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傷病手当金はいくらもらえる?計算方法・待期3日・支給期間を徹底解説

病気やケガで仕事を休んだときに受け取れる傷病手当金の計算方法を解説。月収30万円なら日額6,667円・月20万円。標準報酬日額の2/3、待期3日、最長1年6か月(通算548日)、休業中も払う社会保険料まで具体例で紹介します。

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病気で仕事を休んだとき、収入はどうなる?

突然の病気やケガで長期間働けなくなったとき、会社員・公務員を守るのが「傷病手当金」です。健康保険(社会保険)に加入していれば、健康保険法第99条に基づき、給与(標準報酬日額)の約3分の2を最長1年6か月(通算548日)受け取れます。

協会けんぽ「現金給付受給者状況調査(令和6年度)」によると、受給の原因で最も多いのは精神及び行動の障害(うつ病・適応障害など)で39.15%。支給開始から調査時点までの平均支給期間は171.75日(約5.7か月)、精神疾患に限ると215.28日と、半年以上に及ぶケースが珍しくありません。1日あたりの平均支給額は5,866円、受給件数の21.52%は退職後の継続給付です。「数日休む」ための制度というより、数か月〜1年半の収入を支える制度と考えるのが実態に近いでしょう。

ただし計算方法が少し複雑で、「実際いくらもらえるのか」「申請のタイミングはいつか」を正確に把握している人は少ないのが現状です。本記事では計算式・支給条件・申請手続き・退職後の継続受給ルールまで、具体的な数字で解説します。

傷病手当金の4つの支給条件

  1. 業務外の病気・ケガであること(労災は対象外)
  2. 療養のために働けない状態であること
  3. 連続する3日間の待期期間が完成していること
  4. 給与の支払いがないこと(または一部だけの支払い)

待期3日のルール

傷病手当金が支給されるのは、連続して4日以上休んだ場合の4日目からです。最初の3日間(待期期間)は支給されません。

日数状態手当金
1日目欠勤(待期1日目)なし
2日目欠勤(待期2日目)なし
3日目欠勤(待期3日目)なし
4日目〜欠勤支給開始

待期3日は連続していることが条件です。土日祝日も含まれます。有給休暇を使っても待期期間にカウントされます(ただし有給中は給与が出るため、その日の手当金は支給されません)。

支給額の計算方法

計算式

傷病手当金(1日あたり)= 標準報酬日額 × 2/3

標準報酬日額 = 支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均 ÷ 30

端数処理は協会けんぽの場合、標準報酬日額を10円未満四捨五入し、2/3を掛けた後に1円未満四捨五入します。たとえば標準報酬月額50万円なら、50万円÷30=16,666.7円→16,670円、×2/3=11,113.3円→11,113円です。

「月収」ではなく「標準報酬月額」で決まる

計算の基準は手取りでも基本給でもなく、残業代・通勤手当などを含む額面の報酬月額を、健康保険の等級表(全50等級)に当てはめた「標準報酬月額」です。等級は5.8万円(第1級)から139万円(第50級)まであり、報酬月額29万〜31万円未満なら第22級の30万円、33万〜35万円未満なら第24級の34万円、というように区切られています(協会けんぽ「令和8年度保険料額表」)。月収35万円の人は第25級(36万円)、月収40万円の人は第27級(41万円)になるため、単純に「月収÷30×2/3」で計算すると少しズレます。

具体的な計算例

月給30万円(標準報酬月額30万円)の方が2か月間休業した場合:

項目計算金額
標準報酬月額30万円300,000円
標準報酬日額300,000円 ÷ 3010,000円
1日あたりの手当金10,000円 × 2/36,667円
月あたりの支給額(30日)6,667円 × 30日200,010円
2か月合計約400,000円

給与の約67%が保障されます。

月収別の傷病手当金早見表

協会けんぽの等級表と端数処理ルールで計算した早見表です(2026年9月照合)。

月収標準報酬月額(等級)日額月額(30日換算)最大(通算548日)
20万円20万円(第17級)4,447円133,410円約243.7万円
25万円26万円(第20級)5,780円173,400円約316.7万円
30万円30万円(第22級)6,667円200,010円約365.4万円
35万円36万円(第25級)8,000円240,000円約438.4万円
40万円41万円(第27級)9,113円273,390円約499.4万円
50万円50万円(第30級)11,113円333,390円約609.0万円

