昇給100万円の手取り増は約64〜76万円|年収別早見表と税金・社会保険で目減りする仕組み
昇給100万円で増える手取りは、年収300万→400万なら約76万円、700万→800万なら約64万円。所得税の累進課税・住民税10%・社会保険料約15%でどれだけ差し引かれるかを年収帯別の早見表で解説。あなたの昇給額で計算できるシミュレーター付き。
昇給100万円で実際に増える手取りは約64〜76万円です。年収300万→400万円なら約76万円(増加率76%)残りますが、年収700万→800万円では約64万円(同64%)まで目減りします。年収帯が高いほど、増えた分に高い税率がかかるためです。なお年収780万円前後で厚生年金保険料が上限に達するため、それ以上の年収帯では約65〜66%で下げ止まります。
「昇給したのに手取りが思ったより増えない」のはなぜ?
年収が100万円上がれば、手取りも100万円増えると思いがちです。しかし実際には手取りの増加は64〜76万円程度にとどまり、年収が高い人ほど増加分は少なくなります。
この差を生み出すのが、所得税の累進課税・住民税・社会保険料です。年収が上がるほど、増えた分への課税率も上がっていきます。
日本の所得税率(累進課税)
| 課税所得 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 0円 |
| 195万円超〜330万円以下 | 10% | 97,500円 |
| 330万円超〜695万円以下 | 20% | 427,500円 |
| 695万円超〜900万円以下 | 23% | 636,000円 |
| 900万円超〜1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
| 1,800万円超〜4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
| 4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
「課税所得」は給与収入から給与所得控除・基礎控除・社会保険料控除等を引いた後の金額です。2025年の税制改正で給与所得控除の最低保障が65万円に、所得税の基礎控除が所得階層別の95万〜58万円に引き上げられたため、たとえば年収600万円の人の課税所得は約280万円程度になります(住民税の基礎控除は43万円)。
手取りに影響する3つの税・保険料
| 種別 | 税率・率 | 備考 |
|---|---|---|
| 所得税 | 5〜45%(累進) | 課税所得に適用 |
| 住民税 | 一律10% | 前年所得課税 |
| 社会保険料(厚生年金) | 18.3%(労使折半で約9.15%) | 標準報酬月額に適用 |
| 社会保険料(健康保険) | 約10%(地域・組合で異なる)(労使折半で約5%) | 同上 |
| 社会保険料(雇用保険) | 0.6% | 給与額に適用 |
昇給による「手取り増加率」は、これらの合算によって実質64〜76%程度になります。
年収帯別:昇給100万円の手取り増加額
| 昇給前の年収 | 昇給後 | 増加前の手取り目安 | 昇給後の手取り目安 | 手取り増加分 | 増加率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 400万円 | 約240万円 | 約317万円 | 約76万円 | 76% |
| 400万円 | 500万円 | 約317万円 | 約390万円 | 約73万円 | 73% |
| 500万円 | 600万円 | 約390万円 | 約462万円 | 約72万円 | 72% |
| 600万円 | 700万円 | 約462万円 | 約530万円 | 約68万円 | 68% |
| 700万円 | 800万円 | 約530万円 | 約594万円 | 約64万円 | 64% |
| 800万円 | 900万円 | 約594万円 | 約660万円 | 約66万円 | 66% |
| 900万円 | 1,000万円 | 約660万円 | 約726万円 | 約66万円 | 66% |
| 1,000万円 | 1,100万円 | 約726万円 | 約791万円 | 約65万円 | 65% |
※年収から手取り計算シミュレーター・昇給の手取りインパクトシミュレーターの実装(独身・2025年税制改正後)を実行した値です。
年収700万円までは累進課税で増加率が下がり続けますが、年収780万円前後で厚生年金保険料が標準報酬月額の上限(65万円)に達するため、それ以上の年収帯では増加率が約65〜66%で下げ止まるのがポイントです。
「壁」を超えると急に差し引きが増えるポイント
社会保険料の上限(標準報酬月額の等級)
厚生年金の標準報酬月額には上限(65万円)があります。報酬月額63.5万円(年収780万円程度)以上では、厚生年金保険料はそれ以上増えません。この点では年収が高いほど「社会保険料の負担率は下がる」という逆転現象が起きます。
所得税の境界
| 境界年収の目安(給与所得者・独身) | 変化 |
|---|---|
| 約480万円 | 課税所得が195万円を超え、税率5%→10%に |
| 約670万円 | 課税所得が330万円を超え、税率10%→20%に |
| 約1,080万円 | 課税所得が695万円を超え、税率20%→23%に |
| 約1,300万円 | 課税所得が900万円を超え、税率23%→33%に |
※2025年税制改正後の給与所得控除・基礎控除で計算した目安です。改正前より境界年収は上がっています(例: 10%→20%の境界は改正前の約600万円→約670万円)。
この「壁」を超えた部分の昇給分には、より高い税率がかかります。
月収への換算:手取り月収の変化
| 年収変化 | 月収変化(額面) | 月の手取り増加額 |
