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年金のお金完全ガイド|いくらもらえる・いつから受け取る・どう増やす——受給額の計算式から繰下げの損益分岐81歳11ヶ月まで総整理

国民年金の満額は月69,308円(2025年度)、厚生年金の平均受給額は月約14.7万円。年金のお金は「いくらもらえるか」「いつから受け取るか」「どう増やすか」「足りない分をどう埋めるか」の4つの問いに分解できる。報酬比例部分の計算式(平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数)、年収別の受給額早見表、繰上げ・繰下げの損益分岐年齢、付加年金が2年で元を取れる仕組み、遺族年金まで——くらシムの年金系シミュレーター9本をつなぐハブ記事。

月69,308円。2025年度の国民年金(老齢基礎年金)の満額——20歳から60歳まで40年間、一度も欠かさず保険料を納めた人が65歳から受け取る金額だ。一方、総務省の家計調査(2024年)によれば、65歳以上の夫婦のみ無職世帯の支出は税・社会保険料込みで月約28.7万円。この間をどう埋めるかが「年金のお金」の設計であり、突き詰めると次の4つの問いに分解できる。

  1. いくらもらえるのか(現状把握)
  2. いつから受け取るのか(60〜75歳で最大2.4倍差)
  3. どう増やすのか(現役時代の上乗せ手段)
  4. 足りない分をどう埋めるのか(貯蓄の取り崩し設計)

この記事は、くらシムの年金系シミュレーター9本をつなぐハブとして、4つの問いを順に整理する。気になる問いの節から読んでもらえばいい。

前提: 年金は3階建て

  • 1階: 老齢基礎年金(国民年金) — 20〜60歳の全員が加入。40年納付で満額831,700円/年(2025年度)。未納期間があると「満額 × 納付月数/480」に減る
  • 2階: 老齢厚生年金 — 会社員・公務員が上乗せで加入。現役時代の給与に比例して増える
  • 3階: 私的年金 — iDeCo・企業型DC・企業年金・個人年金保険など、自分で積む部分

自営業・フリーランスは1階しかない。会社員は2階まで自動でついてくる。この構造差が、後述する「増やす手段」の選び方を分ける。

問い①: いくらもらえるのか

厚生年金の2階部分(報酬比例部分)は、次の式で決まる。

```
老齢厚生年金(年額)≒ 平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数
※ 2003年4月以降の加入期間。平均標準報酬額は賞与込み年収÷12の概算
```

平均年収別に、40年加入・基礎年金満額込みの月額を概算すると次のとおり(2025年度満額ベース、当サイト年金受給額シミュレーターと同じ計算式)。

現役時代の平均年収報酬比例部分(月額)基礎年金込みの合計(月額)
300万円約54,800円約124,100円
400万円約73,100円約142,400円
500万円約91,400円約160,700円
600万円約109,600円約178,900円
700万円約127,900円約197,200円

実績値でも、厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」の平均受給額は厚生年金(基礎込み)で月約14.7万円、国民年金のみで月約5.7万円。「平均年収400〜500万円で40年働いた人が月14〜16万円」という表の水準と符合する。

正確な見込み額は、毎年誕生月に届くねんきん定期便が最優先の資料だ。50歳未満の定期便は「これまでの実績分」しか載っていないため、額の小ささに驚く必要はない。60歳まで働き続けた前提の見込みは定期便の数字を出発点にシミュレーターで補完する。

問い②: いつから受け取るのか——60〜75歳で2.3倍の開き

年金は原則65歳開始だが、60歳まで前倒し(繰上げ)も75歳まで後ろ倒し(繰下げ)もできる。増減率は生涯変わらない。

受給開始増減率月15万円の人なら損益分岐(65歳開始との比較)
60歳(繰上げ)−24%(0.4%/月)114,000円80歳10ヶ月より長生きすると損
65歳(標準)±0150,000円
70歳(繰下げ)+42%(0.7%/月)213,000円81歳11ヶ月より長生きすると得
75歳(繰下げ)+84%276,000円86歳11ヶ月より長生きすると得

60歳受給の114,000円と75歳受給の276,000円では約2.4倍。ただし損益分岐が示すとおり、これは「寿命を当てるゲーム」ではなく保険の設計問題だ。長生きした場合に困らないことを優先するなら繰下げ、目先の生活資金がないなら繰上げ、という順序で考える。基礎と厚生を片方だけ繰り下げる、夫婦で開始年齢をずらすといった折衷案も含め、繰上げ・繰下げ比較シミュレーターで累計受取額の逆転年齢を確認できる。

繰下げ待機中も注意点が2つある。加給年金(配偶者手当に相当)は繰下げ待機中は支給されないこと、そして働きながらの繰下げでは在職老齢年金で支給停止された分は増額の対象にならないことだ。

働きながらもらう場合——基準は月62万円に緩和済み

65歳以降も厚生年金に加入して働く場合、「給与+年金」が基準額を超えると年金の一部が停止される(在職老齢年金)。この基準額は2026年4月から月62万円に引き上げられており、平均的な給与水準ならまず引っかからない。さらに在職定時改定により、65歳以降に納めた保険料は退職を待たず毎年10月に年金額へ反映される。「働くと年金が減るから損」は、現在ではかなり限定的な話になっている。