月収25万円の人は等級が26万円に上がるため、単純計算(5,556円)より日額が約220円多くなります。自分の等級は給与明細の健康保険料や、毎年9月に届く「標準報酬月額決定通知」で確認できます。

支給期間:最長1年6か月

傷病手当金は支給開始日から通算して1年6か月が限度です。

経過期間状態
〜1年6か月支給対象
1年6か月超支給終了

2022年の法改正で「通算1年6か月」に変更されました。以前は支給開始から暦上1年6か月でしたが、現在は実際に支給を受けた日数の合計が1年6か月(548日)まで受け取れます。途中で復職して再び休業した場合も、残りの日数分は受給できます。

給与との調整

休業中に給与(有給休暇含む)が支払われた場合、以下のように調整されます。

状況傷病手当金
給与なし全額支給
給与 < 傷病手当金差額を支給
給与 ≧ 傷病手当金支給なし

有給休暇を使いながら受診する場合、その日は給与が出るため手当金は支給されませんが、待期期間のカウントには含まれます。なお、有給休暇を使い切ってから傷病手当金を申請しなければならないというルールはありません。有給を温存して早めに手当金へ切り替え、復職後の通院に有給を残すという選択も可能です。

休業中も社会保険料は免除されない

見落としやすいのが、傷病手当金の受給中も健康保険・厚生年金の保険料は免除されない点です(産休・育休中の免除とは異なります)。給与から天引きできないため、会社に振り込むか、会社が立て替えて復職後に精算するのが一般的です。

令和8年度の協会けんぽの料率(健康保険9.90%全国平均・子ども子育て支援金0.23%・厚生年金18.3%、40〜64歳は介護保険1.62%を追加)の本人負担分で計算すると、次のとおりです。

月収手当金(30日)社会保険料(40歳未満)差し引き社会保険料(40〜64歳)
30万円200,010円42,645円157,365円45,075円
50万円333,390円71,075円262,315円75,125円

さらに住民税も前年の所得に対して請求が続きます。一方で傷病手当金自体は非課税なので所得税はかかりません。額面の2/3という数字だけでなく、「保険料を払った後にいくら残るか」で生活費を見積もることが大切です。

転職1年未満は「32万円」が上限になる

支給開始日以前の健康保険の加入期間が12か月に満たない場合は、「本人の直近の標準報酬月額の平均」と「全被保険者の標準報酬月額の平均額」の低い方で計算します。協会けんぽの平均額は、支給開始日が2025年4月1日以降なら32万円(それ以前は30万円)です。

月収50万円の人が転職して半年で休業すると、日額は11,113円ではなく、32万円÷30=10,670円×2/3=7,113円。1か月(30日)あたり約12万円の差になります。月収32万円以下の人はこのルールの影響を受けません。

退職後も受け取れる?

以下の条件を満たせば、退職後も引き続き受給できます。

  1. 資格喪失(退職)前に傷病手当金を受けていた
  2. 継続して1年以上の被保険者期間がある
  3. 退職日に出勤していない

退職後は任意継続被保険者になる必要はありません。ただし、退職後に傷病手当金の申請をする場合は、タイミングに注意が必要です。

傷病手当金が使えないケース

  • 自営業・フリーランス(国民健康保険には傷病手当金制度なし)
  • 労災(業務上の病気・ケガ)に該当する場合
  • 出産手当金と重複して受給する期間
  • 退職後の継続給付中に老齢年金を受けられる場合(年金の日額が少ないときは差額支給)
  • 同じ病気で障害厚生年金を受けられる場合(年金額が少ないときは差額支給)

申請の流れ

  1. 主治医に申請書の「療養担当者記入欄」で労務不能の証明を記入してもらう(意見書交付料は保険適用の100点で、3割負担なら300円)
  2. 事業主に勤怠・給与の証明を記入してもらう
  3. 健康保険組合(協会けんぽ等)に申請書を提出
  4. 審査後、指定口座に振込(通常2〜4週間)

申請は1か月ごとでも、まとめて申請することも可能です。

申請でつまずきやすい3つの落とし穴

落とし穴対策
待期3日の途中で「軽い仕事をした」と判断される完全に労務不能であることを医師に明確に書いてもらう
有給休暇の日も申請して不支給になる有給を使った日と手当金を受ける日を分けて申請する
退職後に申請するタイミングを逃す退職前に1回でも支給を受けておく(資格喪失後の継続給付の要件)

