老後の住まい比較|持ち家・賃貸・サ高住・リバースモーゲージの費用
老後の住まいの選択肢を費用で比較。持ち家の維持費、賃貸の生涯コスト、サ高住の入居費用、リバースモーゲージの仕組みを解説します。
老後の住まい、今から考えておくべき理由
厚生労働省「令和7年簡易生命表」によると、65歳の平均余命は男性19.68年・女性24.52年です。65歳からの住まいは20〜25年続く前提で考える必要があり、その間の住居費は選び方によって数百万円から3,000万円超まで開きます。
この記事では、持ち家に住み続ける・シニア向け賃貸・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)・リバースモーゲージの4つを、公的資料と2026年11月時点の公表金利で比較します。数字はすべて老後の住まい費用比較シミュレーターの初期条件で計算しています。
4つの選択肢の概要
| 選択肢 | 概要 | 初期費用 | 月額の目安(食費除く) |
|---|---|---|---|
| 持ち家に住み続ける | ローン完済済みの自宅に住む | なし | 約3.6万円(維持費の年割り) |
| シニア向け賃貸 | 自宅を出てバリアフリー賃貸へ | 敷金・引越し 約30万円 | 約8万円(仮定) |
| サ高住 | 安否確認・生活相談付きの賃貸住宅 | 敷金・引越し 約30万円 | 約10.4万円(全国平均) |
| リバースモーゲージ | 自宅を担保に借りて住み続ける | 手数料(商品による) | 維持費+利息(元加なら支払いなし) |
選択肢1:持ち家に住み続ける
ローンを完済していれば家賃はかかりませんが、維持費はゼロになりません。シミュレーターでは戸建て築30年前後を想定し、以下を計算用の仮定として置いています。
| 項目 | 年額(仮定) | 根拠 |
|---|---|---|
| 修繕・維持費 | 30万円 | 外壁塗装(10〜15年ごと100〜200万円)・屋根・給湯器などの年割り |
| 固定資産税・都市計画税 | 10万円 | 納税通知書の金額に置き換え推奨 |
| 火災・地震保険 | 3万円 | 保険証券の金額に置き換え推奨 |
| 合計 | 43万円(月約3.6万円) | 20年で約860万円 |
固定資産税は評価額と所在地で、修繕費は築年数と過去の手入れで大きく変わります。自宅の実額は持ち家の維持費シミュレーターで30年分を試算できます。
マンションは管理費・修繕積立金が続く
マンションはローン完済後も管理費と修繕積立金がかかります。国土交通省「令和5年度マンション総合調査」の平均は管理費11,503円+修繕積立金13,054円=月約2.5万円(年約30万円)で、築年数が進むと修繕積立金の引き上げで月3〜4万円になる例もあります。固定資産税・保険と合わせると年40〜60万円が目安で、戸建ての「修繕費」がこの固定費に置き換わるイメージです。
選択肢2:シニア向け賃貸に住み替える
シニア向け賃貸(高齢者向けのバリアフリー賃貸)は全国平均の公的統計がないため、シミュレーターでは家賃+管理費 月8万円・初期費用30万円を仮定しています。
- 計算式: 8万円 × 12か月 × 20年 + 初期費用30万円 = 約1,950万円
- メリット: 修繕の心配がない、駅近など便利な場所を選べる、身軽に住み替えられる
- 注意点: 2年ごとの更新料、家賃の値上がり、高齢を理由にした入居審査の厳しさ
保証人の確保が難しい場合は、自治体の居住支援窓口や家賃債務保証会社の利用を早めに検討しておくと安心です。
選択肢3:サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
全国平均は月15.8万円(食費込み)
厚生労働省「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」第2回(2025年4月28日)の資料では、令和5年度老健事業の実態調査をもとに、介護付きでないサ高住(955件)の月額本人負担を次のように示しています。
| 項目 | 月額(平均) |
|---|---|
