞与には標準賞与額(年2回・1回150万円が厚生年金の上限)で保険料を計算します。賞与の割合が高いと、厚生年金の上限に届く年収が上がります。賞与4ヶ月分なら、700万→800万円の手取り増は約62.7万円、800万→900万円は約60.1万円で、賞与なし(約63.9万円・約66.8万円)より少なくなります。
社会保険料の上限はある?
厚生年金は標準報酬月額65万円と標準賞与額1回150万円が上限です。賞与なしなら年収約762万円以上で厚生年金保険料は増えなくなりますが、賞与4ヶ月分なら月給分の上限到達は年収約1,016万円、賞与分は1,200万円で、それまでは保険料が増え続けます(そのぶん将来の厚生年金も増えます)。健康保険の上限は標準報酬月額139万円・標準賞与額年573万円と高く、ほとんどの会社員は達しません。
関連するシミュレーター
- 昇給の手取りインパクトシミュレーター — 自分の年収・昇給額で手取り増を計算
- 年収から手取り計算シミュレーター — 年収別の手取り額を計算
- 所得税率シミュレーター — 課税所得に対する税率を確認
- 社会保険料シミュレーター — 厚生年金・健康保険料の詳細
- 住民税シミュレーター — 翌年6月からの住民税を試算
- ボーナス手取りシミュレーター — 賞与の手取り額を計算
- 節税ランキングシミュレーター — 使える節税策を比較
出典
- 国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/2026kaisei.pdf
- 国税庁「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」 https://www.nta.go.jp/users/gensen/2026kiso/pdf/0026005-024.pdf
- 国税庁 タックスアンサーNo.2260「所得税の税率」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)令和8年度保険料率 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/
- 厚生労働省「雇用保険料率について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000108634.html
- 日本年金機構「保険料額表」 https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/ryogaku/ryogakuhyo/index.html