ケース別シミュレーション例

ケース1:30代会社員(月収30万円)がうつ病で6か月休業

  • 標準報酬日額:10,000円
  • 1日あたり手当金:6,667円
  • 待期3日を除いた支給日数:約177日
  • 総受給額:約118万円

社会保険料は免除されないため、本人負担の健康保険・厚生年金保険料(40歳未満で月42,645円)を払うと、実際に使えるのは月約15.7万円。精神疾患の平均支給期間215日を考えると、半年〜7か月分の生活費計画が必要です。同じような状況の家計の実例は適応障害で休職した39歳のケーススタディで詳しく追っています。

ケース2:40代管理職(月収50万円)が脳梗塞で1年6か月休業(最長)

  • 標準報酬日額:16,670円(10円未満四捨五入)
  • 1日あたり手当金:11,113円
  • 支給日数:548日(通算1年6か月)
  • 総受給額:約609万円

ただし通算548日を超えると打ち切り。休業中の社会保険料(40歳以上で月75,125円)を差し引くと、実質は約471万円です。長期化が見込まれる場合は、初診日から1年6か月の障害認定日に合わせて障害年金の請求を準備しましょう。等級別の年金額は障害年金の仕組みで解説しています。

ケース3:20代女性(月収22万円)が出産前後で受給切り替え

  • 出産予定日42日前〜出産後56日:出産手当金が優先(傷病手当金の方が多い場合は差額のみ支給)
  • 出産手当金後にも体調不良で休業継続:傷病手当金へ切り替え可能
  • それぞれの計算式は同じ(標準報酬日額の2/3)ですが、申請窓口・必要書類が異なります

自営業・フリーランスの備え方

国民健康保険には傷病手当金制度がないため、自営業・フリーランスは公的な所得保障を受けられません。代替策として以下の方法があります。

備え方月額目安給付内容
民間の所得補償保険2,000〜5,000円月10〜30万円を最長5年程度
就業不能保険3,000〜8,000円月10〜50万円を65歳まで
小規模企業共済1,000〜70,000円廃業時に積立金を受給(病気では不可)
預貯金(6か月分の生活費)—自己資金で生活費を賄う

民間の所得補償保険は会社員でも傷病手当金の不足分(給与の1/3)を補う目的で加入する人が増えています。

よくある質問(FAQ)

傷病手当金の総額の上限はいくらですか?

通算1年6か月(548日)が支給期間の上限です。月収50万円の方の最大受給額は約609万円、月収30万円の方の最大受給額は約365万円となります。1年6か月を超えても回復しない場合は、障害年金への切り替えを検討してください。

副業をしていた場合、副業収入は影響しますか?

副業(本業の会社とは別の事業所からの収入)がある場合、副業先で「労務不能」と判断されると傷病手当金の支給対象外になります。在宅でできる軽作業程度なら問題ないケースもありますが、申請前に健康保険組合へ確認しましょう。

有給休暇は使い切らないと申請できませんか?

使い切る必要はありません。有給を使った日は給与が出るため手当金は支給されませんが、待期3日には有給の日も含められます。休業が長引きそうなら、有給を残しておき復職後の通院に充てる選択もあります。

会社から休業中に給与が一部出る場合は?

給与の日額が傷病手当金の日額より少なければ、その差額が支給されます。たとえば月収30万円(手当金日額6,667円)で会社から月10万円(日額3,333円)が出る場合、手当金は日額3,334円です。

数字が実感と合わない場合は?

標準報酬月額は支給開始日以前12か月の平均で決まるため、昇給や4〜6月の残業代の変動で等級が変わった人は実際の金額と異なることがあります。健保組合によっては付加給付の上乗せもあります。シミュレーターで概算した上で、正確な金額は加入している健康保険にお問い合わせください。計算ロジックの誤りに気づいた場合は、サイトのお問い合わせフォームからご連絡ください。

出典・データはどこから?

健康保険法第99条(標準報酬日額の2/3・待期3日・通算1年6か月)、協会けんぽ「傷病手当金」(端数処理・加入12か月未満の32万円)、協会けんぽ「令和8年度保険料額表」(全50等級・保険料率)、協会けんぽ「現金給付受給者状況調査(令和6年度)」を参照し、2026年9月時点で照合しています。制度の成り立ちや税金の扱いは傷病手当金の仕組みを制度から解説した記事もあわせてご覧ください。

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