| 居住費相当額(家賃・共益費) | 63,439円 |
| 自費基本サービス費(管理費含む) | 40,304円 |
| 食費 | 47,934円 |
| 光熱水費 | 1,434円 |
| 総額 | 158,163円 |
同じ資料では介護付き有料老人ホームが平均26.5万円、住宅型有料老人ホームが12.0万円です。
「入居一時金」ではなく敷金が中心
国土交通省の制度概要では、サ高住は登録基準で敷金・家賃・サービス対価以外の金銭を受け取れないとされています。権利金などの高額な入居一時金はかからず、初期費用は敷金(家賃2〜3か月分)と引越し代が中心です。ただし家賃を前払いする方式の物件もあるので、契約前に確認しましょう。
20年間の費用
持ち家でも食費はかかるため、シミュレーターでは食費・光熱水費を除いた家賃6.3万円+サービス費4.0万円で比べています。
- 計算式: (6.3万円+4.0万円)× 12か月 × 20年 + 初期費用30万円 = 約2,500万円
- 食費も含めた総額では月15.8万円 × 12か月 × 20年 = 約3,800万円
訪問介護やデイサービスなど介護保険サービスの自己負担は別にかかります。介護度が上がった場合の費用は老人ホーム費用シミュレーターで比べられます。
選択肢4:リバースモーゲージ
仕組みと2026年11月の金利
自宅を担保に借り入れ、亡くなった後に自宅を売って一括返済する仕組みです。2026年11月1日時点の主な金利は以下のとおりです。
| 商品 | 金利 | 利息の払い方 |
|---|---|---|
| 東京スター銀行「充実人生」利息元加タイプ(70〜84歳) | 年4.10%(基準金利3.50%+0.6%) | 元本に組み入れ(毎月の支払いなし) |
| 東京スター銀行「充実人生」利払いあり型 | 年5.65〜6.65%(基準金利3.70%+1.95〜2.95%) | 毎月利息を支払う |
| 楽天銀行 リバースモーゲージ(2026年11月実行分) | 年4.10%(短期プライムレート2.625%基準) | 毎月利息を支払う |
| 社会福祉協議会 不動産担保型生活資金(2026年度) | 年2.8% | 住民税非課税程度の世帯が対象 |
計算例:評価額2,000万円・月2.5万円を20年
担保掛目50%なら借入の上限(極度額)は1,000万円です。年4.1%の利息元加で毎月2.5万円を受け取ると、次のようになります。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 受取総額(2.5万円 × 240か月) | 600万円 |
| 利息総額(元本に組み入れ) | 約330万円 |
| 20年後の借入残高(返済額) | 約930万円 |
| 極度額内に収まる月額の上限目安 | 約2.6万円 |
利息は複利で積み上がるため、受け取った額の半分強が利息になります。同じ条件で月10万円を受け取ると、8年目に極度額1,000万円に達してそれ以降は受け取れません。金利が5.65%(利払いあり型の下限)なら利息は約510万円に膨らみ、19年目に極度額に届きます。
シミュレーターでは修繕費・固定資産税・保険料(年43万円)に利息を加えた約1,190万円を「費用」として計上し、受取額600万円は収入として別に表示しています。商品別の受取額や長生きリスクはリバースモーゲージシミュレーターで詳しく試算できます。
4つの選択肢のコスト比較
シミュレーターの初期条件(評価額2,000万円)で、65歳から85歳までの20年と、女性の平均余命に近い90歳までの25年を比べました。食費などの生活費は含みません。
| 選択肢 | 20年(85歳まで) | 25年(90歳まで) | 相続時の自宅 |
|---|---|---|---|
| 持ち家 | 約860万円 | 約1,075万円 | 残る |
| シニア向け賃貸 | 約1,950万円 | 約2,430万円 | 売却すれば手取りが老後資金に |
| サ高住 | 約2,500万円 | 約3,120万円 | 売却すれば手取りが老後資金に |