問い③: どう増やすのか——立場別の上乗せ手段

  • 自営業・フリーランス: まず付加年金。月400円の上乗せ保険料で、年金が「200円×納付月数」増える。40年納めると払込192,000円に対し受給が年96,000円増——2年で元が取れ、以後は毎年まるごとプラスという反則級の制度だ。そのうえで国民年金基金かiDeCo(枠は共用で月68,000円まで)を積む
  • 会社員: 3階部分をiDeCoで作るのが基本線。掛金は全額所得控除なので、積立と同時に所得税・住民税が減る。企業型DCがある人はマッチング拠出との比較から
  • 未納・免除期間がある人: 60歳以降の任意加入で480ヶ月まで基礎年金を積み増せる。1年追加ごとに年金は年約2.1万円(831,700円÷40)増える
  • 全員共通: 上の表のとおり、繰下げは「元手ゼロで年8.4%増額」に相当する。増やす手段の最後のピースとして必ず検討に入れる

問い④: 足りない分をどう埋めるのか

具体例で通しの検算をしてみる。平均年収400万円・38年加入の会社員と、基礎年金満額の配偶者の夫婦の場合——

```
本人: 報酬比例 83,311円 + 基礎(38年)65,843円 = 149,154円/月
配偶者: 基礎満額 69,308円/月
世帯合計 約218,000円/月
```

家計調査の高齢夫婦無職世帯の支出(非消費支出込み月約28.7万円)と比べると、不足は月約6.9万円。65〜90歳の25年間で約2,060万円になる。これが俗に言う「老後2,000万円」の正体で、支出水準と年金額次第でいくらでも動く数字だ。自分の場合の必要額は老後資金シミュレーターで、貯めた資産を何歳まで持たせられるかは取り崩しシミュレーターで確かめられる。再雇用給与や繰下げも含めた月次収支の全体設計は定年後の収入プランシミュレーターが一枚でまとめてくれる。

見落としやすいのが退職直後の1年だ。住民税は前年所得ベースで請求され、健康保険も切り替えが必要になるため、年金生活の初年度に現役時代並みの請求が届く。退職後にかかるお金シミュレーターで退職前に金額を見ておくと慌てない。

もしもの保障も年金——遺族年金と障害年金

年金は老後だけの制度ではない。加入者が亡くなれば遺族基礎年金(2025年度831,700円+子の加算)と遺族厚生年金(報酬比例の3/4)が、障害を負えば障害年金が出る。特に遺族厚生年金は2028年4月から、子のない60歳未満の配偶者について男女とも原則5年の有期給付に変わる大改正が控えており、生命保険の必要保障額の前提が変わる。現行制度での受給見込みは遺族年金シミュレーターで確認できる。

ねんきん定期便が届いたら見る3点

  1. これまでの加入実績に応じた年金額 — 50歳以上なら60歳まで加入し続けた前提の見込み額。50歳未満は実績のみなので少なく見えて正常
  2. 未納・空白の月がないか — 学生納付特例や免除の期間は追納しないと年金額に反映されない。追納は10年以内
  3. 標準報酬月額が実際の給与とかけ離れていないか — 記録誤りは「ねんきんネット」か年金事務所で照会できる

よくある質問

Q. 年金は額面どおり振り込まれる?

A. 振り込まれない。額面から介護保険料・国民健康保険料(75歳からは後期高齢者医療保険料)が天引きされ、年金額によっては所得税・住民税も引かれる。手取りは額面の90%前後になるのが一般的だ。手取りベースで生活費と比べないと、不足額を過小に見積もることになる。

Q. 国民年金は「払い損」では?

A. 保険料の半分は国庫負担(税金)で賄われているため、納めた保険料に対する給付倍率は民間の個人年金より構造的に有利だ。しかも終身給付で、障害・遺族保障も兼ねる。未納は「節約」ではなく保障の放棄に近い。

Q. 年金額は毎年変わる?

A. 変わる。物価・賃金の変動にマクロ経済スライドによる調整を加えて毎年度改定される。本記事の基礎年金満額831,700円・モデル世帯232,784円/月は2025年度の法定額で、最新の改定額は日本年金機構の公表資料で確認してほしい。

Q. この記事の前提データはどこから?

A. 日本年金機構「令和7年度の年金額改定について」、厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(平均受給額)、総務省「家計調査年報(2024年)」(高齢夫婦無職世帯の支出)、報酬比例部分の計算式は厚生労働省「公的年金制度の概要」による。早見表は賞与込み年収÷12を平均標準報酬額とみなした概算だ。

Q. 数字が実感と合わない場合は?

A. 加入期間の内訳(2003年3月以前は計算式が異なる)や標準報酬の上限で誤差が出ます。ねんきん定期便の実績値と大きく食い違う場合はお問い合わせからご連絡ください。

状況別・読む順ガイド

いまのあなた最初にやること
20〜30代・年金はまだ先受給額シミュレーターで現状の見込みを一度だけ見る → iDeCoの掛金を決める
40〜50代・老後が見え始めたねんきん定期便の実績値で受給額を確認 → 老後資金シミュレーターで不足額を数字にする
定年前後・受け取り方を決める繰上げ・繰下げ比較で損益分岐を確認 → 退職初年度の税・保険料を試算
自営業・フリーランス付加年金に今月から加入 → iDeCoの上限額を確認

4つの問いのうち、どれか1つでも数字で答えられるようになれば、この記事の目的は果たされている。

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