|---|---|---|
| 500→600万円 | +83,333円/月 | 約+60,000円/月 |
| 700→800万円 | +83,333円/月 | 約+53,000円/月 |
| 900→1,000万円 | +83,333円/月 | 約+55,000円/月 |
昇給の効果を最大限活かすには
昇給した分の税負担を減らす方法もあります。
| 対策 | 効果 |
|---|---|
| iDeCoの掛金増額 | 全額所得控除(年最大81.6万円) |
| ふるさと納税の上限増額 | 年収増に伴い上限が増える |
| 企業型DC(確定拠出年金)活用 | 掛金が課税対象にならない |
| 住宅ローン控除 | 税額控除で効果的 |
特にiDeCoは所得控除なので、税率の高い年収帯ほど節税効果が大きくなります。年収1,000万円の人が毎月2万円(年24万円)をiDeCoに拠出すると、節税額は年約73,000円(所得税20%+復興特別所得税+住民税10%)になります。
詳細設定で精度を上げる方法
シミュレーターの詳細設定を使うと、以下のパラメータを調整できます。
| パラメータ | 初期値 | 調整が必要なケース |
|---|---|---|
| 健康保険料率 | 5.0%(自己負担) | 組合健保加入者(3〜4.5%の場合あり) |
| 厚生年金保険料率 | 9.15%(自己負担) | 法定料率のため基本変更不要 |
| 雇用保険料率 | 0.6% | 建設業(0.7%)など業種による違い |
| 賞与月数 | 0ヶ月 | 年2回・計4ヶ月分の賞与がある場合 |
| iDeCo月額拠出 | 0円 | 拠出中の方は所得控除で手取りが変わる |
特に組合健保に加入している大企業の方は、協会けんぽより料率が低いことが多いため、詳細設定で調整するとより正確な結果が得られます。
昇給で手取りが増えない「逆転ゾーン」に注意
昇給のタイミングによっては、社会保険料の等級が1〜2段階上がり、手取りが一時的に減ることもあります。
特に4〜6月の給与が高い年は、算定基礎届による標準報酬月額の改定で9月〜翌年8月の社会保険料が上がります。この影響で「昇給したのに9月から手取りが減った」という逆転が起きることがあります。
残業代やインセンティブが4〜6月に集中する場合は、可能であれば7月以降に昇給交渉をすることで社会保険料の等級変更を翌年に遅らせる戦略もあります。
よくある質問
この計算の前提データはどこから?
所得税率は国税庁「所得税の速算表」(2026年度)、社会保険料率は全国健康保険協会(協会けんぽ)の標準保険料率(厚生年金18.3%・健康保険約10%・雇用保険0.6%)、住民税は全国一律10%を基に計算しています。給与所得控除(190万円以下は一律65万円)と基礎控除(所得税は95万〜58万円の所得階層制・住民税は43万円)は2025年税制改正後の制度に準拠し、復興特別所得税(所得税額の2.1%)も加算しています。
数字が実感と合わない場合は?
実際の手取りは扶養控除・住宅ローン控除・iDeCo・ふるさと納税など個別の控除によって変動します。このシミュレーターは基礎控除と社会保険料控除をベースにした概算値です。詳細設定でiDeCo拠出額や保険料率を調整するとより正確になります。それでも合わない場合は、勤務先の給与明細と比較して差分を確認してください。
年収の「壁」とは何ですか?
所得税の累進課税では、課税所得が一定額を超えると税率が上がります。たとえば課税所得330万円超で10%→20%、695万円超で23%、900万円超で33%です。これらの境界を「壁」と呼び、壁を超えた部分の昇給には高い税率がかかります。ただし、超えた分だけに高い税率がかかるため、手取りが逆転することはありません。
配偶者控除は年収いくらで受けられなくなる?
配偶者控除は本人の合計所得金額1,000万円超(年収約1,195万円超)で適用されなくなります。配偶者側の収入については、2025年の税制改正後は給与収入123万円以下で配偶者控除(38万円)の対象です。123万円を超えると配偶者特別控除に移行しますが、給与収入160万円までは同額の38万円が控除され、それを超えると段階的に減少して約201.6万円超で消失します。
ボーナスへの課税は月給と違う?
ボーナスには「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」が適用されます。前月の給与額から算出される税率で源泉徴収されるため、月給とは異なる税率になることがあります。ただし年末調整で精算されるため、年間の負担額は同じです。
社会保険料の上限はある?
厚生年金は標準報酬月額65万円(年収約780万円相当)が上限で、それ以上の昇給では厚生年金保険料は増えません。健康保険は上限が約139万円/月と高いため、ほとんどの方は上限に達しません。年収780万円超の方は、社会保険料の負担率が徐々に下がるため、高年収帯では税金のみが負担増の要因になります。
あなたの昇給効果をシミュレーション
現在の年収と昇給後の年収を入力すると、手取りの変化・税負担の増加額・社会保険料の変化を一覧で確認できます。詳細設定で保険料率や賞与月数を調整すれば、より実態に近い結果が得られます。
昇給の手取りインパクトシミュレーターで、あなたの昇給効果を具体的に計算してみましょう。
関連するシミュレーター
昇給の手取りだけでなく、税金・社会保険・資産形成についても確認してみましょう。
- 年収から手取り計算シミュレーター — 年収別の手取り額を計算
- 所得税率 早見シミュレーター — 課税所得に対する税率を確認
- 社会保険料 計算シミュレーター — 厚生年金・健康保険料の詳細
- ボーナス手取り 計算シミュレーター — 賞与の手取り額を自動計算
- iDeCo シミュレーター — 節税効果と運用益を計算
- 節税効果ランキング シミュレーター — 使える節税手法を比較