| リバースモーゲージ | 約1,190万円(受取600万円) | 約1,620万円(受取630万円) | 売却して返済 |
25年のケースでは、月2.5万円の受取だと21年目に極度額に達します。長生きを見込むなら受取額を月1.9万円程度に抑える必要があります。
費用だけなら持ち家が最も安くなりますが、賃貸やサ高住に移る場合は自宅の売却代金が手元に入る点を忘れないでください。売却の手取りは家を売る費用シミュレーターで計算できます。
選び方のフローチャート
- 今の家で階段・段差・通院に困っていない? → はい:持ち家継続を軸に、修繕費の見通しを立てる
- 持ち家の維持が負担、または利便性の高い場所に移りたい? → はい:シニア向け賃貸(売却手取りを老後資金に)
- 一人暮らしで見守りや食事の提供がほしい? → はい:サ高住(介護度が上がったときの住み替え先も確認)
- 自宅に住み続けたいが現金が足りない?子どもに家を残す必要はない? → はい:リバースモーゲージ(極度額内に収まる受取額で)
判断のためのチェックリスト
- 住宅ローンの残高: リバースモーゲージは既存ローンの完済が条件になるのが一般的
- 自宅の築年数: 外壁・屋根など大規模修繕の時期と金額
- 健康状態と家族構成: バリアフリーの必要性、近くに頼れる親族がいるか
- 年金・貯蓄額: 月々の住居費と生活費を年金で賄えるか(老後資金シミュレーターで確認)
- 自宅の資産価値: 売却・リバースモーゲージのどちらに向くか(マンションは対象外の商品が多い)
よくある質問(FAQ)
Q. この記事のデータの出典は?
2026年11月1日に確認しました。平均余命は厚生労働省「令和7年簡易生命表」、サ高住の費用は厚生労働省「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」第2回資料2(2025年4月28日、令和5年度老健事業の実態調査)、サ高住の金銭受領の制限は国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅制度の概要」、マンションの管理費・修繕積立金は国土交通省「令和5年度マンション総合調査」、リバースモーゲージ金利は東京スター銀行のローン金利ページ(2026年11月1日現在)と楽天銀行の商品ページ(2026年11月実行分)です。持ち家の修繕費・固定資産税・保険料とシニア向け賃貸の家賃は、公的な全国平均がないため計算用の仮定です。
Q. 数字が実感と合わない場合は?
修繕費・家賃・サービス費は地域や物件で大きく変わります。老後の住まい費用比較シミュレーターの詳細設定で、納税通知書や物件資料の実額を入力してください。ご不明な点はお問い合わせページからご連絡ください。
Q. リバースモーゲージは何歳から使える?
商品によって異なります。東京スター銀行「充実人生」は利払いあり型が55〜84歳、金利の低い利息元加タイプは70〜84歳です。社会福祉協議会の不動産担保型生活資金は65歳以上で、住民税非課税程度の世帯・戸建てが対象です。推定相続人の同意を求める商品が多いので、家族とも事前に話し合っておきましょう。
Q. 持ち家を売ってサ高住に入ると、手元にいくら残る?
売却価格から仲介手数料(売却価格の3%+6万円+消費税が上限)、譲渡所得にかかる税金、ローン残高を差し引いた額が手取りです。マイホームの売却は譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける特例があるため、税金がかからないケースも多くあります。
関連シミュレーター
- 老後の住まい 費用比較シミュレーター - 4つの選択肢の総コストを比較
- リバースモーゲージ シミュレーター - 商品別の受取額・利息総額・長生きリスク
- 持ち家 維持費シミュレーター - 固定資産税・保険・修繕費の30年総額
- 家を売る費用シミュレーター - 仲介手数料・税金を引いた売却の手取り
- 老人ホーム 費用シミュレーター - 特養・有料老人ホーム・在宅介護の費用比較
- 老後資金シミュレーター - 年金・貯蓄で老後の生活費は足りるか